「Adaptive Head and Shoulders Detector」は、ヘッドアンドショルダーを4つの感度で同時に探し続ける
ヘッドアンドショルダー(三尊)は、天井圏で出る形として真っ先に名前が挙がるパターンです。ただ、実際のチャートで探そうとすると意外に難しい。どこを山とみなすかで形が変わりますし、見つけたときには右肩が終わっているというのもよくあります。
画像このインジケーター「Adaptive Head and Shoulders Detector」は、その「どこを山とみなすか」を4通り同時に走らせて、条件を満たした形だけをチャートに描いてくれる検出器です。作者はUncle_the_shooterで、オープンソースとして公開されています。
私が最初に入れたときの印象は「思ったより描かない」でした。ジグザグ系のパターン検出は、たいてい似た形を大量に拾って画面が埋まります。ところがこれは形がそろっていても、手前の値動きが弱いと見送るという仕掛けを持っていて、結果として残る数がかなり絞られます。この性格を知らないまま使うと「反応が悪いインジケーター」に見えてしまうので、先にそこから押さえていきます。
「Adaptive Head and Shoulders Detector」は、ヘッドアンドショルダーと逆ヘッドアンドショルダーを自動で見つけて、5点の折れ線・ネックライン・BULL/BEARのシグナルを描くインジケーターです。判定の基準はすべてATR(平均的な値幅)の倍数で表されるので、銘柄や時間足を変えても物差しの目が同じ比率で伸び縮みします。
チャートに出るのは、5つの点・ネックライン・シグナルの3点セット
左肩から右肩までを結ぶ折れ線、2つの谷を通る破線、内側の薄い塗り。右肩が確定した足に▼BEARが置かれます。
Vowars DE ver.3.5.0
チャートに出るものを、順番に読んでいく
表示されるパーツは多くありません。慣れれば一目で読めるようになるので、順番に見ていきます。
15つの点を結んだ折れ線
左肩・谷・頭・谷・右肩の5点を、太さ2の線で順に結びます。天井型のヘッドアンドショルダーは赤、底型の逆ヘッドアンドショルダーは緑で、色は Bear color と Bull color で変えられます。ローソク足の色と混ざって見づらいときは、ここを先に調整すると楽になります。
2頭と両肩に付くラベル
頭には「HEAD」、両肩には「R」のラベルが付きます。ここで見てほしいのはHEADのカッコの中身です。「HEAD (P5)」なら5本のピボット長だけで組んだ形、「HEAD (mix 5/12/12/5/5)」ならミックスモードが組んだ形で、数字は左肩から右肩までの5点をそれぞれどの長さが見つけたかを並べたものになります。ミックスの場合は肩のラベルも「R (P5)」のように出どころが付きます。
32つの谷を通るネックライン
パターンの内側にある2点(天井型なら2つの谷、底型なら2つの山)を通る直線が、グレーの破線で引かれます。右側へは初期値で20本延長され、Extend neckline to the right (bars) で長さを変えられます。パターンの内側は薄く塗られ、濃さは Fill transparency (%) の初期値85でかなり控えめです。
4確定足に置かれるBULL/BEAR
条件がそろった足に「▼ BEAR」または「▲ BULL」のラベルが付きます。この足がパターンの右肩とは別の場所に出るところが、このインジケーターを使うときの最大のポイントです。詳しくは後の章で扱います。
HEADやRのラベルは、点そのものから少し離した位置に置かれます。離す距離は Label offset from price (x ATR) で、初期値0.5はATRの半分ぶんです。ボラティリティが大きい銘柄ほど自動的に離れるので、値幅の小さい銘柄で離れすぎると感じたら0.2〜0.3まで下げると点の真上に寄ります。
「形が似ている」だけでは出ない。3つのものさしで落とされる
山と谷が交互に5つ並んでいれば、それだけでヘッドアンドショルダーに見える形はいくらでも作れます。このインジケーターはそこから先で3つの条件を測り、通らないものを捨てます。
形を測る3つの物差し。すべてATRが基準になる
頭がどれだけ肩より突き出ているか、左右の肩がどれだけそろっているか、左右の時間が偏っていないか。前の2つはATRの倍数で判定されます。
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測っているのは次の3つです。いずれも固定の値幅ではなくATRの倍数なので、ボラティリティが上がれば要求も自動で広がります。
| ものさし | 何を測るか | 初期値(ピボット長5の場合) | 外れるとどうなるか |
|---|---|---|---|
| 頭の出っぱり | 頭と左肩、頭と右肩の価格差 | どちらも1.5×ATR以上 | 浅い山は「ただの3つの山」として無視される |
