Focus Barsはローソク足の「中身」を並べて見るインジケーター
「Focus Bars」は、Kioseff TradingがTradingViewで公開しているインジケーターです。直近の数本のローソク足を下位足のデータで分解し、1本の足の中で、どの価格帯に買いと売りが集まったのかを別ペインに描き出します。

ローソク足が教えてくれるのは、始値・高値・安値・終値の4つだけです。長い上ヒゲを見れば「高値で押し戻された」とは分かります。でも、押し戻したのが大きな売りだったのか、薄い出来高の中でたまたま値が戻っただけなのか。そこまでは読めません。その答え合わせをするために作られたのが「Focus Bars」です。
表示の基本は単純で、中央に1本のローソク足、その左に売りが優勢だった価格帯、右に買いが優勢だった価格帯が横棒で伸びます。さらに右側には、価格帯ごとの売り出来高と買い出来高が数字で並びます。売買シグナルやアラートの機能はなく、足の内側を観察して、自分の判断材料を増やすタイプのインジケーターです。
画面に出るものを1本分ずつ読み解く
まずは、フォーカスバー1本分の構成を押さえておきます。初期設定ではDelta Barsがオンになっていて、次の図のように表示されます。
Focus Barsの1本分の読み方(Delta Bars オン)
中央のローソク足が外側の形、左右に伸びるバーがその中身です。
Vowars DE ver.3.4.1
中央のローソク足は、その足そのもの
中央のローソク足は、メインチャートの足と同じ始値・高値・安値・終値で描かれます。陽線ならシアン、陰線なら濃い赤です。ペインの縦軸は実際の価格なので、「このフォーカスバーの上端は78,600ドル付近」といった読み方がそのままできます。
左右の横棒は「どちらが多かったか」
ローソク足の高値から安値までを、初期値では20の行に等分しています。行ごとに買い出来高から売り出来高を引いた差(デルタと呼ばれる値)を計算し、売りが多かった行は左へ、買いが多かった行は右へ伸ばします。1つの行が左右両方に出ることはありません。
色にも意味があります。売り側は薄いピンクから濃い赤へ、買い側は淡い青緑から明るいシアンへと、差が大きい行ほど濃くなります。横棒の長さと色の濃さは同じ尺度で決まっているので、長くて濃い行ほど偏りが強かった価格帯です。
右端の数字は売りと買いの出来高そのもの
フォーカスバーの右に並ぶ2列の数字は、左の列が売り出来高、右の列が買い出来高です。基本は白で表示され、例外は2か所だけです。買い越しがいちばん大きい行の買いの数字がシアンに、売り越しがいちばん大きい行の売りの数字が濃い赤に変わります。
横棒の長さは、その足の中で差が最も小さい行を最短、最も大きい行を最長として割り振られます。つまり、どのフォーカスバーでも最長の横棒は同じ長さになります。出来高の少ない足と多い足を、横棒の長さで比べても意味がありません。足どうしの勢いを比べたいときは、右側の数字を見てください。
この点は、使い始めのころに一度勘違いしました。前の足より横棒が長いから「売りが強まった」と読んだのに、数字を見比べると出来高はむしろ半分以下。ちょっと恥ずかしい読み違いです。長さは、1本の足の中での比較に使うものと割り切りましょう。
買いと売りはどうやって分けているのか
最初に知っておきたいのは、取引所の約定を1件ずつ見ているわけではない点です。「Focus Bars」は、チャートの足より細かい下位足(初期値は1分足)のデータを取り寄せ、次のルールで買いと売りに振り分けています。
- 1分足の終値が、1つ前の1分足の終値より高ければ、その1分足の出来高をすべて買いとして数える
- 終値が1つ前より安ければ、出来高をすべて売りとして数える
- 終値が1つ前と同じなら、その1分足の出来高はどの行にも入らない
- 振り分けた出来高は、その1分足の高値から安値までにかかる行へ均等に配る
4時間足なら1本の中に1分足が240本、日足なら1,440本あります(24時間取引の暗号資産の場合)。その1本1本を上の手順で積み上げたものが、フォーカスバーの横棒と数字になります。
1分足が1本のフォーカスバーになるまで
左の細かい足が「1本の足の中にあった1分足」、右がそれを集計した結果です。
Vowars DE ver.3.4.1
図を見ると分かるとおり、判定の基準は陽線か陰線かではありません。前の1分足の終値との比較です。陽線の1分足でも、前の足より安く終われば売りに数えられます。
