フィボナッチの「どこから引くか」問題を、引く前に片づける
フィボナッチリトレースメントで悩むのは、比率そのものではありません。起点です。同じチャートを開いていても、直近の押し安値から引く人と、半年前の大底から引く人では、出てくる水準がまるで違います。しかもやっかいなことに、どちらの水準にもそれらしい反発が見つかってしまいます。結局、自分が引きたかった線が当たったように見えるだけ、という経験は誰にでもあるはずです。
「Fibonacci Gravity Clusters」は、その起点選びを書き手の手から取り上げてしまうタイプのインジケーターです。長さの違う6階層のスイング検出を同時に走らせ、確定した波のすべてからリトレースメント水準を投影し、水準が集中した価格帯だけを熱として色で塗ります。1本の線を信じるのではなく、票がどこに集まったかを見る。チャートに現れるのは、価格軸に沿って横に伸びる色の帯です。

TradingViewには水平線を自動で引くインジケーターが山ほどありますが、「Fibonacci Gravity Clusters」はそのどれとも見た目が違います。初めて入れたときの印象は、サーモグラフィをチャートに重ねたような感じでした。価格が上下する帯のなかに、明るく光る層と、ほとんど何もない暗い層がくっきり分かれて見えます。
先に結論を書いておきます。売買の方向は一切教えてくれません。ただし、押し目や戻りがどのあたりで止まりやすいかを絞る作業では、手で引くフィボナッチより速くて公平でした。方向を決める手段をすでに持っている人ほど、噛み合う道具です。
チャートに出るのは線ではなく、価格軸に沿った色の帯
表示される要素は多くありません。まず、価格軸を細かく輪切りにした帯が並びます。1枚の帯の高さはBin height (ATR x)で決まり、初期値は0.25。つまりATRの4分の1が1枚分の厚みです。ボラティリティを物差しにして刻むので、Bitcoinでもゴールドでもドル円でも、見た目の粒度がほぼ揃います。複数銘柄を並べて見る人にはありがたい作りです。
帯の色の濃さが、その価格帯に集まった投影の重みを表します。初期パレットのThermalなら、暗い紫からマゼンタ、オレンジ、いちばん濃いところでクリーム色へと変わっていきます。色が明るいほど、多くの波が「この価格を指している」と言っているという読み方になります。
本体はコアラインと「×◯」のラベル
画像帯だけだと、どこが本当の中心なのか目測になります。そこで、熱の山になっている場所の上位5本にだけ細いラインとラベルが引かれます。ラベルには価格と、その横に「×14」「×3」といった数字が並びます。この数字は、その価格帯に実際に落ちてきた投影の本数です。
個人的には、この記事でいちばん伝えたいのがここです。色は正規化されていて、いちばん熱い場所を基準に相対的な濃さが決まります。ということは、何も起きていない平坦なチャートでも、どこかは必ずいちばん明るく塗られます。色だけを見て「強いゾーンだ」と判断すると、そこを踏み外します。実数の「×◯」を先に見るクセをつけると、この誤解はほぼ消えます。
「×14」と「×3」は、色が似ていても意味がまるで違います。前者は14本の独立した投影が同じ価格帯に落ちてきた結果で、後者はたった3本です。ラベルの数字が一桁前半なら、その帯は「たまたま」の可能性を疑ってよいと考えています。
なお、この数字は山の頂点にあたる1枚の帯に落ちた本数です。隣り合う帯に散った投影は合算されません。幅の広いゾーンでは、見た目の存在感のわりに数字が控えめに出ることがあります。そこだけ頭に入れておくと、数字の読み違いが減ります。
帯の色が近くても、投影本数(×◯)はまるで違う
色の濃さがほぼ同じでも、ラベルの「×」の数字はここまで違うことがあります。
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価格が熱い帯に入ると光る、接触フラッシュ
終値が一定以上の熱を持つ帯に入ると、その帯が一段濃く塗り直され、価格の位置に小さな丸印が出ます。しきい値はFlash thresholdで、初期値0.5。熱の最大値を1としたときの半分以上、という意味です。チャートを常時見ていられないときに、あとから見返して「ここで触っていたのか」と気づける仕掛けとして便利でした。
6階層のスイングが、それぞれ違う速さで熱を運び込む