| 肩の高さの差 | 左肩と右肩の価格差 | 1.5×ATR以内 | 片肩だけ大きく飛び出した形が落ちる |
| 左右の時間比 | 左肩→頭と頭→右肩の本数の比 | 2.0倍以内 | 片側だけ間延びした形が落ちる |
この3つに加えて、5点の上下関係も確認されます。天井型なら両肩が2つの谷より高く、頭が2つの谷より高い。当たり前に思えますが、ジグザグの点をただ5つ拾うだけだと崩れることがあるので、ここが効いています。
2つの谷の高さがそろっている必要はなく、谷の差が大きければネックラインは大きく傾いたまま引かれます。傾きが急なときは、右へ延長した部分の水準が1本ごとに動くので、割れの判定ラインも見た目以上に移動します。教科書どおりの水平なネックラインを期待していると、ここで違和感が出ます。
助走がなければ、形が合っていても見送られる
個人的にこのインジケーターで一番感心したのが、この部分です。ヘッドアンドショルダーは「上げてきた相場が転換する形」なので、手前に上昇がなければ意味が薄い。それを条件として持っています。
手前に十分な値動きがなければ、形が合っていても採用されない
左肩から15本さかのぼって最も離れた高値・安値を探し、そこから左肩までの値幅がATRの2倍以上あるかを見ます。
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左肩から手前へ一定の本数だけさかのぼり、その範囲で最も離れた安値(天井型の場合)を探します。そこから左肩までの値幅がATRの何倍あるかを測り、Min. trend impulse before pattern (x ATR) の初期値2.0を下回ると、形が完璧でもパターンとして扱われません。
さかのぼる本数は Trend lookback window (x pivot length) で決まり、初期値3.0とピボット長5本の組み合わせなら15本です。ピボット長が20なら60本さかのぼるので、大きい形には長い助走、小さい形には短い助走を求めるという比例関係になっています。
Show trend visualization (line to extreme) を入れると、起点になった高値・安値から左肩までが点線で結ばれ、実測値がATR倍で表示されます。さらに …also for patterns that did NOT pass the trend filter を入れると、形は合っていたのに助走不足で落ちた形までオレンジの線で見えるようになります。しきい値を決めるときは、この2つを一時的に入れて実測を眺めるのが一番早いです。
なお、この条件を外したいときは初期値2.0を0にします。0にすると助走の判定そのものが行われなくなり、あわせて点線の表示も出なくなります。
シグナルの足が、設定ひとつでまるごと変わる
ここが実戦で一番影響する項目です。Require neckline break confirmation の初期値はオフで、この状態では右肩のピボットが確定した足にシグナルが出ます。オンにすると、終値がネックラインを抜けた足まで待つようになります。
シグナルが出る足は、確認方法の設定でまるごとずれる
初期値のままなら右肩が確定した足で、ネックライン割れ確認を入れると終値が抜けた足でシグナルが出ます。
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同じ形に対して、シグナルの足が5本ずれています。早く知りたいならオフ、確認を取りたいならオンで、どちらが正しいというものではありません。ただ、オフのときは「右肩が確定したがネックラインは割れなかった」という展開でもシグナルが残り続けるので、そのぶん外れも増えます。
オンにした場合、待つ本数にも上限があります。Max. wait time for breakout (x pivot length) の初期値3.0とピボット長5なら15本で、その間に終値が抜けなければその形は破棄されます。破棄された形はチャートに描かれないので、オンの状態で見えているパターンは、すべて割れが確認済みのものという読み方ができます。
ネックライン割れの判定は確定した足の終値だけで行われます。足の途中で一時的にラインを抜けても、その瞬間にシグナルが出ることはありません。一方、確認をオフにしているときは形成中の足の値動きしだいでその場の判定が変わるため、足が確定するまでは出たシグナルがそのまま残るとは限りません。確定した足に描かれたものは、その後に動いたり消えたりしません。
ピボット長4本立ては「同じ相場を4つの解像度で見る」ということ
ピボット長とは、ある足を山(谷)と認めるために左右何本ぶんの比較を要求するか、という設定です。5本なら左右5本より高ければ山、30本なら左右30本より高ければ山。数字が大きいほど数は減り、代わりに意味の大きい転換点だけが残ります。