この振り分けは、値動きの向きから買いと売りを推定する方法です。1分間のうちに大口の売りと買いがぶつかっていても、終値が少しでも上がっていれば全部が買いに入ります。作者も説明の中で、内部の注文の流れを近似したものであると明記しています。数字は「目安の偏り」として受け取るのが安全です。
Granularityを1-Tickにすると、判定方法が少し変わります。約定価格が買い気配(ビッド)と同じなら売り、売り気配(アスク)と同じなら買いとし、どちらでもなければ前のティックとの比較で決めます。ティック単位のデータが使える銘柄に限られるので、使えるかどうかは実際に切り替えて確かめてください。
直近5本はどこにある? 表示位置のクセを知っておく
このインジケーター「Focus Bars」は、ペインの横軸をフォーカスバーを並べるための置き場所として使っていて、時間の目盛りとしては扱っていません。
直近5本はどこに並ぶのか
上段の右端にある5本が、下段の5つのフォーカスバーの中身です。
Vowars DE ver.3.4.1
初期設定では、いちばん新しいフォーカスバーの本体が現在の足より25本手前に置かれ、そこから60本おきに古い足が左へ並びます。5本分をすべて表示すると、横幅はおよそ300本分です。日足なら約10か月分、4時間足なら約50日分の幅を使うことになります。思った以上に横長です。

日足で縮小表示すると、フォーカスバーの下に「2月」「5月」といった日付の目盛りが見えます。しかし中身はすべて直近5日分の足です。縦軸は実際の価格なので上下の位置関係は比べられますが、横の位置を読んではいけません。
右側の数字は、行の高さと横幅に合わせて小さくなります。日足を広く表示した状態では、数字が点の列にしか見えません。数字まで読みたいときは、フォーカスバーのあたりまでスクロールして拡大してください。
スマホで使うなら、見る本数を減らすのが手っ取り早い対策です。Bars To Showを3にすると横幅はおよそ180本分まで縮み、拡大しても全体を追いやすくなります。
同じ形の足でも、中身が違えば意味も違う
ローソク足の形だけでは判断がつかない。そんな場面で「Focus Bars」はいちばん役に立ちます。分かりやすい例として、始値・高値・安値・終値がまったく同じ上ヒゲ陽線を2本並べてみます。
同じ形のローソク足でも、中身は違うことがある
AとBのローソク足は同じ形です。違いが出るのは左右のバーです。
Vowars DE ver.3.4.1
Aの足は、上ヒゲの価格帯がほぼすべて売り越しです。いちばん上の行ほど赤が濃く、高値をつけた直後にまとまった売りで押し戻された流れが読み取れます。上ヒゲを「上値の重さ」と見るなら、Aはその見方を裏づける中身です。
Bは同じ上ヒゲでも、行のほとんどが買い越しです。高値の少し下で買いの数字がいちばん大きくなっていて、押し戻しの間は出来高そのものが小さい。この場合、上ヒゲは売り圧力の証拠としては弱く、次の足で高値を試し直す展開も十分に考えられます。
4時間足で見た実際の陰線でも、似た読み方をしました。売り越しの行が実体の下半分に固まっていた一方で、上ヒゲの近くには買い越しの行が残っていました。「高値圏で買った人がいたが、下の価格帯でそれ以上に売られた」足です。形だけ見ればただの陰線ですが、どこで売りが強まったのかが分かると、次の足をどこで待つかの目安が立てやすくなります。
並べて見ると、偏りの移動が分かる
5本を並べる意味は、偏りの移動を追えることにあります。ここが面白いところです。例えば上昇中に、買い越しの行が足ごとに上の価格帯へ移っていくなら、買いが価格を押し上げながらついてきている状態です。反対に、値段は上がっているのに買い越しの行が下のほうに取り残され、上の行が売り越しに変わってきたら、上昇の中身が細っているサインとして警戒できます。
ブレイクアウトの足は「上端の行」を見る
レンジの上限を抜けた足が出たら、フォーカスバーの上のほうの行を確認します。抜けた価格帯の行が濃いシアンで、買いの数字も大きいなら、ブレイクに買いが乗っていた足です。
気をつけたいのは逆のパターン。買い越しの行が足の下半分に集まり、抜けた価格帯の行は色が薄いか、売り越しになっているケースです。値段だけが先に走り、上の価格帯では買いが続かなかった可能性があります。私はこの形を見たら、次の足でレンジ内に戻らないかを確かめるまで飛び乗らない方が安全だと考えています。ダマシのブレイクを避けるための確認材料としては、使い勝手のいい読み方です。
