レンジの箱を手で引く作業を任せられるAuto Range Detector
チャートを開くたびに、横ばいの高値と安値へ水平線や長方形を引き直している。そんな人に向いているのが、TradingViewのインジケーター「Auto Range Detector」です。値動きが2本の境界のあいだを行き来している区間を自動で探し、レンジを箱として描き、抜けた足と、抜けに失敗して戻った場所に印を付けます。
似た発想のツールはいくつもありますが、「Auto Range Detector」が面白いのは「何をもってレンジと呼ぶか」を5つの条件に分け、それぞれを自分で調整できるところです。値幅が狭いだけの場所は拾いません。上下に何度も往復し、両端に複数回触れ、傾きが小さく、終値がほぼ中に収まっている。この全部を満たした区間だけが箱になります。

ビットコインの5分足・1時間足・日足に入れてみたところ、設定を一切触らなくても、目で見て「ここは揉んでいるな」と感じる場所とかなり近い位置に箱が出ました。時間足を変えても箱の出方が極端に変わらないのは、正直ちょっと意外でした。
画面に出るのは箱と点線とタグ、それに2種類の印
「Auto Range Detector」がチャートに描くものは多くありません。まずは継続中のレンジがどう見えるかを図解で確認しておきます。
レンジの箱に重なる線とタグの読み方
「Auto Range Detector」が見つけたレンジは、グレーの箱として値動きの背面に敷かれます。
Vowars DE ver.3.12.30
図の①の枠がレンジの上端と下端です。初期設定では高値と安値の極端な数本を除いた位置に引かれるので、長いヒゲが枠の外へ少しはみ出すことがあります。これは不具合ではなく、1本だけ飛び出したヒゲに箱の大きさを決めさせないための仕様です。
図の②は箱の中に引かれる3本の点線で、濃い1本がちょうど真ん中の均衡ライン、薄い2本が下から25%と75%の位置にあたります。箱の端まで行かなくても「いまレンジのどのあたりにいるか」がすぐ分かるので、私はこの3本をいちばん頼りにしています。
図の③のタグには、状態、箱が続いている本数、値幅の3つが並びます。値幅は箱の高さを下端の価格で割った%表示です。1時間足で試したときは、継続中の箱に「RANGE 144 BARS 2.15%」と出ていました。144本、つまり6日間も2%ちょっとの幅に収まっていたことが数字で分かります。
箱の色を見れば、そのレンジがどう終わったか分かる
箱は状態によって色が変わります。色の意味さえ覚えれば、過去のレンジがどちらへ抜けて終わったのかを一目で追えます。
| 箱の色 | 状態 | 一緒に出る印 |
|---|---|---|
| グレー | レンジが続いている | なし |
| 緑 | 上に抜けて終了 | 足の下に ▲ Breakout |
| 赤 | 下に抜けて終了 | 足の上に ▼ Breakout |
ひとつ注意したいのが、Deviationの印の色です。下に抜けかけて戻った場面には緑、上に抜けかけて戻った場面には赤の印が付きます。「下抜け失敗は買い方向、上抜け失敗は売り方向」という考え方で色が決まっているため、Breakoutとは向きが逆に見えます。最初は私も読み違えました。
点線の枠とFORMINGは「まだ仮」のしるし
確定前のレンジは点線の枠で表示される
箱の本数がMinimum Range Barsに届くまでは、仮のレンジとして扱われます。
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検出されたばかりのレンジは、図の①のように枠が点線で、図の②のとおりタグもFORMINGから始まります。箱の本数がMinimum Range Barsに届くと、枠が実線になり、タグがRANGEへ切り替わる仕組みです。
仮のうちに境界を抜けた箱は、印を残さずチャートから消えます。残るのは一定期間持ちこたえたレンジだけ、という整理です。
Minimum Range Barsの初期値は10ですが、レンジの判定に使う区間はいちばん短くても20本あります。そのため初期設定のままだと、箱は出た足ですぐ確定扱いになり、点線の枠を見る機会はまずありません。上の図は、この値を40に上げて撮ったものです。仮の段階を挟みたいときは20より大きい値にしてください。
