何を見るインジケーターなのか
今回紹介する「Machine Learning RSI」はひとことで言うと、「今のRSIの動きに似ていた過去の場面を探し出して、その後どうなったかを多数決で判断する」タイプのオシレーターです。
普通のRSIは「70を超えたら買われすぎ、30を割ったら売られすぎ」という固定のルールで見ますよね。このインジケーターはその発想を捨てていて、RSIの値そのものより「RSIがどんな振る舞いをしているか」を重視します。RSIが今どのくらいの速さで動いているか、その加速はついているか、直近100本の中でどれくらい極端な位置にいるか、短期RSIと長期RSIがどれだけ開いているか──こうした要素をまとめて「今の勢いの指紋」として扱い、過去に同じような指紋を持っていたバーを探しに行きます。
そして見つかった過去の類似場面が、それぞれ「この後は上だった」「下だった」と投票します。その集計結果が現在の方向バイアスになり、さらにランク(セットアップの質)と信頼度(モデルの確信度)という2つのスコアで足切りをしてから、ようやくチャートに三角マーカーが出る、という流れです。

「Machine Learning RSI」はRSIを8つの角度から数値化し、過去の似た局面の「その後」を参照して方向を決めるオシレーターです。シグナルは方向が変わっただけでは出ず、質と確信度の両方の基準を超えたときだけ発生します。
チャート上に表示される要素を整理する
「Machine Learning RSI」を追加すると、価格チャート側とサブウィンドウ側の両方に表示が出ます。初見だと情報量が多く感じるので、まずは何が何なのかを分けて把握しておくとラクです。
| 表示される場所 | 表示物 | 何を意味するか |
|---|---|---|
| サブウィンドウ | ML RSIライン | 通常のRSIに、AIの確信度に応じた補正を加えた0〜100のライン |
| サブウィンドウ | シグナルライン(初期はSMA14) | ML RSIを平滑化した参照線。クロスを補助的なトリガーに使える |
| サブウィンドウ | 70/50/30のライン+帯の色付け | 買われすぎ・中立・売られすぎの目安ゾーン |
| 価格チャート | MLスーパートレンド+グロー | AIの確信度で幅が変わるトレイリングストップライン |
| 価格チャート | トレンドクラウド | ストップラインと価格の間を4層のグラデーションで塗った雲 |
| 価格チャート | ローソク足の色付け | スーパートレンドの向きに合わせた地合いの色(初期は上昇=青、下降=白) |
| 価格チャート | 三角マーカー | すべての条件を通過したロング(上向き)/ショート(下向き)のエントリー合図 |
| 価格チャート | 小さな丸ドット | スーパートレンドの向きが切り替わった位置 |
色の初期設定はやや独特で、上昇=青、下降=白です。緑と赤に慣れている人はまず色設定から変えたほうが直感的に読めると思います。三角マーカーだけは初期値でライム(ロング)とレッド(ショート)なので、ここは分かりやすいですね。
エントリーマーカーは直近5本の安値(ロング)/高値(ショート)の位置に置かれます。つまり三角の高さはエントリー価格を示しているわけではなく、ローソク足に被らないようにするための表示上の配置です。実際のシグナルはそのバーの終値時点で成立している、と理解しておいてください。
仕組み:RSIを8つの特徴に分解して過去と照合する
1. RSIから8つの特徴を作る
「Machine Learning RSI」は、基準となるRSI(初期値14)から次の8つの要素を毎バー計算しています。
- RSIの値:現在のRSIそのもの
- RSIの傾き:3本前と比べてどれだけ動いたか
- RSIの加速度:傾きの変化。勢いがついているか、失速しているか
- 中立(50)からの距離:どちらに、どれだけ振れているか
- RSIのパーセンタイル順位:直近100本の中で今のRSIがどれくらい極端か
- RSIのボラティリティ:RSI自体のブレの大きさ(落ち着いた勢いか、暴れた勢いか)
- 速いRSIと遅いRSIの差:基準の半分の期間と2倍の期間のRSIのスプレッド
- RSIのレジーム:RSIを20期間で均した値が50からどれだけ離れているか
ポイントは、パーセンタイル順位が入っていることです。銘柄によってはRSIが70や30にほとんど届かないこともありますが、「その銘柄の直近の基準で見て極端かどうか」を評価軸に入れているため、固定の70/30に縛られません。Bitcoinのように上昇局面でRSIが高止まりし続けるような値動きとは、相性の良い設計だと感じます。