Delta Barsをオフにしたときの見え方
Delta Barsをオフにすると、横棒の意味が「どちらが多かったか」から「どれだけ取引されたか」に変わります。同じ足で比べると違いがはっきりします。
Delta Bars のオン・オフで同じ足の見え方を比べる
左右は同じ足です。変わるのはバーの向きと、長さが何を表すかです。
Vowars DE ver.3.4.1
オフではすべての行が右に伸び、長さはその行の出来高の合計(売りと買いの合計)を表します。色は引き続き売り買いの差で決まるので、右側に赤い横棒が並ぶのが特徴です。フォーカスバー同士の間隔も、オンの60本からオフの45本に縮みます。
使い分けとしては、売り買いの偏りを見たいならオン、「この足でいちばん取引が集まった価格はどこか」を知りたいならオフです。オフで最長になる行は、出来高プロファイルでいうPOC(最も出来高が多い価格帯)に近い意味を持ちます。私はほぼオンのまま使っていて、節目の足だけオフに切り替えて取引の中心を確かめる、という使い方に落ち着きました。
TradingViewで使うときの手順
1チャートの時間足とGranularityを組み合わせる
最初に決めるべきは、チャートの時間足とGranularityの組み合わせです。チャートの時間足は、Granularityより十分に大きくする必要があります。1分足チャートに1-Minuteを選んでも、足の中を分解できません。1本の中に入る下位足の本数の目安は次のとおりです。
| チャートの時間足 | 1-Minuteの場合 | 1-Secondの場合 |
|---|---|---|
| 1分足 | 分解できない | 60本 |
| 5分足 | 5本 | 300本 |
| 15分足 | 15本 | 900本 |
| 1時間足 | 60本 | 3,600本 |
| 4時間足 | 240本 | 14,400本 |
| 日足(24時間取引) | 1,440本 | 86,400本 |
5分足に1-Minuteだと、1本の中身は5本の1分足だけです。20行に分けても、ほとんどの行は同じ1分足の出来高を均等に割っただけになります。私は「1本の中に最低60本」をひとつの目安にしていて、1時間足以上は1-Minute、それより短い足は1-Secondを使っています。
2見る本数を決めて、ペインの位置を確認する
Bars To Showは1〜8本の範囲で選べます。PCで広く表示するなら初期値の5本、スマホなら3本前後が扱いやすいと感じました。本数を決めたら、チャートを少し縮小してフォーカスバーの並びを一度確認しておきます。
3いちばん右のバーは確定するまで待つ
いちばん右のフォーカスバーは、いま動いている足です。足が確定するまで、ローソク足の形も横棒も数字も更新され続けます。判断に使うのは、原則として確定した足にしましょう。確定した足の中身は、その後は変わりません。新しい足が始まると、全体が1本分ずれて最も古いバーが消えます。
4偏りの強い価格にメインチャートで水平線を引く
フォーカスバーの中で色が最も濃い行、つまり数字の色が変わっている行の価格を、メインチャートに水平線として写しておきます。次の足以降でその価格に戻ってきたとき、止まるのか抜けるのかを見るための目印です。ペインの縦軸がそのまま価格なので、ペイン上で価格を読み取って水平線ツールで引けば済みます。
この水平線がサポートやレジスタンスとして機能する保証はありません。あくまで「前の足で売り買いが偏った場所」という記録です。ほかの根拠、例えば直近の高値や安値、移動平均線と重なる場所を優先して見ると、使いどころを絞り込めます。
パラメーター設定と推奨値
設定項目は8つと少なめです。迷うとしたらGranularityとRowsくらいでしょう。
| パラメーター | 初期値 | 推奨値 | 効果 |
|---|---|---|---|
| Granularity | 1-Minute | 1時間足以上は1-Minute、それより短い足は1-Second | 足を分解するときに使う下位足の細かさ。細かいほど1本の中の本数が増え、行ごとの偏りが実態に近づく |
| Delta Bars | オン | オン | オンで売り越しの行を左、買い越しの行を右に表示。オフで全行を右に出し、長さを出来高の合計にする |
| Bars To Show | 5 | PCは5、スマホは3 | 分解して表示する直近の足の本数(1〜8)。増やすほど横幅を使う |
