A・B・Cの3点から「次の値幅」を先に引くインジケーター
押し目買いをするとき、いちばん迷うのは「どこまで伸びそうか」と「どこで諦めるか」ではないでしょうか。「Trident Swing Projector」は、この2つを直前のスイングの値幅から機械的に割り出し、チャートに水平線として引いてくれるTradingViewのインジケーターです。
もとになっているのは、チャールズ・リンゼイ(Charles Lindsay)の「トライデント(Trident)」と呼ばれるクォータースイングの手法です。上昇の起点A、高値B、押し目Cの3点がそろったら、A→Bと同じ値幅をCから先へ投影し、その25%・50%・75%・100%の位置を節目として扱います。「Trident Swing Projector」はこの作図を自動化し、押しの深さやトレンド方向のフィルター、エントリー・利確・損切りの状態管理、ダッシュボード、アラートまでを1つにまとめています。
A→Bの値幅を、Cから同じ幅で投影する
押し目Cが確定すると、A→Bと同じ値幅をCから先へ伸ばし、25%刻みで4本の水準を引きます。
Vowars DE ver.3.12.32
実際にチャートへ入れてみると、表示されるものはかなりシンプルです。A・B・Cの小さなラベル、Cから伸びる点線、そして5本の水平線とそのラベル。図の①のようにA→Bの上げ幅を物差しにして、図の②のとおり同じ幅をCから先へ延ばします。価格が各水準に届くと、図の③のようにラベルが「✓ HIT」に書き換わっていきます。

ひとつ先に断っておくと、「Trident Swing Projector」は売買を自動で行うストラテジーではなく、水準を引いて、その後の到達を記録するインジケーターです。勝率や損益の集計は表示されません。その分「この押し目なら、どこが節目になるのか」を素早く確認する用途にはぴったりはまります。
チャートに出るものを、ひとつずつ読み解く
A・B・Cのラベルと、Cから伸びる点線
グレーのラベル「A」「B」「C」は、パターンを作った3つのスイングの位置に付きます。上昇パターンならAが安値、Bが高値、Cが押し目の安値です。下降パターンではこれが上下逆になり、Aが高値、Bが安値、Cが戻りの高値になります。
Cから右上(下降なら右下)へ伸びるグレーの点線は「Projected Leg」です。Cを起点に、TP3の価格まで引かれます。横方向の長さはA→Bにかかった本数と同じなので、「A→Bと同じペースで動いたら、このあたりでTP3に届く」という目安にもなります。もっとも、時間の目安として機能するかは相場次第で、点線どおりのペースで動くことはそれほど多くありません。
5本の水平線と、それぞれの役割
| 線 | 位置 | 見た目(初期設定) | 意味 |
|---|---|---|---|
| SL | C(Stop Bufferを設定すればその外側) | 赤の実線・太さ2 | セットアップを無効とみなす水準 |
| Entry | Cから投影幅の25% | 青の破線 | 終値でここを越えたらエントリー扱い |
| TP1 | Cから投影幅の50% | 緑の破線(やや薄い) | リンゼイの用語で「Critical」にあたる水準 |
| TP2 | Cから投影幅の75% | 緑の破線 | 中間の利確目安 |
| TP3 | Cから投影幅の100% | 緑の破線(濃い) | A→Bと同じ値幅に届く「Equality」の水準 |
各線のラベルには価格が入り、TP1〜TP3には「1.00R」のような損益比(リスクの何倍か)も表示されます。線は右へ10本ぶん伸び、最新の足が進むとそれに合わせて延長されます。TP3到達かストップで決着した場合は、その足の10本先で延長が止まる仕組みです。
BULL/BEARラベルは「エントリーが成立した印」
緑の「BULL」、赤の「BEAR」は、待機していたセットアップがエントリーに移ったことを示すラベルです。条件は確定した足の終値がEntryの線を越えたことで、ラベルはその次の足に付きます。終値で判定するために1本ずれるわけです。このずれは過去チャートの見え方に直結するので、後半で詳しく扱います。
状態は7段階で進む
「Trident Swing Projector」は、表示中のセットアップがいまどの段階にいるかを内部で管理しています。ダッシュボードの「State」欄に出る表記と意味は次の通りです。
| State | 状態 | チャート上の変化 |
|---|---|---|
