圧縮のあと、どちらへ放れやすいかを「このチャートの過去」から探すインジケーター
スクイーズ(値動きの圧縮)を見つけるインジケーターは昔からたくさんあります。ボリンジャーバンドがケルトナーチャネルの内側に入ったら「エネルギーが溜まっている」と判断する、あの見方です。ただ、どれも教えてくれるのは「圧縮している」「解放された」までで、上と下のどちらへ抜けそうかは結局こちらの判断でした。
「Squeeze AI – Breakout Direction Probability」(以下「Squeeze AI」)は、その後半に手を入れたインジケーターです。チャート上で終わった圧縮を1件ずつ記録し、その後に実際どちらへ動いたかも一緒に覚えておきます。そして新しい圧縮が解放された瞬間に、特徴がよく似た過去の圧縮15件のうち、何割が上に抜けたかをラベルで出してくれます。未来を予想する式ではなく、同じ銘柄・同じ時間足の「過去の記録」から多数決を取る仕組みです。

私はビットコインの5分足・1時間足・日足・週足へ入れて数日使ってみました。第一印象は「スクイーズ系なのに、見るところが数字中心で新鮮」。一方で、数字の意味を取り違えやすい箇所もいくつかあり、そこは本記事でしっかり掘り下げます。
手元のデータの中から、いま調べたいものにいちばん似ているものをk個選び、その多数決で答えを出す方法です。「Squeeze AI」ではkが15(初期値)で、似ているかどうかは圧縮の長さや深さなど5つの物差しの距離で測っています。凡例には短縮名の「KNN Squeeze Breakout [D3R]」と表示されます。
チャートに出るものと、それぞれが意味すること
最初に、表示される要素を整理しておきます。数が多いように見えますが、役割ははっきり分かれています。
| 表示 | 出るタイミング | 何を示しているか |
|---|---|---|
| 白く細い4本の線 | 常に | ボリンジャーバンド(BB)の上下とケルトナーチャネル(KC)の上下 |
| オレンジの箱 | 圧縮が始まった足から解放された足まで | 圧縮していた期間と、その間のBBの上限・下限 |
| SQZ FIREラベル | 圧縮が解放された足(確定後) | 似た過去の圧縮の多数派の向き・割合・動いた幅・保存件数 |
| 予告ラベル(SQUEEZE ○ bars) | 圧縮中の最新足だけ | 圧縮がまだ続いている段階での多数派の向き |
| ダッシュボード | 最新足(右上) | 状態、圧縮の深さ、最新の読み、保存件数と全体の上抜け率 |
白い4本の線と、オレンジの箱の関係
圧縮の判定は定番どおりです。BBの上限がKCの上限より下にあり、なおかつBBの下限がKCの下限より上にある、つまりBBがKCの内側にすっぽり収まった足を「圧縮中」と数えます。BBは終値の20本平均±標準偏差の2倍、KCは同じ20本平均±ATR(20)の1.5倍です。
BBがKCの内側にいる間だけ、オレンジの箱が伸びる
ボリンジャーバンドの上下がケルトナーチャネルの内側に収まった足から箱が始まり、外に出た足で閉じてSQZ FIREが付きます。
Vowars DE ver.3.12.4
箱は圧縮が始まった足で作られ図の①、内側にいる間は右へ伸びていきます。箱の上下は、その間にBBがいちばん広がった位置に合わせて広がるので、始まった直後のBBの位置がそのまま箱の高さになりやすいです図の②。BBがKCの外に出た足で箱が閉じ、同じ足にSQZ FIREが付きます図の③。
使っていて少し困ったのが、4本の線がすべて同じ白(かなり薄め)で描かれる点です。どれがBBでどれがKCかを線の色で見分けられません。設定のFill Between BBをオンにすると、BBとKCの間の上下2か所が薄いグレーで塗られるので、「内側に入ったかどうか」が一目で分かるようになります。名前だけ見るとBBの上下の間を塗る設定に思えますが、実際に塗られるのはBBとKCのすき間です。
ダッシュボードのCompressionは何%なら深い?
