大きな実体の足を合図に、トレンドを最後まで追いかけるインジケーター
チャートを眺めていて、いつもより明らかに長い陽線や陰線が1本だけ飛び出す場面があります。ニュースで一気に動いた足、レンジを抜けた瞬間の足などがそうです。「Auto-ATR Volatility Spike & Trend Tracker」は、その「飛び出した1本」を自動で見つけ、そこを起点にトレンドの追跡を始めるインジケーターです。
やっていることを簡単にまとめると、ATRの2倍を超える実体の足が出たら、その方向へ追従ライン(トレーリングストップ)を走らせ、終値がラインを割るまでトレンドが続いているとみなす、という流れです。どこで仕掛けるかの目安と、どこで降りるかの目安が1つのツールにまとまっているので、ブレイクアウトやトレンドフォローを手動で管理している人ほど相性がいいと感じました。
Auto-ATR Volatility Spike & Trend Tracker の基本表示
実体がATRの2倍を超えた足を起点に、追従ラインと中間ラインが走り出します。
Vowars DE ver.3.12.35
BTCUSDTの5分足から週足まで7つの時間足で表示して確かめましたが、出方そのものはどの時間足でも同じです。違うのは、スパイクと判定される足の大きさと、追跡が続く長さの方でした。この辺りは後半で、実際のチャートの数字を並べて紹介します。
1本の足の「実体」がATRの2倍を超えたときだけ反応します。ヒゲの長さは初期設定では見ていません。
同じ方向のトレンドを追跡している間は、新しい大陽線が出ても▲△は出ません。色だけが変わります。
追跡が終わる条件は「終値が追従ラインを割る」か「反対方向のスパイクが出る」の2つだけです。
チャートに出るものと、それぞれの意味
初期設定のまま入れると、チャート上には次の6つの要素が表示されます。最初は情報が多く見えますが、役割はとてもはっきり分かれています。
| 表示 | 出る場所・タイミング | 意味 |
|---|---|---|
| 足の色(オレンジ/水色) | 条件を満たした足そのもの | 実体がATR×2を超えた大陽線・大陰線 |
| ▲△/▽▼ | スパイク足の下(上) | トレンドの追跡を始めた足の印 |
| 矢印線と%の数字 | スパイク足の1本左 | その足の実体の大きさ(始値からの変化率) |
| 点線 | スパイク足から右へ | スパイク足の始値と終値のちょうど中間 |
| 追従ラインと帯 | 次の足から | 安値(高値)からATR×3離れた手仕舞いの目安 |
| 右上の表 | 常に表示 | 直近の上昇・下落スパイクの大きさと終値 |
一番目につくのは足の色です。条件を満たした大陽線は オレンジ 、大陰線は 水色 に塗り替えられます。後で触れますが、色は「トレンド追跡中かどうか」と関係なく、条件を満たした足すべてに付きます。▲△の印が付くのは、追跡を新しく始めた足だけです。
少し戸惑ったのが、%の数字と両向きの矢印線の位置でした。スパイク足の真上ではなく、1本左の足の位置に描かれます。矢印の長さはスパイク足の実体と同じで、左にずらすことで足そのものに重ならないようにしているのだと思います。どの足の数字なのか迷ったら、すぐ右の色付きの足だと読んでください。
点線(中間ライン)はスパイク足の始値と終値の平均の高さから右に伸びていきます。追跡が続く間は1本ごとに延長され、追跡が終わった時点、または次のスパイクが出た時点で伸びるのが止まります。

追従ラインの下(下降なら上)には、ラインに近いほど濃いグラデーションの帯が付きます。価格とラインの距離が帯の幅で見えるので、「今どれくらい余裕があるか」を目で測りやすいのは嬉しいところです。
右上の表は Last Bullish と Last Bearish の2行で、直近に▲△(▽▼)が付いた足の変化率と終値が入ります。終値なので、そこで実際に約定できた価格という意味ではありません。
何をもって「スパイク」と判定しているのか
判定の中身はシンプルです。初期設定の Detection Mode は「Auto ATR」で、次の2つを同時に満たした足がスパイクになります。
- 実体の長さ(始値と終値の差)が、ATR(14)×2 を超えている
- 陽線なら上昇スパイク、陰線なら下落スパイク
ATR(Average True Range)は、直近の足がだいたいどれくらいの値幅で動いているかを表す指標です。ATRを物差しにしているので、ボラティリティが大きい時間帯や銘柄では判定のハードルが自動で上がり、静かな相場では下がります。ビットコインのように時間帯で値動きの大きさが大きく変わる銘柄でも、設定を毎回いじらずに済むのはこの仕組みのおかげです。