| Armed | A・B・Cがそろい、Entry待ち | A・B・Cラベルと5本の線が出る |
| Active | 終値がEntryを越えた | BULL/BEARラベルが付く |
| TP1 hit / TP2 hit | 高値(売りなら安値)がTP1・TP2に触れた | 該当ラベルが「TP1 ✓ HIT +◯%」などに変わる |
| TP3 hit | TP3に到達して決着 | TP3ラベルがHITに変わり、線の延長が止まる |
| Stopped | ストップに触れて決着 | SLラベルが「SL ✓ HIT」または「SL ✓ TREND FAILURE」に変わる |
| Cancelled | エントリー前に取り消し | 5本の線とラベルが削除される |
TP1やTP2に届いても、それだけでは決着しません。TP3かストップのどちらかに触れるまで、セットアップは進行中のまま残ります。誤解しやすいところなので覚えておいてください。
25%刻みの水平線が、そのまま1R・2R・3Rになる
「Trident Swing Projector」でまず押さえておきたいのが、損益比の組み立てです。初期設定ではストップがちょうどCの位置にあり、Entryは投影幅の25%の位置にあります。つまりエントリーからストップまでの距離(リスク)は投影幅の4分の1です。
4本の水準はA→B幅の25%刻み、損益比は1R・2R・3R
ストップをCに置いたままなら、Entryまでの距離がA→B幅の4分の1になり、TP1〜TP3はその2倍・3倍・4倍の位置に来ます。
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図の①がこのリスク1R分の帯です。TP1はCから50%なのでEntryから見て25%先、ちょうど1R。TP2は2R、TP3は図の②のとおりEntryから75%先で3Rになります。図の③のラベルの「1.00R」「2.00R」「3.00R」は、この関係をそのまま表示したものです。
Stop Bufferで「Ticks」や「ATR Fraction」を選ぶと、ストップはCよりさらに外側へ移ります。Entryの位置はCから25%のまま変わらないので、リスクが大きくなり、TP1〜TP3のR倍率は1・2・3より小さくなります。ダマシ対策でバッファを足すほど、同じTP3でも損益比は悪くなるという関係です。
ちなみに、3Rの目標なら勝率25%で損益がほぼとんとんになる計算です。ストップに掛かる回数が多くても、TP3まで届くトレードがある程度混ざれば収支は残る、という組み立てですね。もっとも、これは手数料やスリッページを考えない単純な計算で、実際の成績を保証するものではありません。
Cが採用される条件と、見送られるパターン
A・B・Cは、スイングの高値・安値を左右の本数で確かめる方法(ピボット)で決まります。初期設定では左右5本ずつで、ある足の高値が「左の5本」と「右の5本」のどれよりも高いとき、その足がスイング高値として確定します。安値も同じ考え方です。等しい高値・安値は「より高い」「より安い」にあたらないため、同値の足が並ぶとスイングとして採用されません。
ただ、スイングが3つ並べば何でも採用されるわけではありません。Cとして認められるには、次のフィルターを通る必要があります。
Cが採用されるのは、A→Bを23.6〜78.6%押した安値だけ
浅すぎる押しや深すぎる押しは見送り、さらにBが前回の高値を超えていることも条件になります(Trend Filter)。
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押しの深さは23.6〜78.6%の範囲だけ
B→Cの押しが、A→Bの値幅の何%にあたるかを測ります。初期設定ではMin Pullback %が23.6、Max Pullback %が78.6で、図の①の帯の中にCが収まったときだけセットアップが成立します。図の例では図の②のとおり65.5%押しで、帯の内側でした。
浅すぎる押しは「まだ押していない」、深すぎる押しは「上昇そのものが崩れかけている」と判断して見送る、という発想です。数値はフィボナッチ・リトレースメントでおなじみの比率ですが、投影する水準そのものはフィボナッチではなく、単純な25%刻みです。この2つは別物として考えてください。
Trend Filterは「Bが前回の高値を超えているか」