ダッシュボードの「Compression」は、BBの幅がKCの幅に比べてどれだけ細いかを示す数字です。計算は「1 −(BBの幅 ÷ KCの幅)」なので、BBがKCとちょうど同じ幅なら0%、BBが半分の幅なら50%になります。
Compressionは「BBの幅がKCの幅より何割細いか」
最新足でKCの幅とBBの幅を比べ、1からBB幅÷KC幅を引いた値がダッシュボードのCompressionに出ます。
Vowars DE ver.3.12.4
図の最新足では、KCの幅図の①に対してBBの幅図の②が半分弱まで縮み、Compressionは55%です図の③。50%を超えると数字が黄色に変わるので、「かなり締まっている」の目安にできます。
注意したいのは、この数字がマイナスにもなることです。解放後にBBがKCより広がると、1から1以上の値を引くことになるため、私のビットコイン5分足では-20%、1時間足では-152%と表示されていました。マイナスは「圧縮していない」、大きなマイナスは「すでに大きく広がっている」と読めばOKです。0%から100%の範囲に収まる数字だと思っていると、最初は戸惑います。
SQZ FIREラベルは「似た15件の多数決」として読む
このインジケーターの主役がSQZ FIREラベルです。解放された足が確定すると同時に、1枚だけ出ます。
ラベルの色と位置は、多数派の向きで決まる
似た過去の圧縮15件で上抜けが半分以上なら緑の▲、半分未満なら赤の▼になり、置かれる場所も上下で入れ替わります。
Vowars DE ver.3.12.4
似た過去の圧縮15件のうち上抜けが半分以上なら、安値から1ATR(14)下に緑の文字で「▲」が出ます図の①。半分未満なら、高値から1ATR上に赤の文字で「▼」になり、横の数字は下抜け側の割合に切り替わります図の②。背景は透明なので、ローソク足に文字が重なることもあります。
ラベルの中身は3つに分けて読みます。
| 表示例 | 意味 | 読むときのコツ |
|---|---|---|
| ▲ 67% | 似た15件のうち上抜けだった割合 | 15件の多数決なので、53%・60%・67%・73%…と約6.7%刻みで動く |
| ±1.7 ATR | その15件で、10本後の終値がどれだけ離れていたかの平均(ATR換算) | 上下どちらの動きも混ぜた平均。向きは含まない |
| N=50 | これまでに保存された圧縮の総数 | 投票した件数ではない。15件はこの中から選ばれる |
私の画面に出たラベルも、53%、60%、67%と見事に飛び飛びでした。細かい差を気にする意味はあまりなく、「60%台か、70%以上か」くらいの粒度で見るのがちょうどいいと感じています。
公開ページの説明には「最も似た34件のうち68%が上抜け」と読める例がありますが、実際の表示でNに入るのはそのチャートで保存済みの圧縮の総数です。多数決に参加するのは、その中から選ばれた15件(K Neighborsの値)だけです。N=100でもN=30でも、割合の分母はいつも15件だと覚えておくと混乱しません。
もう1つ、例では「+2.1 ATR」とプラス記号で書かれていますが、実際のラベルは「±」です。上に動いた幅と下に動いた幅を区別せずに平均した値なので、「上へ2.1ATR動く見込み」とは読まないでください。

保存が12件(Min Samples Before Displayの初期値)に届くまでは、割合の代わりに灰色で「Training…(4/12)」のように表示されます。私が週足に入れたときは、表示できる期間がすべて読み込まれても保存は6件止まりで、ダッシュボードも「Training… 6/12」のままでした。
裏側では「5つの物差し」と「10本後の答え合わせ」を繰り返している
ラベルの数字がどこから来るのかを知っておくと、信用してよい場面と疑うべき場面が見えてきます。解放のたびに記録されるのは次の5つで、どれも0〜1程度の大きさにそろえてから保存されます。
| 物差し | 中身 | そろえ方 |
|---|---|---|
| 継続本数 | 圧縮が何本続いたか | 40本で上限(それ以上は同じ扱い) |
