転換のあとに「どこへ戻るか」まで描いてくれる構造ブレイクのインジケーター
CHoCH(チェンジ・オブ・キャラクター)が出た。じゃあ、次にどこで待てばいいのか。スマートマネー系の構造分析を使っていると、ここで手が止まる人は多いはずです。
「Structure Break Volume Profile」は、その答えを出来高で探すインジケーターです。チャート上にBOSとCHoCHのラインを引き、CHoCHが出た瞬間に「それまで続いていた構造の中で、どの価格帯に出来高がたまっていたか」をボリュームプロファイルとして描きます。いちばん出来高の多い価格帯(POC)と、出来高の山(HVN)は最新の足の先まで線が伸びるので、転換後の戻りを待つ水準がひと目で分かります。

BTCUSDTの5分足・4時間足・週足を中心に、しばらく触ってみました。構造の判定そのものは素直で、癖が少ない部類です。そのぶん「ラベルが出るタイミング」と「プロファイルの赤と緑が何を意味しているか」を知らないまま使うと、判断を誤りやすいポイントもあります。そのあたりを中心に、チャートを見ながら解説していきます。
チャートに現れるものを先に整理しておく
初めて表示すると、線と箱と色が一気に出てきて、見慣れていない人には少し難しく感じるでしょう。まずは何がどれなのかを押さえておきます。
| 表示 | 見た目 | 意味 |
|---|---|---|
| BOS/CHoCHのライン | 緑(上抜け)・赤(下抜け)の細い実線とラベル | 確定したスイング高値・安値を抜けた記録。ラベルには抜けた水準の価格が入る |
| プロファイルの範囲 | うっすら青く塗られ、点線で囲まれた箱 | 最新のCHoCHの直前まで続いていた構造の、時間と値幅 |
| 出来高プロファイル | 赤と緑に分かれた横棒(初期設定) | その構造の中で、各価格帯にどれだけ出来高があったか |
| POC | 青い破線と「POC ↑/↓ 価格」のラベル | 出来高がいちばん多かった価格帯。矢印は直近のCHoCHの向き |
| HVN | 紫の帯と「HVN 番号 価格」のラベル | POC以外で出来高が盛り上がった価格帯(初期設定で最大3本) |
| LVN | 点線で囲んだ帯(初期設定ではオフ) | 出来高が薄かった価格帯。強気のCHoCHなら緑、弱気なら赤 |
プロファイルは常に1つしか表示されません。描かれるのは最新のCHoCHに対応するものだけで、次のCHoCHが出ると古いプロファイルは消えて描き直されます。BOSが何回出ても、プロファイルはそのまま残ります。
そのほか、チャート下部の中央に作者名の透かしが表示されます。気になる場合はShow erdensedat Watermarkをオフにすれば消せます。
BOSとCHoCH、ラベルの名前はどう決まる?
「Structure Break Volume Profile」は、直近に確定したスイング高値とスイング安値を1つずつ覚えておき、価格がそれを越えた足でブレイクと判定します。ラベルの名前を分けるのは、ブレイクの向きが、それまでの構造の向きと同じかどうかだけです。
同じ向きの更新はBOS、流れに逆らうブレイクはCHoCH
ラベルの名前は、ブレイクの向きと「それまでの構造の向き」が同じかどうかで決まります。
Vowars DE ver.3.12.30
上昇の構造が続いている最中に高値を更新すれば、それはトレンド継続のBOSです(図の①)。同じ上昇構造の中で直近の安値を割り込むと、流れに逆らうブレイクなのでCHoCHになり、ここで構造の向きが下に切り替わります。図の②がその場面です。その後の安値更新は下向きのBOS、そして下落構造の中で高値を抜けた図の③で、ふたたび向きが上に戻ります。
ラインは起点のスイング高値(安値)からブレイクした足までの水平線で、ラベルはその中間あたりに置かれます。ラベルの数字はブレイクした足の価格ではなく、抜かれた水準そのものです。この数字がそのまま「ここを越えたら構造が変わった」という線引きになり、あとで見返すときに重宝します。
なお、ひとつの高値(安値)が抜かれると、次のスイングが確定するまでその向きのブレイクは判定されません。同じ水準で何度もラベルが出ることはなく、チャートが散らかりにくい設計です。
ラベルは「抜けた瞬間」ではなく、確認が取れてから出る
