上位足1本の中で起きる「溜め・仕掛け・本命」を、チャートに直接書き込むインジケーター
ICT(インナーサークル・トレーダー)の考え方を追っている人なら、「Power of 3(PO3)」という言葉を一度は目にしたことがあると思います。日足や週足のローソク足1本は、値幅を溜める時間(Accumulation)、逆方向へ振ってくる時間(Manipulation)、本来の方向へ伸びる時間(Distribution)の3つでできている、という見方です。頭では分かっていても、下位足のチャートを見ながら「いまどの段階なのか」を毎回自分で線を引いて確かめるのは、なかなか手間がかかります。
「HTF Power of 3 (PO3) with Trailing Stop」は、その作業をまるごと自動にしてくれるTradingViewのインジケーターです。上位足が切り替わるたびに橙色の枠で溜めの値幅を囲み、終値がその枠を抜けると「Manipulation」、ATR(平均的な値幅)を使ったトレーリングストップを割り込むと「Distribution」とラベルを出します。チャートの右端には進行中の上位足が1本のローソクとして描かれ、始値・高値・安値・現在値も並びます。
実際に動かしてみると、このインジケーターの性格は「売買の合図」よりも「その日(その週)の筋書きを見える形にする」ほうに重心があると感じました。ラベルは機械的なルールで出るので、ICTの用語に詳しくなくても読み方はすぐに覚えられます。一方で、ルールを知らずに名前だけで判断すると読み違えやすい部分もあります。この記事ではその読み方と癖を順番に見ていきます。
1日の中で「溜め→仕掛け→本命」が順に描かれる
HTF Power of 3 (PO3) with Trailing Stopを1時間足に表示し、上位足を日足にした状態です。
Vowars DE ver.3.12.34
上の図は1時間足に日足のセッションを当てた時の典型的な1日です。図の①が溜めの枠、図の②が枠を上に抜けたManipulation、図の③がトレーリングストップを割り込んで向きが反転したDistributionです。上昇の天井には青い「M」、反転後の安値には赤い「D」が付き、その局面で一番伸びた位置を示しています。
チャートに出てくるものと、その意味
| 表示 | 色・形 | 意味 |
|---|---|---|
| 縦の帯 | 薄いグレー | 上位足(セッション)が切り替わった足 |
| 橙色の枠と中央の点線 | オレンジの実線と塗り | 溜め(Accumulation)の値幅。中央の点線は上限と下限のまん中 |
| Manipulation | 青か赤のラベル | 終値が枠を抜けた足。青は上抜け、赤は下抜け |
| 太い線と雲 | 青か赤 | ATRで計算したトレーリングストップ(PO3 Trailing Stop)と、価格との間の塗り |
| Distribution | 赤か青のラベル | 終値がストップを割り込み、向きが反転した足 |
| M/D | 色付きの文字 | Manipulation局面とDistribution局面の、それぞれ最も伸びた足 |
| 点線(3本) | 薄い白 | セッションの始値・高値・安値 |
| 右端のローソクとSESSION INFO | 青か赤の箱 | 進行中の上位足と、その始値・高値・安値・現在値 |
判定の流れを、橙色の枠から順番に追ってみる
「HTF Power of 3 (PO3) with Trailing Stop」の判定は一本道です。枠を作り、抜けを待ち、ストップで追いかけ、割り込んだら反転する。この順番を押さえておくと、チャートを見たときに「いまどこにいるか」がすぐ分かります。
1 始まりの10本で「溜め」の枠ができる
橙色の枠は「高さ」と「長さ」の決まり方が違う
Accumulation Phase Lengthが初期値10のとき、枠の上下が決まる範囲と、枠が伸び続ける範囲を分けて示しています。
Vowars DE ver.3.12.34
セッションが切り替わると、その足の始値を起点に橙色の枠が作られます。続くAccumulation Phase Length (Bars)(初期値10)本の高値と安値で、枠の上限と下限が広がっていきます図の①。
ここで見落としやすいのが、枠に使われるのは最初の足の「始値」だけという点です。最初の足が長いヒゲを付けていても、そのヒゲは枠に入りません。日付が替わった直後に大きく振れる銘柄だと、セッションの高値・安値の点線が枠からはみ出して見えることがありますが、表示の不具合ではありません。