「Fibonacci Gravity Clusters」の性格を決めているのが、スイング検出の階層です。Degree 1 lengthからDegree 6 lengthまで、初期値は3・8・21・55・144・377。フィボナッチ数がそのまま並んでいます。それぞれが独立したジグザグとして動き、短い階層は数本のローソクで折り返す小さな波を、長い階層は数か月単位の大きな波を拾います。
| 階層 | 初期値 | 拾う波のイメージ | ピボット確定までの本数 |
|---|---|---|---|
| Degree 1 | 3 | 数本で折り返すノイズ寄りの揺れ | 3本 |
| Degree 2 | 8 | 短期の押し・戻り | 8本 |
| Degree 3 | 21 | デイトレで意識される中間波 | 21本 |
| Degree 4 | 55 | スイングの主要な波 | 55本 |
| Degree 5 | 144 | 相場の大きな節目 | 144本 |
| Degree 6 | 377 | 長期のトレンド全体 | 377本 |
各階層は最新13本の波までを覚えていて、それより古いものは押し出されます。さらに、Min leg size (ATR)を下回る小さすぎる波は最初から捨てられます。初期値は0.5なので、ATRの半分にも満たない値動きはノイズ扱いです。6階層 × 13本 × 有効な比率5つで、最大390本ほどの投影が価格軸にばらまかれる計算になります。この数が、密度という発想を成立させています。
大きい波ほど、遅れて、しかも弱まって入ってくる
ここは使う前に知っておきたい仕様です。ピボットは山や谷の後ろに指定本数のローソクが並んで初めて確定します。Degree 6 lengthが377なら、天井をつけてから377本たった時点でようやくその波が登録されます。日足なら1年以上あと。いちばん大きな階層は、リアルタイムの判断にはほとんど間に合いません。
追い打ちをかけるのが減衰です。投影の重みは経過本数に応じて半分ずつ減っていき、その速さを決めるのがHalf-life (bars)、初期値144本。377本前の波は登録された瞬間にすでに重みが6分の1近くまで落ちています。波の大きさによる加点(ATRの何倍か、上限は8倍)があるので完全に消えるわけではありませんが、大階層は「効いている構造の背骨」ではなく、静かな下地として働くという理解が近いです。
逆に言えば、目に見えて明るい帯を作っているのは、Degree 2からDegree 4あたりの中位の波が大半になります。私はこれを知ってから、表示された帯を「直近数十本の値動きが作った合意」として読むようになりました。数年分の大局を映す道具だと思って使うと、期待とズレます。
半減期は、時間足ごとの「記憶の長さ」になる
半減期はバー本数で指定するので、時間足を変えると実時間での意味が変わります。ここを意識しないまま時間足を行き来すると、なぜか表示の性格が変わったように感じます。
| 時間足 | 初期値144本が示す期間 | 体感 |
|---|---|---|
| 15分足 | 約1.5日 | その日の構造だけが残る |
| 1時間足 | 約6日 | 直近1週間の押し戻りが中心 |
| 4時間足 | 約24日 | ひと月分の波が生きる |
| 日足 | 約4〜5か月 | 中期トレンド1本分の記憶 |
日足で数年分の重要ラインを出したいなら、半減期を233や377へ伸ばすのが手っ取り早い調整です。反対に、5分足で当日の値動きだけを見たいなら短くします。この1項目が、インジケーターの人格をいちばん大きく変えます。
実際の手順は、色を見る前に数字を見るところから
1初期設定のまま入れて、明るい層の位置だけ覚える
最初は何も触らないほうがいいです。設定項目が多いので、いじり始めると自分が何を見ているのか分からなくなります。まずは現在値の上下に明るい層がいくつあるか、そして現在値がそのどこにいるかだけを確認します。帯は右端から先へ伸びるので、これから価格が向かう先の候補として読めます。
2コアラインのラベルで投影本数を確認する
上位5本のラベルを見て、二桁に届いているゾーンがどれかを探します。ここで見つかった価格が、その時点でチャートが最も多く指している水準です。数字が小さいものばかりなら、その相場はまだ構造がはっきりしていないと判断して、無理に使わない選択もありです。
3価格が帯へ入ったときのローソクの反応を見る
帯そのものは方向を教えてくれません。上から入ってきたのか下から入ってきたのか、入った直後に長いヒゲが出たのか、それとも一気に抜けたのか。この観察がエントリー判断の中身になります。接触フラッシュを有効にしておくと、触れた瞬間が視覚的に分かります。
4上位足レイヤーを重ねて、二重に厚い場所を探す