Trend Filterがオン(初期値)のときは、上昇パターンならBが1つ前のスイング高値を上抜けていることが条件に加わります。図の③がその比較です。下降パターンなら、Bが1つ前のスイング安値を下抜けている必要があります。高値・安値を切り上げ(切り下げ)ながら進むトレンドの押し目・戻りだけを拾うためのフィルターで、レンジの中で上下するだけの波を減らす効果があります。
同時に追えるセットアップは1つだけ
もうひとつ見落としやすい仕様があります。「Trident Swing Projector」は、待機中(Armed)または進行中(Active〜TP2 hit)のセットアップがある間、新しいA・B・Cが現れても採用しません。いま追っている1件が決着するか取り消されるまで、次の候補は見送られます。決着したまさにその足で成立した候補も対象外です。チャートを眺めていて「ここもA・B・Cに見えるのに出ない」と感じたら、大抵はこの仕様が理由です。
シグナルの「時差」を知らないと、過去チャートにだまされる
「Trident Swing Projector」を使う上で、いちばん大事な話がここです。結論から書くと、チャートに描かれたA・B・Cや水平線は、実際にはもっと後の足で現れたものです。
線が出るのはCの6本後、BULLはさらに次の足
Cの安値はPivot Rightの5本と確認用の1本が過ぎてから確定し、その足でA・B・Cと水平線がまとめて描かれます。
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Cの安値は、右側に5本(Pivot Rightの初期値)の足がそろって、初めて「スイング安値だった」と確定します。図の①の5本が過ぎるまで、チャートには何も出ません。確定はその次の足、つまりCから6本目の足で行われ、図の②のようにその時点でA・B・Cと5本の線がまとめて描かれます。線の左端はCの位置から始まるので、あとから見ると「Cの時点で線が出ていた」ように見えてしまいます。
さらにエントリーは「確定した足の終値がEntryを越えたこと」で判定されるため、BULLラベルは図の③のように、越えた足の次の足に付きます。図の例では、Cが確定した時点で価格がもうEntryより上にあり、すぐにBULLが付いています。押し目の底から拾えたように見えても、実際に判断できたのは、ずいぶん上がってからなのです。
A・B・Cの判定には確定済みの足しか使われていないので、一度描かれたラベルや線が後から別の位置に動いたり、消えたりすることはありません(Cancelledでの削除は仕様です)。その代わり、判定が出た時点で過去の足の位置まで遡って描かれる性質があります。過去チャートでA・B・Cの位置を見て「ここで買えた」と考えるのは禁物です。
TP・SLの到達は、足の途中でも判定される
エントリーや取り消しの判定が確定足を待つのに対して、TP1〜TP3とストップへの到達は形成中の足の高値・安値で判定されます。リアルタイムでは、足の途中でも水準に触れた瞬間にラベルが「✓ HIT」に変わり、TPのアラートもその場で鳴ります。高値・安値は足の途中で戻ることがないため、一度ついたHITが取り消されることはありません。
同じ足の中でストップとTPの両方に触れた場合は、ストップが優先されます。1本の足の中でどちらが先に起きたかは分からないため、不利なほうの結果で記録する仕様になっています。バックテスト的に結果を数えるときも、この扱いを前提にしてください。
時差を自分の目で確かめる方法
時差の感覚を掴むなら、TradingViewのバーリプレイがいちばん手っ取り早いです。過去の開始点を選んで1本ずつ進めると、インジケーターもその時点までのデータで計算されるので、「A・B・Cと線が実際に現れた足」「BULLが付いた足」をリアルタイムに近い形で確認できます。遡れる期間は銘柄や時間足、契約プランによって変わります。
セットアップが消えるとき、失敗するとき
Cを「ヒゲで」割ると取り消される
Cを下ヒゲで割った次の足で、水平線がまとめて消える
待機中(Armed)のセットアップは、ひとつ前の足の安値がCを下回った時点で取り消されます。終値で割る必要はありません。
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Entry待ち(Armed)の間に価格がCを割り込むと、セットアップは取り消され(Cancelled)、5本の線とラベルが削除されます。判定に使うのはひとつ前の足の安値(売りなら高値)です。図の②のように下ヒゲが一瞬Cを割っただけでも、終値がCの上に戻っていても、図の③のとおり次の足で取り消されます。