判定に使うのはヒゲではなく実体
初期設定では、実体(始値〜終値)の長さだけをATRの2倍と比べます。
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図の①のように、ATR×2をわずかに超えただけでも点灯します。逆に図の②のような、上ヒゲが長く値幅だけ大きい足は初期設定では対象外です。「ヒゲで振り回されただけの足」を拾わないので、ダマシは減ります。その代わり、長いヒゲを付けて反転したような足は反転のサインとして扱われません。
もう1つ、ATRはその足自身の値幅も含めて計算されます。極端に大きな足が出るとATRもその分だけ引き上げられるので、2倍という基準は数字の見た目より少し厳しめに働きます。
Calculate From Wicks (High/Low) をオンにすると
Calculate From Wicks (High/Low) をオンにすると、判定に使う長さが実体から「高値〜安値の値幅」に切り替わります。%表示も値幅の大きさ(高値と安値の差を安値で割ったもの)に変わるので、同じ足でも数字が大きくなります。
Calculate From Wicks (High/Low) をオンにした場合
判定も%表示も、実体ではなく高値〜安値の値幅で行われるようになります。
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図の②は実体が小さいのに、値幅がATR×2を超えたことで陰線スパイクになった足です。直後の図の③で上昇に戻っていて、向きの入れ替わりが増えるのが分かります。長いヒゲの足も反応させたい場合に使う設定ですが、初期設定より出方が騒がしくなる点は覚えておくと安心です。
Fixed % モードとの違い
Detection Mode を「Fixed %」にすると、ATRを使わず、変化率が Fixed Spike Threshold (%)(初期値1.0)以上かどうかで判定します。値動きの大きさに合わせて基準が変わらないので、同じ%でも静かな時間帯ではほとんど出ず、荒れた時間帯では次々に出ます。
Fixed % モード(しきい値1.5%)の出方
Fixed % は値幅の大小に関係なく、決めた%を超えた足をすべて拾います。
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| 比べる点 | Auto ATR(初期設定) | Fixed % |
|---|---|---|
| 判定の基準 | ATR×ATR Multiplier | 決めた% |
| 相場の荒さへの追従 | 自動で追従する | 追従しない |
| 向いている使い方 | 銘柄や時間足をまたいで同じ感覚で使う | 1つの銘柄・時間足に絞って基準を決め打ちする |
| 注意点 | 判定の数字が足ごとに変わる | 時間足を変えたら%も見直しが必要 |
Fixed % で使うなら、まず Auto ATR で点灯した足の%を表やラベルで何本か確かめ、その少し下に基準を置くのが手早いやり方です。初期値の1.0のままビットコインの5分足に当てると、何も出ない時間帯が長く続きやすくなります。
点灯してから消えるまでの流れ
「Auto-ATR Volatility Spike & Trend Tracker」で一番理解しておきたいのが、トレンドの追跡がどう始まり、どう終わるかです。内部では「上昇を追跡中」「下降を追跡中」「どちらでもない」の3つの状態を切り替えています。
1 スパイク足で追跡が始まる
上昇スパイクが出ると、その足の安値からATR×3下に追従ラインの起点が置かれます。ラインが実際に描かれるのは次の足からで、スパイク足そのものにはラインが付きません。以降は「安値−ATR×3」を足ごとに計算し、前の値より高いときだけ引き上げます。下がることはないので、上昇が続けばラインは階段状に切り上がっていきます。
2 同じ向きのスパイクは色だけ変わる
トレンド中の大陽線は色だけ変わる
上昇トレンドが続いている間は、新しい大陽線が出ても▲△や点線は追加されません。
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追跡中に同じ向きの大陽線が出ても、▲△は追加されません。図の②の足は実体がATRの約3倍ありますが、色が変わるだけです。点線も表の値も、最初のスパイク足のものがそのまま残ります。
この「同じ向きは数え直さない」仕組みのおかげで、強いトレンドの途中で印が乱立せず、チャートがすっきりします。一方で、2本目の大陽線を起点に点線を引き直したい、という使い方はできません。トレンド中の勢いの変化を見たいときは、色の付いた足の間隔や大きさを自分で見比べることになります。