どんな値動きを「レンジ」と判定しているのか
「Auto Range Detector」は足が確定するたびに、直近20本・40本・60本の3つの区間を調べます。区間ごとに上端と下端を仮に置き、次の5つの条件をすべて満たすかを確かめます。
| 条件 | 見ているもの | 初期設定での基準 |
|---|---|---|
| 値幅の狭さ | その区間の値幅が、同じ銘柄・同じ時間足の過去と比べてどれくらい狭いか | 過去の計算値のうち狭いほうから40%以内 |
| 往復の多さ | 終値が均衡ラインをまたいだ回数 | 20本で4回、40本で7回、60本で11回以上 |
| 両端へのタッチ | 上端・下端の近くまで届いた足の本数 | 上下それぞれ2本以上 |
| 傾きの小ささ | 区間全体の回帰直線がどれだけ傾いているか | 傾きによる移動が箱の高さの45%以下 |
| 収まり具合 | 終値が上端と下端のあいだにある足の割合 | 70%以上 |
複数の区間が合格したときは、いちばん長い区間が採用されます。20本の小さな持ち合いも、60本かけた大きな持ち合いも、ひとつの設定で拾えるのはこのためです。
個人的にうまいと思ったのは「往復の多さ」です。V字で切り返しただけの値動きは、値幅だけを測るとレンジと区別がつきません。でもV字は真ん中を2回ほどしかまたがない。行ったり来たりの回数を数えることで、持ち合いと単なる反転を分けています。
銘柄や時間足を変えても同じ感覚で使える理由
値幅の狭さは「何ドル以内」のような固定値では判定しません。ATRで割って大きさをそろえたうえで、その銘柄・その時間足の過去と比べた順位で判定します。タッチの許容幅や、抜けを認める距離もATRの倍率です。
だからビットコインの5分足でも日足でも、あるいはゴールドや株価指数でも、数値を入れ替えずにそのまま使えます。実際に日足へ切り替えると、値幅10〜20%の箱が77本、78本と続いていて、5分足の0.5%前後の箱と同じ理屈で描かれていることが確認できました。

値幅の比較にはATR Length(初期値200)ぶんの履歴が要ります。チャートの先頭から200本あまりは箱が出ません。上場して間もない銘柄や、月足のように足の数が少ないチャートでは、箱がなかなか現れないことがあります。その場合はATR Lengthを短くすると判定が早く始まります。
レンジが終わる瞬間はBreakoutで知らせてくれる
下抜けで箱が赤に変わりBreakoutが付く
確定したレンジを終値で抜けると、箱はその足で閉じて、抜けた方向の色に塗り替わります。
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確定済みのレンジを価格が抜けると、箱はその足で閉じます。図の①が抜けた足です。初期設定では、ヒゲが境界を越えただけでは抜けと見なされません。終値が境界からATRの0.15倍より外側で確定して、はじめてBreakoutになります。
抜けた瞬間に図の②のとおり箱と枠の色が変わり、下抜けなら足の上に▼、上抜けなら足の下に▲の印が付きます。印が足を挟んで抜けた方向と反対側に出るのは、その先の値動きを隠さないための配慮でしょう。
細かい点ですが、図の③のタグの本数には、抜けた足が含まれません。箱そのものは抜けた足まで伸びているので、TradingViewの計測ツールで箱の幅を測った数字とは1本ずれることがあります。
境界を少しだけはみ出したヒゲを受け止めるのがAbsorb Overshootです。終値が箱の中にあり、はみ出しがATRの0.25倍以内なら、箱のほうがヒゲの先まで広がります。細かいヒゲのたびに箱が閉じて、数ティック隣にまた新しい箱ができる、という煩わしさがありません。
抜けたのに戻ってきた値動きをDeviationとして残す
レンジ取引でいちばん悩ましいのが、抜けたと思ったら戻ってくるダマシです。「Auto Range Detector」はこれを別扱いにしています。
抜けたあと箱に戻るとDeviationに変わる
ブレイクした価格が10本以内に終値で箱の中へ戻ると、Breakoutは取り消されてレンジが続きます。
