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チャートに直接“痕跡”を描くデルタ可視化インジケーター「Volume Delta Footprint Map」を実際に使って分かった強みと注意点

インジケーターVolume Delta Footprint Map

チャートに直接“痕跡”を描くデルタ可視化インジケーター「Volume Delta Footprint Map」を実際に使って分かった強みと注意点
インジケーター Volume Delta Footprint Map
このインジケーターの製作者 Zeiierman
この評価にした理由 デルタを「価格帯 × 時間」の二次元で残してくれる発想が優秀で、通常の価格帯別出来高では分からない“方向性”まで一目で掴めます。ローソク足が通った部分に穴があく仕組みも秀逸で、まだ触られていない売買圧の残骸を探しやすいです。一方で売買シグナルやアラートは一切なく、読み手の解釈力に成果が大きく依存します。デルタも板情報ではなく推定値である点、表示数の上限で地図が欠けることがある点を差し引いて4.1としました。
この難易度にした理由 チャートに入れるだけで色付きの帯が出るので、操作自体は初心者でも問題なく扱えます。ただし「Volume Delta Footprint Map」は買い・売りの矢印を出してくれるタイプではなく、帯の濃さと位置を自分で意味づけしていく必要があります。デルタや吸収といった概念をある程度知っていないと、ただ色が付いているだけの画面に見えてしまいます。ローソク足の高値安値やサポレジと重ねて読める人なら、すぐ武器になるタイプです。
結論

Volume Delta Footprint Mapは、下位足から推定した買い圧・売り圧を価格帯ごとの帯としてチャートに直接描くTradingViewのインジケーターです。どの価格でどちら側が優勢だったかを視覚的に把握できます。

この記事の要点
  • 下位足のローソク足の方向と出来高から売買デルタを推定し、価格帯ごとに色付きの帯で表示するインジケーター
  • 緑系の帯は買い優勢、赤系の帯は売り優勢を示し、濃いほど強い偏りを意味する
  • デルタは半減期方式で徐々に減衰し、古い売買圧は自然に薄れていく
  • ローソク足が通過した価格帯は帯に切れ目ができ、まだ触られていないデルタが目立つ設計
  • 売買シグナルやアラート機能はなく、環境認識・価格帯の重要度判定に使うツール
  • TradingViewのフットプリント専用データは不要で、出来高が取得できる銘柄なら幅広く使える
  • デルタは板情報ではなく下位足からの推定値なので、実際の約定内訳とは一致しない
  • 表示は直近の指定本数のみで、地図全体が毎回描き直される点に注意が必要

チャートを見ていて「この価格帯、やたら跳ね返されるな」と感じたことはありませんか。価格帯別出来高を出せば取引量の多い価格は分かりますが、そこで買われていたのか売られていたのかまでは分かりません。今回レビューする「Volume Delta Footprint Map」は、まさにその欠けている部分を埋めてくれるインジケーターです。

Zeiiermanが公開しているこのインジケーター「Volume Delta Footprint Map」は、下位足の値動きから売買の偏り(デルタ)を推定し、それを価格帯ごとの横帯としてチャートに直接描き込みます。実際にビットコインのチャートに入れてみると、ローソク足の周囲に緑と赤の細い帯が層のように積み上がり、パッと見でどのゾーンにどちら側の圧力が残っているかが分かる作りになっています。

この記事では、チャート上での見え方、実際の使い方、設定の詰め方、そして正直な弱点まで一通りまとめていきます。

「Volume Delta Footprint Map」とは?まずはざっくり概要

「Volume Delta Footprint Map」は、どの価格帯で買い圧・売り圧が優勢だったかを、色付きの帯(ストライプ)として地図のように描き出すインジケーターです。オーバーレイ型なので、ローソク足と同じ画面に重なって表示されます。

Bitcoinチャートに初期値の「Volume Delta Footprint Map」を適用してみた

やっていることを一言でまとめると、「表示中の足の内側を下位足で覗き込み、上がった分の出来高と下がった分の出来高を差し引きして、それが起きた価格の高さに置いていく」という処理です。その結果として、フットプリントチャートに似た見た目のマップができあがります。

ここで大事なのが、TradingViewの有料フットプリントデータを使っていないという点です。作者も明言していますが、取引所のBid/Ask(実際の買い板・売り板への約定)を取得しているわけではなく、あくまで下位足の値動きと出来高から方向性を推定しています。そのぶん、出来高が取得できる銘柄なら幅広く使えるという利点があります。

デルタってなに?