| Rows | 20 | 20〜30 | 1本の足を何行に分けるか(5〜150)。増やすと細かくなるが、1行あたりの出来高が薄くなる |
| Buy-Side Color | #96d3c8 / #00ffff | 初期値 | 左が差の小さい買い越し行の色、右が差の大きい行の色。右の色は陽線の本体と、最大の買い越し行の数字にも使われる |
| Sell-Side Color | #d39696 / #8f1b1b | 見づらければ右の色を明るい赤に | 左が差の小さい売り越し行の色、右が差の大きい行の色。右の色は陰線の本体と、最大の売り越し行の数字にも使われる |
| Text Color | 白 | 初期値 | 売り出来高・買い出来高の数字の色(最大の行を除く) |
| Bars Offset | -30 | -30 | フォーカスバー全体の横位置。マイナスで左へ、プラスで右(未来側)へずれる |
Granularityで気をつけたいこと
選択肢には1-Minute・1-Second・1-Tickのほかに5-Minuteも並んでいます。ただ、作者の説明で挙げられている粒度は前の3つだけで、5-Minuteを選んだときに5分足単位で正しく分解されるかは確認できていません。現時点では選ばないほうが無難です。
1-Secondと1-Tickは、銘柄やTradingViewのプランによってデータを取得できない場合があります。下位足のデータが取れなかった足は、フォーカスバー自体が表示されません。また、日足に1-Secondを組み合わせるように1本あたりのデータ量が極端に多くなる設定では、動作が重くなることがあります。上の表の本数を見ながら、必要以上に細かくしないのがコツです。
RowsとBars To Showには組み合わせの上限がある
Rowsは最大150まで上げられますが、Bars To Showと一緒に大きくすると、古いほうのフォーカスバーが欠けて表示されることがあります。TradingViewでは1つのインジケーターが描ける四角形の数に上限(このインジケーターでは500個)があり、フォーカスバー1本で「1+Rows×3」個を使うためです。
| Bars To Show | 欠けずに表示できるRowsの上限 |
|---|---|
| 3本 | 55 |
| 5本(初期値) | 33 |
| 8本 | 20 |
行数を増やせば形は細かくなります。ただし1行あたりの出来高は小さくなり、1分足1本の出来高が複数の行に割られるぶん、偏りがならされて見分けにくくなります。4時間足で240本の1分足を分けるなら、20〜30行が読みやすさとの釣り合いが取れる範囲だと考えています。
用途別の設定例
| 用途 | チャートの時間足 | Granularity | Bars To Show | Rows |
|---|---|---|---|---|
| スキャルピング | 1〜5分足 | 1-Second(使えるなら1-Tick) | 3 | 20 |
| デイトレード | 15分〜1時間足 | 15分足は1-Second、1時間足は1-Minute | 5 | 20〜30 |
| スイングトレード | 4時間足・日足 | 1-Minute | 5 | 20〜30 |
いずれも「1本の中に60本以上の下位足が入る」ことと「欠けずに表示できる行数」を満たす組み合わせです。上位足ほど1本の中身が厚くなるので、私は4時間足と日足で使うのがいちばん読みやすいと感じました。
相性のいい銘柄と、苦手な場面
中身の精度は、下位足の出来高データがどれだけ実態に近いかで決まります。取引所の出来高がそのまま使える銘柄、例えばCMEの株価指数先物(ESやNQ)や金先物(GC)、暗号資産の現物・先物、SPYのような出来高の多いETFは相性のいい部類です。
一方、FXのスポットは取引所が一つにまとまっていないため、TradingViewで表示される出来高はデータ提供元ごとの取引量やティック数にとどまります。偏りの傾向は見えますが、数字の大きさは参考程度に考えたほうがいいでしょう。取引の少ない銘柄や時間帯も、1分足の多くが「終値が変わらない足」になり、集計に入らない出来高が増えるので不向きです。
相場環境で言えば、ブレイクアウトの足や、上ヒゲ・下ヒゲの長い反転候補の足で出番が多くなります。レンジの中で小さな足が続く局面では、どの足も似たような中身になりやすく、読み取れる情報は多くありません。
組み合わせるなら出来高プロファイル