このインジケーターは、その物差しを4本同時に走らせます。初期値は次のとおりで、長い物差しには許容も広く与えられているのが分かります。大きい形ほど肩の高さがそろいにくい、という現実に合わせた配分です。
| パラメーター | 初期値 | 推奨値 | 効果 |
|---|---|---|---|
| Pivot 1 length (left/right) | 5 | 5〜8 | 最も小さい形を拾う枠。1分足・5分足で数が多すぎるときは、この枠を切るか8前後まで伸ばすと落ち着く |
| Shoulder symmetry tolerance 1 (x ATR) | 1.5 | 1.0〜1.5 | 小さい形の肩の高さをどこまで許すか。下げるとそろった形だけになる |
| Min. head deviation 1 (x ATR) | 1.5 | 1.5〜2.0 | 頭の出っぱりの下限。上げると「はっきり突き出た頭」だけが残る |
| Pivot 2 length (left/right) | 12 | 10〜15 | 日足のスイングと相性がいい中間の枠。4時間足〜日足では主役になりやすい |
| Shoulder symmetry tolerance 2 (x ATR) | 3.0 | 2.0〜3.0 | 中間の枠の肩の許容。初期値はかなり寛容なので、絞りたいなら2.0付近 |
| Min. head deviation 2 (x ATR) | 1.5 | 1.5〜2.0 | 中間の枠の頭の下限 |
| Pivot 3 length (left/right) | 20 | 20 | 数か月規模の形を拾う枠。短い時間足では出番が少ない |
| Pivot 4 length (left/right) | 30 | 30 | 最も大きい枠。週足・月足を見るときに生きる |
| Min. trend impulse before pattern (x ATR) | 2.0 | 1.5〜2.5 | 助走の要求。0で無効。検出が少なすぎるときに最初に触る値 |
| Trend lookback window (x pivot length) | 3.0 | 2.5〜4.0 | 助走を探す範囲。広げると遠くの安値・高値まで拾うので条件が通りやすくなる |
| Max. time asymmetry (b1→head vs head→b5) | 2.0 | 1.5〜2.0 | 左右の本数比の上限。1.5まで下げると教科書的な左右対称に近い形だけ残る |
| Require neckline break confirmation | オフ | オン | 終値の割れを待つかどうか。オンにすると遅れる代わりに、割れていない形が残らない |
| Max. wait time for breakout (x pivot length) | 3.0 | 2.0〜3.0 | 割れを待つ上限。短くすると勢いのある割れだけを採用できる |
| ATR Length | 200 | 50〜200 | すべての許容値の土台。200はかなりゆっくりした基準なので、直近のボラに合わせたいなら50前後まで短くする |
| Pivot source | Close | Close | 点を終値で取るかヒゲで取るか。ヒゲの長い銘柄では結果が大きく変わる |
| Fill transparency (%) | 85 | 85〜95 | 内側の塗りの濃さ。パターンが重なって見づらいときは上げる |
4つが同時に動くと、同じ天井を別々の枠が二重三重に描いてしまいそうに思えます。そこは処理されていて、同じ方向のパターンは重ならないように整理されます。直前に描いたパターンの右肩より後ろから始まる形でなければ、新しいパターンとして採用されません。この整理は4つの枠とミックスで共有されているので、天井がひとつなら描かれる形もひとつです。買いと売りは別枠で管理されるため、下の形と上の形が近い位置に共存することはあります。
ミックスモードは、別のものさしを持った5人目の探索者
ミックスモードは、4つの枠が見つけた転換点をひとつの履歴にまとめ、そこから5点を組み上げます。おもしろいのは、判定の許容値がミックス専用に用意されているところです。肩の差は2.0×ATR、頭の出っぱりは1.0×ATRで、頭の要求だけ単独の枠(1.5×ATR)より緩くなっています。
ミックスは、判定のものさしまで別枠で持っている
点の出どころが混ざるだけでなく、頭の出っぱりと肩の差の許容値もミックス専用の設定が使われます。
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つまりミックスは「単独の枠では浅すぎて落ちた形」を拾う役目も持っています。検出数を増やしたいときには効きますが、その分だけ頭のはっきりしない形も混ざります。逆に「頭がはっきりした形だけ見たい」なら、Min. head deviation (mix, x ATR) を1.5〜2.0まで上げるのが素直な調整です。
