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オシレータートレンド

価格の「傾き」で相場の状態を3つに分ける新感覚オシレーター「Regression Slope Oscillator」の使い方。

インジケーターRegression Slope Oscillator

価格の「傾き」で相場の状態を3つに分ける新感覚オシレーター「Regression Slope Oscillator」の使い方。
インジケーター Regression Slope Oscillator
このインジケーターの製作者 QuantAlgo
この評価にした理由 正規化のおかげでビットコインでもゴールドでも同じしきい値がそのまま通用し、状態が確定したあとは書き換わらない安定感があります。入る基準と出る基準を分けている設計で、境界での色の点滅もほとんど起きません。一方で傾きを測る性質上どうしても反応は遅れ、しきい値の意味が正規化の方式ごとに変わる点は初見だとつまずきます。この点を差し引いての4.2です。
この難易度にした理由 真価を出すにはしきい値の数値が「1本あたりATRの何倍か」を表しているという前提の理解が要ります。正規化方式を変えると同じ0.10でも意味が変わるため、感覚だけで数値をいじると挙動が崩れます。表示自体は色で読めて易しいので、少し慣れた人が一段深く使うのに向いた位置づけです。
結論

「Regression Slope Oscillator」は、価格の傾きを外れ値に強い回帰で測り、ボラティリティで割って正規化したうえで強気・弱気・ニュートラルの3状態に振り分けるトレンド判定オシレーターです。トレンドの有無と強さを色で確認できます。

この記事の要点
  • チャート下段に表示され、価格そのものではなく「価格の傾き」を描く独立パネル型のインジケーターです。
  • ヒゲや窓の影響を受けにくい回帰で傾きを求めるため、瞬間的な急騰急落で数値が壊れにくい設計になっています。
  • 求めた傾きをATRなどで割って正規化するので、銘柄や時間足が変わっても同じしきい値をそのまま使えます。
  • 状態に入る基準と出る基準が別々に用意されていて、境界付近で色が点滅しにくいのが実用面での大きな利点です。
  • 強気・弱気に加えてニュートラルという第3の状態があり、トレンドが出ていない時間帯をはっきり区別できます。
  • Default、Fast Response、Smooth Trendの3つのプリセットがあり、それぞれ日足スイング、短期足、週足ポジションを想定しています。
  • ゾーンの深さは順張りには勢いの強さ、逆張りには伸び切りの目安として、2通りの読み方ができます。
  • 確定したローソク足での読み値は後から書き換わらず、リペイントの心配はありません。ただし形成中の足は動きます。
  • アラートは6種類用意されており、作成時にOnce Per Bar Closeを選ぶ運用が前提です。
  • 傾きを測る構造上どうしても反応は遅れるため、天井や底をピンポイントで当てる用途には向きません。

「Regression Slope Oscillator」とは

チャートに入れて最初に感じたのは、「これは価格を見ていない」ということでした。「Regression Slope Oscillator」が描いているのは、価格そのものではなく、価格の「傾き」です。今この瞬間、相場が1本あたりどれくらいのペースで上(あるいは下)へ進んでいるのか。それだけを取り出して下段のパネルにオシレーターとして表示してくれます。

移動平均線を見ていると「上を向いているから上昇トレンドかな」と判断しますよね。

あの「向き」の部分を数値にして、しかもその銘柄自身のボラティリティで割ってから表示するというのが「Regression Slope Oscillator」の考え方です。ビットコインの1本100ドルの上昇と、ゴールドの1本3ドルの上昇を、同じ物差しの上に並べられるようにしている、と言い換えると分かりやすいかもしれません。

Regression Slope Oscillatorをチャート下段に表示した基本画面

そのうえで、傾きの大きさに応じて相場を強気・弱気・ニュートラルの3つの状態に振り分けます。色が緑なら上、赤なら下、グレーなら「今はどっちでもない」。読み取り自体はこれだけなので、パネルの見た目の複雑さの割に、判断はしやすいシンプルさです。

まず押さえておきたいこと

「Regression Slope Oscillator」はトレンドが出ているかどうかを判定するためのインジケーターです。買われすぎ・売られすぎを測るRSIのようなオシレーターとは目的が違います。同じ「下段パネルに出る振動系」でも、見ている対象が別物だと理解しておくと迷いません。