3 反対向きのスパイクが出たら即座に入れ替わる
上昇の追跡中に下落スパイクが出たとき
反対方向のスパイクが出ると、追従ラインの決済を待たずにその足で向きが入れ替わります。
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上昇の追跡中でも、実体がATR×2を超える陰線が出れば、その足で下降の追跡に切り替わります。追従ラインを割るのを待ちません。図の②のとおり、切り替わった足ではラインが描かれず、次の足から水色で再開します。
説明文では、追跡中の仕組みが「逆張りのダマシや早すぎる反転を防ぐ」と紹介されています。実際に止めているのは同じ向きのスパイクの重複だけで、反対向きのスパイクが出れば1本で向きが入れ替わります。もみ合いで大陽線と大陰線が交互に出ると、追跡の向きもそのたびに変わる点は知っておいてください。
4 終値が追従ラインを割ったら追跡終了
終値が追従ラインを割ると追跡が終わる
ヒゲで触れただけでは終わらず、終値がラインの外で確定した足で表示が止まります。
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もう1つの終わり方が、終値が追従ラインの外で確定するケースです。ヒゲで一瞬ラインに触れただけでは終わりません。図の①の足で追跡が終わると、ライン・帯・点線の延長がまとめて止まり、次のスパイクが出るまで新しい表示はありません。
ここでの判定は表示している時間足の終値です。日足に表示していれば日足の終値、1時間足なら1時間足の終値で判定されます。
7つの時間足で見えた性格の違い
検証では BTCUSDT の5分足、15分足、30分足、1時間足、4時間足、日足、週足に、すべて初期設定のまま表示しました。右上の表に残っていた値を並べると、時間足ごとの「スパイクの大きさ」の違いがよく分かります。
| 時間足 | Last Bullish(変化率) | Last Bearish(変化率) |
|---|---|---|
| 5分足 | +0.27% | -0.22% |
| 15分足 | +0.49% | -0.15% |
| 30分足 | +0.78% | -1.03% |
| 1時間足 | +0.94% | -1.01% |
| 4時間足 | +3.41% | -1.89% |
| 日足 | +7.12% | -6.51% |
| 週足 | +23.58% | -28.44% |
5分足と15分足では、スパイクといっても0.1〜0.5%程度の足が中心でした。ATRを基準にしているので、静かな時間帯ではこの程度の動きでも「いつもの2倍」になります。チャート上の%ラベルも「+0.05%」「-0.08%」のような小さな数字が並び、追跡の向きが数時間おきに変わっていました。

一方で4時間足と日足は、印が出る回数がぐっと減り、1回の追跡が数週間から数か月続いていました。日足では2026年2月の-14.02%の大陰線から下降の追跡が始まり、水色の追従ラインが戻り高値の切り下がりに合わせて下がっていく様子が綺麗に出ています。

週足までいくと、2023年3月の+27.16%の大陽線から始まった上昇の追跡が、2025年11月ごろに終値が追従ラインを割るまで続いていました。長期の流れを1本のラインで追えるのは見ていて気持ちがいいのですが、ラインまでの距離もATR×3と大きく、降りる判断はかなり遅くなります。

使ってみた感触では、ATR×2という初期値が丁度よく働くのは1時間足から日足でした。短い時間足でも動きはしますが、印の数が多くなり、追跡の向きも頻繁に変わります。短い時間足で使うなら、後で紹介する ATR Multiplier を上げる方向で調整した方が落ち着きます。
点線と追従ラインの使いどころ
点線は「押しの深さ」を測る基準線
点線(中間ライン)への押しを観察する
点線はスパイク足の実体の真ん中。押し目でここを守れるかが勢いの残り具合の目安になります。
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点線はスパイク足の実体の丁度中間です。説明文では、点線まで押したところで反発を確かめてから乗る、という使い方が紹介されています。大陽線の高値を追いかけて買うより、半値まで押すのを待った方がリスクを小さく取れる、という考え方です。
ただし点線はあくまで線を引くだけで、割り込んでも追跡は終わりません。図の②のように終値で一度割り込んでも、追従ラインの外で確定していなければ上昇の追跡は続きます。点線は売買の合図ではなく、「押しがどこまで深いか」を見る物差しとして使うのが自然だと思います。押しが点線の上で止まれば勢いが残っていると読み、点線を大きく割り込んで戻らないなら、スパイク足の勢いがほぼ打ち消されたと読む、という具合です。