2. 過去の記憶を貯めて、結果ラベルを付ける
確定したバーごとに、この8つの特徴と「その4本後に価格がどう動いたか」がセットで保存されていきます。保存される件数の上限がMemory Depth(初期値500)です。
「どう動いたか」の判定にはATRが使われていて、Learning Sensitivity(初期値0.5×ATR)を基準に、大きく上昇/小さく上昇/ほぼ横ばい/小さく下落/大きく下落…といった強弱付きのラベルが振られます。単純な陽線・陰線ではなく、そのときのボラティリティに対して意味のある動きだったかで重み付けされるのが特徴です。
結果ラベルは常に4本先の値動きで判定されます。1時間足なら約4時間、日足なら約4日先です。つまりこのインジケーターが学習しているのは短期の値動きであり、時間軸を上げるほど1シグナルの想定保有期間も長くなります。使う足を決めるときの目安になります。
3. 似ている過去を探して投票させる
現在のバーの特徴と、保存された過去のバーの特徴の「ズレ」を測り、近い順にAnalog Count(k、初期値8)本ぶんを選び出します。このとき差をそのまま使うのではなく対数で圧縮しているため、1つの特徴だけが極端にズレていても、その影響で類似判定が壊れにくい設計になっています。外れ値に強い、というやつですね。
選ばれた8本は、近いものほど強い一票を持ちます。その集計がプラスに寄れば強気、マイナスに寄れば弱気。どちらにも寄らない中間帯では方向なし(ニュートラル)扱いになり、シグナルの対象になりません。
保存された過去バーは、4本おきに1本だけが照合の候補になります。隣接したバー同士は情報が重複していて似すぎているため、あえて間引いて多様性を確保する作りです。Memory Depthを500にしても実際の候補は約125件になる、という点は設定を詰めるときに覚えておくと役に立ちます。
4. どの特徴を重視するかを自動で調整する
Auto-Optimize Weights(初期はオン)が有効だと、貯めた記憶を使って「強気になった場面と弱気になった場面を、どの特徴が一番きれいに分けているか」を毎バー評価し、重みを自動で振り直します。判別に効いている特徴ほど重みが大きくなり、効いていない特徴の影響は小さくなります。ただし完全にゼロにはならず、最低限の重みは残る作りです。
この自動調整が動き始めるには最低60件の記憶が必要なので、チャートを開いた直後や履歴の浅い銘柄では本来の挙動になりません。ここは後述の注意点でもう一度触れます。
5. ランクと信頼度でふるいにかける
方向が決まっても、それだけではシグナルは出ません。ここがこのインジケーターの本体と言ってもいい部分です。
| スコア | 何を測っているか | 主な構成要素 |
|---|---|---|
| ランク | セットアップの「質」 | 類似バーの意見の一致度/類似の近さ/トレンド方向との一致/ボラティリティの健全さ/レジームとの整合/RSIの傾きとの整合/同じ姿勢を維持している長さ。ここからチョップ・行き過ぎ・直近の頻繁な反転にペナルティ |
| 信頼度 | モデルの「確信」 | 意見の一致度と類似の近さが大部分を占め、姿勢の継続日数と傾きの整合が加算される。直近で何度も反転していると大きく減点 |
初期値ではランク60以上かつ信頼度50以上でないとシグナルは出ません。ここで一つ実務的に重要な話をしておくと、ランクは満点でも95前後、信頼度は90前後が上限になる構成です。100点満点だと思って「80以上に上げよう」とすると、体感よりずっと厳しくなります。初期値の60は、体感としては「7割弱の充足を要求している」くらいの水準です。
MLスーパートレンド:確信度で幅が変わるトレイリングストップ
価格チャート側に出るラインは、見た目こそ普通のスーパートレンドですが、バンド幅が固定ではありません。
- 確信度が高いとき:バンドが狭くなり、ストップが価格に近づく。トレンド転換の検知が早くなる
- 確信度が低いとき/チョップ判定のとき:バンドが広がり、往復ビンタを避けにいく
初期設定(ATR Multiplier 1.5、ML Band Adaptivity 1)の場合、実効的な倍率はおおむね1.5倍〜3.0倍の間を行き来します。確信度がゼロに近い局面では実質3.0倍のかなり緩いストップになる、と考えておくと挙動が読みやすいです。ATRの期間は10で固定されています。