助走を探す範囲と割れを待つ本数は、参加した点のうち最も長いピボット長が基準になります。5本の点と30本の点が混ざった形なら、30本を基準に90本さかのぼって助走を探すことになるので、思ったより大きなスケールで判定されている場合があります。
ミックスが使う履歴は、Enable pivot 1〜Enable pivot 4 で有効にした長さからしか作られません。ある長さを単独検出だけ切ってミックスには残す、という分け方はできません。オフにした長さは両方から消えます。作者の投稿でも同じ注意が書かれている部分です。
底で出る形は、そのまま上下を裏返しただけ
逆ヘッドアンドショルダーの判定は、上下が入れ替わるだけで中身は同じです。頭が両肩より下に出て、上側の2点がネックラインになり、手前に必要なのは下げの勢い。色は緑、シグナルは「▲ BULL」に変わります。
上下を逆にすれば、そのまま逆ヘッドアンドショルダーになる
頭が両肩より下に出て、上側の2点がネックラインになります。色は緑に変わり、シグナルは▲BULLです。
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底型で割れ確認を入れた場合は、終値がネックラインを上に抜けるまで待ちます。私の使い方では、下落局面の底で緑が出たときのほうが素直に効く場面が多い印象でした。もっとも、これは相場環境の影響が大きいところなので、数字として断言できる話ではありません。
終値で見るか、ヒゲで見るか。意外に結果が変わる設定
見落としやすいのが Pivot source です。初期値はCloseで、点を終値だけから取ります。ジグザグ系のツールはヒゲを使うものが多いので、ここは珍しい初期設定です。
終値基準だと、長い上ヒゲを出した足でも点はローソクの実体側に付きます。実際にビットコインのように上下にヒゲが伸びやすい銘柄で切り替えると、同じ画面でパターンが増えたり消えたりします。
- Close(初期値)…… ヒゲを無視するので、瞬間的な行き過ぎで形が崩れにくい。ネックラインも実体基準になるため、終値で判定する割れ確認と考え方がそろう
- High/Low (wick) …… ヒゲの先端を点にする。ヒゲの高値・安値をストップの基準にしている人は、こちらのほうが自分の見ている形と一致しやすい
どちらが優れているという話ではなく、自分がどこを高値と呼んでいるかに合わせる設定です。切り替えると全ピボット長とミックスの結果が同時に変わるので、比べるときは片方に決めてしばらく使ってみるのがいいと思います。
アラートと、チャートの裏にある出力
アラートは3種類が用意されています。買い側だけ、売り側だけ、どちらでも反応するもの。監視したい銘柄を並べておいて、形ができたら見に行くという使い方が素直です。
- Inverse H&S (Bullish) Signal …… 逆ヘッドアンドショルダーのシグナル
- H&S (Bearish) Signal …… ヘッドアンドショルダーのシグナル
- H&S / Inverse H&S Signal (Any) …… 上下どちらでも反応
アラートの発火タイミングは、確認方法の設定にそのまま従います。割れ確認をオンにしていれば終値が抜けた足、オフなら右肩が確定した足です。この差を意識しないままアラートを仕掛けると、来たときの相場の位置がイメージとずれます。
このインジケーターには、買いシグナル・売りシグナル・シグナルを出したパターンのピボット長を表す値が、表示されない出力として用意されています。チャート上には描かれませんが、ストラテジー化して検証したい人向けの入り口が最初から作られている、ということです。ミックスが出したシグナルは999という値で区別されます。
相性がいいのは「方向を決める線」との組み合わせ
このインジケーターは形しか見ません。手前の助走こそ見ていますが、それは「左肩の直前に動きがあったか」という局所的な確認で、相場全体がどちらを向いているかは判断していません。ここを補うと、拾うシグナルの質がはっきり変わります。
平均線を1本足すだけで、拾うシグナルを絞れる
右肩の時点では平均線の上、シグナルが出た足では平均線の下。方向が一致した合図だけを残す組み合わせです。
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私が落ち着いたのは、移動平均を1本だけ足す形でした。売りのシグナルは平均線の下で出たものだけ、買いは上で出たものだけを見る。それだけで、レンジの中で交互に出る形をかなり無視できます。
ほかに組み合わせやすいのは次のあたりです。どれも「形の良し悪し」ではなく「その形を採用するかどうか」を決める役割で使います。
| 組み合わせるもの | 役割 | 使い方の目安 |
|---|---|---|
