ハーモニックパターンのインジケーターって、世の中にたくさんありますよね。ガートレー、バタフライ、バット、クラブ……。ただ、どれも「あらかじめ決められた比率」で動いていて、自分で条件をいじれるものはほとんどありません。「この比率、もう少し緩くしたいんだけどな」と思っても手が出せない。そんなモヤモヤを丸ごと解決してくれるのが、今回紹介する「BYO Pattern V1」です。
名前の通り「Build Your Own Pattern(自分でパターンを作る)」というコンセプトで、どの比率を、どの範囲で満たしたら1つのパターンとみなすか、を全部自分で決められるのが最大の特徴です。実際にBitcoinチャートに入れて色々といじってみたので、表示のされ方から設定の勘所、そして正直な弱点まで、図解を交えて詳しくレビューしていきます。
「BYO Pattern V1」とは?パターンの定義そのものを自分で作れるインジケーター
「BYO Pattern V1」は、Trendoscopeが公開しているオープンソースのパターン検出インジケーターです。ざっくり言うと、チャートの高値・安値の連なりから、指定したフィボナッチ比率の条件を満たす形だけを自動で見つけ出して描いてくれるツールです。作者自身も「検出と可視化のためのツールで、売買シグナルは出さない」とはっきり書いています。

チャートに追加すると、いきなりBitcoinの過去チャート上に色とりどりの折れ線が引かれ、その頂点に「X」「A」「B」「C」「D」「E」というラベルが付きます。これが検出されたパターンです。初期状態ではThree Drives(スリードライブ)という古典的なパターンを探す設定になっているので、まずはそのまま眺めてみるのが分かりやすいと思います。
ここで言う「ピボット」とは、チャートのジグザグ(高値と安値を交互に結んだ折れ線)の折り返し地点のこと。「BYO Pattern V1」はこのピボットを土台にして、直近5点または6点の位置関係が、指定した比率どおりになっているかをチェックしています。
同じ方向に3回連続で価格が伸び、それぞれの伸び幅と押し・戻しがフィボナッチ比率で揃っている形のことです。3回目のドライブが完成したところが反転候補とされる、昔からある反転パターンです。「BYO Pattern V1」の初期値はこのThree Drivesを検出する構成になっています。
チャートに描かれるのは「折れ線・点線・PRZ・表」の4つ
まずは見た目の話から。「BYO Pattern V1」がチャートに描くものは、パターンそのものを表す3つの要素と、右下の表の4つです。パターン側の3つは、1つの図にまとめると関係がよく分かります。
パターン1つは「折れ線・比率の点線・PRZ」でできている
初期設定のThree Drivesを検出したときの表示です。3つの要素がすべて同じ色で描かれます。
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パターンの折れ線とピボットラベル
条件を満たした形が見つかると、ピボットを結んだ折れ線が太めの実線で描かれ、各頂点に古い順からX → A → B → C → D →(6ピボットの場合はE)の文字が付きます。ラベルは背景のない文字だけで、線と同じ色です。5ピボット設定ならXABCDの5点、6ピボット設定ならXABCDEの6点になります。
面白いのは、複数のパターンが見つかった場合にそれぞれ別の色で描き分けてくれる点です。見つかるたびに次の色へ順番に切り替わるので、線が重なっても「これはこっちのパターンの線だな」と目で追えます。地味ですが、大量に検出されたときにものすごく助かります。
比率の点線と実測値
有効にした比率ごとに、測ったピボット同士を結ぶ細い点線と、その中間に「XAB : 0.704」のような実測値が表示されます。つまり、パターンが検出された理由がそのままチャートに書かれているわけです。
個人的にはここがかなり気に入っています。ただ「パターンが出ました」と言われるより、「XABは0.704、ABCは1.371だからこの形なんですよ」と数字で見せてくれるほうが、納得して使えますよね。表示が邪魔ならRatio Labelsで消せます。
PRZ(反転候補ゾーン)
パターンの最終ピボットの右に、半透明の四角いボックスが描かれます。これがPRZ(Potential Reversal Zone=反転が起きうる価格帯)です。有効にしている終端側の比率から逆算した価格帯で、終端の比率を複数オンにしている場合は、それらが重なる範囲に絞り込まれます。