このラインの向きは表示だけの役割ではなく、Trend Gateを通じてシグナルの可否そのものを左右します。上昇方向のときしかロングは出ず、下降方向のときしかショートは出ません。ローソク足の色もこのラインの向きに連動しています。
Bitcoinチャートでの使い方
1 まずは初期設定のまま眺めて、地合いを掴む
Bitcoinの1時間足あたりに入れて、最初にやるべきなのはローソク足の色とスーパートレンドの向きを見ることです。ML RSIの細かい上下より、まず「今どちら側の地合いか」を確認します。トレンドが出ている区間はストップラインが価格に沿って走り、クラウドも薄く保たれます。逆に方向感がない区間では、ラインが価格から離れてクラウドが分厚くなるので、見た目だけでレンジかどうかの当たりがつきます。
2 ML RSIで勢いの位置を確認する
下段のML RSIは、通常のRSIに確信度に応じた補正が乗ったラインです。確信度が強いときは最大で±18ポイント程度も持ち上げ/押し下げられるため、普通のRSIより早めに70や30に到達することがあります。「同じ場面で通常のRSIは62なのにこちらは74」といった差が出るのはそのためで、バグではありません。
読み方の基本は素直で、50より上なら強気優勢、下なら弱気優勢。70超・30割れは勢いが強い状態です。シグナルライン(初期はSMA14)とのクロスは、正式なシグナルが出る前の予兆として補助的に使えます。
3 三角マーカーの出方を数週間ぶん確認する
ここが一番大事な工程です。初期設定はフィルターが全部オンなので、Bitcoinのようにトレンドとレンジがはっきり交代する銘柄では、マーカーの数はかなり絞られます。まずは「自分の使う時間軸でどのくらいの頻度で出るのか」を数週間ぶん見て、多すぎるのか少なすぎるのかを判断してから設定を触るべきです。いきなりしきい値をいじると、何が効いたのか分からなくなります。
4 アラートを設定して張り付きを減らす
「Machine Learning RSI」に用意されているアラートは、ロングシグナル・ショートシグナル・いずれかのシグナル・トレンド上昇転換・トレンド下降転換・いずれかの転換の6種類です。加えて、通知にティッカー・時間足・そのときのランクと信頼度が含まれる形式もあり、通知を見ただけで「今回のシグナルはどれくらいの品質か」が分かるのは地味に便利です。ランク90の通知とランク61の通知では、同じロングでも扱いを変えたくなりますよね。

シグナルが出るまでに通過する関門
1本の三角マーカーが出るには、実は結構な数の条件をクリアする必要があります。整理するとこうです。
- 類似場面の投票結果が、中立圏を抜けて明確に上下どちらかに寄る
- Trend Gate:スーパートレンドの向きと同じ方向である(オンの場合)
- Volatility Band:ATRの順位が下限(初期20)以上、かつ上限85以下(オンの場合)
- Chop Filter:レンジ判定を受けていない(オンの場合)
- 上記を満たしたうえで、姿勢が前回と逆方向に切り替わる
- ランクがしきい値以上、かつ信頼度がしきい値以上
- 前回シグナルから5本以上空いている
- そのバーが確定している
上の関門のどれか一つでも引っかかれば、方向が変わってもマーカーは出ません。Bitcoinのレンジ相場では、チョップフィルターだけでかなりの候補が消えます。「今日は一度も出なかった」は正常な動作なので、出ないからといってしきい値を下げ続けると、このインジケーターの一番の長所を自分で潰すことになります。
パラメーターの詳細と推奨値
学習エンジン部分
| パラメーター | 初期値 | 推奨値 | 効果 |
|---|---|---|---|
| Price Source | close | close(ヒゲが荒い銘柄はhl2) | 8つの特徴すべての元になる価格。ここを変えるとインジケーター全体の性格が変わるため、まずは終値のままが無難です。ヒゲノイズが強い低位アルトなどではhl2で安定します |
| Base RSI Length | 14 | 14(スキャルは9〜10/スイングは20前後) | 基準RSIの期間。ここから半分の期間の速いRSIと2倍の期間の遅いRSIも作られます。短くすると反応が早くシグナルは増え、長くすると滑らかで慎重になります |
| Memory Depth | 500 | 400〜600(日足以上は800〜1000) | 記憶する過去バーの本数。実際に照合されるのはこの4分の1程度なので、300を切ると候補が薄くなり判断が不安定になりがちです。深くするほど多様な相場を参照できる反面、直近の性格変化への追従は鈍ります |