公開ページの説明では「価格がCを終値で割り戻すと取り消し」と読める書き方になっていますが、「Trident Swing Projector」の実際の動きはひとつ前の足の安値がCを下回った(売りなら高値がCを上回った)時点での取り消しです。ヒゲの長い銘柄や時間足では、想定より取り消しが多く感じるはずです。なお、Stop Bufferでストップを外側へずらしても、取り消しの基準はCのままです。
取り消されても、A・B・Cのラベルと投影の点線は残ります。そのため、チャート上で「水平線のないA・B・C」が見えたら、それは取り消されたセットアップの跡です。ダッシュボードのStateには「Cancelled · C broken」と表示されます。

もうひとつの取り消し条件が時間切れです。セットアップが成立してからArmed Expiry Bars(初期値20本)が経ってもEntryを終値で越えなければ、「Cancelled · Expired」として取り消されます。
TP1より先にCへ戻ると「TREND FAILURE」
TP1より先にCへ戻ると「TREND FAILURE」
BULLが付いたあと、TP1に届く前にストップへ触れると、SLラベルがTREND FAILUREに書き換わります。
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エントリー後(Active)、TP1に届く前にストップへ触れると、SLのラベルは「SL ✓ TREND FAILURE −◯%」に変わります。押し目からの再上昇を想定したのに、最初の目標にも届かずCを割った、つまりトレンドが続かなかったという意味の表示です。TP1到達後にストップへ触れた場合は「SL ✓ HIT」で、表記が区別されています。
図の①の例は、時差の怖さがよく出たケースです。セットアップが確定する前の大陽線で、値動きの大半はすでに終わっていました。図の②のBULLは上昇が止まったあとに点灯し、そのまま図の③でストップに掛かっています。Cが確定した時点で価格がTP1やTP2の近くまで進んでいるなら、残りの値幅に対してリスクが大きすぎるので見送る、という判断が現実的です。この場合も「Trident Swing Projector」自身はセットアップを取り消さないため、見送るかどうかは自分で決める必要があります。

売りのセットアップと、TP2到達後の扱い
売り側も同じ組み立て。TP2到達後もセットアップは続く
下落のA→B→Cでも、Cから下へ同じ値幅を投影します。TP1とTP2に届いても、TP3かストップに触れるまでは「進行中」のままです。
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下降トレンドの戻り売りも、組み立てはまったく同じです。Aが高値、Bが安値、Cが戻りの高値になり、Cから下へ同じ値幅を投影します。図の①のように終値がEntryを下抜けた次の足でBEARが付き、図の②でTP1・TP2に届いています。
注目してほしいのは図の③です。TP2到達後に価格がEntryの上まで戻っていますが、状態は「TP2 hit」のまま。ストップは初期設定ではCに置かれたままなので、Cまで戻れば「Stopped」で決着します。TP2まで取れていたはずの含み益が、帳簿上はストップ扱いで終わる可能性があるわけです。

Stop to Breakeven after TP1をオンにすると、TP1到達後の管理上のストップがEntryの価格へ移ります。ただしチャートに描かれたSLの線とラベルは元の位置のままで、移動後のストップはダッシュボードの「Managed Stop」欄(「· BE」付き)とアラートの送信内容にだけ反映されます。
建値で決着したときも、チャート上のSLラベルは書き換わりません。結果はダッシュボードのStateに「Stopped · Breakeven」と出るので、そちらで確認してください。
ダッシュボードで「いまの1件」を数字で追う
ダッシュボードは「いまの1件」を数字で追うパネル
表示中のセットアップの状態・価格・損益比・押しの深さが1枚にまとまります。
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右上(初期位置)のダッシュボードには、表示中のセットアップ1件分の情報がまとまっています。過去の成績をまとめた表ではない点に注意してください。上から順に、ロック状態、方向(Long/Short)、図の①の状態、Entry・Stop・Managed Stop・TP1〜TP3の価格が並びます。