HTF layerのEnableをオンにすると、日足や週足で計算した同じ密度が背景に薄く重なります。日中足の熱い帯が、上位足の熱い帯の内側にすっぽり入っている場所。作者もここをいちばん面白い絵だと書いていますが、実際に見比べると納得します。反応の質が明らかに違いました。
日足の密集帯と4時間足の密集帯が重なる場所
背景の青いレイヤーが日足(上位足)、前面の暖色レイヤーが4時間足(日中足)です。両方が重なる場所ほど密度が高いといえます。
- 日足(HTFレイヤー)の密度
- 4時間足レイヤーの密度
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押し目と戻りには強く、未踏の価格帯では黙り込む
得意な場面ははっきりしています。トレンドの途中で発生する調整、つまり押し目や戻りの到達点を絞る作業。ここは本領です。過去の波から投影された水準が積み上がるので、調整が入った瞬間に「どのあたりまで戻される可能性が高いか」の候補が最初から画面に出ています。
レンジ相場でも使えます。上下の端で何度も折り返していると、そのたびに新しい波が生まれ、同じ価格帯に投影が重なっていきます。結果として、レンジの上限と下限が自然と明るくなります。
問題は逆の場面です。新高値や新安値を更新して、過去に一度も触れていない価格帯へ入ったとき、そこには何も描かれません。理由は単純で、リトレースメント水準はすべて既存の波の内側に落ちるからです。ブレイクアウトの走り出しで目標値を探す用途には、この道具は向いていません。
向いている場面
- トレンド途中の押し目・戻りの到達点を絞る
- レンジの上下端を機械的に把握する
- 利確目標の候補を複数用意する
- 複数時間足で意識される価格帯を突き合わせる
向いていない場面
- 史上最高値の更新中など、未踏エリアでの目標設定
- 方向そのものを決めたいとき
- 指標発表直後のような、水準を無視した一方通行
- ヒストリーの浅い新規上場銘柄
トレードスタイルで言えば、デイトレードとスイングトレードがいちばん噛み合います。1時間足から日足あたりがちょうどいい範囲でした。スキャルピングでも使えなくはないものの、いちばん短いDegree 1でも3本の確定待ちが入るうえ、5分足だと熱の入れ替わりが速すぎて追いきれない印象でした。ポジショントレードなら、日足か週足で半減期を伸ばす使い方が現実的です。
密集帯は反応の候補地であって、壁ではない
①では押し目が密集帯で止まり、②では似た濃さの帯を勢いよく抜けています。
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設定項目は多い。ただし表示の性格を変えるのは一握りだけ
設定画面を開くと、Swings・Ratios・Heat model・Rendering・HTF layer・Live Leg・Styleの7グループが並びます。数だけ見ると身構えますが、表示の性格を決めているのは一部です。ここでは全項目を押さえたうえで、実際に触る価値が高いものを最後に絞ります。
Swings — 波の拾い方を決める
| パラメーター | 初期値 | 推奨値 | 効果 |
|---|---|---|---|
| Degree 1 length | 3 | 3(短い足ではオフ) | 数本で折り返す細かい波を拾う。5分足以下では投影が増えすぎて帯がぼやけるため、チェックを外すほうが読みやすい |
| Degree 2 length | 8 | 8 | 短期の押し・戻りを担当。日中足の熱の主力になるので基本はそのまま |
| Degree 3 length | 21 | 21 | 中間波。デイトレの反発ゾーンはこの階層の投影で作られることが多い |
| Degree 4 length | 55 | 55 | スイングの主要な波。半減期との相性がよく、実用上いちばん効いている階層 |
| Degree 5 length | 144 | 144 | 大きな節目を下地として置く。確定に144本かかるため即効性はない |
| Degree 6 length | 377 | 表示期間が短いならオフ | 長期トレンド全体。確定が377本後になるので、履歴の浅いチャートでは動かない |
| Max legs per degree | 13 | 8〜13 | 各階層が覚える波の本数。減らすと直近の構造だけが残り、帯がすっきりする |
| Min leg size (ATR) | 0.5 | 0.5〜1.0 | これ未満の小さな波を除外する。ボラティリティの低い銘柄でゴミが増えるときは0.8前後まで上げると効く |