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図の①で終値が下端を割り、いったん▼ Breakoutが出ます。ところが図の③の足で終値が箱の中へ戻ると、Breakoutの印は取り消され、箱はグレーに戻って元の左端からそのまま続きます。代わりに、抜けていたあいだの最安値へ図の②のDeviationの印が付く、という流れです。
戻りを待つ長さはDeviation Windowで決まり、初期値は10本です。10本以内に戻らなければ抜けは本物として確定し、箱は赤のまま残ります。
結果としてチャートには「ダマシを1回含んだひとつの長いレンジ」が残ります。抜けるたびに箱が切れて、同じ価格帯に似たような箱がいくつも並ぶより、ずっと見やすいと感じました。5分足ではこのDeviationがかなり頻繁に付いていて、短期足ほど境界の外へ一瞬はみ出す動きが多いことがよく分かります。

Merge Deviationsがオンのあいだ、Breakoutの印は出てから最大10本、取り消される可能性が残ります。過去のチャートに残っているBreakoutは「戻らなかった抜け」だけなので、見返したときの印象は実際より良く見えがちです。抜けた足でそのまま飛び乗る使い方をするなら、この点は必ず頭に入れておいてください。
抜けをその場で確定させたいとき
Merge Deviationsをオフにすると抜けはその場で確定する
同じ値動きでも、Merge Deviationsを切るとブレイクは取り消されません。
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Merge Deviationsをオフにすると、図の①の足で箱が閉じ、図の②のとおりBreakoutはそのまま残ります。そのあと価格が戻ってきても、箱が開き直すことはありません。印が消えない代わりに、ダマシのたびに箱が細かく切れます。ブレイクアウトを機械的に検証したい人はオフ、レンジの全体像を見たい人はオンが合うでしょう。
実際のトレードでどう使うか
「Auto Range Detector」は、いまレンジの中なのか、抜けたのか、抜けに失敗したのかを整理して見せるツールです。私なら次の順番で使います。
1 上の時間足で、いま箱の中にいるかを確かめる
最初に1時間足や4時間足を開き、グレーの箱が出ているかを見ます。箱が出ていれば、短期足でのトレンドフォローは控えめにする。これだけでも、持ち合いのど真ん中で順張りして往復で負ける場面をかなり減らせます。タグの本数が多いほど長く続いているレンジなので、抜けたときの動きにも注目しやすくなります。
2 箱の端と25%・75%の線を、逆張りの目安にする
レンジの中で取引するなら、見る場所は箱の端です。上端近くで上ヒゲが続けば売り、下端近くで下ヒゲが続けば買い、という古典的な考え方に、箱がそのまま定規として使えます。利確は均衡ライン、伸ばすなら反対側の25%か75%の線、と目標を置きやすいのも利点です。損切りは境界の少し外に置くのが基本ですが、Deviationがよく出る銘柄では、過去の印がどれくらい外まで伸びていたかを見て幅を決めると無理がありません。
3 抜けたら、戻るかどうかを10本見届ける
Breakoutが出たあとは、すぐに追いかけるか、戻りを待つかの判断になります。初期設定では10本以内に終値が箱へ戻ると抜けは取り消されるので、抜けた足の高値や安値を損切りの基準にしつつ、境界を外側から試して反発する形を待つほうが落ち着いて入れます。逆にDeviationの印が付いた場合は、抜けに失敗した側の反対、つまり箱の反対の端へ向かう動きを狙う場面です。
向いている場面、合わない場面
得意なのは、方向感がなくなった相場の整理と、そこからの抜けの監視です。デイトレードからスイングトレードまで、時間足を選ばずに使えます。日足や週足でポジショントレードの環境認識に置いておくのも悪くありません。
一方で、勢いよく一方向へ伸びている相場では、条件を満たす区間がないため箱は出ません。これは欠点というより正しい挙動で、「箱が出ていない=持ち合いではない」という情報として読めます。数秒〜数分で決着をつけるスキャルピングでも箱の端は目安になりますが、初期設定は足の確定を待つので、合図としての速さは期待しないほうがいいでしょう。
RSIを重ねて、端での反発に裏付けを足す
「Auto Range Detector」は「どこが端か」を教えてくれますが、端でどれくらい勢いが残っているかまでは分かりません。そこを補う相手として、いちばん相性がいいと感じたのがRSIです。
