出来高の重心から「十分に離れたか」で流れを判定する「VWAP Deviation Trend」
「VWAP Deviation Trend」は、BackQuantがTradingViewで公開しているトレンドフォロー型のインジケーターです。VWAP(出来高加重平均価格)を中心に、出来高で重みを付けた標準偏差のバンドを作り、そのバンドを片側にしか動かないトレイル(追従ライン)に変えて、いまが強気か弱気かを判定します。
チャートに出るのは、価格の下を追いかける緑のラインか、上から押さえる赤いラインのどちらか一方だけです。色が入れ替わった足には▲▼が付きます。見た目はSupertrendによく似ています。ただ、Supertrendの中心が高値と安値の平均なのに対して、こちらは「出来高が集まった価格」を中心にしている点が大きく違います。

最初に1時間足へ入れたとき「VWAPをまたいだくらいでは、全然色が変わらない」と感じました。最初は反応が鈍いのかと思ったのですが、仕組みを追っていくと、これはわざとそう作られていると分かります。この記事では、その理由を図解で確かめながら、どの時間足・どの設定なら扱いやすいかまで整理していきます。
いまの相場が強気(緑)か弱気(赤)か、そして流れが切り替わった足(▲▼)です。加えて、価格からトレイルまでの距離が「どこまで押したら判定が崩れるか」の目安になります。売買の方向を決めるフィルターとして使うと、強みがいちばん生きるインジケーターです。
画面に出るのは5種類。まず見るのはトレイルの色と位置
表示される要素は多く見えますが、判定に関わるのはトレイルと▲▼だけです。グラデーションや光は、その判定をどれだけ強く見せるかを担当しています。
| 表示 | 見え方 | 意味 |
|---|---|---|
| トレイル | 強気なら価格の下に緑、弱気なら上に赤の太線 | いまの方向と、転換の基準になる価格 |
| グラデーション | トレイルから価格までを6層で塗る。トレイル側ほど濃い | 価格とトレイルの離れ具合、勢いの目安 |
| 光 | トレイルの周りの細い光。転換直後の数本だけ強まる | 見た目の演出で、判定には影響しない |
| ローソク足の色 | 強気の間は緑、弱気の間は赤で塗られる(陽線・陰線に関係なく同じ色) | 方向を一目で伝える |
| ▲▼ | 転換した足で、新しいトレイルの位置に出る | 強気・弱気の切り替わり |
初期設定での表示とシグナルの出方
強気の間は緑のトレイルが価格の下を追い、反対側のラインを終値が抜けた足で▲▼が出て、色と位置が入れ替わります。
Vowars DE ver.3.11.0
図の①のように、▲が出るのは終値が赤いトレイルを上に抜けた足です。そこからトレイルは価格の下に移り、強気が続く間は②のように上にしか動きません。そして終値が緑のトレイルを割り込んだ足で▼が出て、今度は赤いトレイルが上から価格を追いかけます。
少し戸惑ったのが、初期設定だとローソク足まで緑と赤に塗られる点です。強気の間は陰線も緑になるので、1本ごとの陽線・陰線が見分けにくくなります。ローソク足の形も見たい場合は、Color Candlesをオフにすると元の色に戻ります。
転換した足ではトレイルがわざと描かれず、前後の線がつながりません。Break Trail On Flipsがオンになっているためで、古いトレイルと新しいトレイルを縦線でつなぐと、ありもしない価格の動きに見えてしまうのを避けています。オフにすれば線はつながりますが、表示が変わるだけで判定は同じです。
なぜVWAPをまたいでも色が変わらないのか。3段階の仕組みを分解する
「VWAP Deviation Trend」の判定は「VWAPとバンドを作る」「バンドをトレイルに変える」「トレイルを終値で抜けたら転換」という3段階で組み立てられています。順番に見ていくと、あの反応の鈍さの正体が分かります。
VWAPの周りに、出来高で重みを付けたバンドを作る
VWAPは、一定期間に取引された価格を出来高で重み付けして平均したものです。たくさん売買された価格ほど強く反映されるので、「多くの参加者がだいたいこの辺りで買った・売った」という重心を表します。初期設定では、直近50本を常に計算し直すRolling (Lookback: Bars)で、価格には高値・安値・終値の平均(hlc3)が使われます。
次に、その重心の周りに価格がどれくらい散らばっているかを、出来高で重み付けした標準偏差で測ります。出来高を伴って広い範囲で売買されている相場ほど偏差は大きく、狭い範囲で取引が続いている相場ほど小さくなります。この偏差にDeviation Multiplier(初期値1.5)を掛けたものがバンドの幅です。