下段パネルに出てくるものを、ひとつずつ見ていきます

見慣れないローソク足のようなもの

初期設定のまま入れると、下段に小さなローソク足のようなものがずらっと並びます。これは価格のローソク足ではなく、傾きの世界で作られた合成のローソク足です。実体の部分は「前の足の傾きから今の足の傾きへ、どれだけ変化したか」を表していて、ヒゲは高値側の傾きと安値側の傾きから伸びています。

つまり実体が上向きなら傾きが増している、下向きなら傾きが緩んでいるという読み方になります。ここが最初のつまずきポイントで、実体が下向きでも色が緑のまま、という状況が普通に起こります。矛盾しているように見えますが、これは「上昇はまだ続いているが、勢いはこの足で少し落ちた」という意味です。

この読みをさらに分かりやすくしているのがHollow Up Candlesの設定です。オンだと、傾きが増した足は塗りつぶさず枠だけの中抜きで描かれます。緑の状態が続いている中で塗りつぶしの足が混じったら、そこで勢いが一時的に落ちたという合図。個人的にはこの中抜き表示が便利で、押し目の入り口を見つける手がかりとして使いやすい点だと思います。

3段に重なった色つきのゾーン

パネルの上下には、薄い色の帯が3段になって表示されています。これはEntry Thresholdの1倍・2倍・3倍の位置に引かれたゾーンで、外側にいくほど濃く見えるようになっています。

1段目の内側の境界が、強気・弱気の状態に入るためのラインです。ここを超えて初めて色が変わります。2段目、3段目まで届いているときは、確認に必要な傾きの2倍・3倍のペースで価格が動いているということになります。ゼロラインは真ん中に薄いグレーで引かれていて、傾きの符号が変わる位置を示します。

パネルの縦幅を決めているもの

このゾーンの3段目が、パネル全体の縦の目盛りを決めています。そのためEntry Thresholdを大きくしすぎると、ゾーンだけが上下に伸びて本体の動きが真ん中で潰れて見える、という現象が起きます。表示が小さくなったと感じたら、まずここを疑ってみてください。

3つの状態こそがこのインジケーターの本体です

「Regression Slope Oscillator」を使ううえで、いちばん理解しておく価値があるのがこの状態の仕組みです。

入る基準と出る基準が、わざと違う

正規化された傾きがEntry Thresholdを上に抜けると強気の状態に入り、色が変わります。ここまでは想像どおりですよね。面白いのはここから先で、一度入った状態は、同じラインまで戻ってきても解除されません

解除に使われるのは、Entry ThresholdExit Fractionを掛けた、もっと内側のラインです。初期設定は0.10と0.40なので、0.10を超えて強気に入り、0.04を下回るまで強気のまま。この入口と出口をずらす作りのおかげで、境界付近で色がチカチカ点滅する現象がほとんど起きません

押し目でも色が大きく変わらない、入口と出口をずらしたヒステリシスの効果

移動平均のクロス系を使っていて、境界で何度も反転シグナルが出て困った経験のある方なら、この違いはすぐ体感できるはずです。押し目でいったん傾きが緩んでも、緑・グレーのまま持ちこたえてくれる。私がこのインジケーターを気に入っている理由の半分くらいは、この部分にあります。

ニュートラルを切ると、性格が変わります

Enable Neutral Stateをオフにすると、グレーの状態が消えます。傾きが弱くても直前の方向を保ち続け、反対側のしきい値を抜けるまで色が変わらない2状態のインジケーターに変身するわけです。

「Enable Neutral State」をオフでグレーが消え、緑/赤の二色のみに

常にポジションを持っているスタイルや、方向のバイアスを絶対に切らしたくない場合はこちらが合います。ただしこの設定にするとExit FractionNeutral Colorは効かなくなり、ニュートラルのアラートも鳴らなくなります。レンジ相場で手を止める判断に使いたいなら、オンのままがいいと思います。

ヒゲや窓に引っ張られない、というのが最大の個性

傾きを測るインジケーターは他にもありますが、「Regression Slope Oscillator」が明確に違うのは、外れ値に強い方法で傾きを求めている点です。