デルタとは、ざっくり言うと買いの勢いと売りの勢いの差し引きのことです。プラスなら買いが優勢、マイナスなら売りが優勢。本来は約定した板の内訳から計算しますが、「Volume Delta Footprint Map」では下位足のローソク足が陽線か陰線かを方向とみなし、そこに出来高を掛けて推定しています。

チャート上での見え方

色は2種類、濃さで強さを表す

表示される帯は非常にシンプルで、色は2色だけです。

表示意味初期カラー
緑系の帯その価格帯で買い側の活動が優勢だったと推定されるエメラルドグリーン
赤系の帯その価格帯で売り側の活動が優勢だったと推定されるレッド

そして、この帯には濃淡があります。薄くうっすら見える帯は弱い偏り、はっきりと濃く出ている帯は強い偏りです。個人的には、この濃淡の差がこのインジケーターの一番の見どころだと思っています。薄い帯は正直ノイズに近いので、濃い帯がどこに集まっているかだけを追うのが実戦的な見方です。

ローソク足が通った場所には「穴」があく

初めて使うと少し不思議に感じるのが、価格が通り抜けた部分だけ帯が途切れているところです。これは仕様で、Create gap when price touches stripeという設定がオンになっているためです。

実際にビットコインの4時間足で見てみると、ローソク足の軌跡に沿ってトンネルのような空白ができ、その上下に帯が残ります。つまり画面に見えている帯は、価格がまだ直接触りにいっていない、残留している売買圧ということになります。これがあるおかげで「価格が戻ってきたら反応しそうなゾーン」を探しやすくなっています。

「Create gap when price touches stripe」をオフにするとローソク足に重なって表示される

この挙動が邪魔に感じる場合はオフにできます。オフにすると帯が価格を突き抜けて連続表示されるので、圧力の総量を面で見たいときはこちらのほうが向いています。

「Volume Delta Footprint Map」の仕組みと、その挙動になる理由

使い方だけ知っていても構いませんが、仕組みを押さえておくと「なぜここに濃い帯が出たのか」が腑に落ちるので、必要な部分だけ整理しておきます。

下位足を使って方向を推定している

「Volume Delta Footprint Map」は、表示中のチャート足の内側にある下位足を読み込みます。下位足が陽線ならプラス、陰線ならマイナスとして、その足の出来高を符号付きで積み上げていく仕組みです。始値と終値が同値の場合は、ひとつ前の終値と比較して方向を決めています。

Automatic lower timeframeが初期状態でオンになっており、表示している足に応じて下位足が自動で切り替わります。実際の対応は以下の通りです。

表示中のチャート足自動で使われる下位足
1分足以下チャートと同じ足
1分超〜15分足1分足
15分超〜1時間足5分足
1時間超〜4時間足15分足
4時間超〜日足1時間足
日足超〜週足4時間足
週足超日足
1分足以下では精度が落ちます

1分足以下を表示している場合、下位足がチャート足と同じものになります。この状態だと1本のローソク足の中を分解できず、単純に「陽線か陰線か × 出来高」を置いているだけになってしまいます。スキャルピングで使うなら、最低でも3分足や5分足以上で表示したほうがマップとしての情報量は保てます。

価格帯に細かく割り振っている

推定したデルタは、そのまま1本の足に置かれるわけではありません。下位足が動いた高値から安値までの範囲をチェックし、その範囲にかかる価格帯へ均等に分配していきます。だから1本の足が大きく動いた場合、その足のデルタは縦に広く薄く散らばります。

マップの上下の範囲は、対象期間の最高値・最安値に平均的な値幅(ATRベース)の余白を足して決められています。そのため、値動きが荒い相場ではマップも縦に広くなり、静かな相場ではぎゅっと圧縮されます。この自動調整は地味に便利で、銘柄や時間足を変えても手動でレンジを合わせ直す必要がありません。