ただ、値動きが静かな時期は偏差が小さくなりすぎて、ちょっとした動きで判定がひっくり返ってしまいます。そこでATR Minimum Widthがオンのときは、ATR(平均的な値幅)に0.35を掛けた値を下限にして、それより細くならないようにしています。
バンドを「片側にしか動かないトレイル」に変える
こうして作ったVWAP±幅のバンドは、偏差が広がれば外に、縮めば内側に、自由に動きます。「VWAP Deviation Trend」はこれをそのまま使わず、下側のバンドは「終値が上にある間は、前の足より下がらない」、上側のバンドは「終値が下にある間は、前の足より上がらない」という規則でトレイルに変えています。
生のバンドから「下がらないトレイル」ができる
VWAP±幅の生のバンドは上下に揺れますが、強気の間のトレイルは下がる動きだけを捨て、上がるときだけついていきます。
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図の①では、偏差が広がって下側のバンドが下へ動いています。それでも緑のトレイルは②のように前の値で止まったままです。バンドが元の高さを上回ると、③のようにそこから一緒に切り上がっていきます。
この性質があるので、強気の間のトレイルは「押しがここまで来たら判定が崩れる」ラインとして使えます。作者も、トレイルを利益を守るストップの目安やポジション管理の基準に使う方法を挙げています。
転換の決め手は、VWAPではなくトレイルを終値で抜けたかどうか
ここがいちばん大事なところです。強気に切り替わる条件は、終値が上側のトレイル(弱気の間に表示されている赤い線)を上に抜けることです。逆に弱気へ切り替わるのは、終値が下側のトレイル(緑の線)を割り込んだときです。
VWAPを越えただけでは転換しない
弱気のまま価格がVWAPを上抜けても▲は出ません。赤いトレイルを終値で上抜けた足で、初めて強気に切り替わります。
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VWAPからトレイルまでは、少なくともバンドの幅ぶん離れています。そのため①のように価格がVWAPを越えても、まだ判定は動きません。②のようにヒゲがトレイルに届いても、終値が戻されれば弱気のままです。③で終値がはっきり上に抜けた足で、ようやく▲が出ます。
強気に入る基準と弱気に入る基準がバンドの幅だけ離れているので、価格がVWAPの周りを行ったり来たりしても、色は簡単には入れ替わりません。1時間足で最初に感じた「鈍さ」は、このダマシを減らすための余白でした。
なお、チャートの表示を始めた最初の足では、終値がVWAPより上なら強気、下なら弱気として状態が決まります。この最初の足には▲▼は出ません。
SupertrendやボリンジャーバンドとVWAP Deviation Trendの違い
| VWAP Deviation Trend | Supertrend | ボリンジャーバンド | |
|---|---|---|---|
| 中心 | VWAP(出来高加重) | 高値と安値の平均 | 単純移動平均 |
| 幅の決め方 | 出来高で重み付けした標準偏差(ATRは下限だけ) | ATR | 標準偏差(重み付けなし) |
| ラインの動き | 片側にしか動かないトレイル | 片側にしか動かないトレイル | 上下対称で自由に動く |
| 状態の保持 | 強気・弱気を持ち続ける | 強気・弱気を持ち続ける | 持たない |
Supertrendと同じくトレイルで状態を持ちますが、幅の主役が出来高で重み付けした偏差なので、出来高の多い価格帯が広がるとバンドも広がるという反応をします。ボリンジャーバンドのように「バンドの外に出たら行き過ぎ」と読むものではない点にも注意が要ります。
期間中の出来高がすべてゼロ(データなし)の場合は、出来高の重みを使わず、価格の単純平均と単純な標準偏差で計算します。TradingViewのヘルプによると、FOREX.COMのFXペアとCFD、TVCの銘柄、多くの指数には出来高データがありません(2026/9/23 現在)。これらの銘柄では、表示される線を移動平均に近いものとして読む必要があります。
FXの出来高が表示される業者でも、中身は多くの場合ティックボリューム(価格が更新された回数)で、実際の取引量ではありません。重みの意味が少し変わることは頭に入れておきたいところです。
グラデーションの濃さは「勢いのメーター」。ただし差は控えめ