少し読み違えやすいのが図の②の「R:R」の3行です。バーの横の数字は5Rを100%とした割合なので、「20%」は1R、「60%」は3Rを意味します。初期設定ではいつも20%・40%・60%になるので、ここが違う数字になっていたら、Stop Bufferなどで損益比が変わっているサインです。色は満タンの66%以上で緑、33%以上で黄、それ未満で赤になります。
図の③の「Pullback」は、B→Cの押しがA→B幅の何%だったかを示します。その下の「AB Swing」はA→Bの値幅(Swing UnitがPercentなら%表示)、「Bars Since Entry」はエントリーからの経過本数です。HTF Bias・ADX・Smoothingの3行は、それぞれのフィルターを使っていなければ「OFF」と表示されます。
設定項目の意味と、変えたときの変化
設定画面はCore、Filters、Trade Tools、Visuals、Dashboard、Alerts、Colorsの7グループに分かれています。売買の判断に関わるのは前の3つです。下の表の推奨値は、各項目の仕組みと、BTCの5分足〜週足で表示を確かめた結果から考えた目安です。銘柄や時間足によって合う値は変わります。
| 設定 | 初期値 | 推奨値 | 効果 |
|---|---|---|---|
| Pivot Left | 5 | 5〜8 | スイング判定で左側に必要な本数。大きくするほど、より目立つ高値・安値だけがA・B・Cに選ばれる |
| Pivot Right | 5 | 3〜5 | 右側に必要な本数。表示の遅れ(Pivot Right+1本)に直結する。小さくすると早く出るが細かい波も拾う |
| Swing Unit | Points | Points(週足など長期足はPercentも検討) | Pointsは値幅をそのまま、PercentはA→Bの変化率をCに掛けて投影 |
| Trend Filter | オン | オン | Bが前回のスイング高値(売りは安値)を超えたときだけ採用 |
| Min Pullback % | 23.6 | 23.6〜38.2 | これより浅い押しは見送り |
| Max Pullback % | 78.6 | 61.8〜78.6 | これより深い押しは見送り |
| HTF Confirmation | オフ | 状況に応じてオン | 上位足の方向と一致したときだけ採用 |
| HTF Timeframe | 240 | チャートの4〜6倍の時間足 | 方向判定に使う上位足 |
| ADX Filter | オフ | 状況に応じてオン | ADXがしきい値未満のときは採用しない |
| ADX Length | 14 | 14 | ADX・DMIの計算期間 |
| ADX Threshold | 20 | 20〜25 | セットアップ成立に必要なADXの最低値 |
| Signal Smoothing | None | None | 投影幅を直近のスイング幅の平均で補正する方法(SMA/RMA/WMA/HMA/VWMA) |
| Smoothing Length | 5 | 5 | 補正に使う本数 |
| 🔒 Lock Signal | オフ | オフ | 最新の足での新規セットアップの成立を止める |
| Stop Buffer | None | None〜ATR Fraction | ストップをCより外側に置く方法 |
| Buffer Ticks | 0 | 銘柄の値動きに合わせて | Ticks選択時に足すティック数 |
| Buffer ATR Fraction | 0 | 0.1〜0.3 | ATR Fraction選択時にATRへ掛ける倍率 |
| ATR Length | 14 | 14 | バッファ計算に使うATRの期間 |
| Armed Expiry Bars | 20 | 10〜20 | Entry待ちの有効期限(本数) |
| Stop to Breakeven after TP1 | オフ | 好みで | TP1到達後、管理上のストップをEntryへ移す |
| Keep Last N Setups | 1 | 1〜2(検証時は5以上) | チャートに残すセットアップの数 |
Pivot LeftとPivot Rightは「感度」と「遅れ」の綱引き