10本を過ぎると枠の高さは固定され、あとは終値が枠を抜けるまで右へ伸びていくだけです図の②。そして10本の間は抜けの判定が出ません。枠の上限にはその足自身の高値も含まれるので、終値が上限を超えることがないからです。最短でも、セッションの始まりから11本後の足からが判定の対象になります。
2 終値が枠を抜けた足で「Manipulation」
枠の上限を終値で超えると青い「Manipulation」、下限を終値で割ると赤い「Manipulation」が出ます図の③。ヒゲだけ抜けても判定は出ず、足が確定した時点の終値で決まります。同時に、その局面の最高値(下抜けなら最安値)に「M」の文字が置かれ、さらに伸びるたびに新しい足へ移っていきます。
ICTのPO3では、Manipulationは「本来の方向とは逆に振ってくる動き」を指します。ただ、「HTF Power of 3 (PO3) with Trailing Stop」のManipulationは最初に枠を抜けた方向にラベルを付けているだけです。その抜けがそのまま1日のトレンドになる日もあり、ラベルが出た時点でダマシかどうかは分かりません。ダマシだったかどうかはこのあとのストップとの関係で決まります。
3 ATRのトレーリングストップが追いかける
トレーリングストップは有利な方向にだけ動く
Manipulationの後に引かれる太い線は、ATR(平均的な値幅)の3倍だけ離れた位置を追いかけます。
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Manipulationが出ると、終値から「ATR×Trailing Stop ATR Multiplier(初期値3.0)」だけ離れた位置にトレーリングストップが置かれます図の①。ATRの期間はTrailing Stop ATR Period(初期値14)で、チャートの時間足で計算されます。
この線は有利な方向にしか動きません。上抜けなら、価格が押しても線は下がらず横ばいのまま図の②、高値を更新したときだけ段を上げていきます図の③。線と価格の間には同じ色の雲が塗られ、価格に近いほど濃くなるので、ストップまでの距離がひと目で分かります。
日付(セッション)が切り替わると、ストップが割り込まれていなくても線はそこで終わります。翌日は新しい枠からやり直しです。前日の流れを引き継がない作りなので、日をまたいで同じポジションを持つ使い方とは少し相性が違います。
4 割り込むと「Distribution」、もう一度割り込むとその日は終わり
往復ビンタの日は、途中で判定が打ち切られる
上下に振られる日は、ManipulationとDistributionが短い間隔で続けて出て、その日の表示がそこで止まります。
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終値がストップを割り込むと、向きが反転して「Distribution」のラベルが出ます図の①。新しいストップは反対側に置かれ、色も入れ替わります。反転した足では線が1本分途切れるので、どこで切り替わったかが分かりやすくなっています。反転後の最安値(最高値)には「D」が付き、こちらも伸びるたびに移動します。
ここからが「HTF Power of 3 (PO3) with Trailing Stop」の特徴的なところで、Distributionのストップまで割り込まれると、そのセッションの判定は終わります図の②。線は消え、その日のうちにManipulationもDistributionも二度と出ません図の③。上の図のように、上下に振られた直後に本当の大きな動きが来ても、チャート上には何も表示されないわけです。
これを弱点と見るか、合図と見るかで使い方が変わります。私は「3幕の筋書きが崩れた日」の目印として読むようにしました。判定が途中で終わった日は、PO3の形にはまらない値動きだと割り切り、ほかの根拠で判断するか、手を出さないかを決めます。
右端のローソクと「セッション」の決まり方
右端の日足と、セッションの高値・安値の点線
最新の足の右側には、いま進行中の上位足が1本のローソクとして描かれます。
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最新の足からHTF Candle Right Offset (Bars)(初期値10)本だけ右に、進行中の上位足がHTF Candle Width (Bars)(初期値8)本分の幅で描かれます図の①。上には「D SESSION INFO」のように上位足の名前とOHLCが並びます図の②。下位足で細かく見ている時でも、「今日の日足はいま陽線か陰線か、始値からどれだけ離れたか」がすぐ分かるので、地味ながら便利な表示です。