見えるのは直近数本の内側だけ、というのが「Focus Bars」の守備範囲です。広い範囲でどの価格帯に取引が集まってきたかは、TradingView標準の出来高プロファイル(VPVR、表示範囲の価格帯別出来高)で補うのが相性のいい組み合わせです。VPVRで大きな出来高の山がある価格帯を確認し、そこに近づいた足の中身を「Focus Bars」で見る。広い視野と足の内側を行き来する使い方ができます。
TradingViewには、足の中の出来高を価格帯ごとに表示する出来高フットプリントのチャートタイプもあります。ただし利用できるのはPremium以上のプランです(2026/9/11 現在)。「Focus Bars」は表示できる本数が最大8本に限られる代わりに、Premium以外のプランでも、近い方向の分析を試せる点が強みです。
実際に使って感じた強みと弱み
強み
- 上ヒゲや下ヒゲの中で、実際にどちらが優勢だったかを確かめられる
- 左右に振り分ける表示なので、売り越しと買い越しの価格帯がひと目で分かる
- 行ごとの売り出来高・買い出来高を数字で確認できる
- 確定した足の中身は後から描き変わらない
- 設定項目が少なく、時間足と粒度を合わせればすぐに使える
弱み
- 表示できるのは直近1〜8本だけで、過去の足を見るにはバーリプレイが要る
- 横棒の長さは足ごとの相対値なので、足同士の比較には数字を読む必要がある
- 横幅を大きく使い、スマホでは数字が読める倍率まで拡大するのが手間
- 買いと売りは値動きの向きからの推定で、本物の約定データではない
- シグナルやアラートはなく、判断はすべて自分で行う
使う前に知っておきたい注意点
さかのぼるにはバーリプレイが要る
描かれるのは常に最新の数本だけなので、チャートをスクロールして1か月前の足の中身を開く、という使い方はできません。ただしバーリプレイを使えば話は別です。開始位置をその時点に合わせると、インジケーターもその時点で計算し直され、直前の数本がフォーカスバーとして描かれます。1本ずつ手動で進める必要があり、遡れる範囲はプランと時間足次第(無料プランは日足以上のみで、分足のリプレイは有料プラン)なので、数をこなす検証の道具にはなりません。気になった足を1本ずつ見返す用途なら十分に使えます。
最新の足は動いている途中
いちばん右のフォーカスバーは、足が確定するまで中身が変わり続けます。確定前の途中経過で「上ヒゲが売り越しだから売り」と決めてしまうと、残りの時間で中身がひっくり返ることもあります。確定した足の中身は描き変わらないので、判断は確定後に行うのが基本です。
フォーカスバーが示すのは、終わった足の中で起きたことの推定です。売り越しの行があったからといって、次の足で下がるとは限りません。トレンドの向きや節目の価格と組み合わせて、根拠の一つとして使うのが前提です。
急な値動きの1分足は、中身が薄く広がる
1分足の出来高は、その1分足の高値から安値までにかかる行へ均等に配られます。そのため、1分で大きく動いた足ほど、出来高が多くの行に薄く広がります。
例えば急落した1分間に大きな売りが出ても、フォーカスバー上では、値幅全体にわたって同じ量の売りが並ぶだけです。実際にどの価格で約定が集中したかまでは分かりません。指標発表の直後や急変動の足では、1分足より細かい粒度を選ぶか、横棒の形を大まかな傾向として読むほうが安全です。
データ提供元が変われば中身も変わる
同じBTCUSDTでも、取引所が変われば出来高は変わります。作者も、銘柄やデータの配信元によって再現できる細かさが違うと説明しています。複数の取引所を見比べるときは、フォーカスバーの数字を横並びで比べないように気をつけてください。
ローソク足を「結果」でなく「過程」で読みたい人に
画像「Focus Bars」は、1本の足がどう作られたかを見るための拡大鏡です。シグナルを出す道具ではないので、入れただけで勝率が変わることはありません。それでも、上ヒゲを見るたびに「本当に売られたのか」を確かめられるのは、裁量で節目を判断している人にとって大きな材料になります。
導入をおすすめしたいのは、4時間足や日足で節目の足をじっくり読むスイングトレーダーと、1-Secondが使える環境で短期足の中身を確かめたいデイトレーダーです。逆に、過去検証を重ねてルールを作りたい人や、画面を広く使えないスマホ中心の人には、表示の制約が気になるはずです。まずは初期設定のまま4時間足に入れて、直近の長いヒゲの足を1本分解してみてください。形だけでは見えなかった中身が、判断の手ざわりを変えてくれます。