| Analog Count (k) | 8 | 8〜12(Bitcoinの短期足は10前後) | 投票する類似場面の数。少ないと敏感だが1本の外れ値で判断が反転しやすく、多いと安定するが個別のセットアップの色が薄れます。シグナルがバタつくなら増やす、鈍いなら減らす、が調整の基本です |
| Learning Sensitivity (×ATR) | 0.5 | 0.5(厳選したいなら0.8〜1.0) | 過去の値動きを「意味のある動き」と認定する閾値。小さくすると小さな値動きも学習対象になりシグナルは増えますが、ノイズも一緒に学びます。大きくすると学習対象は減る代わりに、はっきりした値動きだけを覚えます |
シグナルとフィルター部分
| パラメーター | 初期値 | 推奨値 | 効果 |
|---|---|---|---|
| Min Rank to Signal | 60 | 55〜65(厳選するなら70前後まで) | セットアップの質の足切り。上限が95前後の設計なので、70はかなり強い要求、80以上にするとほとんど出なくなります。まず初期値で頻度を見てから±5ずつ動かすのが安全です |
| Min Confidence to Signal | 50 | 50〜60 | モデルの確信度の足切り。類似場面の一致度と近さがほぼすべてを決めます。上げると「意見が割れている場面」を確実に排除できます |
| Trend Gate | オン | オン(逆張り派のみオフ) | スーパートレンドと逆方向のシグナルを禁止します。オフにすると押し目・戻りを拾いにいく逆張りシグナルが出るようになりますが、ダマシは確実に増えます |
| Volatility Band | オン | オン | ATRの順位が一定の範囲内のときだけシグナルを許可します。上限は85で固定されているため、暴騰・暴落の真っ最中は自動的にシグナルが止まります |
| Min Vol Rank | 20 | 20(動意を求めるなら30〜40) | 静かすぎる相場を除外する下限。Bitcoinの週末や薄商いの時間帯を避けたいなら30前後まで上げると効果を感じやすいです |
| Chop Filter | オン | オン | 短期EMAと長期EMAの乖離をATRで割った値が小さいときをレンジと判定し、シグナルを止めると同時にスーパートレンドの幅も広げます。類似検索型のインジケーターが一番苦手な場面を潰す、重要なフィルターです |
| Show Signal Markers / Candle Coloring | 両方オン | 用途次第 | 表示のオンオフのみで、計算やシグナル判定には影響しません。他のインジケーターと重ねるならローソク足の色付けはオフにしたほうが見やすいです |
自動最適化と特徴の重み
| パラメーター | 初期値 | 推奨値 | 効果 |
|---|---|---|---|
| Auto-Optimize Weights | オン | オン | 8つの特徴の重要度を自動で学習します。銘柄や時間軸ごとに効く特徴は違うので、手動で当てにいくよりこちらのほうが現実的です |
| Adaptation Speed | 1 | 0.1〜0.3 | 学習した重みが新しい値へ乗り換える速さ。初期値の1は「毎バー最新値にそのまま置き換える」設定で、重みが安定しにくくなります。0.1〜0.3程度に落として直近ノイズを均したほうが、判断のブレは体感で明らかに減ります |
| Feature Weights(8項目) | すべて1.0 | 基本は触らない | 自動最適化をオフにしたときだけ有効になる手動の重み。どの特徴を重視して類似場面を探すかを自分で決められますが、根拠なく動かすと類似判定そのものが崩れます |
スーパートレンドとRSIシグナルライン
| パラメーター | 初期値 | 推奨値 | 効果 |
|---|---|---|---|
| Show ML Supertrend | オン | オン | オフにするとライン・クラウド・地合いの色といった視覚的な手がかりが消えます。Trend Gate自体の判定は残るので、表示だけの問題です |
| Supertrend Source | hl2 | hl2 | バンドの中心になる価格。hl2はバーの中心を基準にするためヒゲに振り回されにくく、closeにすると終値の動きに敏感なストップになります |
| ATR Multiplier | 1.5 | 1.5(トレンドを長く追うなら2.0〜2.5) | バンドの基準幅。適応度と掛け合わさるので、初期値でも実効幅は1.5〜3.0倍相当まで動きます。数字を上げると転換の検知は遅くなる代わりに、途中の押し目で振り落とされにくくなります |