古いデルタは半分ずつ薄れていく

ここが「Volume Delta Footprint Map」の面白いところです。デルタは発生した足の位置に置きっぱなしになるのではなく、右方向(新しい時間方向)へ引き継がれながら、少しずつ減衰していきます。

この減衰は半減期の考え方で、Delta persistenceで指定した本数が経過すると影響力がおよそ半分になります。初期値は12なので、12本前の売買圧は今の半分の重みという計算です。24本前なら4分の1、36本前なら8分の1という具合に、古い情報ほど自然にフェードしていきます。

この設計のおかげで、何日も前の売買圧がいつまでも画面に居座ることがなく、「今この瞬間、どこに圧が残っているか」に近い状態が保たれます。

帯の濃さはどう決まっているのか

帯の強さは、大きく2つの要素をブレンドして決まっています。

  1. 相対的な大きさ…同じ縦列(=同じ足)の中で、最も強い価格帯を基準にした比率
  2. 方向の偏り度合い…その価格帯の総活動量に対して、どれだけ一方向に偏っていたかの比率

比重は前者が7割、後者が3割です。ここで押さえておきたいのは、強さは同じ足の中での相対評価が中心だという点です。つまり、取引が閑散としている場面でも、その足の中で一番デルタが偏っている価格帯は相対的に濃く出ます。「濃い帯=絶対的に出来高が多い」ではないので、そこは誤解しないようにしたいところです。

濃さの読み違いに注意

帯の濃さは同じタイミングの中でどの価格帯が突出しているかを表すものです。時間をまたいだ絶対量の比較には向いていません。出来高の絶対量が気になるときは、価格帯別出来高など別の指標を併用するのが確実です。

実際の使い方

1チャートに追加して足を合わせる

TradingViewのインジケーター検索から「Volume Delta Footprint Map」を追加します。追加した直後は初期設定の状態で、直近120本ぶんのマップが描かれます。まずは自分がいつも見ている時間足で表示してみてください。前述のとおり1分足以下だけは分解能が落ちるので、5分足以上での確認をおすすめします。

2濃い帯が集まっている価格を探す

薄い帯と濃い帯で視覚的にわかりやすい

最初に見るのは、薄い帯ではなく濃い帯のかたまりです。1本だけポツンと濃い帯があっても偶然の可能性がありますが、同じ価格帯に濃い帯が横に連なっていたり、上下に重なって層を作っていたりする場所は、そこで繰り返し同じ方向の参加者が入ってきたことを示します。

3その価格に対する現在値の位置関係を見る

濃い帯を見つけたら、今の価格がその上にいるのか下にいるのかを確認します。この位置関係で意味が変わってくるからです。

  • 濃い緑の帯よりに価格がある → 買い方が優勢な状態のまま推移。押してきたときのサポート候補
  • 濃い緑の帯よりに価格が抜けた → その買い方が含み損。戻ってきたときに投げが出やすいゾーン
  • 濃い赤の帯よりに価格がある → 売り方が優勢。戻したときのレジスタンス候補
  • 濃い赤の帯よりに価格が抜けた → 売り方が踏まれている状態。買い戻しが出やすいゾーン

4高値・安値やサポレジと重ねて判断する

「Volume Delta Footprint Map」単体では、どこが重要な価格なのかまでは教えてくれません。自分が引いた水平線や直近高安と、濃い帯の位置が一致したときが最も信頼できる場面です。逆に、何もない中途半端な価格に濃い帯があっても、優先度は低めに扱っています。

具体的なシチュエーション別の読み方

高値圏の濃い緑 → 買いが吸収された可能性

直近高値の付近に濃い緑の帯が集中しているのに、そこから価格が上に伸びずに反落した場合。これは買い注文が入ったにもかかわらず上昇に繋がらなかった、つまり売り方に吸収された可能性を示します。ビットコインの上位足でよく見かけるパターンで、その後の下落局面でこの価格帯が反発ポイントではなく戻り売りポイントとして機能することがあります。