箱の下端とRSIを重ねて反発の強さを見る
「Auto Range Detector」の境界に、RSIの向きを重ねた例です。
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図の①で価格が下端を割り込んで戻り、1つめのDeviationが付きます。そのあと図の②で安値をわずかに更新していますが、図の③を見るとRSIの底は切り上がっています。価格は下げているのに売りの勢いは弱まっている、いわゆるダイバージェンスです。箱の下端という「場所」と、RSIの切り上げという「勢い」がそろうと、反発を狙う根拠としてかなり納得しやすくなります。
ほかにも組み合わせやすいものがあります。
- 出来高 Breakoutの足で出来高が増えていれば、抜けが続く見込みを判断する材料になります。出来高の薄い抜けはDeviationになりやすい、と考えておくのが無難です。
- ADX 箱が出ているあいだADXが低く、抜けと同時に上向くなら、持ち合いからトレンドへの切り替わりを二重に確認できます。
- ボリンジャーバンド バンドの幅が縮んでいる区間と箱が重なっていれば、値動きが煮詰まっていることを別の計算でも確かめられます。
設定はどこを触ればいいか
設定項目は4つのグループに分かれていて、数は多めです。ただ、全部を理解しないと使えないわけではありません。まずは初期設定で数日使い、箱が「多すぎる」「少なすぎる」「左端が気に入らない」と感じたところだけを動かすのがおすすめです。ここでは効き目の大きい項目に絞って紹介します。
Detection/どの長さで、どこに境界を置くか
| 設定 | 初期値 | 推奨値 | 効果 |
|---|---|---|---|
| Scan Scaling | Base + 2x + 3x | Base + 2x + 3x | 調べる区間の数。Base onlyにすると基準の長さだけを調べ、短いレンジ専用になる |
| Base Scan Length | 20 | 15〜30 | いちばん短い区間の長さ。小さくするとトレンド途中の小休止も拾い、大きくすると長い持ち合いだけが残る |
| Boundary Basis | Percentile band | Percentile band | 境界の置き方。Absolute extremesは最高値と最安値、Body extremesは実体だけで決める |
| Boundary Percentile | 90 | 85〜95 | Percentile bandのときに、ヒゲをどれだけ切り捨てるか。100で最高値・最安値と同じになる |
| Signal Timing | Bar close | Bar close | 足の確定を待つかどうか。Live barは形成中の足でも判定する |
| ATR Length | 200 | 200 | 距離の単位になるATRの期間。短くすると直近の値動きに合わせて基準が動く |
Base Scan Lengthは、箱の性格をいちばん大きく変える項目です。短期足で小さな持ち合いも細かく拾いたいなら15前後、日足で大きな持ち合いだけに絞りたいなら30前後が目安になります。Boundary Basisは基本そのままで構いませんが、ヒゲが異常に長くなりやすい流動性の薄い銘柄では、Body extremesに変えると箱が実体の集まりに沿って落ち着きます。
Structure Filters/レンジの定義を厳しくするか緩めるか
| 設定 | 初期値 | 推奨値 | 効果 |
|---|---|---|---|
| Compression Percentile | 40 | 30〜50 | 値幅の狭さの基準。上げると広めの持ち合いも箱になり、下げると締まった持ち合いだけが残る |
| Calibration Lookback | 500 | 500 | 値幅を比べる過去の長さ。短くすると値動きの変化に早く慣れる |
| Min Rotation Rate | 0.18 | 0.15〜0.25 | 1本あたりに必要な往復の回数。上げると行き来の激しい区間だけを拾う |
| Touch Definition | Wick reaches | Wick reaches | ヒゲが届けばタッチとするか、終値が届いたときだけにするか |