この2つが、A・B・Cの選ばれ方を決める一番大きな設定です。Pivot Leftを増やすと、左側により長く確認が必要になるので、目立つ高値・安値だけが選ばれます。遅れには影響しないので、ノイズを減らしたいときはまずこちらを増やすのが最善です。
一方のPivot Rightは、表示の遅れそのものです。初期値の5なら、Cから6本後にようやく線が出ます。3に下げると4本後に早まりますが、ちょっとした押しもCとして拾うようになり、セットアップの数も取り消しも増えます。仕組みから考えると、Rightを下げるときはLeftを5以上に保っておくと、細かすぎるA・B・Cを抑えやすくなります。
押しの範囲を絞ると、セットアップの数はかなり減る
Min Pullback %を38.2に上げると、浅い押しからの再上昇が除外されます。ちょっとした調整ですぐ走ってしまう強いトレンドでは取りこぼしが増えますが、その分「しっかり押してから」のセットアップに絞れます。Max Pullback %を61.8に下げると、深押しで構造が崩れかけたパターンを外せます。両方を絞ると出現回数はかなり減るので、まずは片方ずつ試してみてください。
上位足とADXのフィルターは「なぜ出ないか」も確認できる
HTF Confirmationをオンにすると、HTF Timeframeで指定した上位足の直近2本の確定足の終値を比べ、上がっていれば「Bull」、下がっていれば「Bear」と判定します。この方向とパターンの方向が一致したときだけセットアップが成立します。同値のときは「Flat」となり、どちらの方向も成立しません。比べるのは確定済みの上位足だけなので、形成中の上位足に引きずられて結果が後から変わることはありません。
ADX Filterは、ADXがADX Thresholdに届かない、方向感の弱い場面での成立を止めます。どちらのフィルターも、ダッシュボードのHTF Bias・ADXの行が赤くなっていれば「形はできているが条件で止められている」と読み取れます。
Signal Smoothingは慣れるまでNoneで
Signal Smoothingを選ぶと、A→Bの値幅に「直近の本数ぶんのスイング幅の平均÷今回の値幅」という比率を掛けて投影幅を補正します。今回のA→Bが最近のスイングより大きければ投影は短めに、小さければ長めになります。Smoothing Lengthはスイングの数ではなく足の本数なので、スイングの更新がまばらな時間足では補正がほとんど掛からないこともあります。補正後は「A→Bと同じ値幅」というトライデント本来の意味からは離れるので、まずはNoneで使い、仕組みに慣れてから試すくらいで丁度いいと感じました。
Swing UnitをPercentにする場面
Swing UnitをPercentにすると、A→Bの変化率をCの価格に掛けて投影します。上昇パターンなら「Aから何%上がったか」を、Cから同じ%だけ上へ伸ばすイメージです。価格水準が大きく変わる長期足では、値幅よりも変化率で考えたほうが自然なことがあるので、週足や月足で使うときに検討する価値があります。1時間足程度ならPointsとの差はわずかです。
🔒 Lock Signalは、オンにしている間、最新の足での新しいセットアップの成立だけを止めます。表示中のセットアップのTP・ストップの判定は通常通り進みます。
また、この止め方は「最新の足かどうか」で判断しているため、チャートを読み込み直すと、ロック中に止められていたセットアップが過去の足で成立した状態に描き直されることがあります。ロックを使うなら、その間の表示はリアルタイムだけのものと考えておくと安全です。
用途別の設定例
最後に、目的別の組み合わせ例をまとめておきます。どれも「この値なら勝てる」という意味ではなく、性格を変えるための出発点です。
| 目的 | 主な変更 | ねらい |
|---|---|---|
| デイトレードで回数を確保 | Pivot Left 5/Pivot Right 3 | 表示の遅れを4本に縮める。Leftで細かい波を抑える |
| スイングで質を優先 | Pivot Left 8/Pivot Right 5/Min Pullback % 38.2 | 目立つスイングと、しっかりした押しだけを残す |
| トレンドの流れに乗る | HTF Confirmation オン(1時間足なら240)/ADX Filter オン | 上位足と方向感の両方がそろったときだけ成立 |
