「Quant Regime Oscillator」は、行き過ぎと勢いと相場の性格を1枚で見るオシレーター
「Quant Regime Oscillator」は、JackOfAllTradesが公開しているオープンソースのオシレーターです。※TradingView上の名義はofficialjackofalltradesです。
価格が平均からどれだけ離れているかと、勢いがどれだけ強いかを、−100〜+100の1本の線にまとめています。そのうえで、今の相場が一方向に進んでいるのか、行って来いを繰り返しているのかを背景色で見分けます。
見るところは3つです。線の位置で行き過ぎを、白いシグナル線との交差で勢いの切り替わりを、背景色で相場の性格を読みます。ほかに、条件がそろったときだけ出るBUY/SELLのラベル、ダイバージェンスの点、右上のダッシュボードが付いています。

最初にビットコインの日足・4時間足・15分足へ入れた際、ラベルがひとつも出ないので正直戸惑いました。ダッシュボードの見出しは、どの時間足でも「◆ FLAT」のまま動きません。設定を間違えたのかと思って仕組みを追いかけたところ、不具合ではなく、シグナルの条件がとても厳しく組まれていることが分かりました。この記事では、その理由と、シグナルを出したいときの設定まで、自分で数えた数字をそのまま載せています。
Quantは、平均から標準偏差の何倍離れたかといった統計の物差しで相場を数値にする考え方を指します。Regimeは相場の局面のことで、このインジケーターでは「トレンド」「平均回帰(Mean-Rev)」「ランダム」の3つに分けています。統計で行き過ぎを測り、局面によって読み方を変えるという設計が、そのまま名前になっています。
まず覚えたい、下のペインに並ぶ要素
「Quant Regime Oscillator」は価格チャートには何も描かず、下に専用のペインを作って表示します。全体を1枚にすると次のようになります。
「Quant Regime Oscillator」の画面構成
下のペインに、青とマゼンタで塗られた1本のオシレーターと白いシグナル線、相場の性格を示す背景色が重なります。
Vowars DE ver.3.12.4
オシレーターの線と塗りは、0を境に青とマゼンタに分かれます。0を上抜けた足で線が青に切り替わる様子は、図の①で確かめられます。塗りはグラデーションで、+100に近いほど青、−100に近いほどマゼンタが濃くなり、0付近は紫がかった中間色です。
白い線はシグナル線です。オシレーターを9本のEMAでならした線で、図の②のように本体の少し後ろをついてきます。2本の交差が、勢いの切り替わりの目安です。
背景は相場の性格を表します。上昇トレンドと判定された足は図の③のように青く、下降トレンドなら紫、行って来いの相場ならグレーでうっすら塗られます。どれにも当てはまらない中間の足には色が付きません。
| 要素 | 見た目 | 意味 |
|---|---|---|
| オシレーター | 0以上は青、0未満はマゼンタの線 | 平均からの離れ具合と勢いを合成した値(−100〜+100) |
| グラデーションの塗り | 線と0の間。高いほど青、低いほどマゼンタ | 線の位置をひと目でつかむための補助 |
| シグナル線 | 白い線 | オシレーターのEMA(初期値は9本) |
| ±55の破線 | 灰色の破線 | 買われ過ぎ・売られ過ぎの基準。シグナルの条件に使われる |
| ±80の点線 | ごく薄い点線 | 極端な水準の目安。判定には使われない |
| 背景色 | 青・紫・グレー、または色なし | レジームの判定結果 |
| ダイバージェンスの点 | 青(強気)とマゼンタ(弱気)の小さな丸 | 価格とオシレーターの逆行 |
| BUY/SELL | 青とマゼンタのラベル | 3つの条件がそろった足にだけ出る |
作者の説明では、±80まで伸びた場所が息切れしやすいゾーンとされています。ただ、点線の色はかなり薄く、ダークテーマでは目を凝らさないと見えません。そして、±80はどの判定にも使われていません。買われ過ぎ・売られ過ぎの判定に使われているのは±55の破線のほうです。
1本の線の正体は「平均からの距離」と「勢い」の平均