| ML Band Adaptivity | 1 | 0.5〜1(安定を求めるなら0.3前後) | 確信度がバンド幅をどれだけ動かすか。0にすると完全に普通のスーパートレンドになります。下げるほど挙動は素直になり、上げるほど確信度に応じて機敏に締まります |
| RSI Signal Line Type | SMA | SMAまたはEMA | ML RSIに重ねる移動平均。Noneで非表示、SMA + Bollinger Bandsを選ぶとバンドが追加され、ML RSIの行き過ぎを視覚化できます |
| RSI Signal Line Length | 14 | 14(早めのクロスが欲しいなら9前後) | 短くするとML RSIに張り付いてクロスが増え、長くすると遅いが騙されにくい参照線になります |
| BB StdDev | 2.0 | 2.0 | SMA + Bollinger Bands選択時のみ有効。広げるほど極端な振れだけを拾い、狭めるほどタッチが頻繁になります |

用途別のセッティング例
Bitcoinのトレンドを素直に追いたい場合
Trend Gate・Volatility Band・Chop Filterをすべてオンのままにして、Adaptation Speedだけ0.2程度に落とします。ランクとしきい値は初期値のまま。これで「地合いに乗っていて、動意があって、レンジではない」場面だけにシグナルが絞られます。1時間足〜4時間足のBitcoinとは相性がいい構成です。
シグナルをもっと厳選したい場合
ランクを65〜70、信頼度を60前後まで上げ、Min Vol Rankも30程度に。加えてLearning Sensitivityを0.8前後に上げると、学習の段階から「はっきり動いた場面」だけを覚えるようになります。この構成にすると1週間にシグナルがゼロという週も普通に出ますが、それを許容できる人向けです。
レンジの反転を狙いたい場合
Trend Gateをオフ、Chop Filterもオフにすると、レンジ内の逆張りシグナルが出るようになります。ただしこれはこのインジケーターが一番苦手とする場面を、あえて解禁する設定です。水平線やボリュームプロファイルなど、レンジの端を特定できる根拠と必ずセットで使ってください。単体で回すと往復ビンタになりやすいです。
実際に使って感じたメリットとデメリット
強み
- シグナルの数が最初から絞られていて、無闇に矢印が並ばない
- ランクと信頼度という数値が出るため、シグナルごとに強弱を付けて扱える
- 固定の70/30に依存しないので、RSIが高止まりしやすいBitcoinの上昇局面でも早すぎる逆張り判断になりにくい
- スーパートレンドの幅が自動で伸縮し、方向感のない場面では自然にストップが遠くなる
- トレンドの向き・オシレーターの位置・エントリー合図が1つのインジケーターで揃う
- アラート通知にランクと信頼度が含まれ、通知の時点で優先度を判断できる
弱み
- 設定項目が多く、どれが何に効いているのか把握するまで時間がかかる
- 学習が立ち上がるまでの助走が必要で、履歴の浅いチャートでは本来の性能が出ない
- 学習の判定が常に4本先の動きに固定されており、長期保有を前提とした判断には向かない
- 類似場面の照合という性質上、過去に例のない値動きには弱い
- 初期の色設定が青と白で、慣れるまで方向が直感的に読みにくい
- スーパートレンドの向きが変わっても、フィルターに阻まれてシグナルが出ないことがあり、慣れないと戸惑う
注意点と、やってはいけない使い方
リペイントについて
エントリーの三角マーカーは確定したバーでのみ発生する設計で、形成中のバーでシグナルが出たり消えたりする作りにはなっていません。この点は安心して使える部分です。
ただしML RSIラインとスーパートレンドのライン自体は、形成中のバーでは価格の動きに合わせて更新されます。これは通常のRSIやスーパートレンドと同じ性質で、確定前の値をそのまま根拠にしないという、いつもの原則がそのまま当てはまります。
記憶バンクも自動調整された重みも、チャートの左端から順に積み上げられていきます。そのため、表示している過去バーの量が変わると、同じ日時のバーでも助走の量が変わり、見え方がぴったり一致しないことがあります。過去チャートを検証するときは、十分に履歴を読み込んだ状態で、左端の数百本は評価対象から外すのが正しいやり方です。
未来の情報は使っていないが、性能は環境依存