追従ラインは手仕舞いと損切りの目安
追従ラインはそのまま逆指値の位置の目安として使えます。上昇トレンド中は安値−ATR×3を下回らない限りラインが下がらないので、利益を伸ばしながら撤退ラインを引き上げていく、トレーリングストップの考え方そのものです。
上昇スパイクの足で▲△が付いたら、まず点線までの押しを待ちます。押しが点線の上で止まり、反発の足が確定したところを入る候補にします。逆指値は追従ラインの少し下に置き、ラインが切り上がるたびに引き上げます。手仕舞いは終値がラインを割った足です。
ラインの判定は終値なので、取引中にヒゲでラインを抜けても追跡は終わりません。実際の逆指値をラインぴったりに置くと、インジケーター上は追跡が続いているのに注文だけ約定する、ということが起きます。どちらを優先するかは、あらかじめ決めておいたほうが迷いません。
設定項目と、用途別の調整
設定画面の項目は11個です。すべて初期値のままでも動きますが、時間足と取引スタイルに合わせて変える価値があるのは、ATRまわりの3項目です。
| 設定 | 初期値 | 推奨値 | 効果 |
|---|---|---|---|
| Detection Mode | Auto ATR | Auto ATR | スパイクの判定方法。Auto ATR はATRの倍数、Fixed % は決めた変化率で判定する |
| Calculate From Wicks (High/Low) | オフ | オフ | オンにすると判定と%表示が実体ではなく高値〜安値の値幅になる。向きの入れ替わりが増える |
| Fixed Spike Threshold (%) | 1.0 | Fixed % 使用時のみ。時間足ごとに調整 | Fixed % モードで判定に使う変化率。大きくするほど印が減る |
| ATR Multiplier | 2.0 | 1時間足〜日足は2.0、5分足〜15分足は2.5 | 実体がATRの何倍を超えたらスパイクとするか。下げると印が増え、上げると大きな足だけが残る |
| ATR Length (for Auto-Detection & Trailing) | 14 | 14 | 判定と追従ラインの両方に使うATRの期間。短くすると直近の値動きに敏感になる |
| Trailing ATR Multiplier | 3.0 | 3.0(デイトレードは2.0〜2.5) | 追従ラインを安値(高値)からATRの何倍離すか。小さいほど手仕舞いが早くなる |
| Display Mid Level Dash Line | オン | オン | スパイク足の実体の中間から伸びる点線の表示 |
| Display Trailing Stop & Fill | オン | オン | 追従ラインと帯の表示。オフにしても追跡の計算は続く |
| Display Size % Labels & Arrow Lines | オン | 好みで | スパイク足の1本左に出る矢印線と%ラベルの表示 |
| Bullish Theme Color | オレンジ(RGB 245, 171, 12) | チャートの配色に合わせる | 上昇スパイクの足の色、▲△、上昇時の追従ラインと帯の色 |
| Bearish Theme Color | 水色(RGB 20, 166, 250) | チャートの配色に合わせる | 下落スパイクの足の色、▽▼、下降時の追従ラインと帯の色 |
表示の切り替えで1つ気をつけたいのが Display Trailing Stop & Fill です。オフにすると追従ラインと帯は消えますが、トレンドの追跡そのものは裏で続いています。同じ向きのスパイクに▲△が付かない状態も、終値がラインを割ったところで追跡が終わる動きも、オンの時と変わりません。ラインを消して▲△だけを見ていると「なぜ印が出ないのか」が分からなくなるので、慣れるまではオンのままがおすすめです。
ATR Multiplier を下げると何が変わるか
ATR Multiplier はスパイクと判定する実体の長さの基準です。初期値の2.0から1.5に下げると、点灯する足が一気に増えます。
ATR Multiplier を1.5に下げた場合
判定のハードルを下げると、初期値では素通りしていた足まで点灯し始めます。
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図の②のように、陰線と陽線のスパイクが2本続いて向きが1本で入れ替わる場面も出てきます。感度を上げるとエントリーの機会は増えますが、そのぶんもみ合いでの入れ替わりも増えます。逆に2.5〜3.0に上げると、本当に大きな足だけが残り、印はかなり少なくなります。5分足や15分足で印が多すぎると感じたら、まず2.5を試してみてください。