PRZはCDの値幅から逆算した帯
初期設定のCDE(1.272、Error Percent 20)では、CDの値幅の1.018〜1.526倍の範囲がPRZになります。
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ここは誤解しやすいポイントなので、はっきり書いておきます。PRZの範囲は、CDE(5ピボットならBCDなど)の合格範囲そのものです。そしてパターンは、Eがこの範囲に入ったときにしか検出されません。つまりPRZが描かれた時点で、Eは必ずPRZの中にいます。
PRZは「これから価格が向かう場所」を先に知らせてくれる帯ではなく、「Eが想定した範囲に収まっている」ことを示す目印だと考えてください。ボックスはEの足から右に3本分だけの長さで、チャートの右端までは伸びません。
サマリーテーブル
チャート右下に小さな表が出ます。中身は上からパターン名/ピボット数/有効にしている比率とその許容範囲/これまでに検出したパターンの総数(Identified)です。

この表の価値は「今どんな条件でスキャンしているか」が一目で分かること。比率をいじっている最中も設定画面を開き直さずに済みますし、一番下の検出数を見れば、その設定が緩すぎるのか厳しすぎるのかがすぐ判断できます。条件を絞ったのに検出数が減らないなら、まだ緩いということです。
「BYO Pattern V1」は何を根拠にパターンを見つけているのか
土台になるのはジグザグ
すべての出発点はジグザグです。Lengthで決めた感度で高値・安値を拾い、そこから直近の5点または6点を切り出します。つまりジグザグの精度がそのままパターンの精度になるということ。ここが「BYO Pattern V1」の性能を左右する一番の急所です。
さらにこのインジケーターは、1段階のジグザグだけを見ているわけではありません。ジグザグをより大きな波にまとめ直しながら、規模の違うパターンを何段階も並行してスキャンします。だからBitcoinの日足に入れると、数十本規模の小さなパターンと、数百本規模の大きなパターンが同時に描かれるんですね。この階層の深さを決めているのがDepthです。
8種類の比率条件
使える比率条件は次の8種類です。それぞれ独立してオンオフでき、値も自由に指定できます。
| 比率 | 意味 | 対応ピボット数 |
|---|---|---|
| XAB | XAの値幅に対するABの戻し比率 | 5・6 両方 |
| ABC | ABの値幅に対するBCの比率 | 5・6 両方 |
| BCD | BCの値幅に対するCDの比率 | 5・6 両方 |
| CDE | CDの値幅に対するDEの比率 | 6のみ |
| XAD | XAの値幅に対するADの比率 | 5・6 両方 |
| XCD | XC区間を基準にしたCD側の比率 | 5・6 両方 |
| ABE | ABの値幅に対するBEの比率 | 6のみ |
| ADE | ADの値幅に対するDEの比率 | 6のみ |
この8つを組み合わせることで、ABCDパターンもガートレー系の形もThree Drivesも、そして誰も名前を付けていない独自の形も表現できます。なお、XADとXCDはどちらもXとDを結ぶ1本の点線に、ABEとADEはAとEを結ぶ1本の点線に、数値がまとめて表示されます。
固定値と範囲、2つの指定方法
各比率には開始値と終了値の2つの入力欄があります。ここの挙動が少し独特です。
- 開始値と終了値に同じ数字を入れる(固定値指定)と、Error Percentの割合だけ上下に広げた帯が許容範囲になります
- 違う数字を入れる(範囲指定)と、その範囲がそのまま許容範囲になり、Error Percentは使われません
初期設定のXABは「0.618/0.618」の固定値指定で、Error Percentは20です。実際に許容される範囲がどうなるかは、図で見るのが一番早いです。
Error Percent 20では「0.618」が0.494〜0.742まで広がる
開始値と終了値に同じ数字を入れると、その数字の上下にError Percentぶんの幅が付きます。
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約0.494〜0.742。これ、かなり広いです。0.5の押しも0.786に近い押しも全部通ってしまうので、初期設定はかなり緩めのスキャン設定だと思っておいたほうがいいです。サマリーテーブルには広げたあとの実際の範囲が表示されるので、必ずそこで確認してください。
