AI・クオンツマーケット構造

スイング実測から未来を描く予測コーンインジケーター「Market Path Forecast」を実際に入れて検証。

スイング実測から未来を描く予測コーンインジケーター「Market Path Forecast」を実際に入れて検証。
インジケーター 無料 Market Path Forecast
このインジケーターの製作者 BOSWaves
5段階評価で 3.8 難易度 中級
この評価にした理由 「Market Path Forecast」は売買のタイミングを出すインジケーターではなく、進行中のスイングがどこまで・いつまで続きそうかを示す分析・可視化型のツールです。評価を押し上げたのは独自性で、その銘柄自身の過去スイングから目標と残り時間を割り出し、過去の節目にも寄せる組み立ては他であまり見かけません。一方で信頼性はやや控えめにしました。Confluence Radiusを動かしても表示が変わらないなど、設定画面の説明と実際の挙動が合わない箇所があり、この点を総合点から0.1差し引いています。利確と撤退の基準を数字で持ちたい人には合いますが、エントリーの合図を求めると噛み合いません。
この難易度にした理由 チャート上の見た目はコーンとターゲットゾーンだけなので、表示を読むこと自体は難しくありません。ただし、標準偏差や信頼区間という統計の考え方が前提にあり、「コーンの幅が何を意味するのか」を理解しないと数字を過信しやすい設計です。加えて設定項目が20を超え、特にMinimum Target Distanceの初期値は最初に調整が必要になります。目標が毎バー動く仕様や、方向転換直後は統計の精度が落ちる点も把握しておきたいところ。スイング分析とATRの概念に馴染みがある人なら問題なく扱えます。

総合評価 3.8/ 5.0

評価基準について

  • 充足性 3.8 作者が掲げた目的を、実際の表示や挙動がどこまで果たしているか。 自分の銘柄のスイング統計から目標・所要時間・ブレ幅を即座に出せる点は、手計算よりはるかに速いです。作者が説明する構造ゾーンの経年フェードは表示に反映されていません。
  • 独自性 4.5 既存のインジケーターにない視点・構造・見せ方を持っているか。 過去スイングの所要バー数から残り時間を割り出してコーンの長さを変える発想は、同種のツールでほとんど見かけません。統計値を過去の節目へ寄せる構造スナップも独自です。
  • 可読性 3.8 チャートに入れたときに、意図した情報を誤解なく読み取れるか。 上下でコーンの色が切り替わり、各レベルに名前付きのラベルが付くため、慣れれば迷いません。初期設定では6本のレベルと構造ゾーンが重なり、右端がやや混み合います。
  • 適応性 4.0 自分の銘柄・時間足・トレードスタイルに合わせ込めるか。 銘柄ごとの値動きの大きさに自動で合わせるため、ゴールドでも暗号資産でも同じ設定で成立します。ただし目標の最低距離の初期値が上限に置かれており、最初に調整が必要です。
  • 信頼性 3.3 表示されたものを、そのまま信じて判断材料にできるか。 未来の値を参照せず確定足の表示は安定しており、バーリプレイで過去の予測も再現できます。一方でConfluence Radiusなど、動かしても表示が変わらない項目があります。
この記事の要約
どんなインジケーター?
結論

「Market Path Forecast」は、その銘柄自身の過去スイングの値幅と所要バー数を集計し、次の到達価格・所要時間・ブレ幅をコーンと6本のレベルで示す予測系インジケーターです。目標設定と撤退基準の可視化に向きます。

もっと詳しく
この記事の要点
  • 過去の完成スイングの値幅%と所要バー数を直近重視で平均し、次の目標価格と予測期間を推定する
  • 予測コーンは外側・内側・中心線の3層で、幅は過去スイングのばらつき(標準偏差)×信頼区間で決まる
  • Target 1/2/3、Extension、Support(Resistance)、Invalidationの最大6レベルをゾーンで表示
  • 各レベルは近くの過去ピボット価格に引き寄せられる構造スナップを持ち、統計値と実際の節目を重ねられる
  • 予測の描画は最新バーのみで、過去にどう出ていたかはチャートに残らない
  • 方向は直近高値・安値の更新で切り替わり、未確定足では反転が入れ替わることがある
  • 初期値のMinimum Target Distanceが上限の5なので、目標が遠くなりがちで最初に調整したい項目
  • スイングが安定した銘柄・トレンド相場で機能しやすく、細かいレンジでは推定が荒くなる