Trailing ATR Multiplier は「どれだけ我慢するか」
Trailing ATR Multiplier は、追従ラインを安値からATRの何倍離して置くかの設定です。同じ値動きで1.5と3.0(初期値)を比べると、違いがはっきり出ました。
Trailing ATR Multiplier を1.5にすると押しで降ろされる
追従ラインを近づけると、反落した時点で手仕舞い位置に届きやすくなります。
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初期値の3.0なら同じ押しを耐える
同じ値動きでも、初期値の3.0ならラインまでの距離に余裕があり、押しを挟んで追跡が続きます。
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1.5では、スパイクから8本目の押しで終値がラインを割り、追跡が終わりました。その後に大きく上昇していますが、実体がATRの2倍に届く足がなく、新しい▲△は出ていません。3.0では同じ押しでもラインまで余裕があり、そのまま上昇に乗っています。
ラインを近づけると、手仕舞いが早くなって利益を守りやすくなる反面、一度降りると次のスパイクまで再開しない点が効いてきます。「Auto-ATR Volatility Spike & Trend Tracker」は「途中から乗り直す」印を出さないので、Trailing ATR Multiplier を小さくしすぎると、トレンドの大部分を取り逃がしやすくなります。
用途別の目安
| 使い方 | ATR Multiplier | Trailing ATR Multiplier | 考え方 |
|---|---|---|---|
| 1時間足〜日足のスイング(基本) | 2.0 | 3.0 | 初期値のままで印の数と追跡の長さのバランスがよい |
| 5分足〜15分足のデイトレード | 2.5 | 2.0〜2.5 | 判定を厳しくして印を減らし、ラインを近づけて早めに降りる |
| 週足など長期の流れを追う | 2.0 | 3.0〜4.0 | 押しで振り落とされにくくする代わりに、手仕舞いは遅くなる |
| 大きな足だけを拾いたい | 2.5〜3.0 | 3.0 | 印は少なくなるが、出たときの値動きは大きい |
表の数値は検証したBTCUSDTのチャートで印の数と追跡の長さを見比べた結果からの目安です。銘柄によって値動きの癖は違うので、ゴールドや株価指数などで使う場合も、まず初期値で過去の出方を確かめてから動かすのがおすすめです。
組み合わせるなら、出来高の裏付けを足す
「Auto-ATR Volatility Spike & Trend Tracker」の判定は値幅だけで決まっています。説明文には「出来高を伴う拡大」をとらえるような表現がありますが、計算に出来高は使われていません。そこで、出来高を使う指標を1つ足すと、スパイクの質を見分けやすくなります。
チャイキン・マネーフローで出来高の裏付けを足す
スパイクの判定は値幅だけ。資金の流れはCMFで別に確かめます。
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組み合わせ例として、TradingView標準のChaikin Money Flow(チャイキン・マネーフロー、CMF)を下段に表示しました。CMFは、終値が足の値幅のどの辺りで引けたかを出来高で重み付けして平均したもので、プラス圏なら買いの圧力、マイナス圏なら売りの圧力が優勢と読みます。図の①のように、上昇スパイクの時点でCMFがプラス圏かつ上向きなら、出来高を伴った上昇と判断しやすくなります。後半の図の②では、価格は高値を更新しているのにCMFが0付近まで下がっていて、追従ラインがまだ遠くても勢いの衰えを先に察知できます。
他に相性がよさそうなものも挙げておきます。
- ドンチャン・チャネル(Donchian Channels)。スパイク足が20本の高値・安値を同時に抜けているかを見ると、レンジの中の一時的な大陽線と、レンジを抜けるブレイクアウトを分けられます。
- ADX。トレンドの強さを数値で見られるので、ADXが低いもみ合いの中のスパイクは見送る、といったフィルターに使えます。
- 出来高プロファイル(Volume Profile)。スパイクが出来高の多い価格帯を抜けたかどうかで、その後に押しが入りやすいかを考える材料になります。
任せられることと、自分で補うこと
任せられること
- 大きな足の発見、トレンドの開始、手仕舞いの目安までが1つの画面で完結する