セッションの始値・高値・安値の点線は、その日の最初の足から引かれ、高値や安値が更新されるたびに引き直されます図の③。枠と同じく、過去の位置までさかのぼって描き直される表示です。この点は後の章でもう一度触れます。
Auto HTF Matrix Modeが選ぶ上位足
初期設定ではAuto HTF Matrix Modeがオンになっていて、チャートの時間足に合わせて上位足が自動で選ばれます。対応は次のとおりです。
| チャートの時間足 | 自動で選ばれる上位足 | 1セッションの本数の目安 |
|---|---|---|
| 1分足 | 2時間 | 120本 |
| 2〜5分足 | 12時間 | 5分足で144本 |
| 6〜15分足 | 2日 | 15分足で192本 |
| 16〜60分足 | 週足 | 1時間足で168本 |
| 61〜120分足 | 2週 | 2時間足で168本 |
| 121〜360分足 | 月足 | 4時間足で約180本 |
| 361分以上の分足 | 2か月 | 12時間足で約120本 |
| 日足 | 5か月 | 約150本 |
| 2日足以上 | 6か月 | 2日足で約90本 |
| 週足 | 10か月 | 約43本 |
本数は暗号資産のように24時間動く銘柄で数えた目安です。ビットコインのチャートで5分足・15分足・30分足・1時間足・4時間足・日足・週足に切り替えてみると、右端のラベルはそれぞれ「12H」「2D」「W」「W」「M」「5M」「10M」のSESSION INFOになり、表のとおりに上位足が選ばれていました。秒足では45分、月足では50か月が指定されますが、この2つは実際の表示を確かめていません。

表を見ると分かる通り、Auto HTF Matrix Modeはかなり長めの上位足を選びます。1時間足なら週足、15分足でも2日です。溜めの枠は初期値で10本なので、1時間足と週足の組み合わせなら、月曜の始値から約11時間の値幅が枠になります。日足で区切りたいなら、Auto HTF Matrix ModeをオフにしてManual HTF SelectionでDを選びます(オフにしたときだけ選べるようになります)。この記事の図解も、ほとんどがこの「1時間足+D」の組み合わせです。

日足チャートで使ったときに気づいたのが、区切りの位置です。5か月や10か月のような長い上位足は、TradingViewでは暦の1月を起点に区切られるようで、日足チャートでは1月・6月・11月に縦の帯が入りました。11月から12月は2か月しかない短いセッションになり、そこだけ枠と判定の時間が足りなくなります。週足チャート(10か月)でも、毎年11月と翌年1月に帯が並んでいました。

1時間足で週足のセッションを使うと、Manipulationが出るのは週に1回、Distributionも多くて1回です。判定がすぐ終わった週は、残りの数日間は何も表示されません。短期売買の合図として期待していると物足りなく感じるはずなので、デイトレードで使うなら、上位足を日足にしたほうが手応えがあります。
ビットコインの1時間足で2週間追って分かったこと
実際のチャートでも挙動を確かめました。ビットコインの1時間足に初期設定のまま表示し、Auto HTF Matrix Modeで週足のセッションになった状態で、2026年9月28日の週から10月12日(日本時間)までを追っています。週足の区切りは月曜の日本時間9時でした。

9月28日の週は、枠が10月1日まで横に伸び続け、ようやく上に抜けてManipulationが出ました。ところが、すぐ次の急騰した足の上で反落してDistributionに切り替わり、そのストップも翌日に上抜けて判定が終わります。そこから8万7000ドル付近まで上がった大きな上昇には、何も表示されませんでした。
10月5日の週も似た流れでした。下に抜けてManipulation、反発してDistributionが出た後、そのストップもすぐ割り込んで判定が終了。その後の8万500ドル付近までの下落は、やはり無表示です。
2週続けて「判定が終わった後に本当の動きが来る」形になったのは、偶然ではないと考えています。「HTF Power of 3 (PO3) with Trailing Stop」は、Manipulationの逆にDistributionが出て、それも否定されたら打ち切る作りです。2回目の反転が否定された時点で、その週は筋書き通りに動いていないことが分かります。私はこの打ち切りを「PO3の読みが外れた週」の知らせとして使い、そこからは別の根拠に切り替えるほうが実用的だと感じました。
