トレジャリー企業(Treasury Company)とは、企業が保有する資産を「トレジャリー(Treasury)」として戦略的に管理・運用することを主要な事業目的の一つとする企業を指す。
特に近年は、ビットコインなどの暗号資産を大量に保有し、その保有資産を企業価値の中核に据える企業を指して「トレジャリー企業」と呼ぶケースが増えている。
一般的な事業会社では、商品やサービスの販売によって得た利益を事業拡大や設備投資、株主還元などに利用する。一方、トレジャリー企業では、余剰資金や株式・社債などによって調達した資金を特定の資産へ振り向け、その資産の保有量や価値を増やすこと自体を企業戦略の重要な柱とする。
代表的な例としては、ビットコインを企業の主要な準備資産(トレジャリー)として継続的に購入する「ビットコイン・トレジャリー企業」が挙げられる。こうした企業は、事業から得られるキャッシュフローだけでなく、株式や社債などによる資金調達を通じてビットコインを追加購入し、1株当たりのビットコイン保有量を増やすことなどを目指す場合がある。
ただし、トレジャリー戦略には、保有資産の価格下落や資金調達コスト、株式の希薄化、借入金の返済負担などのリスクも存在する。そのため、トレジャリー企業の企業価値は、通常の事業会社とは異なり、本業の収益力だけでなく、保有資産の価値、調達方法、資本政策、資産価格の変動などを含めて評価する必要がある。
なお、「トレジャリー企業」は必ずしも法的・制度的に定義された企業区分ではなく、企業の資産運用戦略やビジネスモデルを説明するために用いられる呼称である。特に暗号資産市場では、「暗号資産トレジャリー企業」「ビットコイン・トレジャリー企業」などの表現で使われる。