一般的な回帰は、期間内のすべての足からのズレが最小になるように直線を引きます。この方法は素直で分かりやすい反面、清算を巻き込んだ長いヒゲや窓開けが1本混じるだけで、直線全体がそちらに引っ張られてしまいます。暗号資産や商品先物では、こういう1本が定期的に出ますよね。

「Regression Slope Oscillator」が採用しているのは、期間内のあらゆる2点の組み合わせから傾きを計算し、その真ん中の値を採用するという考え方です。極端な足が数本混ざっても、真ん中の値はほとんど動きません。Estimator Methodで選べる2つは、この耐性の強さが違います。

Estimator Method外れ値への耐性処理の重さ向いている場面
Theil-Senおよそ29%まで耐える軽い通常はこちらで十分。動作も軽く、初期設定でもある
Repeated Median理論上の上限である50%まで耐える重い窓や瞬間的な突発が多い銘柄。長い期間と組み合わせると負荷が大きい

実際にビットコインの4時間足で両方を切り替えて比べてみると、通常の値動きの場面では線がほぼ重なります。差が出るのは、暴落からの急反発のような、極端な足が数本並んだ直後です。そこでのブレの少なさを取るならRepeated Median、動作の軽さを取るならTheil-Senという判断でよいかと思います。

プリセットでは切り替わらない項目です

Estimator Methodプリセットを変更しても上書きされません。プリセットを切り替えたのに動作が重いままだと感じたら、ここがRepeated Medianのままになっていないか確認してみてください。

なぜ銘柄が変わってもしきい値を変えなくていいのか

求めた傾きは、そのままでは銘柄ごとに桁が違いすぎて比較できません。そこで「Regression Slope Oscillator」は、傾きをボラティリティの単位で割ってから表示しています。Normalization Methodで選べる3つが、その割り方の違いです。

Normalization Method割る対象読み方の目安特徴
ATR平均的な値幅0.10なら1本あたりATRの10分の1のペースボラティリティの変化に自動で追従する。初期設定
Stdev足ごとの変化の標準偏差統計的な検定値に近い読み方ボラティリティの収縮にATRより速く反応する
Percent割らずに率で表示0.10なら1本あたり0.1%のペースボラティリティを一切考慮しない。経済的な基準で決めたいとき

ここが「Regression Slope Oscillator」を使う上で、最も誤解されやすい部分だと思います。3つの読み値には互換性がありません。ATRで0.10だった設定をPercentに変えると、同じ0.10がまったく別の意味になります。方式を切り替えたら、しきい値も必ず調整し直してください。

さらにLog Transformがオンだと、傾きが「1本あたり何%進んでいるか」という比率として扱われます。ビットコインが1万ドルだった時期と10万ドルの時期を同じ物差しで比較できるのは、この処理のおかげです。オフにしたほうがいいのは、価格がゼロや負になり得る対象をSourceに指定した場合くらいで、通常はオンのままで問題ありません。

ゾーンの深さは、順張りと逆張りで真逆に読めます

ここは「Regression Slope Oscillator」の面白いところで、同じ表示をスタイルによって正反対に解釈できます。

順張りで見るなら、深さは「強さ」

2段目、3段目まで届いているということは、確認ラインの2倍・3倍のペースで動いているということです。順張りの立場では、これはトレンドが強まっている証拠であって、決済の理由にはなりません。状態が解除されるまで持ち続ける、というのが基本の使い方になります。

逆張りで見るなら、深さは「伸び切り」

一方で、3段目まで押し込まれた状態はそう長く続きません。逆張りの立場では、外側のゾーンに到達したこと自体ではなく、そこから戻り始めたところが合図になります。到達しただけで逆張りすると、そのまま伸びていく相場に何度も轢かれます。ここは本当に注意してほしいところです。

価格は伸びているのに傾きが戻ってくる場面

価格と傾きのズレが示すトレンドの減速サイン

実際に使っていて一番「おっ」となるのが、この形です。価格は高値を更新し続けているのに、パネルの読み値だけが外側のゾーンから内側へ戻ってくる。これは上昇のペースが落ちていることを示していて、状態が正式に解除されるより早く出るサインになります。