オシレーターの値は、2つの成分から作られています。順に見ていきます。どちらも画面には出てこない内部の値なので、図解では点線にして重ねました。
1本の線は「Z-Score」と「モメンタム」の平均でできている
点線の2本は画面には出ない内部の成分です。表示されるオシレーターは、この2本を足して2で割り、軽く平滑化した線です。
Vowars DE ver.3.12.4
Z-Score成分は、30本平均から標準偏差いくつ分離れたか
1つ目はZ-Scoreです。終値が直近30本の単純移動平均から、標準偏差の何倍離れているかを測ります。+2なら平均より2σ上、−1なら1σ下と読みます。この値を±3σで打ち切ってから±100に換算したものが成分になるので、+3σを超えた分はすべて+100として扱われます。この成分を黄色い点線で描いたのが図の①です。急騰の直後に跳ね上がり、上昇が落ち着くにつれてゆっくり下がっています。
モメンタム成分は、変化率を「そのばらつき」で割った値
2つ目は勢いです。14本前と比べた変化率(ROC)を、そのROC自体の直近14本の標準偏差で割り、同じく±3で打ち切って±100に換算します。価格の水準や値動きの荒さが違う銘柄でも、同じ物差しで比べられるようにするための工夫です。
ただ、使ってみるとこの成分には独特の癖がありました。値動きが一方向にそろうと、ROCのばらつきが小さくなります。割り算の分母が縮むのです。すると値が一気に上限へ届いて、+100や−100に張り付きます。下落の後半を見ると、図の②のあたりでモメンタム成分が−100のまま横ばいです。手元で数えたところ、ビットコインの15分足から日足では全体の約10〜13%の足でこの張り付きが起きていました。Z-Score成分が上限に届くのは約2%なので、線が端に寄っているときは、たいてい勢いの側が押し上げています。
2つを平均し、軽くならして±100に収める
2つの成分は、初期設定では同じ重みで平均されます。それを2本のEMAで軽くならし、±100の範囲に収めたものが画面の線です。右端の区間では、張り付いたモメンタム成分(−100)と、戻り始めたZ-Score成分(−40台)が平均され、線は図の③のとおり−70前後にとどまっています。価格が下げ止まっても線がなかなか上がってこないのは、この組み合わせのせいです。
2つの成分が同じだけ振れているなら、±55はZ-Scoreでおよそ±1.65σに当たります。正規分布なら片側5%ほどしか起きない水準です。ところが実際にビットコインで数えると、線が+55以上にいた時間は15〜21%、−55以下は14〜15%ありました。モメンタムの張り付きが加わるぶん、見た目の数字よりずっと頻繁に届くと考えておくと、±55を超えたこと自体に過剰な意味を持たせずに済みます。
背景色は、相場が「まっすぐ進んでいるか」の判定
背景色を決めているのは、カウフマンの効率レシオ(Efficiency Ratio、以下ER)です。適応型移動平均のKAMAにも使われている指標で、直近20本の正味の値幅を、1本ごとの値幅を全部足した道のりで割って求めます。
背景色は「20本でどれだけまっすぐ進んだか」で決まる
Efficiency Ratioは、直近20本で進んだ正味の値幅を、1本ごとの値動きを全部足した道のりで割った値です。
Vowars DE ver.3.12.4
20本かけてまっすぐ上がれば、正味の値幅と道のりがほぼ同じになり、ERは1に近づきます。上下に振れながら元の位置に戻れば、道のりばかり長くて正味はほぼゼロなので、ERは0に近づきます。数字にすると違いがはっきりします。図の①の上昇区間は0.57でTrending、図の②の高値圏のもみ合いは0.15でMean-Revと判定されています。
初期設定の区切りは、0.45以上がTrending、0.25以下がMean-Rev、その間がRandomです。Randomの足には、図の③のように背景が付きません。
上昇か下降かは、ERからは分かりません。「Quant Regime Oscillator」は、終値が30本の単純移動平均より上なら上昇、下なら下降と判断して、背景を青と紫に塗り分けています。この移動平均はZ-Scoreの基準と同じ線です。
実際に表示すると、背景はほとんどグレー