最低1つは必須の「終端比率」
「BYO Pattern V1」には、必ず有効にしなければいけない比率のグループがあります。
6ピボット設定ではCDE・ABE・ADEのうち最低1つ、5ピボット設定ではBCD・XAD・XCDのうち最低1つを有効にする必要があります。これを全部オフにすると、インジケーターがエラーメッセージを出して動作を停止します。設定を詰めている最中にチャートから消えてびっくりすることがあるので、覚えておいてください。
この制約には理由があって、これらの比率はパターンの終着点の位置を決める条件だからです。終着点が定義されていないとPRZも計算できませんし、そもそも「どこで完成なのか」が決まりません。だから最低1つは必須になっているんですね。
設定画面の全項目と、触る順番
設定項目は「Zigzag」「Pattern」「Ratios」「Display」の4グループに分かれています。まずは一覧で。
| 設定 | 初期値 | 推奨値 | 効果 |
|---|---|---|---|
| Length | 5 | 5〜15 | ジグザグの感度。大きくするとピボットが減り、大きな波だけを拾うようになる |
| Depth | 50 | 50〜100 | スキャンに使うピボットの数と階層の深さ。大きいほど検出数は増えるが動作が重くなる(最大500) |
| Use Real Time Bars | ON | 検証時はOFF | 形成中のバーを計算に含めるかどうか。OFFにすると確定足のみで判定する |
| Title | Three Drives | 設定内容に合わせて変更 | サマリーテーブルに表示される名前。条件を変えたら必ず変えておくと混乱しない |
| Number of Pivots | 6 | 検出したい形に応じて5か6 | パターンを構成する点の数。5ならXABCD、6ならXABCDE |
| Error Percent | 20 | 5〜10 | 固定値指定時の許容幅。小さいほど厳密になり検出数が激減する |
| Log Scale | OFF | 長期足のBitcoinではON | 比率計算を対数ベースで行う。値幅の大きい銘柄・長期足で有効 |
| XAB | ON/0.618〜0.618 | 0.5〜0.786の範囲指定 | 最初の押し・戻しの深さを規定する条件 |
| ABC | ON/1.272〜1.272 | 1.13〜1.618の範囲指定 | 2番目の伸びの大きさを規定する条件 |
| BCD | ON/0.618〜0.618 | 0.5〜0.786の範囲指定 | 2回目の押し・戻しの深さを規定。5ピボット時は終端比率のひとつ |
| CDE | ON/1.272〜1.272(6ピボット時のみ) | 1.13〜1.618の範囲指定 | 最後の伸びの大きさを規定。6ピボットの主力となる終端比率 |
| XAD | OFF/0.382〜0.618 | 絞り込みたい場合のみON | 起点XAに対するDの位置を制限する条件 |
| XCD | OFF/0.382〜1.000 | 数値を確認してから使用 | XC区間を基準にした位置関係を制限する条件 |
| ABE | OFF/1.000〜2.618(6ピボット時のみ) | 終端を絞りたい場合にON | ABに対するEの到達距離を制限する終端比率 |
| ADE | OFF/1.000〜2.618(6ピボット時のみ) | 終端を絞りたい場合にON | ADに対するEの到達距離を制限する終端比率 |
| Theme | Dark | チャート背景に合わせる | ダーク背景なら明るい色、ライト背景なら暗い色で描画される |
| Pivot Labels | ON | ON | XABCDEのラベル表示。オフにすると折れ線だけになる |
| Ratio Labels | ON | 検出数が多いときはOFF | 比率の点線と実測値ラベルの表示 |
| Summary | ON | ON | 右下のサマリーテーブルの表示 |
まずいじるべきは「Length」
設定項目は多いですが、最初に触るべきは間違いなくLengthです。初期値の5はかなり感度が高く、Bitcoinの15分足あたりだと細かい上下まで全部ピボットとして拾ってしまいます。その結果、ノイズレベルの小さな形まで「パターン」として検出されてしまうんですね。
Lengthを上げると、拾う波が大きくなる
「BYO Pattern V1」はこの折れ線の頂点を使ってパターンを探します。頂点が変われば、見つかるパターンも変わります。