| 圧縮の深さ | 圧縮中のCompressionの最大値 | 0〜100%に収める |
| 出来高の様子 | 圧縮中の出来高が20本平均の何倍だったかの平均 | 3倍で上限 |
| 解放時の勢い | 直近20本の線形回帰の傾きをATR(14)で割った値 | −1〜+1に収める |
| ボラティリティの地合い | ATR(14)がその50本平均の何倍か | 3倍で上限 |
新しい圧縮が解放されると、この5つの値が保存済みのどの圧縮と近いかを距離で比べ、近い順に15件を選びます。5つの重みは同じです。出来高のデータが提供されていない銘柄では、出来高の項目が常に同じ値として扱われるため、実質的には残り4つで似ているかを判断することになります。
結果は「10本後の終値」で上か下かを記録する
SQZ FIREが付いた足の終値と、Outcome Window(初期値10本)後の終値を比べ、上なら上抜け、下なら下抜けとして学習データに加えます。
Vowars DE ver.3.12.4
結果の記録は、とても割り切った方法です。SQZ FIREの足の終値を覚えておき図の①、Outcome Window (bars)の本数(初期値10本)を待ちます図の②。10本後の終値がそれより上なら「上抜け」、下なら「下抜け」です図の③。
途中で大きく上に振れても、10本後の終値がわずかでも下なら「下抜け」として記録されます。見ているのは終値どうしの比較だけで、高値や安値がどこまで届いたかは関係ありません。「▲70%」は「10本後に今より高く引けていたケースが7割」という意味で、「上に大きく伸びる確率」とは少し違います。
箱が出てもラベルが付かない圧縮がある
使い始めてすぐ気づいたのが、オレンジの箱はあるのにSQZ FIREが付いていない場所です。不具合かと思いましたが、動きを追うと理由は2つでした。
箱が出てもSQZ FIREが付かない2つの場面
オレンジの箱は圧縮が起きるたびに描かれますが、ラベルが付くのは条件を満たした圧縮だけです。
Vowars DE ver.3.12.4
1つ目は、圧縮が短すぎるケースです。Min Squeeze Duration (bars)(初期値4本)に届かない圧縮は、箱だけ描かれてラベルも記録も付きません図の①。
2つ目は見落としやすいほうで、直前のSQZ FIREの結果待ちの間に解放された圧縮は、何本続いていてもラベルが付きません。SQZ FIREのあと10本は「答え合わせ待ち」の期間で図の②、その間に次の圧縮が解放されても、計算の対象から外されます図の③。圧縮と解放を短い間隔で繰り返す相場ほど、ラベルが間引かれて見えるのはこのためです。アラートの「Squeeze Fired」も同じ条件なので、この場面では鳴りません。
圧縮が続いている最中は、予告ラベルとダッシュボードを見る
まだ締まりが続いている段階でも、最新足では「いまの圧縮に似た過去は、どちらに抜けたか」の途中経過が見られます。ここは表示の書き方に少しクセがあります。
圧縮中の最新足では、同じ読みが2か所に出る
チャート上の予告ラベルとダッシュボードのKNN Readは、同じ計算結果を別の書き方で表示しています。
Vowars DE ver.3.12.4
最新足の3本先に、オレンジの文字で「SQUEEZE 14 bars / KNN lean: ▼ 60% | N=65」のような予告ラベルが出ます図の①。ダッシュボードのKNN Readにも同じ計算結果が出ますが、こちらは上抜け側の割合を、多数派がどちらでも「▲」付きで表示します図の②。「▲ 40%」が赤字なら、下抜け側が60%という意味です。私は最初、赤い▲を「上向きの弱いサイン」と読み違えました。色で判断するのが確実です。
予告ラベルは最新足にしか出ず、足が進むたびに消して描き直されます。過去の圧縮で予告ラベルがどう変わっていったかを確かめたいときは、TradingViewのバーリプレイで1本ずつ進めれば、その時点の最新足として表示を追えます。遡れる期間はプランと時間足によって変わります。