| Min Boundary Touches | 2 | 2〜3 | 上下それぞれに必要なタッチの本数。増やすと何度も守られた箱だけになる |
| Touch Tolerance (ATR) | 0.10 | 0.10 | 境界からどれだけ近ければタッチと見なすか |
| Max Drift | 0.45 | 0.30〜0.60 | 許す傾きの大きさ。上げると斜めのチャネルも箱になる |
| Min Containment | 0.70 | 0.70〜0.80 | 終値が箱の中にある割合。上げると箱が締まり、はみ出しの多い区間は外れる |
箱が多すぎると感じたら、最初にCompression Percentileを30へ下げてみてください。値幅が広めの「なんとなく横ばい」が消え、締まった持ち合いだけが残ります。それでも多ければMin Boundary Touchesを3にします。反対に箱がほとんど出ない銘柄では、Compression Percentileを50〜60に上げるか、Max Driftを0.6ほどに緩めると、ゆるく傾いた持ち合いも拾えるようになるでしょう。
Range Behavior/箱の左端と、終わらせ方
| 設定 | 初期値 | 推奨値 | 効果 |
|---|---|---|---|
| Range Anchoring | Extend to containment | Extend to containment | 箱の左端の決め方。Scan window onlyは判定に使った区間だけを箱にする |
| Anchor Lookback | 300 | 300 | 左端をさかのぼれる最大の本数 |
| Minimum Range Bars | 10 | 10(仮の段階を使うなら30前後) | 箱が確定扱いになるまでの本数 |
| Absorb Overshoot | オン | オン | わずかにはみ出したヒゲを箱に取り込む |
| Overshoot Tolerance (ATR) | 0.25 | 0.25 | 取り込めるはみ出しの上限 |
| Break Confirmation | Close beyond | Close beyond | 終値で抜けを判定する。Wick beyondはヒゲが越えた時点で抜けとする |
| Breakout Buffer (ATR) | 0.15 | 0.15〜0.30 | 抜けを認めるのに必要な、境界からの距離 |
| Merge Deviations | オン | 用途で選ぶ | 抜けたあと戻った値動きを、元の箱にまとめる |
| Deviation Window | 10 | 5〜15 | 戻りを待つ本数 |
| Cooldown Bars | 3 | 3 | 箱が終わってから次の箱を出すまでの待ち時間 |
| Max Range Age | 0 | 0 | 箱の寿命。0は無制限。値を入れると、その本数で箱を区切る |
このグループで見た目がはっきり変わるのはRange Anchoringです。
Scan window onlyでは判定に使った区間だけが箱になる
Range Anchoringは、箱の左端をどこに置くかを決める設定です。
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Scan window onlyにすると、図の①のように判定に使った区間がそのまま箱の起点になります。初期設定のExtend to containmentは、そこからさらに過去へ、終値が箱の中に収まっているかぎり左端を伸ばしていきます。同じ場面なら図の②の位置まで届き、持ち合いの始まりから箱で覆われる形です。
私は初期設定のほうが好みです。手で箱を引くときも、たいていは持ち合いの最初の足から囲むので、感覚に近い。ただし左端が過去へ伸びるぶん、古い箱と重なって表示されることがあります。重なりが気になる人はScan window onlyを試してみてください。
Breakout Buffer (ATR)は、ダマシの多さに直結します。境界ぎりぎりの抜けが多い銘柄では0.25〜0.30に上げると、弱い抜けを拾わなくなります。そのぶん確定は遅れるので、早さを取るか確実さを取るかの調整です。Break ConfirmationをWick beyondにすると、ヒゲが越えただけで箱が閉じます。ストップ狩りのような一瞬の動きを記録したい人向けで、このときAbsorb Overshootは働きません。