階層を減らすかどうかは、チャートの履歴の長さで決めるのが実用的です。読み込みバー数が2000本に満たない状態でDegree 6 lengthを有効にしていても、377本の確定待ちに13本分の波を積む余裕がなく、ほぼ働きません。オンにしているのに何も変わらない項目は、外したほうが表示が軽くなります。
Ratios — どの比率を投票に参加させるか
| パラメーター | 初期値 | 推奨値 | 効果 |
|---|---|---|---|
| 0.236 | オン | オフでもよい | 浅い戻り。強いトレンドでは効くが、投影が値動きの近くに散らばりやすい |
| 0.382 | オン | オン | 浅めの押し目。トレンド継続局面の主役 |
| 0.5 | オン | オン | 半値戻し。厳密にはフィボナッチ比率ではないが実際によく意識される |
| 0.618 | オン | オン | 黄金比。密集帯の中心になりやすい |
| 0.786 | オン | オン | 深い押し。反転狙いのラストラインとして機能しやすい |
| 0.886 | オフ | 反転狙いならオン | さらに深い戻り。ハーモニックパターンを併用する人は入れる価値がある |
| Golden-pocket emphasis (0.618 & 0.65 x1.618) | オフ | 押し目狙いならオン | 0.65を追加し、0.618と0.65の重みを1.618倍にする。ゴールデンポケット帯が意図的に明るくなる |
比率を全部オンにすると投影の本数は増えますが、密度が均されて山が目立たなくなることがあります。比率は足すほど良くなるものではありません。私は0.382・0.5・0.618・0.786の4つに絞った表示のほうが、山と谷のコントラストが出て使いやすいと感じました。
0.618から0.65のあいだの狭い帯域を指す呼び方で、押し目買いの定番ゾーンとして知られています。この機能をオンにすると、そのゾーンだけ意図的に「重み付きの一票」として扱われます。客観的な密度を見たいときはオフのままが素直です。
Heat model — 熱の作られ方そのもの
| パラメーター | 初期値 | 推奨値 | 効果 |
|---|---|---|---|
| Size exponent alpha | 1.0 | 1.0〜1.5 | 波の大きさをどれだけ重視するか。上げると大波の投影が優勢になり、帯の数が減って主張が強くなる |
| Half-life (bars) | 144 | 144(長期は233〜377) | 古い波の重みが半分になるまでの本数。表示の記憶の長さを決める最重要項目 |
| Kernel width (bins) | 1.0 | 0.8〜1.5 | 近い投影をどれだけ融合させるか。上げると帯が太く滑らかに、下げると細く分離する |
| Bin height (ATR x) | 0.25 | 0.25 | 帯1枚の厚み。ATR基準なので銘柄をまたいでも粒度が揃う |
| Lookback window (bars) | 610 | 300〜610 | 描画する価格レンジと帯の左端を決める。縮めると熱の解像度が上がる |
ここで一つ、設定画面を見ているだけでは気づきにくい関係があります。表示できる帯の枚数には上限があり、Lookback window (bars)で切り取った価格レンジが広すぎると、Bin height (ATR x)を細かくしても自動で粗い刻みに切り替わります。目安として、レンジがATRの58倍を超えたあたりから上限に当たります。
帯が太くて水準を絞りきれないとき、Bin height (ATR x)を小さくしても変化がない場合があります。効くのは刻みの値ではありません。切り取る範囲のほうです。Lookback window (bars)を短くすれば価格レンジが狭くなり、同じ枚数でより細かく刻めます。
Rendering — 読みやすさはここで決まる
| パラメーター | 初期値 | 推奨値 | 効果 |
|---|---|---|---|
| Palette | Thermal | Thermal / Mono | 配色。Thermal・Ember・Ice・Monoの4種。他の描画が多いチャートではMonoが邪魔になりにくい |
| Gamma | 0.6 | 0.8〜1.2 | 弱い熱をどれだけ持ち上げるか。初期値は弱い熱も見せる設定なので、上げると強いゾーンだけが残る |
| Max opacity % | 85 | 55〜70 | 帯の最大濃度。初期値のままだとローソクが読みにくくなる場面がある |