状態がRELEASEDのときも、ダッシュボードのKNN Readには数字が出続けます。ただしこのときは「継続0本・出来高は平均並み・圧縮の深さは直前の圧縮の値」という仮の条件で近いものを探しているため、次の圧縮の見通しとしてはあまり意味を持ちません。RELEASED中は「Samples」の行だけを見る、と決めてしまうのが楽でした。
私の使い方の流れ
数日使ってみて、落ち着いた手順は次のとおりです。5分足から1時間足での短期売買を想定しています。
1Samplesの件数を先に見る
ダッシュボード下段の「Samples」で、保存件数を確認します。12件で割合は表示されますが、12〜14件のあいだは保存件数が15件に満たないため、全件が投票に参加し、ただの全体平均と同じ数字になります。「似たものを選ぶ」効果が出るのは、保存件数が15件を大きく超えてからです。50件を超えるまでは、数字は参考程度に扱うくらいでちょうどいいと思います。
2圧縮中はCompressionと予告ラベル
箱が伸び始めたら、Compressionが50%を超えて黄色になるか、予告ラベルの向きがどちらに傾いているかを見ておきます。この段階ではまだ動かず、放れる準備だけしておきます。
3SQZ FIREで向きと割合をチェック
解放された足が確定してSQZ FIREが出たら、色と割合を確認します。53%のような五分五分に近い数字は「過去もどちらとも言えなかった」という情報なので、私は見送ることが多いです。70%以上で、かつ次のSTEPの条件がそろったときだけ候補にします。
4上位の流れと向きが合っているか
ラベル単体で入るのではなく、トレンドの向きと照らし合わせます。組み合わせ方は次の見出しで図にしました。
5±ATRを値幅の目安にする
「±3.2 ATR」なら、似た圧縮では10本後の終値が、解放された足の終値から平均で3ATRほど離れていたことになります。向きは含まないので利確の目標そのものではありませんが、「この圧縮は大きく動きやすいタイプか」を判断する材料として、損切り幅とのバランスを考えるときに使っています。
いちばん相性がよかった組み合わせはEMA200
いくつか試して、いちばん扱いやすかったのがTradingView標準のEMA(期間200)です。SQZ FIREの割合は「過去の似た圧縮」の記録なので、いまの相場がどちらに傾いているかまでは考慮されません。そこを長期の移動平均で補うイメージです。
EMA200で向きをふるいにかける
TradingView標準のEMA(期間200)を重ね、価格がEMAの上にある間は▲のラベルだけを候補にします。
Vowars DE ver.3.12.4
価格がEMA200の上にある間は図の①、緑の▲が出たときだけ候補にし図の②、赤の▼が出ても見送ります図の③。下にある間はその逆です。図の例でも、EMAと逆向きの▼が出たあと、価格は下に抜けずに上へ伸びています。割合が70%を超えていても、EMAと向きがぶつかるときは一度立ち止まる。私はこのルールにしてから、ラベルに振り回されることが減りました。
アラートは2種類
通知に使えるアラート条件は「Squeeze Started」(圧縮が始まった足の確定時)と「Squeeze Fired」(SQZ FIREが出た足の確定時)の2つです。TradingViewのアラート作成画面で、条件にこのインジケーターを選び、どちらかを指定します。私は「Squeeze Fired」だけを入れて、通知が来たらチャートを開いて割合とEMAを確認する使い方にしています。通知の文面には割合が入らないので、数字はチャートで見る必要があります。
パラメーターと、変えるならどこか
設定画面の項目名は英語のまま表示されます。初期値と、私が試したうえでの推奨値をまとめました。
| 設定 | 初期値 | 推奨値 | 効果 |
|---|---|---|---|
| BB Length | 20 | 20 | BBの計算期間。長くすると圧縮の判定がゆっくりになる |
| BB Multiplier | 2.0 | 2.0 | BBの幅。大きくするとKCの内側に入りにくくなり、圧縮の回数が減る |
| KC Length | 20 | 20 | KCの中心線とATRの期間。BB Lengthと同じ値にしておくと中心線がそろう |