学習用のラベルは「すでに確定した過去のバーの、その後4本」で作られています。つまり未来の値動きを先取りしてシグナルを出しているわけではありません。この点は仕様として明確です。
一方で、作者自身も認めているとおり、これはニューラルネットワークを訓練するタイプのものではなく、チャート内で類似例を探して分類する仕組みです。したがって銘柄・時間軸・記憶の深さ・フィルター設定によって成績は大きく変わります。「AIと名前が付いているから当たる」ということは一切ありません。
「Machine Learning RSI」単体で売買判断をしない
ランクと信頼度は「過去の類似例がどれだけ揃っているか」を数値化したものであって、勝率でも期待値でもありません。ランク85のシグナルが外れることは普通にあります。損切り位置と枚数の管理は、このインジケーターとは別に自分で決める必要があります。スーパートレンドのラインをストップの目安に使うのは理にかなった使い方ですが、その場合も「確信度が低い局面ではストップが遠くなる=リスクが増える」という性質を理解したうえで枚数を調整してください。

他のインジケーターとの組み合わせ
- 水平線・ボリュームプロファイル:このインジケーターは「どこで」の情報を持っていません。価格帯の節目を示すツールと組ませると、シグナルの取捨選択がしやすくなります
- 上位足のトレンド判定:4本先を学習している都合上、判断はどうしても短期寄りです。日足や4時間足の方向を別に確認し、逆方向のシグナルを見送るだけでも精度感は変わります
- 出来高系:ボラティリティのフィルターはATRベースなので、出来高そのものは見ていません。ブレイクの本気度を測る指標を足すと補完関係になります
「Machine Learning RSI」はすでにトレンド・ボラティリティ・レンジの3つのフィルターを内蔵しています。似た役割のインジケーターを重ねると、フィルターが二重にかかってシグナルがほぼ出なくなります。足すなら「価格の位置」や「出来高」など、性質の違う情報を選んでください。
どんな人に向いているか
| タイプ | 相性 | 理由 |
|---|---|---|
| シグナルの数より質を重視する人 | ◎ | 二重の足切りとフィルターで、そもそも厳選される設計 |
| トレンドフォロー中心の人 | ◎ | Trend Gateとスーパートレンドが最初からその方向に寄っている |
| 設定を詰めるのが好きな人 | ◎ | 触れる項目が多く、性格を大きく変えられる |
| 矢印どおりに機械的に売買したい人 | △ | 数値の意味を理解しないと、しきい値を下げて長所を潰しがち |
| レンジ内の逆張りが主戦場の人 | △ | 本来の設計思想と逆向きで、フィルターを外す前提になる |
| チャートをすっきり保ちたい人 | × | ライン、クラウド、色付け、マーカーと表示物が多い |
総合レビュー
「AI」「機械学習」を名乗るインジケーターは山ほどありますが、その多くは中身を見ると単なる移動平均の組み合わせだったりします。その点このインジケーター「Machine Learning RSI」は、過去の状態を記憶し、似たものを探し、投票させ、どの特徴が効いているかを自分で調整するという一連の流れが実際に組み込まれていて、名前と中身が一致しています。そこは素直に評価できるところです。
実際にBitcoinで動かして一番良かったのは、シグナルが「出ない時間」が長いことでした。レンジではチョップフィルターが黙らせ、ボラティリティが死んでいる時間帯もバンドが止めます。矢印が並びまくるインジケーターに疲れた人ほど、この静けさは価値に感じるはずです。
逆に不満点を挙げるなら、設定項目の多さと、初期の色設定です。特にAdaptation Speedが初期値のままだと学習した重みが毎バー入れ替わってしまうので、ここは導入後すぐに下げておくことをおすすめします。
総合的には、「フィルター付きの高機能なRSI+適応型スーパートレンドのセット」として見るとかなり完成度が高い一本です。ランクと信頼度の上限が100ではないという点さえ把握しておけば、しきい値の調整で迷うことも減るはずです。単体で完結する聖杯ではありませんが、既存の裁量判断に「今の勢いは過去のどんな場面に似ているのか」という視点を一つ足してくれる、実用的なインジケーターだと思います。
1. Adaptation Speedを0.1〜0.3に下げる/2. 上昇・下降の色を自分が読みやすい配色に変える/3. しきい値を触る前に、初期設定のままシグナル頻度を数週間ぶん観察する。この3つを済ませてから本格運用に入ると、遠回りせずに済みます。