| Min heat to draw | 0.05 | 0.15〜0.3 | この値未満の帯を描かない。上げるほど画面が静かになり、密集帯だけが浮かぶ |
| Core lines (top K) | 5 | 3〜5 | ラインとラベルを出す山の本数。3本に絞ると判断が速くなる |
| ZigZag overlay | オフ | 検証時のみオン | 6階層のジグザグを色分け表示。どの波が熱を作ったかを確かめるときに使う |
| Contact flash | オン | オン | 終値が熱い帯に入ったとき、その帯を強調して丸印を置く |
| Flash threshold | 0.5 | 0.5〜0.7 | フラッシュとアラートが反応する熱の下限。上げると本当に濃いゾーンだけに絞られる |
画面がうるさいと感じたときに触るのは、GammaとMin heat to drawの2つです。Gammaの初期値0.6は弱い熱を持ち上げて見せる方向なので、全体が薄く色づいて見えます。1.0前後まで上げてからMin heat to drawを0.2にすると、上位の密集帯だけが残って一気に読みやすくなりました。私はこの組み合わせをおすすめします。
調整前:初期設定(Gamma 0.6 / Min heat to draw 0.05)
初期設定のままだと、弱い熱まで持ち上げられて画面全体がうっすら色づきます。
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調整後:Gamma 1.0 / Min heat to draw 0.2
Gammaを1.0前後まで上げ、Min heat to drawを0.2にすると、上位の密集帯だけが残ります。
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HTF layer・Live Leg・Style
| パラメーター | 初期値 | 推奨値 | 効果 |
|---|---|---|---|
| Enable(HTF layer) | オフ | 日中足ではオン | 上位足の密度を背景に重ねる。日中足で使うなら入れる価値が大きい |
| Timeframe | Auto | Auto | 4時間足以下なら日足、日足なら週足、それ以上は月足が自動で選ばれる |
| HTF pivot length | 21 | 21 | 上位足側のスイング検出の長さ。上位足は1階層のみで動く |
| HTF palette | Ice | Ice | 上位足レイヤーの配色。日中足と別系統にしておくと見分けやすい |
| HTF bin height (ATR x) | 0.5 | 0.5 | 上位足の帯の厚み。日中足より粗く、背景として機能する厚みになっている |
| Enable (provisional, repaints) | オフ | オフのまま | 形成中の波から破線で投影する暫定表示。作者自身がシグナルではないと明言している |
| HTF intensity % | 40 | 30〜50 | 上位足レイヤーの濃さ。上げすぎると日中足の熱と見分けがつかなくなる |
| Label size | Normal | Small | ラベルの文字サイズ。5本表示ならSmallのほうが右端が詰まらない |
| Label background | オン | オン | ラベルの背景。明るい帯の上でも数字が読める |
| Core line & label color | クリーム系 | 好みで | コアラインとラベルの色 |
| Live Leg color | シアン系 | 好みで | 暫定表示の色 |
上位足レイヤーは、チャートの時間足が指定した上位足より短い場合にだけ動きます。Timeframeを240に固定した日足チャートでは、レイヤーが動かず「HTF layer off」の注意ラベルが出ます。設定したのに背景が変わらないときは、まずこの組み合わせを疑ってください。
用途別に、どこを変えるか
| 使い方 | 主な変更点 | 狙い |
|---|---|---|
| デイトレード(15分〜1時間足) | Degree 1をオフ、Half-life (bars)は144のまま、HTF layerをオン、Min heat to drawを0.2 | 当日から数日の構造だけを残し、日足の密集帯と重なる場所を探す |
| スイングトレード(4時間〜日足) | 初期設定に近い状態でGammaを1.0、Core lines (top K)を3 | 数週間から数か月の押し目候補を3本に絞る |