チャートに「この後どこまで、どのくらいの時間をかけて動きそうか」を描いてくれるツールは山ほどありますが、その根拠がフィボナッチ比率やATRの固定倍数だと、どうしても「その銘柄らしさ」が反映されません。今回取り上げる「Market Path Forecast」は、そこを真正面から作り替えにきたインジケーターです。

Market Path Forecastをチャートに表示した全体像
Market Path Forecastをチャートに表示した全体像

ひとことで言えば、その銘柄が過去に実際どれくらい動いて、どれくらいの時間で1本のスイングを終えてきたかを集計し、その実測値から次の到達地点を描くタイプ。ビットコインの4時間足に入れて数日眺めてみましたが、他の予測系とは毛色がかなり違いました。順番に見ていきます。

「Market Path Forecast」はどんなインジケーターなのか

「Market Path Forecast」は、現在進行中のスイングがどこまで伸びて、あとどれくらい続きそうかを、扇状のパス(コーン)と複数のターゲットゾーンで表示するインジケーターです。作者はBOSWaves。TradingViewでの表示はオーバーレイ型で、ローソク足の上に直接描画されます。

ポイントは、目標価格の出どころです。一般的な予測ラインは「直近安値からフィボ1.618」「ATRの3倍」といった外から与えた比率で決まりますが、「Market Path Forecast」はその銘柄でこれまでに完成した上昇レッグ・下降レッグの値幅(%)と所要バー数を蓄積し、その加重平均を次の予測に使います。つまり、ボラティリティの大きい銘柄では自動的に遠い目標が、値動きが小さい銘柄では近い目標が出ます。設定を触らなくても銘柄ごとに勝手にスケールが合う、という発想です。

見るものは大きく3つあります。

  • 予測パス(コーン):現在値からTarget 3へ向かって伸びる3層の扇。中心線が期待される平均的な道筋、外側がブレの上限・下限
  • 予測レベル:Target 1/2/3、Extension、Support(またはResistance)、Invalidationの最大6本
  • ヒストリカル構造ゾーン:過去のピボット高安から生成される緑(サポート)と赤(レジスタンス)の帯
まず押さえたい設計思想

「Market Path Forecast」の目標値は、外から与えた比率ではなく、その銘柄が実際に歩いてきた歩幅の平均です。だから同じ設定でもゴールドとビットコインとでは全く違う距離感の目標が出ます。ここを理解しておくと、表示された数字の重みが変わってきます。

チャート上に何が出るのか

予測コーン(3層のパス)

いちばん目を引くのがこのコーンです。現在のバーから右方向へ、Target 3の価格に向かって扇形が伸びます。上目線のときはシアン系、下目線のときはオレンジ系に色が変わるので、方向は一瞬で分かります。

構造は3層で、外側のうっすらした帯、内側のやや濃い帯、そして太い中心線。中心線が「平均的にはこの道筋」を示し、帯の広がりが不確実性です。特徴的なのは、扇の付け根(現在値)では帯がほとんど閉じていて、右へ行くほど広がっていくこと。時間が経つほど予測がブレるという当たり前の性質が、そのまま形になっています。

予測パスは3層で描かれ、右に行くほど広がる

予測パスは外側・内側・中心線の3層でできています。付け根はほぼ閉じていて、先に行くほど開きます。

予測パスは3層で描かれ、右に行くほど広がる現在値から右へ伸びる扇形の帯を、外側の薄い層、内側の濃い層、中央の太い線の3層で描いた模式チャートです。Target 3現在値外側の縁が信頼区間いっぱい太い線が平均的な道筋起点はほぼ閉じている

Vowars DE ver.3.4.1

帯の幅は過去のスイングのばらつきから決まり、Confidence Interval (SD) の数値でまとめて伸縮します。先に行くほど広がるのは、時間が経つほど推定がぶれるためです。中心線がまっすぐでなく反っているのは、そのときの勢いに合わせて道筋を曲げているからです。