設定項目と、狙いに合わせた調整のしかた
| 設定 | 初期値 | 推奨値 | 効果 |
|---|---|---|---|
| Auto HTF Matrix Mode | オン | 日足で区切るならオフ | チャートの時間足から上位足を自動で選ぶ。オフにするとManual HTF Selectionが使える |
| Manual HTF Selection | D | 日中ならD、スイングならW | オートを切ったときの上位足。枠と判定はこの区切りでリセットされる |
| Accumulation Phase Length (Bars) | 10 | 1セッションの本数の1〜2割 | 枠の上限と下限を決める本数。多いほど枠が広く、判定は遅くなる |
| HTF Candle Right Offset (Bars) | 10 | 10 | 右端のローソクを最新の足から何本右に置くか |
| HTF Candle Width (Bars) | 8 | 8 | 右端のローソクの幅 |
| Bullish Body Color | 青(透明度20) | 好みで | 右端のローソクが陽線のときの色 |
| Bearish Body Color | 赤(透明度20) | 好みで | 右端のローソクが陰線のときの色 |
| Accumulation Lines Color | オレンジ | 好みで | 枠と中央の点線の色 |
| HTF Open Line Color | 白(透明度75) | 好みで | セッションの始値・高値・安値の点線と、区切りの縦の帯の色 |
| Wick Structure Color | グレー(透明度30) | 好みで | 右端のローソクのヒゲの色 |
| Label Text Size | Small | Small | ラベルとSESSION INFOの文字の大きさ |
| Trailing Stop ATR Multiplier | 3.0 | 日中2.0〜3.0、スイング3.0 | ストップを置く距離(ATRの何倍か)。小さいほど反転の判定が早くなる |
| Trailing Stop ATR Period | 14 | 14 | ストップの距離に使うATRの期間 |
Manipulation/Distributionのラベル、トレーリングストップ、M/Dの文字の青と赤は、入力の項目には含まれていません。色の項目で変わるのは、右端のローソク、枠、点線と区切りの帯です。
Trailing Stop ATR Multiplierを下げると、反転の判定が早く・多くなる
ATR倍率を1.5にすると、反転の判定が早く・多くなる
1枚目の図とまったく同じ値動きで、Trailing Stop ATR Multiplierだけを3.0から1.5に下げています。
Vowars DE ver.3.12.34
1枚目の図とまったく同じ値動きで、Trailing Stop ATR Multiplierだけを1.5に下げました。ストップが価格のすぐ近くを追うので図の①、天井からの反落でDistributionが2本早く出ています図の②。2日目には3.0では出なかった反転も出ました図の③。
反転を早く拾える反面、小さな押し目でも反転扱いになり、更にそのストップも割られて判定が終わる、という空振りも増えます。日中の短い値動きを追うなら2.0〜2.5あたりまで下げる価値はありますが、1.5は試した範囲では敏感すぎました。週足など長いセッションでは、初期値の3.0から動かさないほうが無難だと感じています。
Accumulation Phase Length (Bars)は「セッションの本数」との比率で考える
枠の本数を増やしすぎると、動きごと枠に飲み込まれる
1枚目の図と同じ値動きで、Accumulation Phase Lengthだけを10から20に増やしています。
Vowars DE ver.3.12.34
同じ値動きでAccumulation Phase Length (Bars)を20にすると、1日の上昇も下落も枠の中に取り込まれ、ManipulationもDistributionも出なくなりました図の②。1時間足の日足セッションは24本しかないので、20本を枠に使うと、抜けを判定できるのは残りの3本だけです。
枠の本数を5に減らすと、上抜けの判定が早まる