「VWAP Deviation Trend」は、判定とは別にトレンドの強さを0〜1の値で計算し、グラデーションの濃さと光の太さに反映させています。中身は「価格とトレイルの距離(バンド幅に対する比率)」が7割、「VWAPの傾き(バンド幅に対する比率)」が3割です。
グラデーションの濃さはトレンドの強さで変わる
価格がトレイルから大きく離れ、VWAPも同じ向きに傾いている間は塗りが濃く、価格がトレイルに近づくと淡く狭くなります。
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②のように、価格がトレイルから大きく離れ、VWAPも上を向いている区間は塗りが濃くなります。反対に③のように価格がトレイルへ近づくと、塗られる範囲そのものが狭くなり、色も淡くなります。①の転換直後は、3本ほどトレイルの周りが明るく光ります。
ただ、正直なところ、濃さの違いはそれほど大きくありません。いちばん濃い層でも、透明度の変化は56%から44%程度です。実際にチャートを眺めていて目に入るのは、濃さより「塗られている範囲の広さ」、つまり価格とトレイルの距離のほうでした。強さの表示は判定に影響しないので、補助的な情報として眺めるくらいがちょうどいいと感じています。
VWAPの傾きは、VWAP Slope Lookbackで指定した本数前のVWAPと比べて測ります。この値はVWAP Slope Confirmationをオフにしていてもグラデーションの濃さの計算に使われるので、数値を変えると判定は同じでも塗りの見え方が変わることがあります。
1時間足・15分足・日足で動かして分かった、得意な場面と苦手な場面
ここからは、実際のチャートに表示して感じたことです。スクリーンショットはいずれも初期設定のまま、ローソク足の色だけを変えています。
1時間足は、横ばいでも色が粘る

約12日間で▲▼は7回でした。印象に残ったのは、途中の横ばい局面で緑のトレイルがほぼ水平のまま価格の下に残り続けたことです。VWAPの上下を何度も行き来していましたが、色は変わりませんでした。
一方で、急落の場面では▼が出るまでに高値からそれなりに下げています。転換の基準がバンドの幅ぶん離れている以上、天井や底でぴったり入れ替わることはありません。▲▼は「流れが変わったと認める合図」で、転換点を当てるものではないと割り切ったほうが使いやすいです。
15分足の狭いもみ合いでは、▲▼が続けて出る

15分足では、1日半ほどで▲▼が8回出ました。そのうち4回は、21時から0時ごろまでの3時間ほどに集中しています。値幅の狭いもみ合いが続くと偏差が縮み、トレイルが価格のすぐそばまで寄ってくるためです。
短い時間足で使うなら、Deviation Multiplierを上げるか、後で紹介する傾き確認を足すのが現実的です。私は15分足では2.0くらいまで上げたほうが落ち着いて見られました。
日足では、大きな上げ下げの節目だけに出る

日足にすると、10か月ほどで▲▼は5回だけでした。大きな下落の間は赤のまま、反発の間は緑のままで、途中の戻りで色が入れ替わることはほとんどありません。ポジションを長めに持つ人が「いまは買いを考えていい局面か」を確かめる用途には、かなり向いていると感じました。
取引所の出来高がそろっている銘柄、たとえばゴールド先物や株価指数先物なら、出来高の重心という考え方がそのまま生きます。逆に、出来高データのない銘柄では前述のとおり単純平均になるので、「出来高の重心」という強みは薄れます。
設定項目の意味と、目的別の合わせ方
設定は、VWAPの計算(VWAP Calculation)、バンド(Deviation Bands)、判定(Trend Settings)、表示(UI Settings)の4グループに分かれています。まずは判定に関わる項目です。
| 設定 | 初期値 | 推奨値 | 効果 |
|---|---|---|---|
| VWAP Mode | Rolling (Lookback: Bars) | 時間足に合わせて選ぶ(下で解説) | VWAPと偏差を計算する範囲。区切り型の4 Hours/Daily/Weeklyと、ローリング型の本数・日数から選ぶ |
| Rolling Lookback Bars | 50 | 50〜100 | ローリング(本数)で使う本数。大きいほどバンドもトレイルもゆっくり動く |
| Rolling Lookback Days | 30 | 20〜30 | ローリング(日数)で使う暦日数。数える本数は最大5000本まで |
| Price Source | hlc3 | hlc3 | VWAPと偏差の計算に使う価格 |