| ヒゲでの取り消し・損切りを減らす | Stop Buffer ATR Fraction/Buffer ATR Fraction 0.2 | ストップを外へ逃がす。R倍率は下がる |
| 過去の結果をまとめて確認 | Keep Last N Setups 5〜10 | 直近の成功・失敗を一度に見比べる |
過去のセットアップを並べて振り返る
Keep Last N Setupsを5にすると、過去の結果が並ぶ
初期値の1では最新の1件しか残りません。数を増やすと、成功・失敗したセットアップをチャート上でまとめて振り返れます。
Vowars DE ver.3.12.32
初期設定のKeep Last N Setupsは1なので、チャートには最新の1件しか残りません。数を増やすと、図の①のようにTP3まで届いたもの、図の②のようにTP1前に失敗したもの、図の③の進行中のものが同時に並び、その銘柄・時間足との相性をざっと確かめられます。
ただ、見ての通り線とラベルが重なりやすく、常時表示にはあまり向きません。検証が済んだら1〜2に戻しておくのが見やすいと思います。また、ここに並ぶのはあくまで「遡って描かれた」結果です。前の章で触れた時差を頭に置いて、BULL/BEARが付いた足を基準に結果を見るようにしてください。
アラートとWebhookで監視を任せる
「Trident Swing Projector」には、アラート作成画面で選べる条件が7つ用意されています。
| アラート条件 | 鳴るタイミング |
|---|---|
| Trident Setup Armed | セットアップ成立(足の確定時) |
| Trident Entry Triggered | エントリー成立(足の確定時) |
| Trident TP1 Hit | TP1到達(足の途中でも鳴る) |
| Trident TP2 Hit | TP2到達(足の途中でも鳴る) |
| Trident TP3 Hit | TP3到達(足の途中でも鳴る) |
| Trident Stop Hit | ストップ到達(足の確定時) |
| Trident Setup Cancelled | 取り消し(足の確定時) |
これとは別に、アラートの条件で「Any alert() function call」を選ぶと、セットアップ成立・エントリー・取り消し・ストップ・TP到達の各イベントで、JSON形式のメッセージが送られます。中身には方向、イベント名、状態、Entry・SL・管理上のSL・TP1〜TP3の価格、A→Bの値幅、TP3の損益比が入ります。「action」欄に入る文字は、Alertsグループの↑ Long Actionなどで好きな文字列に変更可能です。
自動売買ツールと連携する場合は、このメッセージをWebhookで受け取る形になります。TradingViewのWebhookアラートを使うには2段階認証の設定が必要です(2026/10/14 現在の公式ヘルプによる)。利用できるプランの条件は変わることがあるので、TradingViewの料金ページでも確認してください。
ストップのアラートは足の確定を待って送られますが、チャートのSLラベルは足の途中でも「✓ HIT」に変わります。TPのアラートは逆に足の途中で鳴ります。イベントによって送られるタイミングが違うことを前提に、受け取り側の処理を組んでください。
Chaikin Money Flowと組み合わせて、押し目の質を見る
「Trident Swing Projector」が見ているのは価格の値幅だけで、出来高は一切使っていません。そこで相性がよさそうなのが、出来高の流れを測るチャイキン・マネーフロー(Chaikin Money Flow、CMF)です。CMFは、足の終値が高値・安値のどこで引けたかに出来高を掛けて、一定期間の買い寄り・売り寄りを0を中心に表します。
押し目Cの「質」をChaikin Money Flowで確かめる
Trident Swing Projectorは値幅しか見ません。CMFを下段に置くと、Cまでの押しで資金がどれだけ抜けたかを同時に確認できます。
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見るポイントは、Cまでの押しで資金がどれだけ抜けたかです。図の①のようにA→Bの上昇中にCMFがプラスへ転じ、図の②のとおり押しの間もゼロ付近で踏みとどまっていれば、図の③の押しは「利益確定の一服」と読めます。反対に、押しの間にCMFが大きくマイナスへ沈んでいるなら、同じ65%押しでも売りの圧力が強い押しです。Entryを越えても慎重に見たほうがいい場面と考えられます。