Visual Settings/見た目の調整
| 設定 | 初期値 | 推奨値 | 効果 |
|---|---|---|---|
| Color Preset | Custom | 好みで | 上抜け・下抜けの配色。Classic、Aqua、Cosmic、Cyber、Neon、Customから選ぶ |
| Bullish Color / Bearish Color / Range Color | 緑 / 赤 / グレー | 好みで | Customのときの上抜け・下抜け・継続中の色 |
| Gradient Steps | 4 | 2〜4 | 箱の塗りを何段に分けるか。減らすと過去の箱を多く残せる |
| Fill Transparency | 88 | 85〜95 | 箱の塗りの薄さ。上げるとローソク足が見やすくなる |
| Show Equilibrium Line | オン | オン | 均衡ラインの表示 |
| Show Quartile Levels | オン | オン | 25%と75%の線の表示 |
| Show Range Labels | オン | オン | タグの表示 |
| Show Breakout Markers | オン | オン | Breakoutの印の表示 |
| Show Deviation Markers | オン | オン | Deviationの印の表示 |
| Label Text Size | Small | Small | タグと印の文字の大きさ |
色は背景に合わせて自動で補正されるため、明るい背景でも暗い背景でも線が埋もれません。ほかのインジケーターと重ねて画面が込み合うときは、Show Quartile Levelsを切って均衡ラインだけにすると、かなりすっきりします。
目的別のおすすめ
| やりたいこと | 変える項目 | 理由 |
|---|---|---|
| 短期足で小さな持ち合いも拾いたい | Base Scan Lengthを15、Deviation Windowを5 | 短い区間から調べ、戻りを待つ時間も短くして反応を早める |
| 箱を減らして大きな持ち合いだけ見たい | Compression Percentileを30、Min Boundary Touchesを3 | 締まっていて、何度も端を試された区間だけに絞れる |
| 抜けを機械的に検証したい | Merge Deviationsをオフ | 出た印があとから消えないので、記録と結果がずれない |
| ヒゲの荒い銘柄で箱を安定させたい | Boundary BasisをBody extremes | 実体だけで境界を決めるため、突発的なヒゲに振り回されない |
表示はあとから変わるのか
過去の箱や印を信用していいのかは、気になるところです。ここは設定によって答えが変わるので、分けて整理します。
初期設定のSignal TimingはBar closeで、箱の検出も、抜けの判定も、アラートも、すべて足が確定してから行われます。足が確定した時点で出た判定が、同じ足についてあとから変わることはありません。形成中の足では、箱の右端が現在の足まで伸びて見えるだけです。
ただし「一度描かれたものが二度と動かない」という意味ではありません。仕様として次の3つが起こります。
- 箱は検出された足で初めて現れ、そのとき左端が過去へさかのぼって描かれます。箱の左半分は、リアルタイムではまだ表示されていなかった部分です。
- Merge Deviationsがオンのとき、Breakoutの印は最大10本のあいだ取り消されることがあり、その場合は過去の足にDeviationの印が付きます。
- 確定前(FORMING)の箱は、抜けた時点で跡を残さず消えます。
どれも設定の説明に明記されている動きで、隠れた描き換えではありません。それでも、過去チャートだけを眺めて「箱の左端で買えていた」と考えるのは禁物です。リアルタイムでどう見えていたかは、TradingViewのバーリプレイで1本ずつ進めると確かめられます。日足以上ならどのプランでも全期間を再生でき、分足は契約プランと時間足によってさかのぼれる期間が変わります(2026/10/6 現在)。