使い始めてすぐ気づいたのは、青や紫の背景がかなり珍しいことです。ビットコインの各時間足で、背景の内訳を数えてみました。
| 時間足 | 調べた本数 | Trending(青・紫) | Mean-Rev(グレー) | Random(色なし) |
|---|---|---|---|---|
| 15分足 | 約30,000本 | 9.1% | 64.4% | 26.5% |
| 1時間足 | 約20,000本 | 11.8% | 60.2% | 28.0% |
| 4時間足 | 約12,000本 | 14.6% | 57.7% | 27.7% |
| 日足 | 約3,300本 | 16.4% | 55.4% | 28.2% |
期間は、15分足が2025年11月から、1時間足が2024年6月から、4時間足が2021年4月から、日足が2017年8月からで、いずれも2026年9月26日までです。短い時間足ほどMean-Revが増えるのは、細かいノイズで道のりが伸びやすいからでしょう。

背景を「トレンドの合図」として待っていると、ほとんど出ないので肩透かしを食います。私も最初はそうでした。私は逆に、青や紫が付いたら今は珍しく一方向に進んでいると受け取るようにしています。
作者が勧めているレジーム別の使い分け
作者は、レジームを作戦を切り替える目安として使うよう勧めています。
- Trendingのときは、押し目・戻りからの順張りを優先する
- Mean-Revのときは、±55の外まで伸びたところでの逆張りを考える
- Randomのときは、見送るか、ポジションを小さくする
名前はMean-Revですが、中身は直近20本の効率が低かったという事実だけです。この先、価格が平均に戻ることを示しているわけではありません。レンジを抜けて走り出す直前の足も、判定上はMean-Revになります。逆張りの根拠にするなら、価格チャート側の高値・安値も合わせて確かめてください。
ダッシュボードで読み違えやすい3つの行
ダッシュボードは2列9行の小さな表で、初期設定ではチャートの右上に出ます。
ダッシュボードの9行は何を示しているか
チャート右上に出る小さな表です。9行のうち、読み方を間違えやすいのは見出しの右側と、下の2行です。
表の数値は例示です。
Vowars DE ver.3.12.4
大半の行は見たとおりです。気をつけたいのは図の①の見出しの右側で、ここは意味を取り違えやすい項目です。ここは今の相場の向きではなく、最後に出たBUY/SELLの向きを示しています。一度BUYが出れば、SELLが出るまで「◆ LONG」のままで、FLATには戻りません。「◆ FLAT」は、読み込まれている範囲で一度もシグナルが出ていないという意味です。
もう1つ紛らわしいのがRegime Strです。名前から判定の確からしさを想像しがちですが、図の②の値はERを100倍したものです。Mean-Revの行の横に17%と出ていたら、それは「トレンドの効率が17%しかない」という意味で、平均回帰の強さを表しているわけではありません。
下の2行、図の③のDivergenceとSignalは、該当する足でしか値が入りません。ダイバージェンスは確定した足の1本だけ、BUY/SELLも出たその足だけ表示されるので、ほとんどの時間は「—」と「waiting」です。
| 行 | 表示の例 | 中身 |
|---|---|---|
| Composite | 53.6 | オシレーターの現在値。セルの青・マゼンタの濃さも値に合わせて変わる |
| Z-Score | 1.44σ | 30本平均からの距離。±3σで打ち切る前の値 |
| Momentum | 55.4 | モメンタム成分(±100に換算した後) |
| Regime | Mean-Rev | Trending ▲、Trending ▼、Mean-Rev、Randomのいずれか |
| Regime Str | 17% | ERを100倍した値 |
| State | Neutral | ±55を基準にOverbought、Oversold、Neutral |
| Divergence | — | その足で確定したダイバージェンス |
| Signal | waiting | その足のBUY/SELL |