ほかにも、次のようなインジケーターとは組み合わせやすいと考えられます。
- アンカーVWAP(Anchored VWAP) Aを起点にVWAPを引き、CがVWAPの上で止まっているかを見る。トレンドの平均コストを割っていない押し目かどうかの確認に使える
- 固定期間出来高プロファイル A→Bの区間に当てて、出来高が厚い価格帯とCやTP1の位置関係を見る。TP1〜TP2の手前に厚い価格帯があれば、そこで止まりやすいと考えられる
- ATR 投影幅がATRの何倍かを見ておくと、TP3までの距離が現実的かどうかの目安になる
得意な相場と、苦手な相場
「Trident Swing Projector」がいちばん素直に機能するのは、高値・安値を切り上げながら進むトレンドの押し目(下降なら戻り)です。Trend Filterもそのための条件なので、きれいなトレンドほどA・B・Cが分かりやすく出ます。ゴールドや主要な株価指数のように、トレンドが比較的長く続きやすい銘柄とは相性がいいと考えられます。
逆に苦手なのは、方向感のないレンジや、上下に大きく振れる乱高下の相場です。Trend Filterである程度は除外されますが、ヒゲの長い足が続くとCを割っての取り消しや、TP1前のTREND FAILUREが続きやすくなります。
時間足は特に決まっていません。ピボットの判定も有効期限もすべて本数で数えるので、どの時間足でも同じ組み立てで動きます。ただ、表示の遅れが「Pivot Right+1本」で固定されるぶん、1分足や5分足では細かいノイズでA・B・Cが乱立しがちです。BTCの5分足・30分足・1時間足・4時間足・日足・週足で表示を確かめたところ、どの時間足でもA・B・Cは自然な位置に付いていました。5分足ではCを割っての取り消しで終わっていた一方、30分足ではTP3まで届いたセットアップも見られました。遅れとのバランスを考えると30分足〜4時間足あたりが扱いやすく、日足・週足は大きな流れの節目を測る目的に向いていると感じます。
頼れるところ
- 押し目からの目標とストップが、直前のスイングから機械的に決まる
- 初期設定ならTP1〜TP3が1R・2R・3Rにそろい、損益比を考えやすい
- A・B・Cの判定に確定足だけを使い、一度描かれた位置が動かない
- 状態管理とダッシュボードで、いまのセットアップの進み具合が一目で分かる
- フィルター・バッファ・有効期限など、性格を変える設定が多い
- JSONのアラートがあり、Webhookでの連携まで想定されている
気をつけたいところ
- 線やラベルはCから6本後(初期設定)に、過去の位置まで遡って描かれる
- エントリー前の取り消しは、終値ではなくヒゲがCを割った時点で起きる
- TP2に届いても決着せず、初期設定ではCまで戻るとストップ扱いになる
- 同時に追えるのは1件だけで、追跡中は新しい候補が見送られる
- 出来高などは使っておらず、押しの質は別の指標で補う必要がある
- チャートに残るのは初期設定で最新1件のみ。結果の集計機能はない
「Trident Swing Projector」は、平均足・練行足・カギ足・ポイント&フィギュア・新値足・レンジバーのチャートでは、警告のラベルを表示します。これらの足は実際の価格と一致しないため、投影した水準も実際の価格の節目にはなりません。通常のローソク足かバーチャートで使うのが前提です。
値幅の物差しとして、チャートの脇に置いておく
画像「Trident Swing Projector」は、トライデントの「A→Bと同じ値幅をCから測る」という作図を自動化し、Entry・TP1〜TP3・ストップを1R・2R・3Rの組み立てで並べてくれるインジケーターです。押し目買い・戻り売りの目標とストップを毎回手で引いている人なら、その作業はほぼ任せられます。
一方で、描かれた線は過去に遡って現れること、取り消しはヒゲで起きること、TP2の後もストップがCに残ることは、使う前に知っておきたい性質です。BULL/BEARを売買の合図として鵜呑みにするよりも、トレンドの押し目で「どこまで伸びたら一度利益を確保するか」「どこを割ったら撤退するか」を決める値幅の物差しとして使うと、このインジケーターの良さが一番活きると感じました。
どの設定でも、表示された水準はあくまで過去の値幅から計算した目安です。実際の売買では、ほかの分析や資金管理と組み合わせて、ご自身の判断で使ってください。