ここは使い始めに一番戸惑うところです。構造の起点になるスイング高値・安値は、左右それぞれ一定本数の足と比べて確定させる方式で、初期設定のFractal Length (odd)が12だと、内部では13本の窓になり、左右6本ずつで判定します。つまり、高値をつけてから右に6本の足がそろうまで、その高値は構造の起点として扱われません。
ピボットの確定は6本遅れ、線はブレイクの足で過去にさかのぼって引かれる
「Show Pivot Marks」をオンにすると、構造の起点になるスイング高値・安値(PH/PL)が見えるようになります。
Vowars DE ver.3.12.30
設定の Debug グループにあるShow Pivot Marksをオンにすると、判定に使われたスイングが「PH」「PL」の印で表示されます。図の①の高値は、図の②の6本が出そろった時点でようやく確定。さらにその後、終値が高値を上抜けた図の③の足で、PHの位置から線が引かれ、CHoCHのラベルが付きます。
過去のチャートを眺めていると、線がスイングの頂点からきれいに伸びているので「高値の時点で分かっていた」ように見えます。実際には、線はブレイクが起きた足でさかのぼって描かれたものです。どの足でラベルが出たのかを確認したいときは、線の右端を見てください。右端の足が、判定が出た足です。
Show Pivot Marksの印は、確定した時点で6本前の足に戻して表示されます。リアルタイムでは、高値をつけた足に印が付くのは6本後です。印を見て「ここが天井だった」と後から判断するのは簡単ですが、その瞬間に印は出ていません。過去チャートで検証するときは、この遅れを頭に入れておきましょう。
CHoCHの瞬間、「直前の構造」の出来高を切り出す仕組み
ここからが「Structure Break Volume Profile」の本題です。一般的なボリュームプロファイルは、表示している範囲やセッションなど、時間で区切って出来高を集計します。このインジケーターは区切り方が違い、CHoCHが出る直前まで続いていた構造を1つの集計範囲として扱います。
CHoCHが出ると、直前の構造の出来高分布が描かれる
強気のCHoCHをきっかけに、それまでの下落構造の値幅で出来高プロファイルが組み立てられます。
Vowars DE ver.3.12.30
流れを追うとこうです。下落の構造が続くあいだ、インジケーターはその構造の中で確定したスイング高値の最高値と、スイング安値の最安値を記録し続けます。そして直近高値を終値で上抜けて強気のCHoCHが確定した図の①の足で、記録していた最高値から最安値までを縦の範囲、最高値と最安値のうち早いほうの足からCHoCHの1本前の足までを横の範囲として、プロファイルを組み立てます(図の②)。
範囲の値幅をProfile Rowsの数(初期設定50)で等分し、各足の出来高をその足の高値〜安値にまたがる行へ、重なった値幅の割合で配っていきます。箱の上下からはみ出したヒゲの部分は数えません。いちばん出来高が多かった行の中央がPOCになり、図の③のように最新の足からBars to Rightの本数(初期設定5本)先まで破線で伸びていきます。
POCのラベルに付く「↑」「↓」は、価格の位置関係ではなく、直近のCHoCHの向きを表しています。最初は「POCが上にあるから↑?」と勘違いしました。強気のCHoCHのあとなら↑、弱気のCHoCHのあとなら↓です。
下落から上昇へ転換したとき、その下落の途中でたくさん取引された価格帯には、損切りしきれていない買い手や、戻りを売りたい売り手が残っていることが多いものです。転換後の戻りが止まりやすいのは、こうした「前の構造で商いが集中した場所」だという考え方に基づいています。CHoCHという合図と、待ち構える水準を一度に出してくれるのがこのインジケーターの持ち味です。
ひとつ注意したいのが、プロファイルの元になる足の数です。計算に使う足は、新しいほうからProfile Source Barsの本数(初期設定3,000本)しか保持されません。1分足で3,000本だと約2日分なので、何日も続いた大きな構造を1分足で見ると、古い部分の出来高が抜け落ちたプロファイルになります。短い時間足で長い構造を扱うときは、この値を引き上げてください(上限10,000本)。
赤と緑の帯は「推定」の売り買い
初期設定のVisual Architectureは「Ask/Bid」で、プロファイルの各行が左の赤(Bid/売り手)と右の緑(Ask/買い手)に分かれて表示されます。見た目はフットプリントのようですが、中身はまったくの別物です。