安値圏の濃い赤 → 売りが踏まれる可能性

逆パターンです。安値付近で赤の帯が濃く出たのに下がりきらず、そこから価格が上昇した場合、売り込んだ側が買い戻しを迫られている状況が想定できます。ショートカバーで上昇が加速することもあるので、下でショートを持っている場合は警戒したい形です。

トレンド方向と一致する帯 → 継続のヒント

上昇トレンド中に、押し目のたびに濃い緑の帯が出て価格が上に離れていく。この形は買い方が主導権を握ったまま推移していることを示唆します。逆に、上昇しているのに濃い赤の帯ばかり増えてきたら、上値が重くなるサインとして一歩引いて見るようにしています。

帯がない空白ゾーン → 素通りしやすい

これは作者の説明にはありませんが、実際に使っていて有効だと感じたポイントです。マップに濃い帯がほとんどない価格帯は、そもそも参加者の関心が薄かった領域です。価格がそこに入ると抵抗が少なくスルスル動きやすい傾向があります。ブレイクアウト後の伸びしろを測るときの参考になります。

パラメーター設定

設定画面は4つのグループに分かれています。項目数は多くないので、一つずつ見ていきましょう。

パラメーター初期値推奨値効果
Automatic lower timeframeオンオン表示中の足に応じて下位足を自動選択。特別な理由がなければオンのままで問題なし
Manual lower timeframe1(分)1〜5分自動選択をオフにしたときに使う下位足。細かくするほど精度は上がるが読み込み負荷も増える
Lookback bars120100〜200マップが対象にする過去の本数。増やすほど広い期間の履歴が見えるが、描画数の上限に達しやすくなる
Price stripes2620〜34価格方向の分割数。増やすと価格の解像度が上がるが、帯が細くなり描画数も増える
Delta persistence128〜25デルタの半減期(本数)。大きくすると過去の売買圧が長く残り、小さくすると直近の動きに素早く反応する
Minimum stripe strength0.120.15〜0.30表示する最低強度。上げるほど弱い帯が消え、強い偏りだけが残って画面がすっきりする
Intensity steps75〜8濃淡の段階数。増やすとグラデーションが滑らかになるが、帯が細かく分断されて描画数を消費する
Create gap when price touches stripeオンオン価格が通過した価格帯の帯を消す。まだ触られていない売買圧を見つけたいならオン推奨
Positive deltaエメラルドグリーン任意買い優勢の帯の色。ローソク足の陽線色と被る場合は変更したほうが見やすい
Negative deltaレッド任意売り優勢の帯の色
Stripe thickness0.180.18〜0.45帯の縦の太さ。大きくすると帯同士が近づき塗りつぶしに近い見た目になる
Weak transparency8888〜95弱い帯の透明度。上げるほど弱い活動が目立たなくなる
Strong transparency80〜15強い帯の透明度。下げるほど強い偏りがはっきり浮き上がる

なぜこの推奨値なのか

まずDelta persistenceですが、これは自分の保有時間に合わせるのが基本です。数本で決済するスキャルピングなら8前後まで下げて直近の圧力だけを見たほうがノイズが減りますし、数日ポジションを持つスイングなら20〜25まで上げて、より長い期間の圧力の残骸を見たほうが役に立ちます。半減期という性質上、値を倍にすると単純に「倍の期間、圧力が残る」という感覚で調整できます。

次にMinimum stripe strength。初期値0.12は正直かなり甘めで、弱い帯まで表示されるためチャートがにぎやかになります。個人的には0.2前後まで上げて、本当に意味のある帯だけ残すのが実戦向きだと感じました。裏を返すと、上げすぎると帯が消えすぎて判断材料がなくなるので、0.35あたりが実用上の上限だと思います。

用途別のおすすめ設定

用途Lookback barsPrice stripesDelta persistenceMinimum stripe strength
短期・スキャルピング寄り80〜10030前後6〜80.15
デイトレード(標準)12026120.20
スイング・長め180〜25020〜2420〜300.25
とにかくノイズを減らしたい12020150.30〜0.35
設定を盛りすぎると地図が欠けます

「Volume Delta Footprint Map」には描画できるオブジェクト数に上限がありますLookback barsPrice stripesIntensity stepsを大きくしすぎると上限に到達し、価格帯の上のほうの帯が描かれなくなることがあります。「上側だけ妙に空白だな」と感じたら、まずPrice stripesLookback barsを下げて確認してみてください。