| Deviation Multiplier | 1.5 | 1.5〜2.0 | 偏差に掛ける倍率。上げると転換が減り、下げると増える |
| ATR Minimum Width | オン | オン | バンド幅の下限にATRを使うか。オフにすると静かな相場で幅が細くなりすぎる |
| ATR Length | 14 | 14 | 下限に使うATRの期間。光の太さには影響しない |
| ATR Minimum Multiplier | 0.35 | 0.35〜0.5 | ATRに掛ける倍率。上げると値動きの小さい時期の転換が減る |
| VWAP Slope Confirmation | オフ | ダマシが多いときだけオン | 転換にVWAPの傾きの一致を求める |
| VWAP Slope Lookback | 2 | 2〜5 | 傾きを比べる本数。傾き確認がオフでも濃さの計算に使われる |
| Flip Trigger | Close | Close | 転換の判定に使う価格。Closeは終値、Price SourceはPrice Sourceで選んだ価格 |
| Break Trail On Flips | オン | オン | 転換の足でトレイルを途切れさせる。表示だけの設定 |
表示に関する項目は次のとおりです。判定には影響しないので、見やすさで決めて構いません。
| 設定 | 初期値 | 推奨値 | 効果 |
|---|---|---|---|
| Show Deviation Trail | オン | オン | トレイルの表示。オフにするとグラデーションと光も消える(▲▼は残る) |
| Show VWAP | オフ | 押し目の目安にするならオン | VWAPを白い線で表示 |
| Show Raw Deviation Bands | オフ | 仕組みを確かめるときだけオン | トレイルになる前のバンドを細い線で表示 |
| Gradient Fill | オン | 好みで | トレイルと価格の間の塗り |
| Trail Glow | オン | 好みで | トレイルの光と、転換直後の強調 |
| Show Signals | オン | オン | ▲▼の表示 |
| Color Candles | オン | ローソク足の形を見たいならオフ | ローソク足をトレンドの色で塗る |
| Bullish/Bearish/VWAP | #00ff00/#ff0000/#ffffff | 好みで | 強気・弱気・VWAPの色 |
| Line Width | 3 | 2〜3 | トレイルの太さ |
いちばん効くのはDeviation Multiplier
転換の回数を左右するのは、ほぼDeviation Multiplierです。同じ値動きに3つの倍率で表示してみると、違いがはっきり出ました。
Deviation Multiplier で転換の回数が変わる
同じ値動きでも、倍率を下げるとトレイルが価格に近づいて転換が増え、上げると大きな値動きでしか転換しなくなります。
Vowars DE ver.3.11.0
1.0では横ばいの間に▲▼が交互に出続け、初期値の1.5では2回、2.5では大きく崩れた1回だけになりました。倍率を上げるほどダマシは減りますが、そのぶん本当の転換にも遅れます。
推奨を1.5〜2.0としたのは、1.5が1時間足以上でバランスがよく、15分足以下のもみ合いでは2.0まで上げると▲▼の連発がかなり収まったからです。1.0以下は、別のフィルターと組み合わせる前提でなければおすすめしにくい設定です。
VWAP Modeは時間足とセットで選ぶ
VWAP Modeの区切り型(4 Hours/Daily/Weekly)は、区切りの時刻が世界標準時(UTC)基準で決まっています。日本時間に直すと、Dailyは毎日9時、Weeklyは月曜9時、4 Hoursは1時・5時・9時・13時・17時・21時で計算がリセットされます。取引所のセッション開始とは一致しないので、株価指数先物などで使うときは特に注意してください。
区切り型にはもう一つ癖があります。区切りの直後は1本目からVWAPと偏差を計算し直すので、偏差がゼロに近くなり、バンドがATRの下限まで一気に細くなります。
Daily などの区切りモードは、区切り直後に転換しやすい
区切りの直後は1本目からVWAPと偏差を計算し直すため、バンドが一気に細くなり、トレイルが価格のすぐ近くまで寄ってきます。