Ask/Bidは「どちら側が多かったか」まで色で分ける
同じプロファイルを、Visual Architectureの2つの表示方式で並べました。
Vowars DE ver.3.12.30
割り振りの基準は、各足の終値が高値と安値のどこで引けたか、だけです。高値で引けた足の出来高はすべて緑、安値で引けた足はすべて赤、ちょうど真ん中なら半分ずつ。値幅のない足は、陽線なら緑、陰線なら赤、同値なら半々になります。ですから図の①のように急落の途中で通過した価格帯は赤の割合が大きくなりやすく、図の②のように底で下ヒゲをつけて揉み合った価格帯は緑が優勢になりやすい、という傾向が出ます。
「Total Volume」に切り替えると、行の長さはそのままで、全体が青一色になります(図の③)。POCやHVNの位置はどちらの方式でも同じ合計出来高から決まるため、変わりません。私は普段Total Volumeで見て、赤と緑の偏りが知りたい場面だけAsk/Bidに戻しています。行が赤と緑に分かれていると、POCの帯やローソク足が少し見づらくなるためです。
TradingViewのチャートデータには、約定ごとの成行買い・成行売りの区別は含まれていません。Ask/Bidの赤と緑は、あくまでローソク足の形から推し量った近似値です。「緑が多いから買い手が勝っている」と断定する材料にはしないほうが安全です。また、出来高データがない銘柄では、出来高の代わりに足1本を1として数えるため、プロファイルは「各価格帯に何本の足が掛かったか」に近いものになります。
POC・HVN・LVNは、それぞれ待ち方が違う
プロファイルから取り出される水準は3種類あります。どれも最新の足の先まで伸びてくるので、転換後の値動きと重ねて見られます。
HVN・LVNと、POCへの戻り
弱気のCHoCHのあと、直前の上昇構造から取り出した出来高の山(HVN)と谷(LVN)が最新足の先まで伸びます。
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POC(いちばん商いが厚かった価格帯)
合計出来高が最大の行です。行の帯にもうっすら青い色が敷かれ、その中央を破線が通ります。転換後に価格が戻ってくると、反応が出やすい第一候補になります。図の③は、弱気のCHoCHのあと価格が初めてPOCまで戻った足です。この場面ではPOCに触れたあと押し戻され、下向きのBOSにつながっています。もちろん毎回こうなるわけではなく、POCを素直に抜けていく場面も普通にあります。
HVN(POCとは別の出来高の山)
上下の行より出来高が多い「山」になっていて、POCのMinimum Volume (% of POC)(初期設定55%)以上ある行が候補です。そのうえでPOCや他のHVNからMinimum Row Spacingの行数(初期設定3行)以上離れたものを、出来高の多い順に最大3本選びます。紫の帯は、初期設定(プロファイルが左寄せ)ではその行の横棒の先端から始まり、右へ伸びていきます(図の①)。番号は出来高の大きさの順位で、HVN 1がいちばん厚い山です。

5分足で試したときは、POCのすぐ上下にHVNが3本並び、短い間隔で水準が重なる場面がありました。価格がその間を行き来すると、どの線で反応したのか分かりにくくなります。こういうときは、数本の帯をまとめて「ひとつの厚いゾーン」と見たほうが実戦では扱いやすかったです。
LVN(出来高の薄い谷)
初期設定ではオフで、Show LVN Columnsをオンにすると表示されます。HVNの逆で、上下より出来高が少ない「谷」のうち、POCの45%(Maximum Volume (% of POC))以下のものが選ばれます。帯は点線で囲まれていて、色はCHoCHの向き次第。弱気のCHoCHのあとは図の②のように赤、強気なら緑になります。
出来高が薄い価格帯は、前の構造で価格が素早く通り過ぎた場所です。戻りの途中にLVNがあれば「ここは抵抗が弱く、すっと抜けやすい」、POCやHVNの手前の通過点として使えます。私はLVNを待ち伏せの水準というより、利確目標までの道のりに障害物が少ないかどうかを見るために使っています。
アラートは「POCへの戻り」の2種類だけ
用意されているアラート条件は次の2つです。BOSやCHoCHの発生そのものを知らせるアラートは用意されていません。
- Bullish CHoCH POC Retest 強気のCHoCHのあと、価格がPOCに触れたとき