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実際にBitcoinの4時間足で試したところ、5のままだとチャートが線だらけになりました。10〜15まで上げると拾う波が明らかに大きくなり、「確かにこれは意味のある形だな」と思えるものだけが残ります。検出数が多すぎると感じたら、比率を厳しくする前にまずLengthを上げてみるのが、遠回りに見えて一番早いです。
Error Percentは20のままだと緩すぎる
先ほどの図のとおり、Error Percentの初期値20は実用上かなり広めです。1.272に20%の許容を与えると、おおよそ1.018〜1.526までが合格になります。「ほぼ等倍の伸び」から「1.618に近い伸び」までを同じ扱いにするということで、パターンとしての厳密さはだいぶ失われます。
私はまず20のままで全体像を掴み、そこから10 → 5と絞っていく使い方をしています。サマリーテーブルの検出数を見ながら下げていくと、どのあたりで急に減るかが分かって面白いですよ。
許容幅を細かくコントロールしたいなら、開始値と終了値に別々の数字を入れる「範囲指定」のほうが直感的です。たとえばXABを「0.5〜0.786」とすれば、フィボナッチの主要な押し目レンジをそのまま条件にできます。この場合Error Percentは効かないので、比率ごとに独立した許容幅を持たせられるのがメリットです。
Log ScaleはBitcoinの長期足で効いてくる
Log Scaleは地味ですが、Bitcoinを扱うなら覚えておきたい設定です。価格が数千ドルから10万ドル台まで動くような長期チャートでは、同じ「1,000ドルの値幅」でも局面によって意味がまったく違いますよね。対数ベースで比率を計算すると、値幅ではなく変動率で比率を見ることになるので、週足・月足のような長期足では素直な結果になりやすいです。
逆に、日足以下の短めの期間で見るぶんには、オンにしてもオフにしても結果はほとんど変わりません。ここは「長期足を見るときのスイッチ」と割り切っていいと思います。
チャートに入れてから、使える設定にするまで
1 初期設定のまま追加して、まず眺める
TradingViewのインジケーター検索から「BYO Pattern V1」を追加します。何も変えずに、まずはBitcoinの日足あたりで表示させてみてください。初期設定はThree Drivesなので、3回連続で同じ方向に伸びている形が拾われているはずです。
この段階でやることは、検出された形を1つずつ見て「これは実際に反転につながっているか?」を確認すること。ここで感覚を掴んでおくと、後の設定調整がぐっと楽になります。
2 Lengthを調整して検出の細かさを合わせる
時間足と銘柄に合わせてLengthを調整します。線が多すぎるなら上げる、検出がほとんど出ないなら下げる。自分が普段トレードで意識している波のサイズと、ジグザグが拾う波のサイズを揃えるのがコツです。
3 検出したいパターンの条件を組み立てる
ここが本番です。たとえば古典的なABCDパターンを検出したいなら、Number of Pivotsを5にして、XAB・ABC・BCDを有効化し、それぞれに狙いの比率を入れます。Titleも「ABCD」などに変えておくと、サマリーテーブルを見たときに何を探しているのかすぐ分かります。
5ピボットにすると、Dが終点になる
Number of Pivotsを5にすると、Eがなくなり、パターンはXABCDの4本の脚で完結します。
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5ピボットにするとEがなくなり、パターンはDで完結します。PRZもDの足から描かれるので、押し目や戻りがどこで止まりそうかを探す使い方と相性がいい設定です。
逆に「条件を1つだけにして、とにかく広く拾う」という使い方もアリです。6ピボットでCDEだけを有効にすれば、最後の伸びが指定倍率に達した形を全部拾ってくれます。
4 PRZと他の根拠を照らし合わせる
パターンが描かれたら、PRZの位置に注目します。そこが水平線で引いた過去の高値・安値と重なっているか、移動平均線やトレンドラインと近いかを確認してください。「BYO Pattern V1」は売買シグナルを出さないので、エントリー判断は他の根拠と組み合わせて自分で行います。
5 サマリーテーブルの検出数で設定を確かめる