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上段のDailyでは、日付が変わった足でバンドが細くなり、トレイルが価格のすぐ下まで引き上げられました。その直後に▼、さらに2本後に▲が出ています。下段の初期設定(ローリング)では、同じ場面で転換は起きていません。作者も、区切り型はリセット直後に不安定になりうると説明しています。
区切りの長さより1本の足が長い時間足では、毎回1本だけでVWAPを計算することになり、偏差はゼロになります。するとバンドの幅はATRの下限だけで決まり、ATR Minimum Widthをオフにしていれば幅がゼロです。日足でDaily、4時間足以上で4 Hours、週足でWeeklyを選ぶのは避けてください。長い足ではローリング型を使うのが安全です。
Rolling (Lookback: Days)は暦日数で範囲を決めるので、時間足を切り替えても同じ期間のVWAPになります。ただし数える本数は最大5000本までです。24時間動く暗号資産の1分足で30日を指定すると、5000本(約3.5日)で打ち切られます。そのため、短い時間足では日数を小さめにしておくと意図どおりになります。
使い方別の設定の目安
どれも出発点としての目安です。自分の銘柄で▲▼の出方を見ながら、倍率から調整していくのがいちばん早いと思います。
| 使い方 | 時間足 | 設定の目安 | 理由 |
|---|---|---|---|
| スキャルピング | 1〜5分足 | Deviation Multiplier 2.0、VWAP Slope Confirmation オン | 細かいもみ合いで▲▼が連発しやすいため、判定の条件を厳しくする |
| デイトレード | 15分〜1時間足 | Rolling Lookback Bars 50〜100、Deviation Multiplier 1.5〜2.0 | 50本で1時間足なら約2日分。15分足で1日分を見たいなら96本前後 |
| スイングトレード | 4時間足〜日足 | 初期設定のまま | 大きな波の切り替わりだけに▲▼が出て、途中の戻りで色が変わりにくい |
| ポジショントレード | 日足〜週足 | Rolling Lookback Bars 50〜100 | 区切り型は使わず、長めのローリングで重心をゆっくり動かす |
VWAP Slope ConfirmationとFlip Triggerの使いどころ
VWAP Slope Confirmationをオンにすると、強気への転換には「VWAPがVWAP Slope Lookback本前より上にあること」、弱気への転換には「下にあること」が加わります。VWAPが横ばいのまま価格だけが突き抜けたような場面を、転換として扱わなくなります。
ただし副作用があります。終値がトレイルを抜けても傾きの条件を満たさなければ色は変わらず、次の足ではトレイルがバンドの位置に計算し直されます。そのため、価格が緑のトレイルの下にいるのに緑のまま、という見慣れない表示が出ることがあります。オンにするのは、ダマシの多さに困ったときだけで十分だと思います。
Flip Triggerは、初期値のCloseなら終値で判定します。Price SourceにするとPrice Sourceで選んだ価格(初期値はhlc3)で判定するので、長いヒゲが付いて終値だけ抜けたような足では転換しにくくなります。反応はわずかに遅れますが、判定が少しなめらかになります。
「VWAP Deviation Trend」に任せられること、任せきれないこと
任せられること
- VWAPの周りを行き来するだけの値動きでは色が変わらず、方向の判定が安定している
- 強気の間は下がらないトレイルが、そのまま損切りや利益確定の目安になる
- 出来高の多い価格帯を中心にしているので、重心から本当に離れたかを判断できる
- ATRの下限があるため、値動きが細い時期でもバンドが潰れにくい
- ▲▼の2種類のアラートが用意されていて、見張りを任せられる
任せきれないこと
- 転換の基準がバンド幅ぶん離れているので、天井や底からはどうしても遅れる
- 短い時間足の狭いもみ合いでは、▲▼が短時間に続けて出る
- 区切り型のVWAP Modeは、区切りの直後に転換しやすい
- 出来高データがない銘柄では単純平均になり、出来高で重み付けする強みがなくなる
- グラデーションの濃さの差は小さく、勢いの判断材料としては控えめ
RSIと組み合わせるなら、方向はトレイル、入る場所はRSIで決める
▲▼はどうしても遅れて出るので、▲を見てから買うと、すでに上がったところで入ることになりがちです。そこで私が試してよかったのが、「VWAP Deviation Trend」は方向を決めるフィルターとしてだけ使い、入る場所をRSI(14)の押し目で探す組み合わせです。