同じ値動きで、Accumulation Phase Lengthを5に減らした場合です。
Vowars DE ver.3.12.34
反対に5まで減らすと、2日目の枠が早く閉じ、日付の切り替えから6本後にManipulationが出ました図の②。初期値の10本では12本後だったので、上昇の初動をより多く拾えています。ただし枠が狭くなる分、小さな値動きでも抜けやすくなります。
初期値の10は、Auto HTF Matrix Modeが選ぶ長いセッション(100本を超えるもの)を前提にした値だと考えると納得がいきます。1時間足×日足のように1セッションが24本しかない組み合わせでは、4〜6本程度に減らすと、枠の役目を残したまま判定の余地を確保できます。15分足×日足(96本)なら、初期値の10本前後がちょうどよい比率です。
狙い別の組み合わせ例
| 狙い | チャート | 上位足 | 枠の本数 | ATR倍率 | 考え方 |
|---|---|---|---|---|---|
| 日中の流れを追う | 15分足 | D(手動) | 8〜12 | 2.5〜3.0 | 1日96本に対し、最初の2〜3時間を溜めとして見る |
| 日足の形を1時間足で読む | 1時間足 | D(手動) | 4〜6 | 2.5〜3.0 | 24本しかないので枠を短くして判定の時間を残す |
| 週の流れを読む | 1時間足 | W(オートと同じ) | 10〜24 | 3.0 | 24にすると月曜1日ぶんの値幅が枠になる |
| 大きな波を見る | 日足 | オート(5か月) | 10 | 3.0 | 判定は年に数回。区切りが暦に沿う点に注意 |
週の流れを読む組み合わせで枠を24にするのは、ICTでいう「週の初日の値幅」を溜めとして扱う考え方に合わせたものです。ただ、これは私が試した設定の一つで、検証期間は長くありません。自分の銘柄で数週間ぶんをさかのぼって、判定が出る頻度と終わり方を確かめてから使ってください。
VWAPと組み合わせて「本命の向き」を確かめる
VWAPを重ねると、反転の気配を一足早く確かめられる
HTF Power of 3 (PO3) with Trailing StopにTradingView標準のVWAPを重ねています。
- VWAP
- PO3 Trailing Stop
Vowars DE ver.3.12.34
「HTF Power of 3 (PO3) with Trailing Stop」は、ストップを割り込むまで向きが変わりません。ATRの3倍という距離は、天井から反転を判定するまでにある程度の値幅を譲ることになります。そこで、同じ日の中の基準として相性がよかったのが、TradingView標準のVWAP(出来高加重平均価格)です。アンカー期間をセッションにすると、ビットコインのように24時間動く銘柄では日足のPO3と同じタイミングで計算がリセットされるので、同じ1日を別の角度から見られます。
図では、天井から崩れた足の終値がDistributionの1本前にVWAPを割り込んでいます図の①。Manipulationの勢いが平均価格を保てなくなった時点で、反転の気配が見えていたわけです。2日目も、青いストップは遠く下にあるまま、先にVWAPを割り込んで上昇の失速を知らせています図の③。
使い方としては「Manipulationの方向にVWAPより上(下)で推移しているうちは様子を見る」「VWAPを逆に抜けたら、Distributionを待たずに利益確定や手じまいを考える」という順番が分かりやすいと思います。VWAPはあくまで補助で、Distributionの判定そのものを置き換えるわけではありません。
ほかにも、次のようなインジケーターとの組み合わせが考えられます。
- 前日・前週の高値と安値を引くインジケーター。Manipulationがそこを一瞬抜けて戻ったかどうかで、ICTでいう「流動性を取りにいった動き」かを判断しやすくなります。
- セッション単位の出来高プロファイル。橙色の枠の中でどの価格帯に出来高が溜まったかを見ると、枠の上下どちらへの抜けに重みがあるかの参考になります。
- ADX。Manipulationが出た時点でADXが上向いていれば、抜けがそのままトレンドになる日かどうかの見極めに使えます。
噛み合う日と、空振りしやすい日
噛み合いやすい場面
- 朝のうちは狭い値幅でもみ合い、どこかで一方向に大きく動く日
- 一度逆方向に振ってから本来の方向へ伸びる、PO3らしい形の日
- PO3の考え方がよく当てはめられる銘柄(株価指数先物、ゴールド、主要通貨ペアなど)