順張りなら損切りを引き上げる根拠として、逆張りなら仕込みの準備として使えます。ただしこれはあくまで「ペースの鈍化」であって、反転の確定ではありません。強いトレンドではこの形が出てから数週間伸び続けることもあるので、単体で反対売買に入るのは避けたほうが無難です。

導入から実際の判断までの流れ

1自分の時間足に合ったプリセットを選ぶ

最初にやるべきはここです。Preset Configurationから、自分が普段見ている時間足に近いものを選びます。5分足から1時間足ならFast Response、4時間足から日足ならDefault、日足から週足ならSmooth Trendが目安です。

2色が変わる位置を過去チャートで確認する

いきなり売買に使わず、まずは過去の相場で色がどこで切り替わっているかを目で追ってみてください。自分の感覚より遅いのか早いのか、ここで掴んでおくと後の調整が楽になります。

3グレーの時間帯を数えてみる

ニュートラルの割合が多すぎると感じるならしきい値が高すぎ、逆にほとんどグレーが出ないなら低すぎます。グレーの時間帯が「たしかにここはレンジだった」と納得できる位置に来ているかを基準に、Entry Thresholdを微調整します。

4価格側の水準と合わせて判断する

状態が強気に変わっても、価格が直近の抵抗帯の真下にいるなら見送る。この一手間を入れるだけで、無駄なエントリーが目に見えて減ります。「Regression Slope Oscillator」は方向とペースを教えてくれますが、どこまで進むかは教えてくれないので、水平線やレンジの高安と併用するのが現実的です。

5アラートを足の確定に固定する

アラートを作るときは、必ず頻度をOnce Per Bar Closeにしてください。理由は後述しますが、ここを間違えると鳴りっぱなしになります。

設定項目の中身と、推奨値

パラメーター初期値推奨値効果
Preset ConfigurationDefault時間足に応じて選択Fast ResponseとSmooth Trendを選ぶと、期間・正規化・しきい値がまとめて上書きされます。Defaultを選んでいる間だけ、下の各項目が手動で効きます
SourceCloseClose傾きを測る対象の価格系列。hl2やhlc3にすると足の中の値幅が加味されてわずかに滑らかになりますが、最も安定した読み値が出るのはCloseです
Log Transformオンオン傾きを比率として扱い、価格帯の違う銘柄や長期の履歴でも読み値を揃えます。価格がゼロや負になる対象を指定した場合だけオフにします
Estimator MethodTheil-SenTheil-Sen傾きの求め方。Repeated Medianに変えると外れ値への耐性が上がる代わりに処理が重くなります。プリセットでは上書きされません
Slope Window2114〜28傾きを測る足の本数。8〜15だと転換に速く反応する代わりにブレが増え、30〜40だと滑らかで確信度の高い読み値になる代わりに遅れます。設定範囲は5〜40です
Normalization MethodATRATR傾きを割る単位。変更するとしきい値の意味そのものが変わるため、変えたら必ずEntry Thresholdを調整し直す必要があります
Normalization Length1410〜20ボラティリティを測る期間。5〜10だと変動の変化に素早く追従し、30〜50だと目盛りが安定して傾きの大きさが素のまま出ます。Percent選択時は効きません
Entry Threshold0.100.08〜0.15状態に入るために必要な傾きの大きさ。上げると弱いトレンドを弾き、下げると早く反応します。実用的な範囲は0.05〜0.30で、上限は1.00です
Exit Fraction0.400.30〜0.50状態を解除する位置をEntry Thresholdの何割にするか。小さいほど状態を長く保ち、1.00にすると入口と出口が同じになって点滅防止の効果が消えます
Enable Neutral Stateオンオングレーの第3状態を使うかどうか。オフにすると常にどちらかの方向を保つ2状態になり、Exit FractionとNeutral Colorが効かなくなります
Display StyleCandlesCandles合成のローソク足で表示するか、1本の線で表示するか。Candlesは傾きの変化とばらつきまで読めますが、処理は線の約3倍になります
Heikin-Ashi Transformオンオン1本ごとのノイズを抑え、トレンドの継続を視覚的につなげます。オフにすると反応は速くなりますが荒くなります。Candles表示のときだけ有効です
Hollow Up Candlesオンオン傾きが増した足を中抜きで描きます。状態の色とは別に、足単位の勢いの増減が読めるようになります
Color PresetCustom好みで選択Classic、Aqua、Cosmic、Cyber、Neonの5つの配色から選べます。Customのときだけ下の3つの色指定が有効になります
Bullish Color#00ffaa好みで選択強気状態の色。上側のゾーンの色も連動します
Bearish Color#ff0000好みで選択弱気状態の色。下側のゾーンの色も連動します
Neutral Colorグレー背景に馴染む色ニュートラル状態の色。ここを目立たない色にしておくと、方向が出ている期間だけが自然に浮き上がります
プリセット選択中は手動設定が効きません