Z-Scoreの行は、小数点の前の0を省いた書式です。0.47σは「.47σ」、−0.77σは「-.77σ」と表示されます。初めて見たときは桁が欠けたのかと思いましたが、そういう表記です。
BUY/SELLはなぜ出ないのか。条件を1つずつ確かめた
冒頭で触れたとおり、初期設定の「Quant Regime Oscillator」では、ラベルはまず出ません。BUYが出るのは、次の3つが同じ足でそろったときだけです。SELLはこれを上下反対にした条件です。
1オシレーターがシグナル線を上抜ける
オシレーターと白い線のゴールデンクロスです。ビットコインの4時間足では、上抜け・下抜けを合わせて100本あたり約15回起きていて、これ単体ならかなり頻繁です。
2直近6本以内に−55以下へ入っていた
その足を含む6本の中に、一度でも−55以下の足があれば満たします。この本数を決めているのがOB/OS Recall Barsです。
3上昇トレンドのレジームにいる
ERが0.45以上で、終値が30本平均より上にある状態です。背景が青い足がこれに当たります。
3つとも、単独ならよく起きる条件です。問題は組み合わせにあります。理由は単純です。−55以下に入るのは、価格が30本平均から大きく下に離れたときです。そこから6本以内に平均の上まで戻り、しかも20本の効率が0.45を超えるには、急落を大きく上回る勢いの急反発が必要になります。
初期設定では、売られ過ぎの記憶がトレンド判定まで持たない
−55を下回った後に上昇トレンドの判定が付き、その中でシグナル線を上抜けています。それでも、初期設定ではBUYは出ません。
Vowars DE ver.3.12.4
この例では、図の①で−55を下回った後、価格は反発して上昇トレンドの判定まで付いています。図の③では青い背景の中でシグナル線を上抜けていて、見た目は理想的な押し目買いの形です。それでもBUYは出ません。売られ過ぎの記憶は図の②のとおり6本で切れていて、上抜けの時点では20本も前の出来事になっているからです。
3銘柄・4つの時間足で数えても、シグナルは0件
本当にそこまで出ないのか。実際のデータで数えました。ビットコイン、イーサリアム、金価格に連動するトークンのPAXGで、15分足から日足までを初期設定のまま計算した結果です。期間は前の表と同じく、2026年9月26日までです。
| 銘柄 | 15分足(約3万本) | 1時間足(約2万本) | 4時間足(約1.2万本) | 日足 |
|---|---|---|---|---|
| ビットコイン | 0/0 | 0/0 | 0/0 | 0/0(3,328本) |
| イーサリアム | 0/0 | 0/0 | 0/0 | 0/0(3,328本) |
| PAXG(金連動) | 0/0 | 0/0 | 0/0 | 0/0(2,221本) |
数字はBUY/SELLの件数です。合わせて20万本近い足で、一度も出ませんでした。途中の条件で見ると、ビットコイン4時間足で「上抜け」と「直近6本以内に−55以下」が重なった足は293本ありましたが、そのうち上昇トレンドの判定も付いていた足は0本です。
なお、この集計の計算が正しいことは確認済みです。TradingViewに表示した日足・4時間足・15分足の3画面で、ダッシュボードのComposite、Z-Score、Momentum、Regime Strとシグナル線の値が、小数点まで一致しました。
シグナルを見たいなら、OB/OS Recall Barsを伸ばす
条件を緩める方法はいくつか試しましたが、いちばんはっきり変わったのはOB/OS Recall Barsでした。売られ過ぎ・買われ過ぎの記憶を長く残すと、図解の場面がそのままシグナルになります。
OB/OS Recall Bars を30にすると、同じ上抜けでBUYが出る
値動きは前の図とまったく同じです。変えたのは OB/OS Recall Bars の1項目だけです。
Vowars DE ver.3.12.4
値動きは前の図とまったく同じで、変えたのは図の①の記憶の長さだけです。30本前まで覚えていれば、20本後の上抜けでも条件を満たし、図の②のとおりBUYが付きます。ビットコインで件数を比べると、次のようになりました。
| 設定(BUY/SELLの件数) | 15分足 | 1時間足 | 4時間足 | 日足 |