もうひとつ、コーンはまっすぐではなく少し反っています。これは短期と中期の移動平均の乖離、つまり今のモメンタムに応じて道筋を曲げているためです。勢いがある方向へ膨らむので、上昇局面では上に弧を描き、失速すると弧が浅くなります。地味ですが、直線の予測ラインより「今の勢い」が見えて気に入っています。

6本の予測レベル

コーンの右側、水平のゾーンとして描かれるのが予測レベルです。ラベルには名前と価格が出ます。まずは並び方を見てください。

上向きの予測が出たときに並ぶ6本のレベル

上向きの予測が出ると、現在値の上に3つの目標が、下に2つの撤退の目安が並びます。

上向きの予測が出たときに並ぶ6本のレベル現在値の上に Target 1・2・3 と Extension、下に Support と Invalidation が水平の帯として並んだ模式チャートです。InvalidationSupportTarget 1Target 2Target 3Extension40%70%100%現在値6本とも現在値から測る

Vowars DE ver.3.4.1

Target 3までの距離を100としたとき、Target 1は40、Target 2は70の位置に置かれます。Extensionはそのさらに外側で、過去のスイングのばらつきが大きい銘柄ほど遠くなります。下の2本は逆行したときの目安で、Invalidationを終値で抜けると今の予測は成り立たなくなります。

それぞれ役割が違うので、まとめておきます。

レベル名 位置 役割
Target 1 基準距離の40%地点 最初の到達候補。点線+細めのゾーンで控えめに表示される
Target 2 基準距離の70%地点 中間目標。破線で表示され、分割利確の目安になりやすい
Target 3 基準距離の100%地点 本命目標。実線で最も濃く描かれ、コーンの終点もここ
Extension Target 3の外側 平均より大きく伸びたときの到達想定。紫色で表示
Support / Resistance 現在値の反対側・近い方 逆行したときに最初に当たる想定の節目。上目線ならSupport表記
Invalidation 現在値の反対側・遠い方 ここを超えたら今の予測が成り立たなくなるライン

Extensionの位置は固定ではありません。過去スイングのばらつきが大きい銘柄ほどTarget 3から遠くに置かれます。逆に歩幅が揃っている銘柄では、Target 3のすぐ外に張り付きます。だからT3とExtensionの間隔そのものが「この銘柄は暴れやすいのか」を示すメーターになっていて、私はここを最初に見るクセがつきました。

ヒストリカル構造ゾーン

チャートの左側に残っている緑と赤の帯が構造ゾーンです。過去のピボット高値・安値から生成され、右方向に伸び続けます。終値がゾーンを抜けると点線に変わって色が薄くなり、そのまま伸びるのを止めます。抜けてから一定期間が経つと消えます。

この帯はただの飾りではなく、後述する「構造スナップ」の材料になっています。表示を消してもスナップ自体は働き続けるので、チャートをすっきりさせたい人はオフにしても構いません。

表示を消してもスナップは生きている

Show Historical Structureをオフにしても、ターゲットが節目に吸い寄せられる動きは変わりません。帯が邪魔に感じたら遠慮なく消して大丈夫です。

なぜこういう位置に目標が出るのか

ここが「Market Path Forecast」の心臓部です。読み手が数字を信じられるかどうかは、この理屈が腑に落ちるかにかかっているので、少し丁寧に書きます。

スイングの実測値をため込む

まず、直近一定期間の高値を更新すると上目線、安値を更新すると下目線へと内部の方向が切り替わります。この切り替わりが起きたタイミングで、直前まで進んでいたレッグが1本完成したとみなされ、その値幅(%)と所要バー数が記録されます。上昇レッグは上昇用、下降レッグは下降用と、別々の引き出しに入っていきます。

この引き出しは満杯になると古いものから捨てられていくので、いつまでも大昔のデータを引きずることはありません。

直近のスイングを重く見る

平均の取り方も単純平均ではありません。新しいサンプルほど重みが大きくなる加重平均で、古いものは軽く扱われます。相場の性格が変わったとき、平均が引きずられ続けないための工夫です。標準偏差も同じ重みで計算されていて、これがコーンの幅になります。

ただし、今の方向のサンプルが3本に満たないときは、上下を合算した引き出しから数値を借りてきます。導入直後や上場間もない銘柄では、上昇の予測なのに下降の統計が混ざっている可能性がある、ということです。使い始めのしばらくは表示を鵜呑みにしない方が安全でしょう。