Fast ResponseまたはSmooth Trendを選んでいる間、下の期間やしきい値の欄は数値が表示されていても実際には無視されます。数値を変えても表示が動かないときは、Preset ConfigurationがDefault以外になっていないか確認してください。私も最初これで10分ほど悩みました。

3つのプリセットの中身を比べる

プリセットSlope WindowNormalization LengthEntry ThresholdExit Fraction想定する使い方
Default21140.100.404時間足から日足のスイング。ノイズを弾きつつ、数週間規模の動きの中で転換できるバランス型
Fast Response1070.060.555分足から1時間足の短期。早く状態に入り、早く解除する。デイトレード向け
Smooth Trend34300.150.30日足から週足。数は少ないが確信度の高い状態を、深い押しの間も保持する。ポジショントレード向け

この3つはいずれもATRで正規化されます。表を眺めると設計思想が見えてきて、Fast Responseは「入りやすく抜けやすい」、Smooth Trendは「入りにくく抜けにくい」という対称的な作りになっているのが分かります。Defaultという選択肢は、実質的には「手動で設定する」という意味で、表示されている21や0.10はあくまで初期状態の値です。

目的別に、どこをどういじるか

プリセットで足りないときの調整の方向性を挙げておきます。

  1. もっと早く方向を掴みたいときは、Slope Windowを12前後まで短くしたうえでEntry Thresholdを0.06〜0.08に下げます。ただしグレーの時間が減り、弱いトレンドも拾うようになります
  2. ダマシを減らしたいときは、Entry Thresholdを0.15〜0.20へ引き上げるのが第一手です。期間を伸ばすより副作用が少なく、効果も直接的です
  3. 状態をもっと長く保ちたいときは、Exit Fractionを0.25前後まで下げます。深い押しでも色が変わりにくくなり、大きな波を追いやすくなります
  4. ボラティリティの急変に強くしたいときは、Normalization Lengthを7〜10に短くします。変動が縮んだ局面での読み値が持ち上がり、静かな相場でも状態を拾えるようになります
しきい値をゼロにするとどうなるか

Entry Thresholdを0にすると、ゼロラインを跨ぐたびに色が変わる純粋な符号追従型になります。ニュートラルには到達できなくなるため、Enable Neutral StateとExit Fractionも効かなくなります。このときゾーンの目盛りだけは0.10を基準に描かれ、表示は保たれます。実験としては面白いのですが、点滅を抑える設計を自ら捨てることになるので、常用はおすすめしません。

得意な相場と、はっきり苦手な相場

実際にビットコインの4時間足と日足で数か月分を見返してみた印象をまとめます。

気持ちよく機能する場面

方向が定まって、押しを挟みながら段階的に伸びていく相場です。この形では色が長く維持され、押し目のたびに中抜きから塗りつぶしへ変わって、また中抜きに戻る。押し目の入り口と終わりが視覚的に追えるので、途中参加の判断にも使えます。

ボラティリティが拡大していく初期の局面も相性がいいです。正規化にATRを使っている都合で、変動が拡大しきったあとよりも、拡大が始まった直後のほうが読み値が伸びやすくなります。

苦手な場面

ひとつは、値幅の狭いレンジがだらだら続く相場。この状況では読み値がしきい値の内側に張りついてグレーのままになります。これは誤作動ではなく設計どおりの動きなのですが、「何も教えてくれない時間」が長くなるのは事実です。

