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Proof of Stake

プルーフ・オブ・ステーク

別名・略称
プルーフ・オブ・ステーク PoS ステーク証明

Proof of Stake(PoS)とは、暗号資産を一定量預け入れる「ステーキング」を利用して、ブロックチェーン取引を検証し、ネットワーク上で正しい状態について合意するための仕組みです。日本語では「プルーフ・オブ・ステーク」と呼ばれます。

ブロックチェーンでは、中央管理者が存在しない場合でも、参加者同士で「どの取引が正しいのか」「次にどのブロックを追加するのか」を決めなければなりません。そのために利用されるのがコンセンサス・メカニズムです。

Proof of Stakeでは、計算能力を競わせるのではなく、ネットワークに預け入れた暗号資産を経済的な担保として利用します。正しくネットワークに参加すれば報酬を得られる一方、不正な行為をすれば預け入れた資産を失う可能性があります。

ポイント

Proof of Stakeの重要な考え方は、「ネットワークを守るために資産を担保として預け、正しく行動すれば報酬を受け取り、不正を行えば経済的なペナルティを受ける」というインセンティブ設計です。

Proof of Stakeとは

Proof of Stakeは、ブロックチェーンの参加者が保有する暗号資産を「ステーク」として預け入れ、そのステークを経済的な担保として利用する仕組みです。

「Proof」は「証明」、「Stake」は「賭け金」「出資」「担保」といった意味を持ちます。直訳すると「ステークによる証明」となります。

ここでいう「証明」は、単に暗号資産を持っていることを証明するという意味ではありません。ネットワークのルールに従って参加する意思と経済的な利害関係を持っていることを、預け入れた資産によって示すという考え方です。

ブロックチェーンでは、誰でもネットワーク上の参加者になれる仕組みを採用すると、悪意を持った参加者が大量の偽の参加者を作る「シビル攻撃」が問題になります。Proof of Stakeでは、ネットワークへの参加に資産をステークさせることで、攻撃や不正行為に経済的なコストを発生させます。

資産を預けること自体が目的なのではなく、不正を行った場合に経済的な損失を発生させられる点が重要です。

Proof of Stakeの仕組み

Proof of Stakeを理解するには、「バリデータ」「ステーキング」「ブロック提案」「検証」「報酬」「ペナルティ」という6つの要素を押さえると分かりやすくなります。

要素 役割
ステーキング 暗号資産をネットワーク上の担保として預け入れる
バリデータ ブロックや取引を検証し、ネットワークの合意形成に参加する
ブロック提案 選ばれたバリデータが新しいブロックを作成する
検証・投票 他のバリデータが提案されたブロックの正当性を確認する
報酬 正しくネットワークに参加したバリデータに与えられる
ペナルティ ルール違反や不適切な行動に対して課される

ステーキングとは

ステーキングとは、対象となる暗号資産をブロックチェーンの仕組みに従って預け入れ、ネットワークの維持や合意形成に参加する行為です。

ステーキングされた資産は、単なる預金とは異なります。ブロックチェーンのプロトコル上で、ネットワーク参加者の行動に対する経済的な担保として機能します。

そのため、ステーキングによって報酬を得られる仕組みがある場合でも、「暗号資産を預ければ必ず一定の利回りが得られる」という意味ではありません。報酬率、参加条件、ロック期間、ネットワークのルール、ペナルティなどは、暗号資産やプロトコルによって異なります。

バリデータとは

バリデータは、Proof of Stakeを採用するブロックチェーンにおいて、ブロックや取引の検証、ブロックの提案、投票など、合意形成に参加する役割を担う参加者です。

従来のProof of WorkPoW)で中心的な役割を担うのがマイナーであるのに対し、Proof of Stakeではバリデータが中心的な役割を担います。

ただし、具体的なバリデータの役割や選出方法、必要なステーク量、報酬やペナルティの仕組みは、ブロックチェーンごとに異なります。

ブロックの提案と検証

Proof of Stakeでは、すべてのバリデータが同時に新しいブロックを作るわけではありません。プロトコルが定めたルールに従って、一部のバリデータがブロックを提案する役割を担います。

提案されたブロックはネットワーク上の他のバリデータによって検証されます。取引が有効であるか、ブロックがプロトコルのルールに従っているかなどを確認し、問題がなければ合意形成に参加します。

このように、Proof of Stakeは「誰か1人が正しいと宣言する」仕組みではなく、複数のバリデータが検証や投票を行うことで、分散型ネットワーク全体として正しいブロックチェーンの状態を決めていきます。