| ポジショントレード(日足〜週足) | Half-life (bars)を233〜377、Max legs per degreeは13のまま、Lookback window (bars)を610 | 古い節目を生かして、長期の重要価格帯を残す |
| 反転狙い | 0.886をオン、Golden-pocket emphasisをオン、Flash thresholdを0.6 | 深い戻りのゾーンを強調し、濃い帯への接触だけを拾う |
推奨値の根拠はどれも同じ考え方に立っています。この道具の出力は「密度」なので、密度を薄める設定は判断を鈍らせます。比率を増やす、階層を全部オンにする、弱い熱まで描く。どれも情報量は増えますが、山が消えます。迷ったら削る方向へ振るのが私の結論で、実際に触るのはHalf-life (bars)、Lookback window (bars)、Gamma、Min heat to drawの4つでほぼ足ります。
動かない部分と、動く部分をきちんと分けて理解する
リペイントの話は、この手のインジケーターでいちばん誤解が生まれます。「Fibonacci Gravity Clusters」は確定したスイングだけを材料にしているので、足の途中で水準が勝手に動いたり、あとから消えたりすることはありません。作者もこの点をはっきり書いていますし、実際に触ってみても、確定済みの投影が動く様子はありませんでした。上位足レイヤーも確定した足だけを使い、アラートは足の確定時に判定されます。
ただし、「表示が一切変わらない」という意味ではありません。ここを混同すると期待が外れます。
- ピボットの確定は山や谷から指定本数あとです。Degree 4なら55本後。つまり水準が現れるのは、その波が終わってしばらく経ってからになります。
- 同じ方向のピボットが更新されると、直前の波が新しい極値で引き直されます。ジグザグの基本動作ですが、結果としてその波から出ていた投影の位置は移動します。
- 時間の経過そのもので熱が減衰します。昨日いちばん明るかった帯が、来週には二番手に落ちていることは普通に起こります。
3つ目は仕様として正しい挙動ですが、実用上は無視できません。画面に出ているのは常に「今この瞬間の密度」であって、過去のどの時点でどこが熱かったかはチャートに残らないのです。だから、過去チャートをただスクロールして「ここで反発したのは密集帯があったからだ」と言っても、それは検証になりません。表示されているのは現在の計算結果を過去方向へ伸ばしたものだからです。
帯は最新の状態で描き直され、右へ伸びます。そのためチャートをスクロールしただけでは、過去の任意の時点でどこが熱かったかを再現できません。検証したいときはバーリプレイを使います。再生中の足がその時点の最新足として扱われるので、密度もその時点の状態で計算し直されます。ただし1本ずつ手で進める作業になり、遡れる範囲は銘柄・プラン・時間足によって変わります。日中足の履歴は日足より短い点にも注意してください。
Live Legはオフのままでいい
唯一の例外が、まだ形成中の波から投影する暫定表示です。破線で描かれ、「forming」というラベルがつき、初期状態ではオフになっています。作者自身が、これはシグナルではないと明言したうえで、わざわざオンにしてからリペイントを責めるのは筋違いだという趣旨まで書き添えています。この率直さには好感を持ちました。短い時間足で流れを先読みしたいときの参考程度に留めるのが無難です。
アラートは3種類
終値が熱い帯に入ったとき、上位足の熱い帯に入ったとき、そして上位5本のコアゾーンに新顔が入ったときの3つが用意されています。前の2つは接触の通知なので使い道が明確です。3つ目の新規ゾーン通知は、構造が変わったことを知らせる面白い設計ですが、ゾーンの入れ替わりが足の途中で起きた場合に通知が届かないケースがあります。ここは通知だけに頼らず、目視の確認とセットで使うほうが安全でした。
使ってみて良かった点と、引っかかった点
良かった点
- フィボナッチの起点選びという主観の入り口を丸ごと排除できる
- 投影本数が「×◯」で数値化され、ゾーンの厚みを客観的に比較できる
- ATR基準で刻むため、銘柄や時間足を変えても見た目の粒度が揃う
- 半減期で古い構造が自動的に薄れ、手入れをしなくても表示が腐らない
- 確定した波だけを使う設計で、足の途中に水準が動かない
- 上位足レイヤーとの重なりが、そのまま説得力の高い価格帯になる
引っかかった点
- 売買の方向をまったく示さないため、単体では判断が完結しない