最後に検出数を確認します。数十件も出ているなら条件が緩すぎ、1〜2件しか出ないなら厳しすぎる可能性があります。表示中のチャート範囲に対して、目視で追える程度の件数に収まっているかどうかを目安にすると調整しやすいです。
活きる相場、空回りする相場
得意な場面
「BYO Pattern V1」が本領を発揮するのは、トレンドの終盤で反転を警戒したい場面です。特に初期設定のThree Drivesは、同方向への伸びが3回続いて勢いが尽きかけているところを拾う形なので、Bitcoinやゴールドのように一方向に走ったあと急反転しやすい銘柄との相性は悪くありません。
また、押し目・戻り目の候補を機械的に洗い出す用途にも使えます。比率条件を継続パターン寄りに組めば、トレンド途中の調整が終わりそうな地点を探すツールにもなります。「どんな形を探すか」を自分で定義できるので、用途がひとつに縛られないのがこのインジケーターの強みです。
時間足で言えば、4時間足〜日足のスイングトレードが一番しっくりきました。パターンの完成には相応の本数が必要なので、あまり短い足だと形が壊れやすく、待ち時間に対して値幅が見合いにくい印象です。日足・週足で使えば、ポジショントレードの環境認識にも十分使えます。
苦手な場面
逆に苦手なのは、方向感のない狭いレンジです。ジグザグが小刻みなピボットを大量に作るため、比率だけはたまたま合致した「形だけのパターン」が量産されます。見た目は綺麗なパターンでも、実際には何の意味もない上下動というケースが普通に起きます。

それと、指標発表などで一気に飛ぶ場面も苦手です。長いヒゲや窓で値幅が歪むと比率計算も歪み、通常なら成立しない形が成立してしまうことがあります。この2つは、実際にBitcoinチャートで検証していて明確に感じた弱点です。
頼れるところ、気をつけたいところ
頼れるところ
- 比率条件を完全に自分で定義できる自由度の高さ
- 固定値でも範囲でも指定でき、許容幅を細かく制御できる
- 検出理由が比率の実測値として表示される
- PRZが自動計算され、手描きの手間が省ける
- 規模の異なるパターンを同時にスキャンしてくれる
- 複数パターンが色分けされ、重なっても判別できる
- サマリーテーブルで現在の条件と検出数が常に見える
- オープンソースで無料
気をつけたいところ
- アラート機能が用意されていない
- 売買シグナルは出さず、判断は完全に自分次第
- 描いたあとにEの先へ価格が伸びても、図形は更新されない
- 初期のError Percent 20は緩く、そのままだと検出過多
- 比率の意味が分からないと設定を組み立てられない
- 古いパターンほどラベルから先に消えていく
- レンジ相場では意味の薄い形を大量に拾う
- 終端比率を全部オフにするとエラーで停止する
使う前に知っておきたい注意点
Eは「その時点での最新の高値・安値」にすぎない
パターンの最後の点Eは、ジグザグがその時点でつかんでいる最新のピボットです。価格がさらに伸びれば、ジグザグの最新ピボットは先へ移っていきます。ところが一度描かれたパターンは、後から描き直されることも消されることもありません。
描いたあとに価格が伸びても、パターンは描き直されない
Eは「検出した時点での最新の高値」です。その後の値動きに合わせて、描いた図形が動くことはありません。
Vowars DE ver.3.8.0
過去チャートを眺めていると、どのパターンも「Eで綺麗に反転した」ように見えがちです。でもリアルタイムでは、描かれた瞬間のEが最終的な天井・底になるかどうかは誰にも分かりません。PRZを抜けて伸びていったら、その形はもう崩れたと判断するのが安全です。
Use Real Time BarsがONだと、まだ確定していない足の値動きでもパターンが判定されます。形成中の足で描かれたものは、その足の動き次第で現れたり消えたりするので、あわてて飛びつかないでください。OFFにすると確定した足だけで判定するので、表示が安定します。
TradingViewのバーリプレイを使うと、足を1本ずつ進めながら「どの足でパターンが描かれたか」「そのあと価格がPRZを抜けたか」を確認できます。過去チャートの見え方と、実際に描かれるタイミングのズレを体感するには一番の方法です。遡れる期間は、プランと時間足によって変わります。
古いパターンはラベルから先に消えていく
TradingViewでは、1つのインジケーターが表示できる線・ラベル・ボックスなどの数に上限があり、特に指定がなければ種類ごとに約50個です。上限を超えると、古いものから自動で消えていきます。「BYO Pattern V1」は上限を変更していないので、この既定値がそのまま効きます。