Signal TimingをLive barにすると、形成中の足でも判定が走ります。合図は早くなりますが、足が確定するまでに箱や印が出たり消えたりします。裁量で早めに気づきたい人向けの設定で、検証やアラートにはBar closeのままが無難です。
TradingViewでは、ひとつのインジケーターが表示できる箱は500個までと決まっています。「Auto Range Detector」は1つのレンジに5個の箱を使うため、画面に残るのは直近およそ100個ぶんのレンジです。それより古いものは新しい箱が出るたびに消えます。過去を長く見返したいときはGradient Stepsを減らすと、残せる数が増えます。
アラートは5種類、足の確定で鳴る
「Auto Range Detector」には5つのアラート条件が用意されています。TradingViewのアラート作成画面で条件の欄に「Auto Range Detector」を選ぶと、次の中から選択できます。
| 条件名 | 鳴るタイミング |
|---|---|
| Range Detected | 新しいレンジが検出された |
| Range Breakout Up | 確定済みのレンジを上に抜けた |
| Range Breakdown | 確定済みのレンジを下に抜けた |
| Any Range Break | 上下どちらかに抜けた |
| Range Deviation | 抜けたあと、終値が箱の中へ戻った |
使い勝手がいいのはRange Detectedです。監視している銘柄が持ち合いに入ったことを知らせてくれるので、箱ができてからチャートを開けば間に合います。Range Deviationも、ダマシからの反転を狙う人には便利でしょう。
鳴る頻度はアラート作成画面で選びます。初期設定のBar closeなら判定そのものが足の確定時にしか行われないため、どの頻度を選んでも確定前に鳴ることはありません。なお仮のレンジが抜けた場合は、印もアラートも出ません。
使ってみて分かった強みと、気をつけたい点
頼れるところ
- 値幅だけでなく往復・タッチ・傾き・収まりを見るので、箱の位置が目で見た感覚に近い
- ATRと過去比較で判定するため、銘柄や時間足を変えても設定を入れ替えずに使える
- 抜けの失敗をDeviationとして1つの箱にまとめるので、チャートが細切れにならない
- 均衡ラインと25%・75%の線で、箱の中の現在位置がすぐ分かる
- 初期設定は足の確定で判定し、アラートも5種類そろっている
気をつけるところ
- 箱は条件がそろってから現れるため、持ち合いの初動では表示されていない
- Merge Deviationsがオンのあいだ、Breakoutの印は最大10本取り消される可能性がある
- 箱の左端は過去へさかのぼって描かれるので、過去チャートは実際より早く気づけたように見える
- チャートの先頭200本あまりは判定が始まらない
- 箱の端で売買を判断するときは、勢いを測る指標を添えたほうが根拠をそろえやすい
気をつける点の多くは、レンジを「確認してから描く」という性格から来ています。3つの区間のどれかが条件を満たすまで箱は出ませんから、どうしても持ち合いの後半から表示が始まります。そのかわり、出た箱は条件をくぐり抜けたものだけです。早さより確かさを優先している、と理解して使うのが合っています。
レンジの定義を自分で決められる、持ち合い専用の物差し
「Auto Range Detector」は、横ばいの相場を箱で囲むという単純な作業を、驚くほど丁寧に作り込んだインジケーターです。値幅、往復、タッチ、傾き、収まり。レンジを形づくる要素をひとつずつ条件にして、どれも自分の基準に合わせられます。
画像使い始めは初期設定のままで十分です。上の時間足で箱の有無を確かめ、箱の端と3本の点線を目安にし、抜けたら10本は戻りを見届ける。この流れに慣れてから、箱の数や左端の位置を好みに寄せていけば、手で引いていた長方形の代わりとして自然に馴染んでいくはずです。
もちろん、箱が出たから反発する、Breakoutが出たから伸びる、と決まっているわけではありません。RSIや出来高で勢いを確かめ、損切りの位置を先に決めたうえで、持ち合いを読むための物差しとして役立ててください。