- Bearish CHoCH POC Retest 弱気のCHoCHのあと、価格がPOCに触れたとき
「触れた」の判定は、CHoCHの足より後の足で、その足の高値と安値のあいだにPOCが入ったかどうかです。前の足でもPOCに触れていたら条件は成立しないので、POCに張り付いている間に何度も鳴ることはありません。ただし、一度POCから離れてからまた触れれば、そのたびに条件が成立します。「CHoCH後の最初の1回だけ」に限定されているわけではない点は覚えておきましょう。
BOSやCHoCHの発生を知りたいときは、TradingViewの描画ツールで水平線を引き、その線への価格アラートを組み合わせる方法があります。線を引く位置は、ラベルに出ている水準の価格をそのまま使えば大丈夫です。
TradingViewのアラートには「1回のみ」「バーごとに1回」「バーの終値で1回」「1分ごとに1回」といった頻度の選択肢があります(2026/10/12 現在)。形成中の足では、終値判定のCHoCHが出たり消えたりすることがあります。確定した構造をもとに通知を受けたいなら「バーの終値で1回」を選ぶのがおすすめです。逆に、POCへのタッチを早く知りたいなら「バーごとに1回」が向いています。
設定項目と、触る価値があるところ
設定はかなり細かく分かれていますが、表示の結果を大きく変えるのは一部だけです。色や線の太さなど見た目だけの項目を除き、判断に関わるものをまとめました。
| 設定 | 初期値 | 推奨値 | 効果 |
|---|---|---|---|
| Fractal Length (odd) | 12 | 4時間足 12〜16/5分足 8〜10 | スイングを判定する窓の長さ。偶数は1を足した奇数になり、左右の確認本数はその半分(12なら6本)。大きくすると大きな波だけを拾い、判定は遅くなる |
| Bars to Right | 5 | 5 | POC・HVN・LVNの帯を最新足から何本先まで伸ばすか。ラベルが価格目盛りに近すぎるときだけ増やす |
| Break = Close Beyond Level | オン | オン | オンは終値が水準を越えたらブレイク。オフにするとヒゲで越えただけでも判定し、反応は早いがダマシが増える |
| Calc Only Last N Bars (0 = all) | 20000 | 20000 | 構造を計算する範囲を直近の足に絞る。0ですべての足を計算 |
| Max Stored Broken | 250 | 250 | チャートに残すBOS/CHoCHのラインとラベルの上限(100〜450) |
| Show Last N Broken (0 = all) | 0 | 10〜20 | 直近N本のBOS/CHoCHだけを残して古いものを消す。0なら Max Stored Broken まで残る |
| Profile Source Bars | 3000 | 3000(短い足で長い構造を見るなら引き上げ) | プロファイルの集計に使う足の保持数。構造がこの本数より長いと、古い部分の出来高が抜ける |
| Show BOS/CHoCH Labels | オン | オン | BOS/CHoCHのラベル(水準の価格付き)の表示。オフでもラインは残る |
| Show Volume Profile | オン | オン | 最新のCHoCHに対応するプロファイルの表示。オフでもPOC・HVN・LVNは計算・表示される |
| Visual Architecture | Ask/Bid | 好みで(見やすさ重視なら Total Volume) | Ask/Bidは各行を推定の売り(赤)と買い(緑)に分ける。Total Volumeは青一色 |
| Profile Rows | 50 | 構造が短いなら20〜30、長いなら50〜80 | 構造の値幅を何行に分けるか。多いほど細かいが、足の少ない構造では行がまばらになる |
| Profile Width (% of structure span) | 88 | 50〜88 | 横棒の最大の長さを、構造の横幅に対する割合で指定。下げるとローソク足が見やすくなる |
| Volume Profile Position | Left | Left | 横棒を構造の左端と右端のどちらに寄せるか |
| Show POC | オン | オン | POCの破線と「POC ↑/↓ 価格」のラベルの表示 |