- 下位足で売買しながら、上位足の進み具合を同じ画面で確かめたいとき
空振りしやすい場面
- 上下に何度も振られる日。ManipulationとDistributionが短い間隔で出て、判定が早々に終わる
- セッションの最初の足で大きく動いた日。始値しか枠に入らないため、枠が実際の値幅より狭くなる
- 溜めの本数に対してセッションが短い組み合わせ。枠だけで1日が終わる
- 判定が終わったあとに出る本当の大きな動き。チャート上には何も表示されない
得意・不得意がはっきりしている分、どんな日に噛み合わないかを先に知っておけば、表示を読み違えることは少なくなります。
リアルタイムで使う前に知っておきたい挙動
確定した足の表示は、あとから変わるのか
Manipulation/Distributionのラベルと、トレーリングストップの値は、足が確定した後に書き換わることはありません。過去の足には未来の価格を使わず、上位足のデータも別の時間足から取り寄せずに、チャートの足から自前で数えています。
ただし、さかのぼって描き直される表示がいくつかあります。橙色の枠と、セッションの高値・安値の点線は、セッションの最初の足から引かれ、値が更新されると過去の位置まで含めて描き直されます。「M」「D」の文字も、より伸びた足が出るたびにその足へ移動します。過去のチャートを見ると、枠や点線の高さは最初から分かっていたように見えますが、実際にはその時点では決まっていなかった、という点に注意してください。バーリプレイで1本ずつ進めると、枠が伸びていく様子や点線が動く様子を確かめられます。
足が確定する前の動き
Manipulationは、足が確定した時点の終値でしか判定されません。一方、Distributionへの反転とセッションの判定終了は、形成中の足の現在値でも判定されます。そのため、足の途中でDistributionのラベルが出て、終値が戻ると消える、ということが起こりえます。TradingViewは形成中の足では更新のたびに描画をやり直すので、確定後の履歴は終値で判定した結果と同じになります。
更新履歴にはManipulationとDistributionの両方に足の確定を待つ処理を加えたと書かれていますが、表示の挙動を追った範囲では、確定待ちが入っているのはManipulationの方だけでした。Distributionを見て注文を出すなら、足の確定を待ってから判断するほうが安全です。
「HTF Power of 3 (PO3) with Trailing Stop」には、組み込みのアラート条件がありません。ManipulationやDistributionが出たことを知らせるアラートは作れないので、通知がほしい場合は、アラートの作成画面でこのインジケーターの線(PO3 Trailing Stop)を条件に選ぶ方法を検討してください。線は反転した足とセッションの終わりで途切れる点に注意が必要です。
また、ラベルは新しいほうから50個までしか表示されません(TradingViewの初期の上限)。1セッションで最大4個のラベルが出るので、短い上位足で長い期間をさかのぼると、古いセッションのラベルは表示されなくなります。枠や点線などの線は、最大500本まで残る設定になっています。
毎日の「溜め・仕掛け・本命」を、自動で書き起こしてくれる相棒
「HTF Power of 3 (PO3) with Trailing Stop」は、ICTのPower of 3という考え方を、枠・ラベル・トレーリングストップ・右端の上位足ローソクという4つの表示に落とし込んだインジケーターです。判定のルールはシンプルで、橙色の枠を終値で抜けたらManipulation、ATRのストップを割り込んだらDistribution、そのストップも割られたらその日は終わり。この流れさえ覚えれば、チャートを開いた瞬間に「今日はいまどの段階か」が読めるようになります。
一方で、ラベルは機械的に出るもので、Manipulationが本当にダマシかどうかまでは教えてくれません。初期設定のオートでは上位足がかなり長く選ばれる点や、1セッションの本数に対して溜めの本数が多すぎると何も出なくなる点にも、最初のうちに気づいておきたいところです。
私のおすすめは、まず1時間足か15分足で上位足を日足にし、枠の本数を調整して数日ぶんを眺めることです。判定が最後まで進む日と、途中で打ち切られる日の違いが見えてくると、このインジケーターの表示が、その日の相場の性格を教えてくれる材料に変わります。売買の判断はVWAPや前日の高値・安値など、ほかの根拠と重ねて行ってください。