| 移動平均(EMA)1本 | 方向の確認 | シグナルの足が線のどちら側にあるかで採否を決める |
| 出来高 | 割れの本気度 | ネックラインを割った足の出来高が普段より膨らんでいるかを見る |
| 上位足の水平線 | 止まりやすい位置の把握 | ネックラインの先に上位足の節目があるなら、伸びは短く想定する |
| オシレーター系のダイバージェンス | 頭の勢いの確認 | 頭が高値を更新したのに指標が付いてきていないかを確認する |
使ってみて見えた、得意なところと苦手なところ
頼れるところ
- 判定がすべてATRの倍数なので、銘柄や時間足を変えても設定を作り直さずに使える
- 大小4つのスケールを同時に見張るため、日足の大きな形と1時間足の小さな形を同じ設定のまま拾える
- ラベルにピボット長が入るので、見ている形が「どのくらいのスケールの話か」が一目で分かる
- 助走の条件があるおかげで、レンジの中で似た形が量産される事態を避けられる
- ネックライン割れの判定が確定足の終値だけで行われ、足の途中の行き過ぎで振り回されない
- 同じ方向のパターンが重ならないよう整理されるので、画面が二重描きで埋まらない
気をつけるところ
- 点が確定するまで待つ仕組みなので、形が見えるのは必ず後。ピボット長のぶんだけ遅れる
- 相場の方向は判断していない。単体では「形が出た」以上のことは分からない
- 初期値のままだと右肩の確定だけでシグナルが出るため、割れないまま終わる形も残る
- ネックラインの傾きに制限がなく、谷が離れた形では割れの水準が右へ行くほど大きく動く
- 直近の5点しか見ないため、少し前に完成していた別の組み合わせは対象にならない
- ATR Lengthの初期値200は基準として重く、直近だけ荒れた相場では判定が現状に追いつかない
入れる前に知っておきたい注意点
後出しで描き換わるタイプのインジケーターかどうかは、パターン検出系でいちばん気になるところだと思います。ここは分けて考える必要があります。
確定した描画は動かないが、遡って現れる
パターンは、右肩のピボットが確定した時点ではじめて描かれます。そのとき線は左肩まで遡って引かれるので、過去のチャートを眺めると「その場で見えていた」ように錯覚します。実際には、右肩からピボット長ぶん(初期値なら5本、長い枠なら30本)あとになって現れた形です。確定後に線やラベルが動いたり消えたりすることはありませんが、この遅れはバーリプレイで1本ずつ進めると体感できます。過去の検証をするときは、必ずそこを確認してから判断したほうがいいです。
古いパターンは画面から消えていく
TradingViewには1つのインジケーターが描ける図形の数に上限があり、上限を超えると古いものから順に消えます。このインジケーターは線とラベルを上限いっぱいまで使う設定で公開されていますが、1パターンあたり線5本・ラベル4つ・塗り1つを使うため、長い履歴では直近100個ほどのパターンだけが残る計算になります。何年も遡って形を数えたいときは、時間足を上げるか表示期間を区切るほうが確実です。
形は形であって、売買の合図ではない
作者自身も投稿の中で「検出された形はトレードのシグナルではなく、エントリー位置を示すものでもない」と明言しています。反転が期待できる構造が現れたという情報であり、どこで入るか、どこで切るかは別の方法で決めるべきという立場です。この点は私もそのまま同意で、ネックラインを割ったから売る、という単純な使い方はおすすめしません。
このインジケーターは表示している時間足だけを見ます。上位足の形も同時に見張りたい場合は、TradingView側の複数チャートレイアウトで同じ銘柄の別の足を並べる、といった運用で対応することになります。1つのチャートに上位足のパターンが重ねて出ることはありません。
「形を見つける係」として割り切ると、かなり使える
画像「Adaptive Head and Shoulders Detector」は、ヘッドアンドショルダーという古典的な形を、ATR基準の物差しと助走の条件でふるいにかけて残す道具です。数を稼ぐ方向ではなく、条件を満たしたものだけを静かに置いていくタイプで、パターン検出系としてはかなり慎重な作りだと感じました。
最初に触るべき設定は3つだけです。Require neckline break confirmation をオンにするかどうか、Min. trend impulse before pattern (x ATR) を自分の相場観に合わせるか、そして使わないピボット長を切るか。ここを決めてしまえば、あとは銘柄を替えても同じ設定のまま通用します。
形を探す作業を丸ごと任せて、入る場所と切る場所は自分の手法で決める。その分担で使うのが、このインジケーターのいちばん素直な形だと思います。少なくとも私は、日足と4時間足を監視しておいて、緑や赤が出たときだけ手で確認する、という運用に落ち着きました。