- 未踏の価格帯には何も描かれず、ブレイクアウト後の目標設定に使えない
- 過去のどの時点で熱かったかが残らず、検証にはバーリプレイでの手動確認が要る
- 色が相対評価のため、平坦な相場でも「最も明るい場所」が必ず生まれる
- 初期設定のままだと帯が濃く、ローソクが読みにくい場面がある
- 設定項目が多く、意味を理解するまでの入り口が広い
やりがちな誤読を3つ
実際に触ってみて、最初の数日でやってしまった読み違いを共有します。どれも仕様どおりの挙動で、道具が悪いわけではありません。
1明るいから止まる、と考えてしまう
熱が示しているのは「多くの波が同じ価格を指している」という事実だけで、反発の保証ではありません。実際、勢いのある下落では二桁の投影が集まったゾーンをまとめて割り込む場面を何度も見ました。密集帯は反応が起きやすい候補地であって、壁ではありません。この距離感を持てるかどうかで、使い勝手が変わります。
2色の濃さだけで銘柄間を比べてしまう
熱はそのチャートの最大値で正規化されているので、色の濃さを別の銘柄と比較しても意味がありません。Bitcoinのチャートでいちばんクリームがかったゾーンとゴールドのそれは、まったく別の密度を表しています。銘柄をまたいで比べるなら、ラベルの数字どうしを突き合わせてください。
3時間足を変えたのに設定をそのままにしてしまう
半減期も階層の長さもバー本数で指定されているため、日足で作った設定を5分足へ持っていくと、記憶の長さが数か月から数時間に縮みます。設定は同じでも、表示の意味が変わります。時間足を移すときは、Half-life (bars)だけでも見直す価値があります。
二桁の投影が集まったゾーンでも、下抜けは起きる
×12という厚いゾーンでも、勢いのある下落の前では止まりませんでした。
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方向を決める道具と組ませると化ける
単体では価格帯しか教えてくれないので、方向を決める何かと組み合わせるのが前提になります。私が試したなかで手応えがあったのは次の3つです。
1つ目は移動平均やVWAPとの併用です。上向きの移動平均より上で価格が密集帯に落ちてきたときだけ拾う、という単純なフィルターでも、無条件に帯を触るのを待つより結果が安定しました。方向を先に決め、価格帯をこの道具に任せる分担です。
2つ目はRSIやMACDのダイバージェンスとの組み合わせ。深い戻りのゾーンに価格が到達したタイミングで、オシレーター側に逆行が出ていれば、反転の根拠が二重になります。0.786や0.886をオンにしておくと、この使い方と噛み合います。
3つ目は出来高系との併用です。密集帯が出来高の集中する価格帯と一致していれば、まったく別の理屈で同じ場所が支持されていることになります。計算の出発点が違う指標が同じ価格を指したときが、いちばん信頼できるというのは、この道具に限らず共通する考え方です。
一方で、水平線を引く系のインジケーターとの重ね掛けはおすすめしません。似た価格帯に別々のラインが並ぶだけで、画面が読めなくなります。ここは足し算より引き算です。
上向きの移動平均と密集帯が重なる場所だけを拾う
上向きの移動平均より上で、価格が密集帯に落ちてきた場面だけを拾う使い方です。
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常用できるインジケーターか
フィボナッチを日常的に使っていて、毎回どこから引くか迷っている人には、はっきり価値があります。「Fibonacci Gravity Clusters」が返してくるのは主観を挟まない密度そのものなので、自分が引いた線が本当に多数派なのか、それとも自分だけが見ている線なのかが一目で分かります。私は結果として、手で引くフィボナッチの本数が減ると考えています。
反対に、エントリーの合図をくれる道具を探しているなら、期待は外れます。方向は示さず、タイミングも示さず、示すのは価格帯だけ。判断の材料を減らす道具ではなく、判断の土台を整える道具という位置づけです。合図を待つ使い方をすると、たぶん出番がないまま消すことになります。
おすすめの入り方は、まず日足か4時間足のBitcoinやゴールドで、GammaとMin heat to drawを少し上げた状態から始めることです。上位5本のラベルを毎朝チェックして、そこで実際に何が起きたかを1週間記録してみる。それだけで、自分の相場でこの密度がどれくらい機能するかの感触がつかめます。密集帯を信じるかどうかを決めるのは、最終的に自分の記録です。