| KC Multiplier | 1.5 | 1.5(回数を増やすなら2.0) | KCの幅。大きくするとBBが内側に入りやすくなり、圧縮の回数と保存件数が増える |
| Min Squeeze Duration (bars) | 4 | 日足までは4、週足は3 | これより短い圧縮はラベルも記録もしない |
| Outcome Window (bars) | 10 | 保有する本数に合わせる | 何本後の終値で上抜け・下抜けを決めるか |
| K Neighbors | 15 | 15か21など奇数 | 多数決に参加する件数。増やすほど数字がなめらかになり、似ていない過去も混ざる |
| Max Training Samples | 300 | 300 | 保存する圧縮の上限。超えると古いものから消える |
| Min Samples Before Display | 12 | 30〜50 | この件数に届くまでは割合を出さずTraining表示にする |
| ATR Baseline Period | 50 | 50 | ボラティリティの地合いを測る基準の期間 |
| Fill Between BB | false | true | BBとKCのすき間を薄く塗る |
| Squeeze Background Tint | false | 好みで | 圧縮中の背景を薄いオレンジにする |
| Squeeze Zone Box | true | true | 圧縮区間の箱を描く |
| Fire Labels with Probability | true | true | SQZ FIREラベルを表示する |
| Live Anticipation Label During Squeeze | true | true | 圧縮中の最新足に予告ラベルを出す |
| Show Dashboard | true | true | ダッシュボードを表示する |
| Position | Top Right | 好みで | ダッシュボードの位置(4隅から選択) |
K Neighborsは奇数にしておく
K Neighborsを偶数にすると、ちょうど半々(50%)になる場面が出てきます。上抜けが50%以上なら緑の▲になる仕様なので、五分五分なのに上向きの色で表示されることになります。初期値の15のように奇数にしておけば、このあいまいさは起きません。増やすと数字の刻みが細かくなって安定しますが、似ていない過去まで投票に混ざるので、保存件数が100件を超えるまでは15のままで十分だと感じました。
Min Samples Before Displayは引き上げる価値がある
先ほど触れたとおり、保存件数がK Neighborsに届かないうちは、似たものを選ぶ意味がほとんどありません。Min Samples Before Displayを30〜50に上げると、根拠の薄い数字がラベルに出るのを防げます。表示が出るまでに時間はかかりますが、そのほうが、出てきた数字を安心して読めるようになりました。
時間足と回数のバランス
圧縮の回数は、時間足と銘柄でまったく違います。私の環境では、ビットコインの5分足で保存件数は100件ほど、1時間足で148件、日足で67件、週足では6件でした。日足なら12件の壁は越えますが、週足で使うなら、KC Multiplierを2.0に上げるか、Min Squeeze Duration (bars)を3に下げて回数を稼ぐ必要があります。ただしどちらも「浅い圧縮」を増やす方向の調整なので、1件ずつの情報は薄くなります。

Outcome Window (bars)は、実際に持つ時間に合わせるのがいちばん筋が通ります。5分足で10本なら50分後の答え合わせです。30分ほどで決済するスキャルピングなら6本、半日持つなら1時間足で12本、というように「自分が知りたい先の時点」に合わせてください。
向いている相場、向いていない相場