もうひとつは、レンジ幅がそこそこ広く、上下に振れ続ける相場です。片方向に数本伸びるたびに状態が確認され、逆側に振れて解除される、というのが繰り返されます。ここが「Regression Slope Oscillator」で最もダマシが出やすい環境で、上位足の方向確認なしに使うと消耗します。

そして急落からのV字反発。傾きを平均的に測る性質上、下向きの状態から抜けるまでに何本か必要で、反発の初動には間に合いません。天底を当てる道具ではない、と割り切ったほうがいいです。

使ってみて感じた良いところと物足りないところ

強み

  • 長いヒゲや窓が数本混ざっても読み値が壊れにくい
  • 正規化により、銘柄や時間足を変えてもしきい値をそのまま使える
  • 入口と出口をずらす設計で、境界での色の点滅がほとんど起きない
  • ニュートラルがあるため「トレンドがない時間」を明示的に判断できる
  • ゾーンの深さで順張りにも逆張りにも解釈でき、応用の幅が広い
  • 確定した足の読み値は後から書き換わらない
  • プリセットが時間足別に用意されていて、導入直後から実用的な設定で使える

弱み

  • 傾きを平均的に測る構造上、転換への反応はどうしても遅れる
  • 正規化の方式を変えるとしきい値の意味が変わり、調整をやり直す必要がある
  • 幅のあるレンジ相場では状態の切り替わりが増えてダマシになりやすい
  • Repeated Medianと長い期間、Candles表示を組み合わせると動作が重くなる
  • 価格の水準やどこまで伸びるかは一切示さない
  • 形成中の足では状態が途中で入れ替わることがある

ここだけは間違えないでほしい注意点

リペイントはありません。ただし条件があります

過去のシグナルが後から消えたり、位置がずれたりする、いわゆるリペイントはありません。上位足のデータを取りに行く処理も、未来の値を参照する処理も含まれていないため、足が確定した時点で読み値と状態は確定し、その後に書き換わることはないという作りになっています。ここは安心して使える部分です。

ただし形成中の足は別です。現在の足を含めて傾きを測っているので、値動きのたびに読み値が更新され、状態が途中で強気に変わってから確定前に戻る、ということが起こり得ます。過去チャートを眺めていると綺麗に見えるのに、リアルタイムだと迷う、という差はここから生まれます。

アラート作成時の必須設定

アラートを作るときは、必ず頻度をOnce Per Bar Closeにしてください。形成中の足で状態が入れ替わるたびに通知が飛んでしまうためです。用意されているのは「Any State Change」「Bullish State」「Bearish State」「Neutral State」「Bullish Zero Cross」「Bearish Zero Cross」の6種類。ゼロラインのクロスはしきい値の確認より早く出ますが、その分だけ確度は下がると考えておいてください。

単体での売買判断は避けてください

「Regression Slope Oscillator」が答えてくれるのは「今どちらへ、どれくらいのペースで動いているか」だけです。価格がどの水準にいるのか、直近の高安はどこか、上位足はどちらを向いているのか、といった情報は一切含まれていません。

状態が強気に変わった位置が、たまたま週足の抵抗帯の真下だった。こういう場面は普通にあります。方向の確認役として使い、入る場所は別の根拠で決める。この分担にしておくのが現実的だと思います。

表示が動き出すまでに助走が必要です

Slope Windowで指定した本数がそろうまで、読み値は表示されません。チャートを表示した直後の左端に何も出ていないのは、この助走期間があるためです。また、傾きを求める処理は期間の2乗に比例して重くなるため、期間を40にしてRepeated MedianとCandlesを同時に使うのが最も負荷の高い組み合わせになります。動作が重いと感じたらDisplay StyleをLineにするだけでも体感が変わります。

何と組み合わせると噛み合うのか

「Regression Slope Oscillator」に足りていないのは「場所」の情報です。そこを補える組み合わせが噛み合いやすい、というのが使ってみての実感です。