| 描画の種類 | 1パターンあたりの数(初期設定) | 残るパターン数の目安 |
|---|---|---|
| ラベル(XABCDEの文字と比率の実測値) | 最大10個 | 直近5つほど |
| 点線(比率の線) | 4本 | 直近12個ほど |
| 折れ線・PRZのボックス | 各1つ | 直近50個ほど |
つまり過去に遡ると、折れ線だけが残って文字のないパターンが出てきます。表示のバグではないので安心してください。なお、サマリーテーブルのIdentifiedは、消えたものも含めた検出の総数です。
アラートは搭載されていない
「BYO Pattern V1」にはアラート条件が用意されていません。パターンを検出したときに通知を受け取ることはできないので、チャートを開いて自分で確認する必要があります。複数銘柄を監視したい人にとっては、ここが一番の制約になると思います。
ただ、描かれたPRZの価格帯に、自分で水平線を引いて価格アラートを置くことはできます。私は「PRZを上に抜けたら形が崩れた合図」として、PRZの外側に価格アラートを置いておく使い方をしています。
XCDを使うときは数値を目視で確認する
細かい話ですが、8つの比率のうちXCDだけは、表示される数値が名前から想像する計算結果と食い違うケースがあるように感じました。初期状態ではオフの条件なので通常の使用には影響しませんが、有効にする場合は表示された実測値を自分で検算してから運用に組み込むことをおすすめします。ほかの7つは、表示される数値とラベルの意味が一致していました。
Depthを上げすぎない
Depthは最大500まで設定できますが、上げるほどスキャンする階層が増えて動作が重くなります。作者も、上げすぎると処理が遅くなりエラーにつながる可能性があると説明しています。いきなり最大値にせず、50から段階的に上げて様子を見るのが安全です。
他のインジケーターとの組み合わせ
「BYO Pattern V1」は判断材料を1つ提供してくれるツールなので、単体で売買を決めるのは現実的ではありません。私が実際に併用して相性が良かった組み合わせを挙げておきます。
| 組み合わせ | 狙い |
|---|---|
| 水平線・過去の高値安値 | PRZが節目と重なっているかを確認し、信頼度を判断する |
| RSI・ストキャスティクス | 最終ピボット付近でダイバージェンスが出ているかを確認する |
| 出来高 | 最後の伸びで出来高が細っていれば、勢いの衰えを裏付けられる |
| 上位足のトレンド判定(移動平均など) | 上位足の方向に逆らうパターンを除外し、ダマシを減らす |
なかでも一番効果を感じたのが、RSIのダイバージェンスとの併用です。
3回目のドライブで高値を更新し、RSIは切り下げる
「BYO Pattern V1」の形に、RSIの勢いの衰えを重ねて判断材料を増やします。
Vowars DE ver.3.8.0
Three Drivesのように同じ方向へ3回伸びる形は、最後の伸びでモメンタムが落ちていることが多く、RSIがそれを裏付けてくれると納得感がまるで違います。パターンの形とモメンタムの衰え、2つの根拠が揃ったところだけを狙うという絞り込み方は、かなり実用的です。
比率のルールを自分の手に取り戻すパターン検出ツール
「BYO Pattern V1」は、ハーモニックパターンの比率を自分で決めたい人のためのツールです。既製のパターン検出インジケーターに物足りなさを感じていた人、あるいは自分なりの比率の仮説を検証したい人にとっては、ちょっと他に代わりがないレベルの自由度があります。
一方で、比率の意味が分かっていないと設定画面の前で固まってしまうのも事実です。入れるだけで矢印が出るタイプを探している人とは、目的がかみ合いません。アラートもなく売買シグナルも出さない、見つけて描くことに徹したインジケーターです。
ハーモニックパターンをすでに手動で引いている人、自分なりの比率ルールを持っていて、それを機械的に検証したい人には強くおすすめできます。手でフィボナッチを当てて比率を測る作業が丸ごと自動化されるので、検証のスピードが段違いになります。
まずは初期設定のThree Drivesのまま、Bitcoinの日足あたりで1週間ほど眺めてみてください。どんな形を拾うのか、そのあと価格がどう動くのかを見ていくうちに、「自分ならこの比率をこう変えたい」という感覚が出てくるはずです。そこから先が、「BYO Pattern V1」の本当の使いどころだと思います。