|---|---|---|---|---|
| 初期設定 | 0/0 | 0/0 | 0/0 | 0/0 |
| OB/OS Recall Bars 20 | 5/3 | 1/5 | 6/3 | 0/0 |
| OB/OS Recall Bars 30 | 15/18 | 13/17 | 21/11 | 2/0 |
| Recall 30とTrending Threshold 0.35 | 39/32 | 33/34 | 31/20 | 6/2 |
| Overbought・Oversoldを±35に変更 | 0/0 | 0/0 | 0/0 | 0/0 |
OB/OS Recall Barsを上限の30にしても、4時間足で5年半に30回ほど、だいたい2か月に1回のペースです。Trending Thresholdを0.35まで下げると、ようやく件数が目に見えて増えます。反対に、Overbought LevelとOversold Levelを±35まで寄せても、件数は0のままでした。詰まっているのは、記憶の長さとトレンド判定のタイミングのほうです。
ここで数えたのはラベルが出た回数だけで、その後の値動きの良し悪しは評価していません。記憶を30本まで伸ばすと、かなり前の押し目から立ち直った後の2度目の上抜けまで拾うようになります。作者が狙った「売られ過ぎからの反転」とは、シグナルの性格が変わると考えてください。件数も少なく、勝ち負けを統計的に語れる量ではありません。
ダイバージェンスの点は、谷から離れた「5本後の高さ」に出る
ダイバージェンスは、オシレーターの谷(山)を左右5本ずつで確かめ、1つ前の谷と比べて価格と逆に動いていれば点を打つ仕組みです。強気は青、弱気はマゼンタです。ここにも、使ってみて初めて分かった癖がありました。
ダイバージェンスの点は、谷ではなく「5本後の値の高さ」に描かれる
価格は安値を切り下げ、オシレーターの谷は切り上がっています。強気のダイバージェンスですが、青い点は谷から離れた場所に出ています。
Vowars DE ver.3.12.4
価格は図の①で安値を切り下げ、オシレーターの谷は図の②で切り上がっています。典型的な強気のダイバージェンスです。ところが青い点は、図の③のように谷よりかなり上に浮いています。これには少し驚きました。
谷が確定するのは、その右に5本が並んでからです。点の横位置は谷の足までさかのぼって描かれますが、縦位置には確定した時点のオシレーターの値が使われます。谷の後に急反発すると、点は谷からどんどん離れていきます。

実際のビットコイン日足でも確かめました。2026年6月30日の谷はオシレーターが−59.6でしたが、青い点は+6.2の高さに出ています。点だけを見て「0付近でダイバージェンスが出た」と読むと、事実と違ってしまいます。点は「この足のあたりに谷があった」という印として受け取り、谷の深さは線のほうで確かめるのが安全です。
比べているのは「オシレーターが谷を付けた足の安値」
もう1つ細かい点があります。作者の説明では、オシレーターの谷・山を価格の谷・山と比べるとされています。実際に比べているのは、オシレーターが谷を付けた足の安値(山なら高値)です。価格そのものの谷を別に探しているわけではありません。ずれは小さいことが多いです。ただ、価格の最安値とオシレーターの谷が数本ずれている場面では、チャートの安値どうしを結んだ印象と判定が食い違うことがあります。
また、比べる相手は直前の谷(山)1つだけで、0より上か下かも問いません。0より上で強気のダイバージェンスが出ることもあります。確定した足で点が動くことはありませんが、形成中の足では、その足の値動きしだいで点が一時的に出たり消えたりします。
パラメーターと、目的別の設定
設定画面は5つのグループに分かれています。項目は全部で23個です。項目名は英語のまま表示されるので、ここでもそのままの名前で説明します。
01 · Engine(オシレーター本体)
| 設定 | 初期値 | 推奨値 | 効果 |
|---|---|---|---|
| Z-Score Length | 30 | 30 | Z-Scoreの基準にする単純移動平均と標準偏差の期間。長くすると長めの平均からの距離になり、線の振れが穏やかになる。レジームの上昇・下降の判定もこの平均を使う |