| Show HVN Columns | オン | オン | HVNの紫の帯の表示 |
| Maximum HVN Count | 3 | 1〜3 | 表示するHVNの最大本数 |
| Minimum Volume (% of POC) | 55 | 55〜70 | HVNとみなす出来高の下限(POCに対する割合)。上げるとはっきりした山だけ残る |
| Minimum Row Spacing(HVN/LVN) | 3 | 3 | POCや他のノードから最低何行離すか。HVNとLVNのグループにそれぞれある |
| Show LVN Columns | オフ | 必要に応じてオン | LVNの点線の帯の表示。強気のCHoCHなら緑、弱気なら赤 |
| Maximum Volume (% of POC) | 45 | 30〜45 | LVNとみなす出来高の上限(POCに対する割合)。下げるとより薄い谷だけになる |
| Show Pivot Marks | オフ | 検証時のみオン | 判定に使ったスイング高値・安値にPH/PLの印を付ける |
Break = Close Beyond Level 終値で判定するか、ヒゲで判定するか
初期設定はオンで、終値がスイングの水準を越えたときだけブレイクとみなします。オフにすると、高値(安値)がわずかでも水準を越えた時点でブレイク扱いになります。
終値で判定するか、ヒゲで判定するか
同じ値動きでも、ブレイクの判定方法を切り替えるとラベルの出方が変わります。
Vowars DE ver.3.12.30
同じ値動きで比べると違いがはっきりします。図の①の足は上ヒゲで直近高値を越えていますが、終値が届いていないので、初期設定では何も表示されません。ヒゲ判定にすると、図の②のとおり同じ足でCHoCHが出ます。図の③のように、本物のブレイクでも判定が1本早くなることがあります。
ヒゲ判定は早い反面、ストップ狩りのような一瞬の突き抜けにも反応します。しかもCHoCHが出るとプロファイルが描き直されるので、ダマシのCHoCHひとつで、それまで見ていたPOCが消えてしまいます。基本は初期設定のオンのまま、ヒゲ判定はボラティリティの低い銘柄で反応の早さを優先したいときに限るのがいいと思います。
Fractal Length (odd) どの大きさの波を「構造」とみなすか
スイングを判定する窓の長さです。偶数を入れると内部で1を足した奇数として扱われ、その半分(端数切り捨て)が左右の確認本数になります。12なら左右6本、6なら左右3本、20なら左右10本です。
Fractal Lengthで「どのスイングを構造とみなすか」が変わる
同じ値動きに、Fractal Length 6と初期設定の12を当てて比べました。
Vowars DE ver.3.12.30
6まで縮めると、小さな押し安値や戻り高値も構造の起点になります。図の①は浅い押し安値を割った時点でCHoCH、図の②は小さな戻り高値を基準に、初期設定より1本早く上向きのCHoCHを出しています。初期設定の12では、図の③のように大きなスイング高値を抜けるまで転換とはみなしません。
小さくすると転換を早く拾える一方で、揉み合いの中でCHoCHが連発し、そのたびにプロファイルが小さく描き直されます。プロファイルの範囲が数本分しかないと、50行に分けても行がスカスカになり、POCの意味が薄れてしまいます。値を小さくするなら、Profile Rowsも20〜30に減らしてバランスを取るのがコツです。
使い方別の設定の目安
あくまで試した範囲での目安です。銘柄や時間足のボラティリティによって合う値は変わります。ここを出発点に調整してください。
| 目的 | 変える設定 | 理由 |
|---|---|---|
| 短い時間足(5分足など)で反応を早くしたい | Fractal Length (odd) 8〜10、Profile Rows 30前後 | 確認の遅れが左右4〜5本に縮む。構造が短くなるぶん行数も減らしてPOCをはっきりさせる |
| 4時間足・日足で大きな転換だけ見たい | Fractal Length (odd) 16〜20 | 小さな戻りでCHoCHが出にくくなり、プロファイルが大きな構造単位で描かれる |
| 1分足など短い足で長い構造を扱う | Profile Source Bars を引き上げる | 初期設定の3,000本では古い部分の出来高が集計から抜ける |