なぜステークが必要なのか

Proof of Stakeの大きな特徴は、ネットワークの安全性を「経済的な利害関係」によって支えることです。

仮にバリデータが何の担保も必要とせず、自由にネットワークの合意形成へ参加できるとします。この場合、悪意のある参加者が大量の偽の参加者を作って投票力を増やすことが容易になります。

そこで、参加者に暗号資産をステークさせます。ネットワークに対して不正な行動を取れば、その資産の一部または全部を失う可能性があるため、攻撃する側には大きな経済的負担が生じます。

仕組みの核心

Proof of Stakeでは、「不正をすることで得られる利益」よりも「不正をした場合に失う可能性がある資産」のほうが大きくなるような経済的インセンティブを設計することで、ネットワークの安全性を高めます。

Proof of Stakeにおける報酬

バリデータがネットワークの維持に貢献すると、プロトコルのルールに従って報酬を受け取れる場合があります。

報酬の内容は暗号資産ごとに異なりますが、一般的にはブロックの提案や取引・ブロックの検証、投票など、ネットワークの合意形成に適切に参加することが報酬につながります。

一方で、単にステークしているだけで常に同じ報酬を受け取れるとは限りません。参加状況やネットワーク全体のステーク量、プロトコルの報酬設計などによって、実際の報酬は変動することがあります。

報酬と利回りは同じではない

暗号資産の世界では、ステーキング報酬が「利回り」のように表示されることがあります。しかし、銀行預金の金利と同じものとして考えるのは適切ではありません。

ステーキングでは、報酬として受け取る暗号資産そのものの価格が変動します。たとえば、ステーキングによって保有数量が増えても、暗号資産の市場価格が大幅に下落すれば、日本円などの法定通貨で評価した資産価値は減少する可能性があります。

ステーキング報酬の利率だけを見て、投資収益が確定していると考えないことが重要です。

不正行為に対するペナルティ

Proof of Stakeでは、正しく参加することに報酬を与えるだけでなく、不正行為やルール違反に対してペナルティを設定することで、ネットワークを守ります。

代表的な仕組みの一つが「スラッシング」です。スラッシングとは、プロトコルが定めた重大な不正行為を行ったバリデータに対して、ステークしている資産の一部などを削減するペナルティです。

たとえば、同じ時間帯に矛盾する複数のブロックへ署名するなど、意図的な不正を示す行動がスラッシングの対象になる設計があります。

ただし、スラッシングの条件やペナルティの大きさはブロックチェーンによって異なります。そのため、Proof of Stake全体に共通する一つのペナルティ方式が存在するわけではありません。

Proof of StakeとProof of Workの違い

Proof of StakeProof of Workは、どちらも分散型ネットワークで合意形成を支えるために利用される仕組みですが、安全性を支えるために利用する資源が異なります。

比較項目 Proof of Stake Proof of Work
主な参加者 バリデータ マイナー
利用する資源 ステークした暗号資産 計算能力と電力
ブロック作成 プロトコルにより選ばれたバリデータなど 計算競争に勝ったマイナー
不正への対策 ステークの削減などの経済的ペナルティ 計算資源と電力を必要とする経済的コスト
エネルギー消費 一般にPoWより小さい 大きな計算量を必要とするため大きくなりやすい

Proof of Workでは、ブロックを作成する権利を得るために大量の計算を行います。計算には電力と専用機器などが必要になるため、それ自体が攻撃に対する経済的なコストになります。

一方、Proof of Stakeでは計算競争を基本とせず、ステークした暗号資産を経済的な担保として利用します。

Proof of Stakeの種類

Proof of Stakeは一つの完全に統一された方式を指す言葉ではありません。実際には、ブロックチェーンごとに異なる設計やアルゴリズムが採用されています。

チェーンベース型

チェーンベース型のProof of Stakeでは、ステーク量などを考慮しながら、次のブロックを作成する参加者を選択する方式が用いられます。

選出は単純に「最も多く暗号資産を持っている人が必ずブロックを作る」というものではなく、プロトコルによって疑似乱数などを利用した選択方式が設計されます。

BFT型のProof of Stake

別の設計として、バリデータ同士が投票を行い、一定の条件を満たした場合にブロックや状態を確定させる方式があります。

このタイプでは、単純にブロックを順番に追加するだけではなく、「どのブロックを正しいものとして認めるか」「いつ変更できない状態として確定するか」といった点までプロトコルに組み込まれています。