| Momentum (ROC) Length | 14 | 14 | 何本前と比べて勢いを測るか。ばらつきの計算にも同じ本数が使われる |
| Weight · Z-Score | 1.0 | 1.0 | Z-Score成分の重み。0にするとモメンタムだけの線になる |
| Weight · Momentum | 1.0 | 1.0(張り付きが気になるなら0.5) | モメンタム成分の重み。下げると±100への張り付きが線に与える影響が薄れる |
| Oscillator Smoothing | 2 | 2〜4 | 線をならすEMAの期間。4にするとシグナル線との交差が約25%減る |
| Signal Line Length | 9 | 9 | シグナル線のEMAの期間。長くすると交差は減るが、反応は遅れる |
このグループで私が触るのはOscillator Smoothingくらいです。4時間足で2から4に上げると、シグナル線との交差は100本あたり15.0回から11.2回に減りました。線のギザギザが減るので、交差を目安にしたい人には見やすくなります。Signal Line Lengthを14にしても交差は12.8回まで減りますが、こちらはシグナル線の遅れが大きくなります。
02 · Regime(レジームの判定)
| 設定 | 初期値 | 推奨値 | 効果 |
|---|---|---|---|
| Efficiency Ratio Length | 20 | 20 | ERを測る期間。長くするとTrendingが減り、短くすると増える |
| Trending Threshold | 0.45 | 0.45(シグナル重視なら0.35) | これ以上のERでTrending。下げると青・紫の背景が増え、シグナルも出やすくなる |
| Mean-Revert Threshold | 0.25 | 0.25 | これ以下のERでMean-Rev。Trending Thresholdより小さい値にしておく |
Efficiency Ratio Lengthの影響はかなり大きいです。ビットコイン4時間足でTrendingの割合を比べると、初期値の20本で14.6%でした。40本にすると4.9%まで減り、10本にすると29.8%に増えます。背景をもっと頻繁に見たい人は短く、本当に強いトレンドだけに色を付けたい人は長く、という方向で調整できます。
03 · Signals(シグナルとダイバージェンス)
| 設定 | 初期値 | 推奨値 | 効果 |
|---|---|---|---|
| Overbought Level | 55 | 55 | 買われ過ぎの基準。SELLの条件とダッシュボードのStateに使われる |
| Oversold Level | -55 | -55 | 売られ過ぎの基準。BUYの条件とダッシュボードのStateに使われる |
| OB/OS Recall Bars | 6 | 6(シグナルを見たいなら30) | 基準を超えた記憶を何本残すか。シグナルの件数をいちばん大きく左右する |
| Min Bars Between Signals | 10 | 10 | BUY/SELLの最小間隔。BUYとSELLで共通なので、BUYの直後はSELLも出ない |
| Show Divergences | オン | オン | ダイバージェンスの点の表示 |
| Divergence Pivot Len | 5 | 5 | 谷・山を確かめる左右の本数。点が出るまでの遅れもこの本数になる |
Divergence Pivot Lenは、ビットコイン4時間足で3にすると点が約4割増え、8にすると約2割減りました。小さくすると早く出るぶん、細かい谷まで拾います。大きくすると点は絞られますが、確定までの遅れも同じだけ長くなります。
04 · Visuals と 05 · Dashboard(表示)
| 設定 | 初期値 | 推奨値 | 効果 |
|---|---|---|---|
| Gradient Fill | オン | オン | 線と0の間のグラデーション |
| Oscillator Line | オン | オン | オシレーターの線。オフにしても塗りは残る |