  • 水平線・レンジの高安との組み合わせが最も相性がいいです。方向をこちらで確認し、入る位置は水平線で決めるという分担ができます
  • 出来高系を添えると、状態が確認されたときにそれが実需を伴っているのかを確かめられます。出来高の乏しい確認は続きにくい印象があります
  • 上位足の同じインジケーターを並べる使い方も有効です。日足で強気、4時間足でニュートラルなら押し目の準備、といった判断ができます
  • RSIなどの買われすぎ売られすぎ系とは、見ているものが違うぶん補完関係になります。ペースと過熱度は別物なので、両方が同じ向きを示す場面は根拠として厚くなります

逆に、移動平均の傾きを見るタイプのインジケーターと重ねるのはあまり意味がありません。役割が重複するので、パネルが混むだけになりがちです。

どんなトレーダーに向いているか

「Regression Slope Oscillator」がはまるのは、トレンドが出ている時間帯だけを選んで参加したい人だと思います。グレーの間は見送り、色がついたら方向に沿って動く。この単純なルールを、色という形で機械的に判断できるのが強みです。

時間足で言えば、プリセットの想定どおり4時間足から日足のスイングが最も扱いやすく感じました。日足や週足のポジショントレードでは、Smooth Trendの「深い押しでも状態を保つ」性質が効いてきます。デイトレードでもFast Responseで対応できますが、短い時間足ほどレンジの往復が増えるので、上位足の方向確認と併せる前提で考えたほうがいいです。

一方でスキャルピングには向きません。傾きを一定の本数から求める構造上、数本先の値動きを取りにいくスピードには追いつけないためです。

導入するかどうか、私なりの結論

正直なところ、最初にパネルを見たときは「何を見ればいいのか分からない」と思いました。合成のローソク足も3段のゾーンも、初見では情報が多く感じます。ところが数日使ってみると、見るべきものは色と、ゾーンのどのあたりにいるかの2つだけだと気づきます。そこからは、むしろ判断が速くなりました。

評価できるのは、点滅しない工夫がきちんと設計に組み込まれていることです。トレンド判定系のインジケーターは境界での往復に悩まされがちですが、入口と出口を分けるという明快な解決策が入っていて、押し目でも色が持ちこたえてくれます。加えて正規化のおかげで、ビットコインで詰めた設定をそのままゴールドや株価指数のチャートへ持っていける。この移植のしやすさは、複数銘柄を見る人にとって想像以上に効いてきます。

物足りない点を挙げるなら、やはり反応の遅さです。これは仕組みから来る性質なので回避のしようがなく、天底を狙う道具として期待すると必ず裏切られます。もうひとつ、しきい値の数値が正規化の方式に紐づいている点は、最初にきちんと理解しておかないと設定が迷子になります。

それでも、トレンドの有無とペースを、銘柄を問わず同じ物差しで判断したいという目的に対しては、かなり素直に応えてくれるインジケーターだと思います。まずはプリセットのまま自分の時間足に入れて、グレーの時間帯が納得のいく位置に来ているかを確かめる。そこがしっくりくれば、長く使える1本になるはずです。

この記事の要点

「Regression Slope Oscillator」は価格の傾きを外れ値に強い方法で測り、ボラティリティで割って3つの状態に振り分けるトレンド判定オシレーターです。色で方向、ゾーンの深さで強さを読み、グレーの間は手を止める。確定した足の読み値は書き換わらないので、アラートは足の確定に合わせて運用してください。

参照元・データ出典:この記事は、チャートプラットフォーム「TradingView」にて、クリエイター「QuantAlgo」が制作したインジケーターを実際に使用し、徹底分析を行った上で公開しています。

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執筆者Vowarsトレーダー / インジケーター開発者 / Webクリエイター
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Web制作会社でオウンドメディアの編集者として勤務する傍ら、約8年前から暗号資産(仮想通貨)投資を開始しました。現物取引から先物取引まで実践する中でチャート分析の奥深さに魅了され、TradingViewのインジケーターを個人で自作開発するまでにのめり込みました。 ​当ブログでは、TradingViewインジケーターの使い方や弱点、関連用語の解説を中心に行っています。特定銘柄への投資勧誘を行うものではなく、皆様が自身の目で確かめ、知識を深めて自力をつけるための「補助輪」のような役割と考えており、正確な情報発信を目指しています。 ​掲載情報はすべて自身で検証を行った一次情報に基づき、実際の使用感や注意点も含めて包み隠さずお届けすることを徹底しています。

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