何も表示されないときは

完成スイングが3本たまるまで、コーンもレベルも一切描かれません。チャートを開いた直後に何も出ない場合は、表示バー数が足りていないか、Swing Lengthが大きすぎてスイングが検出されていないと考えてください。時間足を下げるか、期間を短くすると出てきます。

コーンの幅が決まる仕組み

幅の元になるのは、過去スイング値幅のばらつきです。それを現在値に換算し、Confidence Interval (SD)の倍率をかけたものが半幅になります。設定画面の説明にもあるとおり、1.0がおよそ68%、1.5で87%、2.0で95%の範囲という位置づけです。統計の言葉に馴染みがなければ、「1.0なら、過去のスイングの3分の2くらいはこの帯の中に収まっていた」くらいの理解で十分だと思います。

なお幅には下限と上限の両方が効いていて、ばらつきが極端に小さくても帯が線のように潰れることはなく、逆に大きすぎてもTarget 3までの距離に対して広がりすぎないよう抑えられます。ここは見やすさへの配慮でしょう。

構造スナップという味付け

個人的にこのインジケーターで一番おもしろいと思ったのが構造スナップです。統計から出た生のターゲット価格の近くに過去のピボット価格があると、ターゲットがその節目の方へ引き寄せられます。引き寄せの強さは設定で変えられ、0なら完全に統計値のまま、1.0なら節目にぴったり吸着します。

予測レベルが近くの過去の節目に引き寄せられる

赤が過去の高値の帯、緑が過去の安値の帯です。統計から出たレベルの近くにこの帯があると、レベルはそちらへ寄っていきます。

予測レベルが近くの過去の節目に引き寄せられる過去の高値と安値から作られた赤と緑の帯に対して、統計から出た Target 1 の位置が近くの高値の帯のほうへ寄せられる様子を描いた模式チャートです。現在値Target 1Target 2Target 3スナップ前の位置▼この高値の帯へ寄せられる

Vowars DE ver.3.4.1

灰色の破線が統計だけで決まる位置、下の Target 1 が寄せられたあとの位置です。寄せの強さは Structure Snap Strength で決まり、初期値の0.65なら節目にぴったり乗るのではなく、途中まで寄ったところで止まります。左側の点線の帯は終値が抜けてしまったゾーンで、抜けた時点で右への延長が止まります。

しかも吸着先の種類が方向で切り替わります。上目線のときのターゲットは過去の高値へ、下目線のときは過去の安値へ引き寄せられる。逆にSupport/Resistanceとinvalidationは反対側の節目を探しにいきます。「統計的にこのくらい」と「みんなが見ている節目」の両方を1本のラインに重ねようという設計です。

注意したいのは、初期値の0.65では節目にぴったり乗るわけではないという点。統計値と節目のあいだ、節目寄りの位置で止まります。ラインが節目のわずかに手前で止まっているように見えるのは仕様で、ズレではありません。

ただし、引き寄せの結果レベル同士が近づきすぎないように、最低限の間隔が強制される仕組みも入っています。だからT1とT2が重なって読めなくなる、ということは起きません。

適応型ホライズン(予測の長さ)

Market Path Forecast

コーンの長さも固定ではありません。Adaptive Forecast Horizonがオンだと、過去スイングの平均所要バー数から、今のスイングがすでに消化した分を引いた「残り時間」でコーンが描かれます。スイングが始まったばかりなら長く、すでに時間を使っていれば短く。時間の経過とともにコーンが縮んでいく挙動は、他のインジケーターではあまり見ない動きでした。

残り時間には下限と上限があるので、極端に短くなったり画面外まで伸びたりはしません。オフにすると固定バー数での投影に切り替わります。

実際にどう使うか

ここからは運用の話です。私がビットコインの4時間足と1時間足で試した流れをそのまま書きます。

1まずコーンの向きと太さを見る

色で方向、太さでばらつきを確認します。細いコーンは「歩幅が揃っている=目標の信頼度が相対的に高い」、太いコーンは「毎回バラバラ=目安程度に見ておく」という読み方です。太いときにターゲット価格をピンポイントで信じるのは、そもそも設計思想に反します。