| Signal Line | オン | オン | 白いシグナル線 |
| Regime Background | オン | オン | レジームの背景色 |
| Signal Markers | オン | オン | BUY/SELLのラベル。オフにしてもアラートの条件は変わらない |
| Show Dashboard | オン | オン | ダッシュボードの表示 |
| Position | Top Right | 好みで | ダッシュボードの位置(8か所から選ぶ) |
| Size | Small | Small | ダッシュボードの文字の大きさ(Auto、Large、Normal、Small、Tiny) |
目的別の設定例
| 目的 | 変える項目 | 理由 |
|---|---|---|
| オシレーターとして読む | 初期設定のまま | 銘柄や時間足を変えても±55を超える割合がほぼ変わらず、そのまま比べられる |
| BUY/SELLも見たい | OB/OS Recall Barsを30、必要ならTrending Thresholdを0.35 | 検証で件数が出た組み合わせ。それでも数週間から数か月に1回の頻度 |
| 線を落ち着かせたい | Oscillator Smoothingを3〜4 | 交差の回数が減り、線のギザギザがおさまる |
| トレンドの背景を増やしたい | Efficiency Ratio Lengthを10〜15 | 判定の期間が短いほどTrendingになりやすい |
| ダイバージェンスを絞りたい | Divergence Pivot Lenを8 | 点の数は減るが、表示は8本遅れる |
ビットコイン、イーサリアム、PAXGの15分足から日足まで、12通りで確かめました。線が+55以上にいた時間は15〜24%、−55以下は12〜16%に収まっています。初期設定のまま、別の銘柄や時間足と見比べられるのは、このインジケーターのはっきりした長所です。
私の使い方は、方向を別で決めてQROで押しの深さを測る
シグナルが出にくい以上、「Quant Regime Oscillator」をラベル待ちで使うのはもったいないと感じました。そこで試しているのが、方向の判断は長期の移動平均に任せ、QROでは押し目・戻りの深さとタイミングだけを見る使い方です。組み合わせる相手には、多くのトレーダーが見ている200EMAを選びました。
200EMAで向きを決め、QROで押し目の深さを測る
価格は200EMAの上にあり、長い目で見れば上昇基調です。その中でQROが−55を下回り、シグナル線を上抜けた足を押し目買いの候補として見ます。
- EMA 200
Vowars DE ver.3.12.4
1200EMAで向きを決める
価格が図の①のように200EMAより上なら買いだけ、下なら売りだけを考えます。ここで方向を決めてしまうので、QROのレジーム判定には頼りません。
2QROが−55以下まで押すのを待つ
上昇基調の中で図の②のように−55を割るのは、30本平均から大きく下に離れた、深めの押しです。浅い押しは見送ります。
3シグナル線の上抜けで候補にする
オシレーターが図の③でシグナル線を上抜けたら、押し目買いの候補です。損切りは押しの安値の少し下など、価格チャートの側で決めます。
ねらいは1つです。この使い方で置き換えているのは、「Quant Regime Oscillator」のトレンド判定の部分です。ERは直近20本の効率を見るので、深い押しの直後はどうしても低くなります。押し目買いの場面ほど上昇トレンドの判定が外れやすいのは、仕組みから見て避けられません。方向を長い期間の移動平均に任せると、この食い違いを回避できます。
図に付けた「候補の足」は説明のための印で、この場面で「Quant Regime Oscillator」はBUYを表示しません。通知がほしいなら、オシレーターがシグナル線を上抜けたときのアラートを設定し、200EMAとの位置関係は通知を受けてからチャートで確かめる、という分担が現実的です。
時間足は、私は1時間足と4時間足で見ることが多いです。15分足でも使えます。線の動き方は変わりませんが、Mean-Revの割合が6割を超えるので、背景から得られる情報がほとんど増えません。ゴールドのように上げと調整がはっきり分かれやすい銘柄でも、PAXGで数えた数字の出方はビットコインとほぼ同じでした。