委任型のProof of Stake

委任型の方式では、暗号資産の保有者が自分自身でバリデータとして活動する代わりに、特定のバリデータへ投票権やステークを委任する仕組みが採用されることがあります。

この方式では、技術的な知識やサーバー運用能力が十分でない参加者でも、ネットワークの合意形成に間接的に参加できる点が特徴です。

EthereumにおけるProof of Stake

代表的なProof of Stakeの実装例がEthereumです。Ethereumは2022年に、それまで使用していたProof of WorkからProof of Stakeを基盤とする仕組みへ移行しました。

Ethereumでは、バリデータがETHをステークし、ブロックの提案や検証、投票などに参加します。現在のEthereumでは、1つのスロットごとにブロック提案者が選ばれ、ほかのバリデータが提案されたブロックを検証します。

Ethereumの仕組みでは、コンセンサスを形成するための仕組みとしてCasper FFGとGHOST系のフォーク選択ルールを組み合わせたGasperが利用されています。

また、Ethereumでは一定の条件を満たしたブロックが「ファイナライズ」されます。ファイナライズとは、通常のネットワーク運用において、そのブロックを後から覆すことが非常に困難な状態にすることです。

Ethereumでの注意点

EthereumのProof of Stakeは、単純に「ETHを持っている人がブロックを作る」という仕組みではありません。バリデータの選出、ブロック提案、アテステーション、フォーク選択、ファイナリティ、報酬、ペナルティなど複数の仕組みが組み合わさっています。

Proof of Stakeのメリット

メリット

  • PoWのような大規模な計算競争を必要としない
  • 一般にProof of Workよりエネルギー消費を抑えやすい
  • ステーキングを通じてネットワークの運営に参加できる
  • 不正行為に対して経済的なペナルティを設定できる
  • ハードウェアや電力消費を中心とした競争になりにくい

デメリット

  • プロトコルの設計が複雑になりやすい
  • ステークの集中がネットワークの分散性に影響する可能性がある
  • バリデータには適切な運用や技術的管理が求められる場合がある
  • 不正や運用ミスによってペナルティを受ける可能性がある
  • 比較的新しい方式であり、PoWとは異なる長期的な検証が必要とされる

Proof of Stakeのメリットを詳しく見る

エネルギー効率

最大の特徴の一つは、Proof of Workのような計算競争を必要としないことです。

PoWでは、ブロック作成のために大量の計算処理を行うため、ネットワーク全体で大きな電力を消費することがあります。これに対してProof of Stakeでは、ステークされた資産とバリデータによる検証を中心にネットワークを維持するため、一般にエネルギー消費を大きく抑えられます。

ハードウェア競争を抑えやすい

PoWでは、高性能なマイニング機器や安価な電力を確保できることが競争上の大きな要素になります。

Proof of Stakeでは計算能力を競う必要がないため、PoWとは異なる形で参加環境を設計できます。ただし、ステークの集中や大規模なステーキング事業者への依存など、PoS特有の中央集権化リスクは存在します。

Proof of Stakeのデメリットとリスク

ステークの集中

Proof of Stakeでは、ステークが大きい参加者ほどネットワーク上で大きな影響力を持つ設計が存在します。

そのため、暗号資産の保有量やステーキングサービスへの集中が進むと、少数の大規模参加者に影響力が集まる可能性があります。

ただし、実際の影響力は単純な保有量だけで決まるとは限りません。バリデータの選出方法、投票方式、委任制度、報酬設計などによっても異なります。

技術的な複雑さ

PoWと比較すると、PoSではバリデータの選出、投票、報酬、ペナルティ、ファイナリティ、フォーク選択など、多くの仕組みを組み合わせる必要があります。

そのため、「電力を使わないから単純な仕組み」というわけではありません。むしろネットワークの安全性を経済的インセンティブとプロトコルによって実現するため、設計上の複雑さがあります。

運用リスク

バリデータとして参加する場合、常に適切な状態でノードや関連ソフトウェアを運用できることが重要になります。

ネットワークへの参加状況が悪い場合に報酬を受け取れなくなったり、重大なルール違反によってペナルティを受けたりする可能性があります。

ステーキングは「暗号資産を預けて何もしなくても利益が出る仕組み」とは限りません。

Proof of Stakeとステーキングの違い

Proof of Stakeと「ステーキング」は密接に関係していますが、同じ意味ではありません。

用語 意味
Proof of Stake ステークを利用してネットワークの安全性や合意形成を支える仕組み
ステーキング 暗号資産をプロトコル上で預け入れ、ネットワークへの参加や特定の権利を得る行為
バリデータ ブロックや取引の検証など、合意形成に参加する主体

つまり、ステーキングはProof of Stakeを構成する重要な要素の一つです。ただし、「ステーキング」という言葉は、PoSのコンセンサス以外にも、スマートコントラクトを利用した資産預け入れなど、より広い意味で使われることがあります。