2価格がコーンのどこを歩いているかを追う

これが日々のモニタリングです。中心線より外側、外縁を舐めるように進んでいるなら、平均以上の勢いが出ているサイン。逆に、序盤なのに中心線より内側へ沈み込んで横ばうようなら、想定より伸びていないということになります。コーンは「当たり外れ」ではなく「今の進捗の速さ」を測る物差しとして使うと、かなり実用的です。

3T1・T2・T3を分割決済の枠に使う

ひとつの目標に全部を賭けるより、40%地点・70%地点・100%地点で段階的に利益を確保するほうが、この設計とは相性がいいです。特にTarget 1は基準距離の40%地点なので、到達頻度は他より高くなります。ここで一部を利確して残りを伸ばす、という組み立てがやりやすい。

4Invalidationを撤退基準として固定する

反対側にある2本のうち、遠い方がInvalidationです。ここを終値で抜けたら「今の予測はもう前提が崩れている」と判断する。損切りをここに置くかどうかは資金管理次第ですが、少なくともポジションの根拠が消えた地点として扱うのが素直な使い方だと思います。手前のSupport/Resistanceは、途中で一度反発が入りそうな場所、くらいの位置づけです。

5方向転換のアラートを仕掛ける

「Market Path Forecast」には方向転換のアラートが2種類用意されています。上目線への転換と下目線への転換。予測が切り替わった時点で新しいコーンが引き直されるので、チャートに張り付けない人はアラート運用が現実的でしょう。作成時は確定足で鳴る設定にしておくのが無難です。

得意な場面、苦手な場面

統計ベースという性格上、機能する相場としない相場がはっきり分かれます。作者側の説明とも整合しますが、実際に触った感触も付けて整理します。

機能しやすい場面

  • スイングの値幅が揃っている銘柄。コーンが細くなり目標の解像度が上がる
  • 方向感のあるトレンド相場。レッグが順次完成して統計が更新され続ける
  • 過去の節目が明確な銘柄。スナップが効いて統計と構造が重なる
  • 利確目標を機械的に決めたいスイング〜ポジショントレード

機能しにくい場面

  • 細かいレンジ。小さなレッグばかりが記録され平均が縮む
  • 値幅が毎回バラバラな銘柄。コーンが広がって目標が曖昧になる
  • ボラティリティの体質が急変した直後。過去平均が現状に合わない
  • 1分足など、ノイズがそのままサンプルになってしまう超短期

時間足別で言うと、私は1時間足から日足の範囲がいちばん扱いやすいと感じました。5分足でも動きますが、スイング検出の期間を短くしないと1日に数回しか転換せず、逆に短くしすぎるとノイズを平均に食わせることになります。デイトレードなら15分〜1時間足、スイングトレードなら4時間足〜日足、あたりが素直な使いどころでしょう。スキャルピングには構造的に向いていません。

パラメーター設定を読み解く

設定項目はかなり多いですが、実際に結果へ影響するのは一部です。グループごとに整理します。

Forecast Detection(検出の土台)

パラメーター初期値推奨値効果
Swing Length1612〜20(短期足は8〜12)スイング判定に使う期間。大きくすると転換が減って大きな波だけを拾い、小さくすると反応が早くなる代わりに細かい揺れも1本のレッグとして記録される
Historical Swings2015〜20統計に使う過去スイングの本数。多いほど平均が安定するが相場変化への追随は鈍る。10前後まで減らすと直近の性格を強く反映する
Volatility Length200100〜200ボラティリティ計測の期間。ゾーン幅、最低目標距離、スナップ範囲すべての基準になる。短くすると直近の荒れ方に敏感になり、目標距離やゾーンが日替わりで変わりやすい

この3つは全体のスケールを決める土台です。特にSwing Lengthは最重要で、予測が頻繁にひっくり返ると感じたら真っ先に上げるべき項目。逆に「転換が遅すぎて使えない」なら8〜10まで下げると別物のように反応が変わります。

Market Path(コーンの見た目と長さ)