| 過去のラインが多すぎて見づらい | Show Last N Broken (0 = all) 10〜20 | 新しいBOS/CHoCHだけが残り、直近の構造に集中できる |
| プロファイルがローソク足を隠してしまう | Profile Width (% of structure span) 50前後、または Visual Architecture を Total Volume に | 横棒が短くなり、構造内の値動きが読みやすくなる |
| HVNが多すぎて水準がぼやける | Minimum Volume (% of POC) 70前後、Maximum HVN Count 1〜2 | はっきりした山だけが残る |
時間足を変えて使ってみた印象
5分足では、初期設定のままだと1日の中でCHoCHが何度も入れ替わり、プロファイルがその都度描き直されます。デイトレードで「今の転換の戻り目」を探すには十分使えますが、POCの寿命が短いので、プロファイルが描き変わったら前の水準は忘れる、と割り切る必要がありました。
いちばんしっくりきたのは4時間足です。ひとつの構造が数日〜数週間続くおかげで、プロファイルに十分な本数の足が入り、POCとHVNの位置に説得力が出ます。冒頭の画像でも、9月下旬の弱気のCHoCHのあと、価格がPOCの84,000付近を何度も行き来していました。
週足まで上げると、1年近い下落構造がまるごと1つのプロファイルになります。ここまでくると短期売買の判断というより、長期の需給の地図として眺めるのに向いています。ゴールドや株価指数のように、大きなトレンドが長く続く銘柄の週足・日足とも相性がよさそうです。

私がチャートで見ている順番
しばらく使ってみて、だいたいこの順で見るようになりました。売買のルールではなく、目線を決めるための手順です。
1 最新のCHoCHの向きと、出た足を確認する
POCのラベルの矢印で向きが分かります。CHoCHのラインの右端が、判定が出た足です。そこから何本経っているかで、プロファイルが「出たばかり」なのか「すでに消化が進んでいる」のかを判断します。
2 POCが現在値の上か下かを見る
強気のCHoCHのあとでPOCが現在値より下にあれば、そこは押し目の候補です。弱気のCHoCHのあとで上にあれば、戻り売りの候補になります。向きとPOCの位置が噛み合わないとき(強気なのにPOCが上にある、など)は、POCがむしろ上値の抵抗として働く可能性も考えます。
3 POCまでの間にあるHVNとLVNを確かめる
現在値とPOCのあいだにHVNがあれば、POCより手前で止まる可能性があります。LVNしかなければ、POCまで一気に戻ってきやすいと読めます。
4 水準に届いたら、反応を別の根拠で確かめる
POCに触れただけでは、反発するのか抜けるのかは分かりません。下位足の構造の変化や、次に紹介する出来高系のオシレーターなどで「その水準で本当に流れが止まったか」を確かめてから判断します。
Chaikin Money Flowと組み合わせて、CHoCHの裏付けを取る
「Structure Break Volume Profile」が見せてくれるのは、構造の転換と、過去の出来高がたまった場所です。足りないのは「いま、資金がどちらに流れているか」という現在進行形の情報。そこで相性がよかったのが、TradingView標準のChaikin Money Flow(CMF)でした。
CHoCHの向きを、CMFの資金の流れで確かめる
下段にTradingView標準のChaikin Money Flow(期間20)を重ね、CHoCHの前後で資金の流れがどちらを向いていたかを見ます。
Vowars DE ver.3.12.30
CMFは、終値が足の値幅のどこで引けたかに出来高を掛けて、一定期間で平均したものです。ゼロより上なら資金の流入側、下なら流出側と読みます。この図では、CMFがゼロを上抜けた図の①の4本後に強気のCHoCHが出て(図の②)、その後もCMFはプラス圏を保っています(図の③)。構造の転換と資金の流れがそろっているので、POCへの押しを買い場の候補として待つ根拠が1つ増えた形です。
逆に、強気のCHoCHが出たのにCMFがマイナス圏に沈んだままなら、私はそのCHoCHを少し疑ってかかります。Ask/Bidの赤と緑と考え方は似ていますが、CMFは「いまの流れ」を時系列で追えるのが強み。プロファイルの静的な情報をうまく補ってくれます。