ここが頼れる、ここは気をつけたい
ここが頼れる
- 行き過ぎと勢いを1本で見られ、ペイン1つで済む
- 銘柄や時間足を変えても値の出方がほぼ同じで、見比べやすい
- ERの背景で、トレンドの効率を色と数字で確認できる
- 確定した足の表示は後から変わらない
- ダッシュボードでZ-ScoreとMomentumの内訳まで確かめられる
ここは気をつけたい
- 初期設定ではBUY/SELLがまず出ず、ダッシュボードもFLATのまま
- 背景の大半がグレーで、トレンドの判定は少ない
- ダイバージェンスの点が谷から離れた高さに描かれ、読み違えやすい
- モメンタム成分が±100に張り付きやすく、トレンド中は線が端に寄りがち
- ±80の点線はとても薄く、判定にも使われていない
リアルタイムで使う前に知っておきたいこと
確定した足は描き変わらない。形成中の足は動く
オシレーター、シグナル線、背景色は、その足の終値までの値だけで計算されています。上位足の参照や、先の値を使う計算はありません。確定した足の表示が後から変わることはありません。
形成中の足は別です。終値が動くたびに値も動きます。BUY/SELLのラベルが足の途中で出て、確定までに消えることもあり得ます。作者も、シグナルは足の確定で固まると説明しています。
アラートは「バーの終値ごとに1回」で
アラートの条件には、QRO — Long、QRO — Short、QRO — Any Signalの3つが用意されています。形成中の足での出入りを拾わないよう、トリガーの頻度はバーの終値ごとに1回にしておくのが無難です。TradingViewのヘルプによれば、アラートを作った後でインジケーターの設定を変えても、アラートは作成時の設定のまま動きます。OB/OS Recall Barsなどを変えたら、アラートも作り直してください。
もう1つ大事なことがあります。初期設定のままだと、前の章で見たとおり条件がまず満たされません。アラートを仕掛けて待っていても鳴らない、という状態になりやすい点は覚えておいてください。
「◆ FLAT」は、読み込まれた範囲での話
ダッシュボードの見出しや過去のBUY/SELLは、チャートに読み込まれている足の範囲で計算されます。読み込める本数はプランによって違い、無料のBasicプランでは5,000本とされています(2026/9/26 現在)。チャートに残るBUY/SELLのラベルは直近の60個までで、それより古いものは自動で消えます。
出方を確かめるならバーリプレイ
ダイバージェンスの点が5本遅れて現れる様子や、シグナルが出る瞬間は、スクロールで過去を眺めているだけでは分かりません。バーリプレイで1本ずつ進めると、リアルタイムに近い順番で確認できます。無料プランでリプレイできるのは日足以上で、日中足のリプレイや遡れる期間は有料プランの種類で変わります(2026/9/26 現在)。
売買サインより、相場の温度計として置いておきたい1本
画像「Quant Regime Oscillator」の中心にあるのは、平均からの距離と勢いを合わせた1本の線と、ERによる相場の性格の判定です。どちらも銘柄や時間足を変えても同じ物差しで読めるように作られていて、12通りの組み合わせで試しても、値の出方はほとんど変わりませんでした。この安定感は、ほかの銘柄と見比べたい人にとって大きな魅力です。
一方で、看板の1つであるBUY/SELLは、初期設定のままではまず出ません。シグナルを期待して入れると、ダッシュボードがFLATのまま動かないことに戸惑うはずです。私がそうでした。見たいならOB/OS Recall Barsを伸ばし、出る回数とシグナルの性格が変わることを承知のうえで使うのがよいと思います。ここは好みが分かれるでしょう。
私自身は、ラベルは補助と割り切り、200EMAなどで決めた方向に対して「どこまで押したか」「勢いが戻ったか」を測るオシレーターとして置いています。ダイバージェンスの点が谷からずれた高さに出ることだけは、最初に頭に入れておいてください。そこさえ押さえれば、行き過ぎと勢いと相場の性格を1つのペインで確かめられる、使い勝手のいいオシレーターです。