パラメーター初期値推奨値効果
Show Forecast Pathオンオン予測コーンの表示切り替え。レベルだけ使いたい場合はオフでチャートが軽くなる
Adaptive Forecast Horizonオンオン予測期間を平均スイング所要時間の残り分から自動算出する。オフにすると固定バー数になる
Fixed Forecast Bars7840〜78適応型をオフにしたときの投影バー数。オンの間は使われない
Minimum Bars88〜12適応型でも最低限これだけは投影する下限。スイング終盤でもコーンが潰れないようにする
Maximum Bars10560〜105投影の上限。長すぎるコーンが邪魔なら60前後まで下げると画面が締まる
Forecast Width21.2〜1.5コーンとレベルの横方向の表示倍率。統計の中身は変わらず見た目の長さだけが伸びる。初期値は最大寄りなので右に広がりすぎると感じたら下げる
Confidence Interval (SD)1.01.0(絞るなら0.5、広く見るなら1.5〜2.0)コーンの縦幅を決める標準偏差の倍率。数値を上げるほど帯が広がり、より稀なケースまで含んだ範囲になる
Minimum Target Distance51.0〜2.0現在値と目標の最低距離をボラティリティの倍数で指定する。初期値は設定可能な最大値のため、統計から出た目標よりこの下限が優先されやすい
Path Curvature0.450〜0.45モメンタムに応じたコーンの反り具合。0にすると直線的になり、目標だけを淡々と見たい場合に向く
最初に見直したいのはMinimum Target Distance

Minimum Target Distanceの初期値5は、この項目で設定できる上限そのものです。目標は「統計から出た価格」と「現在値からこの距離だけ離れた価格」の遠い方が採用されるため、初期状態では統計値ではなく下限のほうが効いているケースがよくあります。「Target 3が遠すぎて現実味がない」と感じたら、まずここを1.0〜2.0へ下げてみてください。表示が一気に締まります。

Forecast Levels(ターゲットの出し方)

パラメーター初期値推奨値効果
Show Forecast Levelsオンオンターゲットゾーン全体の表示切り替え
Number of Levels63〜6T1から順に何本表示するか。3にするとT1〜T3のみ、6でExtensionと反対側の2本まで表示。チャートを整理したいなら3が見やすい
Forecast Zone Width0.100.10〜0.15各レベルの帯の厚み。厚くすると「点」ではなく「ゾーン」として扱いやすくなるが、レベル同士の最低間隔も広がる
Level Start Offset0.380.25〜0.38レベルの帯が右方向のどこから描き始まるか。小さくすると現在値寄りから描かれ、コーンと重なって見える
Structure Snap Range0.750.75〜1.2どれだけ近い節目までスナップ対象にするか。広げるほど節目に吸着しやすくなるが、遠い節目まで拾って統計値から離れる
Structure Snap Strength0.650.65〜0.8吸着の強さ。0で統計値そのまま、1.0で節目に完全一致。節目重視の人は0.8以上、統計重視なら0.3前後
Confluence Radius0.40初期値のままレベル周辺の節目を数える探索半径として用意されているが、動かしてもチャート表示に変化は確認できなかった項目

実験のつもりでConfluence Radiusを最小から最大まで動かしてみたのですが、レベルの位置も色も何も変わりませんでした。おそらく将来の拡張用に置かれている項目だと思われるので、ここを調整して挙動を追い込もうとするのは時間の無駄になります。触らないでおきましょう。

Historical Structure(構造ゾーン)

パラメーター初期値推奨値効果
Show Historical Structureオンオン(見づらければオフ)構造ゾーンの表示切り替え。オフにしてもスナップの計算には影響しない
Structure Pivot Length55〜10構造検出のピボット期間。大きくするとゾーンが減って重要な節目だけが残り、スナップ先も厳選される
Structure Zone Width0.180.15〜0.25構造ゾーンの厚み。薄くするとラインに近い見た目、厚くすると帯として扱える
Maximum Zones126〜12同時表示するゾーンの上限。超えると古い順に消える。チャートが賑やかすぎるなら6へ
Maximum Zone Age350200〜350ゾーンの寿命。短くすると直近の構造だけが残り、長くすると古い節目も画面に残り続ける

Style欄では各要素の色と、ラベルに価格を出すか名前を出すかを切り替えられます。Show Level PricesとShow Level Namesの両方をオンにすると「Target 2 68450.00」のような表示になりますが、レベルを6本出していると右端がかなり混みます。私は名前だけオンにして価格はオフ、という組み合わせに落ち着きました。