相性のいい相場・苦手な相場

機能しやすい場面

  • 出来高がしっかり付いている流動性の高い銘柄
  • レンジ内でどちら側が優勢か探りたいとき
  • 直近高安への再アタック前の力量チェック
  • ブレイク後に押し目・戻りを待つ場面
  • トレンド中の継続/失速の見極め

機能しにくい場面

  • 出来高データが実質的に取れない銘柄
  • 薄商いの時間帯(週末の暗号資産など)
  • 指標発表直後の飛び値・ヒゲだらけの局面
  • 1分足以下の超短期チャート
  • ダマシ回避目的での単体エントリー判断

ビットコインやゴールド、主要株式のように取引量が多い銘柄では、帯の集中がしっかり形になって現れます。一方でFXのスポットは出来高がティックボリュームである点に注意が必要です。まったく使えないわけではありませんが、真の出来高ではないため、暗号資産や先物と比べると帯の意味合いは弱まります。

出来高が取れない銘柄では

「Volume Delta Footprint Map」は出来高が0または取得できない場合、出来高を1として扱い、方向だけを積み上げる仕様になっています。つまり帯は表示されますが、それは「出来高の偏り」ではなく単なる「陽線・陰線の偏り」を表したものになります。この状態では判断材料としての価値がかなり落ちるので、使用する銘柄は選んだほうがいいです。

メリット・デメリット

メリット

  • 「価格 × 時間 × 方向」を一枚の画面で把握できる
  • 専用のフットプリントデータが不要で導入コストがかからない
  • 価格が通過した部分に穴があき、未消化の圧力が見つけやすい
  • 半減期方式なので古い情報が自動で薄れ、画面が汚れにくい
  • 表示範囲が自動調整され、銘柄や時間足を変えても調整不要
  • 設定項目が少なく、迷いにくい

デメリット

  • 売買シグナルもアラート機能も一切ない
  • デルタは推定値で、実際の板の内訳とは一致しない
  • 数値表示がなく、強さを定量的に比較できない
  • 設定を盛ると描画上限で地図が欠けることがある
  • 直近の指定本数しか描かれず、過去検証がしづらい
  • 読み手の解釈力に成果が大きく左右される

使う前に知っておきたい注意点

マップは毎回まるごと描き直されている

「Volume Delta Footprint Map」は、最新の足の時点でマップ全体を一度消してから描き直す仕組みです。これが何を意味するかというと、昨日見た帯の位置と今日見る帯の位置が、必ずしも同じとは限らないということです。

特に、マップの上下の範囲は対象期間の高値・安値から決まっています。新しい高値や安値が出れば範囲全体が広がり、価格帯の区切り位置がずれます。結果として、以前は目立っていた帯が別の高さに移動したように見えることがあります。

過去検証の落とし穴

売買シグナルを後出しするタイプのリペイントとは性質が異なりますが、今表示されている過去部分の帯は「現在の集計結果」であって、当時リアルタイムで見えていた形とは限りません。「あの時ここに濃い帯があったから入れたはず」という検証の仕方は成立しにくいので、必ずリプレイ機能を使って前に進めながら確認してください。

形成中の足では帯が動き続ける

一番右端、つまり確定していない足の部分は下位足のデータが増えるたびに更新されます。そのため、足が閉じる直前に帯の濃さや位置が変わることがあります。エントリー判断に使う場合は、足の確定を待つのが無難です。

これ単体で売買判断はできない

当たり前の話ですが念のため。「Volume Delta Footprint Map」は環境認識と価格帯の重要度判定を助けるツールであって、エントリーの合図を出すものではありません。濃い緑の帯があるからといって、そこが必ず反発するわけではありません。実際、強いトレンドの中では濃い帯を無視して価格が突き抜けていく場面も普通にあります。