RSIと組み合わせて、強気の間の押し目を拾う
方向は「VWAP Deviation Trend」のトレイルで決め、入る場所はRSI(14)が50を割って戻ったところで探します。
Vowars DE ver.3.11.0
トレイルが緑の間にRSIが40付近まで下がり、再び50を上回った足を押し目買いの候補にします。トレイルは価格のずっと下にあるので、損切りの位置もはっきりします。
1トレイルの色で、買いか売りかを決める
緑なら買いだけ、赤なら売りだけを考えます。色と逆方向のエントリーは、RSIがどんな形でも見送ります。
2RSIが50を割り込むのを待つ
強気のままRSIが50を下回ったら、押しが入ったサインです。Show VWAPをオンにしておくと、価格がVWAPまで下りてきたかも一緒に確かめられます。
350を回復した足で入り、損切りはトレイルの外に置く
RSIが50を上回った足の終値を入る目安にします。損切りはトレイルの少し外側に置きます。トレイルを終値で割れば判定そのものが弱気に変わるので、そこで降りる理由がはっきりします。
4トレイルが切り上がったら、損切りも引き上げる
強気が続けばトレイルは上にしか動かないので、それに合わせて損切りも上げていきます。▼が出たら、利益が乗っていても手じまいを考えます。
リペイントとアラート、過去チャートでの確かめ方
確定した足の表示は変わらない。変わるのは動いている足だけ
「VWAP Deviation Trend」は、上位足のデータや未来の値を参照していません。確定した足のトレイル、色、▲▼が後から描き換わることはありません。
ただし、まだ動いている最新の足では、終値が決まるまで判定が揺れます。足の途中でトレイルを抜ければ▲▼が表示され、足が閉じる前に戻れば消えます。▲▼は足が確定してから信じる、と決めておくと迷いません。
アラートは「バーの終わりに1回」で設定する
アラートの条件は「VWAP Deviation Trail Bullish」と「VWAP Deviation Trail Bearish」の2つです。どちらも▲▼と同じタイミングで成立します。TradingViewのアラート作成画面で頻度を「バーの終わりに1回」にしておけば、足が確定したときだけ通知されるので、足の途中の一時的な転換で通知が飛ぶことを防げます。
転換より手前で知りたいときは、アラートの条件に銘柄と「VWAP Deviation Trail」の交差を指定する方法もあります。トレイルへの接触を早めに知る用途なら、こちらのほうが合っています。
過去チャートの検証はバーリプレイで
「VWAP Deviation Trend」はインジケーターとして作られているため、ストラテジーテスターで勝率や損益を集計する対象にはなりません。成績を数字で見たい場合は、同じ判定をストラテジーとして作り直す必要があります。
手軽なのはバーリプレイです。1本ずつ足を進めながら、▲▼がどの足で出て、そこから価格がどう動いたかを確かめられます。無料のBasicプランでは日足以上の時間足に限られ、日中足のリプレイには有料プランが必要です。さかのぼれる期間もプランと時間足によって変わります(2026/9/23 現在)。
確定した足では描き換えがないとはいえ、過去チャートを眺めると、大きなトレンドを長く取れているところが目に入りやすくなります。その間にあったもみ合いでの▲▼の連発や、転換までの遅れも含めて、バーリプレイで1本ずつ確かめてから使い方を決めてください。
VWAPの重心を軸に、ダマシの少ない方向判定がほしい人のためのトレイル
画像「VWAP Deviation Trend」は、VWAPと出来高で重み付けした偏差から、片側にしか動かないトレイルを作るインジケーターです。VWAPをまたいだくらいでは色が変わらず、重心からバンドの幅ぶん離れて初めて▲▼が出ます。この「鈍さ」が、もみ合いでのダマシを減らしています。
いちばん向いているのは、1時間足から日足で「いまは買いと売りのどちらを考える局面か」を決めるフィルターとしての使い方です。短い時間足ではDeviation Multiplierを上げるか、RSIのような押し目の判断と組み合わせると扱いやすくなります。区切り型のVWAP Modeだけは時間足との組み合わせに注意が要るので、迷ったら初期設定のローリングのまま使うのが無難です。
個人的には、Supertrendの判定が軽すぎると感じている人にこそ、一度試してほしいと思いました。緑の間にVWAPまで下りてきた押し目を拾う。そんな使い方が、このトレイルとはいちばん噛み合っていました。