用途別のおすすめ調整

  1. ノイズを減らして大きな波だけ追いたい:Swing Lengthを20〜24へ、Structure Pivot Lengthを8〜10へ。転換の回数が減り、残るゾーンも厳選されます
  2. 反応を早くしたい:Swing Lengthを8〜10へ下げ、Historical Swingsも10前後へ。直近の値動きに素早く合わせにいく設定です
  3. 目標を現実的な距離に寄せたい:Minimum Target Distanceを1.0〜1.5へ。ここだけで印象が大きく変わります
  4. 節目との一致を重視したい:Structure Snap Strengthを0.85前後、Structure Snap Rangeを1.0〜1.2へ
  5. チャートをすっきりさせたい:Number of Levelsを3、Maximum Zonesを6、Forecast Widthを1.2へ

使う前に知っておきたい挙動のクセ

ここは正直に書きます。良いところだけ並べても導入判断の役に立たないので。

予測は最新バーにしか描かれない

これが最大のクセです。コーンとターゲットは常にチャートの右端、最新バーにだけ描画されます。左へスクロールしても過去のコーンは残っていないので、描画が残るタイプのインジケーターのように、過去の出方をざっと目で追うことはできません。予測系ツールとしては合理的な作りですが、ひと目で振り返るという手は使えなくなります。

Market Path Forecast

ただし、抜け道はあります。バーリプレイで1本ずつ進めていくと、再生中の各バーでコーンとレベルがきちんと描かれます。統計はチャートの先頭からその地点までのスイングだけで積み上がるので未来の情報は混ざらず、検証としてはフェアです。難点は1本進めるごとに手動操作が要ること、そしてイントラデイで遡れる期間がプランと時間足に左右されること。検証はできますが、根気は要ります。

レベルは現在値を基準に毎回引き直される

ターゲットの計算基準は「現在の終値」です。したがって価格が動けばターゲットも一緒に動きます。昨日見たTarget 2の価格が今日も同じとは限りません。「一度出た目標が固定される水平ライン」だと思っていると期待を裏切られます。

この性質を踏まえると、ターゲット価格をメモして注文を置きっぱなしにするより、その時点での距離感・進捗の目安として都度読むという使い方のほうが設計に合っています。

目標価格の固定はできません

Target 1〜3もInvalidationも、毎バー現在値から再計算されて位置が変わります。損切り注文の根拠に使う場合は、エントリー時点の価格を自分でメモして固定するか、水平ラインを手動で引き直す運用が必要です。

未確定足での方向は揺れることがある

方向の切り替えは高値・安値の更新で起きるため、形成途中のバーでは条件が成立したり消えたりします。確定足では位置は動きませんが、リアルタイムの最新バーでは方向が入れ替わって見える瞬間があるということです。アラートを使う場合は確定足で鳴るよう設定するのが安全でしょう。

細かい話をすると、上下どちらも同時に更新するような大陽線・大陰線のバーでは下方向の判定が優先される作りになっています。実務でこれが問題になる場面はほとんどありませんが、「なぜここでベアに切り替わった?」という疑問が出たら思い出してください。

構造ゾーンは少し遅れて出てくる

構造ゾーンはピボットの確定を待って生成されるため、実際の高値・安値が付いてから数バー遅れて画面に現れます。表示位置はきちんと元の高安に遡って描かれるので後付けの書き換えではありませんが、「今まさに天井を付けた瞬間」にゾーンが出ることはありません。ピボット系の宿命ですね。

統計が使えない期間がある

先に触れたとおり、その方向のサンプルが3本未満だと上下合算の統計が使われます。長い一方向のトレンドが続いた後などは、逆方向の予測が出た直後に「上昇の統計が混じった下降予測」になっている可能性があります。転換直後の1〜2回の予測は、少し割り引いて見るのがいいと思います。

他のインジケーターと組み合わせるなら

「Market Path Forecast」は方向を当てにいくツールではなく、方向が決まった後の「どこまで・いつまで」を担当するツールです。したがってエントリー判断は別で持つのが自然な組み合わせになります。

  • トレンドフィルター:長期移動平均やADXで大局を確認し、それと同じ方向のコーンだけ採用する。逆方向のコーンは「戻りの目安」として見る
  • オシレーター:RSIやストキャスティクスの過熱と、Target 3・Extension到達を重ねる。目標到達+過熱なら利確の説得力が増す
  • 出来高系:ボリュームプロファイルの厚い価格帯とターゲットが重なるかを確認。スナップ済みのレベルとさらに重なるなら注目度は高い
  • 水平ライン:自分で引いた重要ラインとTarget 2・3の位置関係を見る。ズレが大きいときは統計側かラインのどちらかを疑う材料になる
コーンの太さの推移を記録すると面白い