Proof of Stakeと暗号資産価格の関係

Proof of Stakeそのものは、暗号資産の価格を予測するための指標ではありません。

一方で、ステーキングされている暗号資産の量、流通量、報酬率、アンステークの動向などは、市場参加者がその暗号資産の需給を考える際の材料になる場合があります。

たとえば、一定量の暗号資産がステーキングに回ると、短期的に市場で自由に売買される数量との関係が変化する可能性があります。ただし、ステーキング量が増えれば必ず価格が上昇するという単純な因果関係が成立するわけではありません。

実際の価格は、需要と供給、金利、市場心理、規制、ネットワーク利用状況、マクロ経済など、多くの要因によって変動します。

Proof of Stakeを見るときの重要なポイント

ステーキング利回りだけを見ない

ステーキングサービスを比較する場合、表示されている報酬率だけを見るのではなく、報酬の原資、手数料、ロック期間、出金条件、ペナルティ、対象となる暗号資産の価格変動なども確認する必要があります。

ネットワークごとの違いを確認する

「PoSだからこうなる」と一括りにすることはできません。バリデータの選出方法や必要なステーク、報酬、ペナルティ、ファイナリティなどは、それぞれのブロックチェーンのプロトコルによって異なります。

中央集権化のリスクを見る

PoSでは、ステークがどの程度分散しているかも重要です。大規模なステーキング事業者や少数のバリデータにステークが集中すると、ネットワークの意思決定における影響力が偏る可能性があります。

ペナルティの条件を確認する

バリデータとして参加する場合は、報酬だけでなく、オフライン状態による報酬減少やスラッシングなどのペナルティについても確認する必要があります。

注意点

Proof of Stakeを利用している暗号資産だからといって、ステーキングによる利益が保証されるわけではありません。暗号資産そのものの価格変動に加え、プロトコル上のペナルティ、サービス提供者の手数料、スマートコントラクトや運用上のリスクなども考慮する必要があります。

Proof of Stakeでよく使われる関連用語

関連用語 概要
ステーキング 暗号資産を預け入れてネットワークへの参加などを行うこと
バリデータ ブロックや取引の検証、合意形成を担う参加者
ステーク ネットワーク上で担保として預けられる資産
スラッシング 一定の不正行為などに対してステークを削減するペナルティ
コンセンサス・メカニズム 分散型ネットワークで参加者が状態について合意するための仕組み
ファイナリティ ブロックチェーン上の状態が覆されにくく、確定したとみなされる状態
Proof of Work 計算能力と電力を利用してネットワークの安全性を支える方式

Proof of Stakeを理解するうえでの誤解

「ステークが多ければ必ずブロックを作れる」は誤り

多くのPoSシステムでは、ステーク量はブロック提案者や投票権などに影響しますが、単純に「最も多く保有している人が次のブロックを必ず作る」という仕組みではありません。

プロトコルによって、疑似乱数などを使った選出方式が採用される場合があります。

「PoSなら完全に安全」は誤り

Proof of Stakeはネットワークへの攻撃を経済的に難しくする仕組みですが、攻撃や障害の可能性を完全になくすものではありません。

ステークの集中、ソフトウェアの脆弱性、ネットワーク障害、ガバナンス上の問題など、PoSとは別のリスクも存在します。

「PoSなら手数料が必ず安い」は誤り

コンセンサス・メカニズムと、ユーザーが支払う取引手数料は同一の概念ではありません。取引手数料はネットワークの設計や利用状況、手数料市場などによって決まります。

そのため、PoWからPoSへ移行したからといって、必ず取引手数料が安くなるとは限りません。

Proof of Stakeのまとめ

Proof of Stake(PoS)は、暗号資産をステークとして預け入れ、その経済的価値をネットワークの安全性や合意形成に利用するブロックチェーンの仕組みです。

PoWのように計算能力を競わせるのではなく、バリデータがステークを担保としてネットワークに参加し、ブロックの提案や検証、投票などを行います。正しく行動すれば報酬を受け取れる一方、不正行為にはステークを削減するなどのペナルティが設定される場合があります。

特に重要なのは、「ステークによる経済的インセンティブ」と「バリデータによる分散型の検証」を組み合わせてネットワークを維持するという点です。

また、Proof of Stakeは単一の方式ではなく、実装するブロックチェーンによってバリデータの選出方法、報酬、ペナルティ、投票、ファイナリティなどの仕組みが異なります。そのため、個別の暗号資産を調べる際には「PoSを採用している」という情報だけで判断せず、そのネットワーク独自のコンセンサス設計まで確認することが重要です。