ほかにも、次のようなインジケーターとの組み合わせが考えられます。
- Anchored VWAP CHoCHが出た足を起点に固定すると、転換後に参加した人たちの平均コストが分かり、POCとの位置関係を比べられます
- ADX/DMI CHoCH後のトレンドに勢いがあるかを確認し、レンジ内のCHoCHを見分ける手がかりになります
- ATR POCやHVNを基準にしたエントリーで、損切り幅を値動きの大きさに合わせて決めるのに使えます
使ってみて分かった、頼れるところと気をつけるところ
頼れるところ
- CHoCHと同時に、転換前の構造の出来高分布が自動で描かれる
- POC・HVN・LVNが最新足の先まで伸び、戻りを待つ水準をすぐ決められる
- 確定したスイングと終値判定が基本で、構造のラベルが落ち着いている
- プロファイルの行数・幅・位置・表示方式など、見た目を細かく調整できる
- 5分足から週足まで、同じ考え方で使える
気をつけるところ
- スイングの確定に、確認に使う本数ぶんの遅れがある
- プロファイルは最新のCHoCHの1つだけで、過去のものは残らない
- Ask/Bidの色分けはローソク足の形からの推定で、実際の売買の内訳ではない
- プロファイルの横棒がローソク足やラベルに重なり、読みにくくなる場面がある
- 揉み合いではCHoCHが増え、そのたびにPOCが入れ替わる
重なりの問題は、実際に4時間足で使っていて一番気になったところです。プロファイルの範囲の中にCHoCHのラベルが入ると、横棒の下に文字が隠れることがありました。Profile Width (% of structure span)を下げるか、Label Backgroundに背景色を付けると、かなり読みやすくなります。
リペイントと、過去チャートの見え方について
確定した足で一度出たBOS・CHoCHの判定が、あとから消えたり別のものに変わったりすることはありません。ただし、表示の仕方には「さかのぼって描く」性質が2つあります。
- BOS・CHoCHのラインとラベルは、ブレイクした足で、数本〜数十本前のスイングの位置から描かれる
- プロファイルはCHoCHが出た足で、それ以前の構造全体の上に描かれる。次のCHoCHが出ると消えて、新しい構造のものに置き換わる
どちらも作者の説明で触れられている仕様で、隠れた挙動ではありません。それでも、過去チャートを見て「CHoCHのあとPOCで反発しているから勝てそう」と考えるのは早計です。その場面でリアルタイムに見えていたのは、そのときの最新CHoCHのプロファイルだけ。今チャートに表示されているプロファイルは、最後のCHoCHのものです。
過去の場面を当時の見え方で確かめたいときは、TradingViewのバーリプレイが使えます。再生位置までの足でインジケーターが計算し直されるため、その時点の最新CHoCHに対応するプロファイルが表示されます。リプレイで選べる時間足や遡れる期間は、契約しているプランによって異なります(2026/10/12 現在の公式ヘルプによる)。
まだ確定していない足では、終値が水準を越えたり戻ったりするたびに、ラインとラベルが現れたり消えたりします。足が確定するまでは、そのCHoCHもプロファイルも仮のものと考えてください。また、読み込んだ足がCalc Only Last N Bars (0 = all)(初期設定20,000本)より多いと、計算の開始位置がチャートの読み込み状況によって変わるため、いちばん古い部分の構造が見るたびに少し違って見えることがあります。
CHoCHのあとに「待つ場所」を持ちたい人へ
画像「Structure Break Volume Profile」は、構造の転換を知らせるだけで終わらず、転換前の構造でどこに商いがたまっていたかをPOC・HVN・LVNとして残してくれるインジケーターです。CHoCHを見てすぐ飛び乗るのではなく、戻りを待ってから入りたいデイトレーダーやスイングトレーダーには、判断の手間がかなり減るはずです。
一方で、ラベルにはスイング確定ぶんの遅れがあり、赤と緑の色分けは推定値です。この2点を理解したうえで、CMFなどの「いまの流れ」を見る指標と組み合わせれば、出来高の地図として長く付き合えるインジケーターだと感じました。まずは4時間足に初期設定のまま入れて、CHoCHのあと価格がPOCへ戻ってきたときにどう反応するか、何回か観察してみてください。