予測が切り替わるたびにコーンの太さをメモしておくと、その銘柄のスイングの安定度が上がっているのか荒れてきているのかが見えてきます。ボラティリティ指標とは別の角度から相場の性格変化を捉えられる、地味に便利な使い方です。

どんな人に向いているか

向き不向きははっきりしています。

向いている人は、エントリー手法はすでに持っていて、利確と損切りの基準づくりに悩んでいるタイプ。「なんとなく利確」を減らしたい人には、T1・T2・T3という3段階の枠組みがそのまま役に立ちます。また、複数の銘柄を横断して見る人にも合います。銘柄ごとに設定を作り直さなくてもスケールが自動で合うので、ゴールドと株価指数とビットコインを並べて監視するような使い方でも破綻しません。

向いていない人は、シグナル通知だけで売買したい人。矢印が出て「買え」と言ってくれる類のツールではありません。それと、過去の実績を自分の目で確かめてから導入を決めたい慎重派にも、最新バーしか描かれない仕様はもどかしいはずです。バーリプレイで追うことはできますが、1本ずつ進める手間はかかります。

総括|「当てるため」ではなく「測るため」のツール

数日使ってみて思ったのは、これは予測を当てにいくインジケーターではないということです。むしろ、「この銘柄の平均的な1スイングはこれくらいの値幅とこれくらいの時間である」という物差しを、常にチャートの右端に置いておくためのツールという感覚に近い。

その物差しがあると、判断がずいぶん楽になります。今のポジションは平均の何割まで来ているのか、時間を使いすぎていないか、逆行はまだ許容範囲か。感覚でやっていた部分に数字が入るだけで、迷いが減ります。目標の絶対値が当たるかどうかより、そちらの効用のほうが大きいと感じました。

気になった点も正直に挙げておくと、初期設定のままだと目標が遠くなりがちなこと、動かしても効果が見えない設定項目があること、そして過去の予測が残らないため、検証するにはバーリプレイを1本ずつ進めるしかないこと。この3つです。特に1つ目は最初につまずきやすいので、導入したらまずMinimum Target Distanceを下げてみてください。それだけで印象がだいぶ変わるはずです。

統計で目標を出す発想自体は珍しくありませんが、銘柄自身の歩幅を測り、構造の節目と重ね、時間の残りまで計算に入れるという組み合わせは他であまり見ません。「Market Path Forecast」は、利確と撤退の基準に一本筋を通したい人が試す価値のある一本だと思います。

導入したらまずやること

Minimum Target Distanceを1.0〜2.0へ、Forecast Widthを1.2〜1.5へ、Number of Levelsを3へ。この3つを変えるだけで、初期状態の「目標が遠くて画面が広い」という違和感がほぼ解消します。そこから自分の時間足に合わせてSwing Lengthを詰めていくのが効率的です。

参照元・データ出典:この記事は、チャートプラットフォーム「TradingView」にて、クリエイター「BOSWaves」が制作したインジケーターを実際に使用し、徹底分析を行った上で公開しています。

免責事項:本記事は情報提供を目的としたもので、投資助言や特定の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

FOLLOW VOWARS
最新のインジケーターを見逃さない
Google検索で見つけやすくするか、公開時に通知を受け取れます。
YUZURU
執筆者YUZURUトレーダー / インジケーター開発者 / Webクリエイター
プロフィールを見る閉じる

Web制作会社でオウンドメディアの編集者として働きながら、2018年に暗号資産(仮想通貨)トレードを開始。現物から先物まで実践するうちにチャート分析にのめり込み、現在はTradingViewのオリジナルインジケーターも自作しています。 当サイトでは、TradingViewのインジケーターを自分のチャートで1本ずつ検証し、計算の中身・使い方・弱点までを図解つきでレビューしています。作り手の視点でロジックまで踏み込み、実際に使って確かめた情報だけを掲載。特定銘柄への投資勧誘は行っていません。

このインジケーターの製作者