他のインジケーターとの組み合わせ

組み合わせ狙い
価格帯別出来高(VPVR)「量の多さ」と「方向の偏り」を両方確認できる。量が多くデルタも偏っている価格帯は特に重要
移動平均線・EMA大きな流れの方向を先に決めてから、帯を押し目・戻りの候補として使う
水平線・直近高安帯とラインが一致した価格に絞ることで、判断材料の精度を上げる
ATR帯までの距離が現在のボラティリティに対して現実的かを測る
RSIなどのオシレーター帯での反応が過熱によるものか、実需によるものかを切り分ける

個人的に一番相性がいいと感じたのは、シンプルに水平線との併用です。自分で引いた重要ラインの上に濃い帯が乗っているかどうかを確認するだけで、そのラインの信頼度がかなり判断しやすくなります。逆にインジケーターを重ねすぎると、せっかくの帯が見えなくなるので入れすぎには注意です。

どんなトレーダーに向いているか

  • 向いている人:オーダーフローやフットプリントに興味はあるが有料データまでは契約していない人、レンジや高安圏での攻防を細かく見たい人、エントリー根拠を1つ増やしたい中級者
  • 向いていない人:矢印やアラートで機械的に判断したい人、数値でデルタを比較したい人、出来高の取れない銘柄がメインの人

時間軸としては、5分足〜4時間足あたりで最も扱いやすい印象です。デイトレードとスイングトレードのどちらでも使えますし、Delta persistenceを短くすればスキャルピングの補助にもなります。ただしポジショントレードのような数週間単位の目線だと、マップの対象期間が限られるため主役にはなりにくいでしょう。

総合レビュー

「Volume Delta Footprint Map」を一通り触ってみた感想としては、「安価に導入できるフットプリントの代替」として想像以上に実用的でした。特に、価格が通ったところに穴があいて、残された圧力だけが浮き上がる見せ方は本当によくできています。フットプリント系のツールは画面が数字だらけで読むのに疲れるものが多いですが、こちらは色と濃さだけなのでパッと見で状況が入ってきます。

ただ、繰り返しになりますがデルタはあくまで推定です。取引所の実際の約定内訳を見ているわけではないので、本物のフットプリントと同じ精度を期待すると肩透かしを食らいます。あくまで「下位足の値動きから見た売買の偏りの傾向」として、環境認識のレイヤーで使うのが正解だと思います。

それと、シグナルもアラートもないので、チャートを開いていないと意味がないタイプです。自動で通知が欲しい人には向きません。逆に言えば、自分の裁量に情報を一枚足したい人にはちょうどいい距離感のインジケーターです。

ビットコイン 5分足で見る「Volume Delta Footprint Map」
導入判断のポイント

出来高が信頼できる銘柄をメインに、5分足〜4時間足で裁量トレードをしているなら、「Volume Delta Footprint Map」は入れてみる価値が十分にあります。まずは初期設定のまま数日眺めて、帯と実際の値動きの関係に慣れてから設定を詰めていくのがおすすめです。

最後にひとつだけ。このインジケーターに限らず、どんな指標も「絶対」はありません。「Volume Delta Footprint Map」で見えるのは過去に発生した売買圧の痕跡であって、未来を保証するものではないという前提だけは忘れずに、自分のルールの中に組み込んでいってください。

参照元・データ出典:この記事は、チャートプラットフォーム「TradingView」にて、クリエイター「Zeiierman」が制作したインジケーターを実際に使用し、徹底分析を行った上で公開しています。

Vowars
執筆者Vowarsトレーダー / インジケーター開発者 / Webクリエイター
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Web制作会社でオウンドメディアの編集者として勤務する傍ら、約8年前から暗号資産(仮想通貨)投資を開始しました。現物取引から先物取引まで実践する中でチャート分析の奥深さに魅了され、TradingViewのインジケーターを個人で自作開発するまでにのめり込みました。 ​当ブログでは、TradingViewインジケーターの使い方や弱点、関連用語の解説を中心に行っています。特定銘柄への投資勧誘を行うものではなく、皆様が自身の目で確かめ、知識を深めて自力をつけるための「補助輪」のような役割と考えており、正確な情報発信を目指しています。 ​掲載情報はすべて自身で検証を行った一次情報に基づき、実際の使用感や注意点も含めて包み隠さずお届けすることを徹底しています。

このインジケーターの製作者