向いているのは、レンジと放れを日に何度も繰り返す銘柄の短い時間足です。ビットコインやゴールド(XAUUSD)の5分足〜1時間足、株価指数先物の日中足などは圧縮の回数が多く、保存件数がすぐに増えます。日足でも私の環境では67件たまったので、スイングトレードの判断材料として使う余地はあります。同じ銘柄・同じ時間足の記録だけを使う設計なので、クセのはっきりした銘柄ほど数字に意味が出やすいはずです。
逆に苦手なのは、指標発表や突発ニュースで一気に動く場面です。こうした動きは圧縮の特徴とは関係なく起きるので、似た過去を探しても手がかりになりません。また、一方向のトレンドが長く続く相場では圧縮自体が起きにくく、ラベルがほとんど出ません。
頼れるところ
- 圧縮のたびに、同じチャートの過去から上抜け・下抜けの比率を出してくれる
- 割合・動いた幅・保存件数が1枚のラベルで読める
- 圧縮中から予告ラベルとダッシュボードで途中経過を追える
- ラベルと箱は足の確定後に描かれ、あとから位置が動かない
気をつけるところ
- 4本の線が同じ色で、BBとKCの区別が付きにくい
- Nが保存件数で、投票した件数ではない
- 「±ATR」は向きを含まない平均で、上方向の目標値ではない
- 結果待ちの10本の間に解放された圧縮は、ラベルもアラートも出ない
- 週足では保存件数が足りず、確率が出ないことがある
数字は「読み込まれた履歴」に左右される
SQZ FIREラベル、箱、結果の記録は、すべて足が確定したときだけ処理されます。確定した足に出たラベルが、その後の値動きで動いたり消えたりすることはありません。アラートも足の確定時に判定されます。一方、予告ラベルとダッシュボードは形成中の足でも更新され、条件が変われば消えます。
気をつけたいのは、学習データがチャートに読み込まれた足だけから作られる点です。TradingViewで日中足のチャートに読み込まれる本数はプランによって決まっていて、Basicで5,000本、EssentialとPlusで10,000本、Premiumで20,000本、Expertで25,000本、Ultimateで40,000本です(2026年9月28日現在、TradingViewヘルプセンターの記載)。
読み込まれる本数が違えば、保存される圧縮の件数も変わります。そのため同じ銘柄・同じ時間足・同じ足のSQZ FIREでも、プランや読み込み直したタイミングによって割合やNが違うことがあります。足の確定後に描き換わる「リペイント」とは別の話ですが、過去のラベルの数字をそのまま成績として数えるのは避けたほうが安全です。
また、箱の表示数には上限の指定がなく、TradingViewの既定(およそ50個)を超えると古い箱から消えていきます。ラベルは500枚まで残るので、長い期間を表示するとラベルだけが残って箱がない区間が出てきます。
公開ページでも「過去の結果は将来を保証しない」と明記されているとおり、このインジケーターの数字は売買シグナルではありません。あくまで「このチャートでは、似た圧縮のあとにこう動いたことが多かった」という記録です。
放れる向きの「手がかり」を、自分のチャートの記録から得たい人に
画像「Squeeze AI」は、スクイーズ系インジケーターがずっと空白にしていた「どちらへ抜けそうか」に、過去の記録という形で答えを出そうとするインジケーターです。k近傍法という機械学習の手法を使っていますが、中身は「似た圧縮15件の多数決」と「10本後の終値での答え合わせ」というシンプルな仕組みです。そこさえ押さえれば、数字の読み方で迷うことはありません。
そのうえで、Nの意味、±ATRに向きがないこと、結果待ちの間はラベルが出ないこと、この3点だけは最初に押さえておいてください。ここを取り違えると、数字の印象が実際より強く見えてしまいます。私自身は、5分足〜1時間足で保存件数が50件を超えてから、EMA200と向きがそろったSQZ FIREだけを見る、という使い方に落ち着きました。
スクイーズの放れに毎回「上か下か」で迷っている人にとって、判断材料を1つ増やしてくれるツールです。短い時間足で圧縮の多い銘柄を触っているなら、まずは1週間ほど表示させて、Samplesの件数がどう増えていくかから眺めてみるのがおすすめです。