- ATRを基準にしているので、銘柄や時間足を変えても判定の感覚がそろいやすい
- 同じ向きのスパイクを数え直さないため、強いトレンドの途中でも印が乱立しない
- グラデーションの帯で、価格と追従ラインの距離をひと目で確かめられる
- 確定した足の印やラインがあとから変わらない
自分で補うこと
- 一度追跡が終わると、次のスパイクまで「乗り直し」の印が出ない
- もみ合いで大陽線と大陰線が交互に出ると、向きが1本ごとに入れ替わる
- 判定は値幅だけで、出来高やトレンドの強さは見ていない
- 短い時間足では初期値のままだと印が多くなりやすい
- アラートの条件が用意されていない
リペイント、アラート、表示の上限について
確定した足の表示は変わらない
「Auto-ATR Volatility Spike & Trend Tracker」は確定した足の色・印・ライン・点線をあとから描き換えません。スパイクの判定も追従ラインの計算も、その足までの値だけで行われていて、未来の足の情報は使っていません。%の矢印線はスパイク足の1本左に描かれますが、これはスパイクが確定した時点で左にずらして置いているだけで、過去の判定が変わる訳ではありません。
ただし、まだ確定していない最新の足では、値動きに合わせて表示が変わります。足の途中で実体がATR×2を超えれば色と▲△が出て、引けまでに実体が縮めば消えます。追従ラインを割ったかどうかも同じで、確定するのは足の終値が決まったときです。足の途中で色が付いたのを見て飛びつくより、確定を待ってから判断するほうが、検証したチャートとの見え方のずれがありません。
アラートは用意されていない
設定画面にも、アラート作成画面の条件一覧にも、「Auto-ATR Volatility Spike & Trend Tracker」専用のアラート条件はありません。コメント欄でもアラートの追加を望む声が出ていました。
TradingView のアラートでは、インジケーターが描くプロット(線)を条件に選び、価格との交差などを指定できます。「Auto-ATR Volatility Spike & Trend Tracker」の場合は「Trailing Stop」のプロットが候補になります。ただ、追従ラインは追跡が終わった足から値が空になる作りなので、交差のアラートが意図どおりに鳴るかは確かめられていません。確実に知らせを受けたいなら、追従ラインの高さに水平線を引き、その水平線にアラートを設定するのが手堅い方法です。ラインが切り上がるたびに引き直す手間はかかります。
古い印や点線は、数が増えると消えていく
矢印線・点線・%ラベル・▲△は、1つのインジケーターが同時に表示できる数に上限があり、「Auto-ATR Volatility Spike & Trend Tracker」は線とラベルをそれぞれ最大500個に設定しています。1回のスパイクで線を最大4本、ラベルを2つ使うので、短い時間足で長い期間を遡ると、古いスパイクの矢印や点線から順に消えていきます。足の色と追従ラインは消えません。昔のスパイクを細かく確かめたいときは、バーリプレイで当時の位置まで戻ると、その時点の表示を1本ずつ追えます。遡れる期間はTradingViewのプランと時間足によって変わります。
表とローソク足の色
右上の表は位置も表示・非表示も設定画面にはなく、常に右上に出ます。チャートの右上に価格の動きが重なる場面では少し邪魔に感じることもありました。足の色はローソク足を塗り替える表示と、バーの色を変える表示の2つで行われていて、どちらも色の設定は Bullish Theme Color と Bearish Theme Color で変えられます。チャートのローソク足の色がオレンジや水色に近いと見分けにくいので、その場合はチャート側の配色を落ち着いた色にしておくと読みやすくなります。
大きな1本から流れに乗りたい人のためのインジケーター
画像「Auto-ATR Volatility Spike & Trend Tracker」は、相場が急に動いた1本を起点にして、トレンドの始まりから手仕舞いの目安までを一続きで見せてくれるインジケーターです。判定の基準がATRなので相場の荒さに合わせて動き、追従ラインの帯で残りの余裕も見えます。初期値のままでも1時間足から日足ではしっかり使えました。
一方で、判定は値幅だけで、出来高やトレンドの強さは見ていません。一度降りると乗り直しの印は出ず、もみ合いでは向きが入れ替わりやすい性格もあります。CMFのような出来高系の指標と並べて「この大陽線は本物か」を確かめ、追従ラインは手仕舞いの目安として使う。この分担で使うと、良さが一番活きると感じました。












